「切らずに治す脳卒中」日本脳神経血管内治療学会前々会長ブログ
第31回日本脳神経血管内治学会学術総会会長のブログ
会期:2015年11月19日~21日(無事終了しました)
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「子どもたちだけではなく大人達にも夢を、100年続くような・・・」
サッカー
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2018年01月13日
前回、医学新聞メディカルトリビューンに掲載された私のエッセイをご紹介しましたが、やはりWeb上で閲覧するためには会員登録が必要で、一般の方々には見られないとのことでした。
編集部の方に確認したら、著作権は先生にあるので、ブログに掲載しても構いませんよと言ってくださいました。
以下、拙文のご紹介です。
優秀な後輩からは、真面目な医学新聞にこんなチャラい内容を載せないでくださいよと忠告されましたが、息抜きのエッセイですのでいいんです!
(ちなみに「ちゃらい」は、昨日刊行された広辞苑に新たに収載されたそうです)
【Essay】「子どもたちだけではなく大人達にも夢を、100年続くような・・・」
自他共に認めるサッカー狂である。高校時代からサッカーを始め、ヨハン・クライフに憧れ、98年フランス、2002年日韓、2006年ドイツとW杯には現地に赴き我が日本代表の試合を中心に観戦し、ジュネーブ大学留学中は本場ヨーロッパサッカーを堪能した。自分自身も高校・大学・社会人、そしてシニアリーグと、現在に至るまでプレーを続けている。しかし、地元岡山はサッカー後進県で、応援すべきプロサッカーチームがない・・・そのような中、2004年にJリーグ加入を目指してファジアーノ岡山が立ち上がり、2008年には当時アマチュア最高峰のJFLに昇格し、急にJリーグ参入が現実味を帯びてきた。私も、この年から本格的にファジアーノを応援し始めたその矢先に、偶々脳震盪の選手を診察したことをきっかけにチームドクターに加わるよう依頼された。もちろん二つ返事でお引き受けした。以来10年間、チームをサポートし、共に歩んできたつもりである。幸いにも、チームは2008年末に念願のJ2昇格を決め、2009年シーズンからJ2を闘うこととなった。
J初年度2009年はベンチ入りし、選手と一緒にピッチで闘った。当時、試合前から選手と一緒にアップし、ピッチ内練習には球拾いとして加わり、相手チームにいた三浦知良や藤田俊哉選手等スーパースターと近接しては興奮していた。チーム内では“スパイクを履いてベンチ入りする熱いドクター”として監督以下選手とも親しくしていただいた。2010年以降はベンチ入りはせずに、頭部外傷関連の診療を中心に後方からメディカルサポートを続けている。
プロサッカー選手は華やかで輝いて見えるが、選手寿命は短く、平均26歳で引退、一部の有名選手を除いて将来の就職先は大きな不安である。J2の弱小チームの選手の給料は安く、当時から仲の良い選手には活躍の御礼と称してよくご馳走してきた。家族ぐるみでお付き合いしている選手も多い。私は各選手を弟分と思っているのだが、家内は、年齢的にどう見ても子供でしょう!と笑う。
チアゴ選手は陽気で気まぐれなブラジリアンFWだったが、サッカーとwifeを愛する好漢だった。単身赴任で家が近く、よく行き来して交流したが、引退してブラジル帰国後は没交流で残念である。やんちゃな川又堅碁選手は2012年わずか1年の在籍だったが、チーム得点王となり強烈な印象を残した。岡山に残留すると約束してくれたが、最後に翻意してJ1新潟に戻ることを決めた日に我が家にわざわざ挨拶に来て、将来の日本代表を誓ってくれた。そして2年後にその通りファジアーノ出身初の代表選手になった。日本代表と言えば、2015年から加地亮・岩政大樹という二人の元代表選手が来てくれた。彼らの経験とチームの頑張りで、2016年はJ1昇格プレーオフに進出した。初戦の松本戦は劇的な勝利で、あと一つ勝てばJ1というセレッソ大阪戦、雨の長居で最後に力尽きて、J1昇格の夢は叶わなかった。家族で応援に駆けつけたが涙雨となった。
ファジアーノ岡山のスローガンは「子どもたちに夢を!」である。プロスポーツチームのなかった岡山で、「100年続くDNA」を理念とし、地域に根ざした地道なクラブ活動を続けている。岡山のサポーターは選手にブーイングをしない“緩い”サポとして知られているが、スタジアムは常に熱く、拍手や声援を持った一体感で選手を後押ししている。「あの熱い応援で走り切れた」という選手の声はサポの励みになっている。
2017年は期待されたが勝ちきれなかった。いつも良いことばかりではなく、悪い時もある、サッカーは人生の縮図でもある。「夢」を持ってサポートし続けるしかない。一方で、彼ら一流選手、そしてサッカーから私が学んだことは貴重で、日々精進しながら脳外科医人生を続けていく糧となっている。最後に、10年間在籍した私の弟分、ミスターファジアーノこと竹田忠嗣選手が今シーズンをもって退団となった。感謝の気持ちを込めて筆を置きたい。
ファジアーノ岡山・加地亮と岩政大樹選手とともに(2015年の納会にて)
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