波佐見の狆

A private fansite for Elliot Minor, the Heike, etc.

「千の風」と'Do not stand'

2007-03-09 18:43:13 | Other musicians

昨年の紅白以来、秋川雅史の「千の風になって」が大ブレイクして、この歌およびその元になった英詩のことについては、あちこちのブログに採り上げられているようです。なので、今更私が二番煎じするつもりはないのですが、それでもやはり私なりの想いを書き留めておきたいと思い、遅ればせながら書いています・・・

秋川さんの朗々としたテノールで歌われるこのメッセージに心打たれ、初めて英詩の存在を知ったという人が多いようです。

Wikipediaにもその辺のところがまとめられています。原詩も細かいところが異なる3つのバージョンが存在するとのことですが、基本的なideaは同じ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/Do_not_stand_at_my_grave_and_weep

この詩をもとにして、新井満がこの英語にほぼ沿った日本語バージョンを作って曲を付け、歌っていたのだそうですが、素晴らしい歌だということで、新垣勉、秋川雅史といった日本の名テノールがカバーしたと。

私はこの詩の存在をもっと前から知っていました。Liberaのサードアルバム'free'の6曲目がこれで、私がLiberaの中でも一番好きな曲のひとつだからです。こちらは、Robert Prizeman作曲、そしてBen Crawley、Joseph Plattという2人の名ボーイソプラノが歌っています(Benがリードを取り、部分的にJosephの声を重ねてデュエットしている)。

新井バージョンが長調で全体的に力強い感じなのに比べて、Prizemanバージョンは、短調で、もっと研ぎ澄まされた祈りのような曲調です。

Do not stand at my grave and weep
I am not there, I do not sleep.
I am a thousand winds that blow
I am the diamond glints on snow
I am the sun on ripened grain
I am the gentle autumn rain
When you awake in the morning's hush
I am the swift uplifting rush
Of quiet birds in circling flight
I am the soft starlight at night
Do not stand at my grave and cry
I am not there, I did not die

(この英語はWikipediaに掲載の3番目のバージョン。ただしLiberaのアルバムでは、最後の2行にさらに違いがあります。著作権の関係からLiberaバージョン英語はそのままここには載せられないと思うので、ここはWikiからのコピぺでとりあえず。)

6行目gentleと、10行目のsoftおよびstarlightが2回繰り返され、「秋は雨となり優しく(降り注ぐ)」「夜は星の光となり優しく(照らす→見守る)」というメッセージをさりげなく強調しているところ、そして、最終行のみさらりと長調に転調して「私は死んでなんかいない。(いつもあなたのそばにいる)」というメインテーマを明るく掲げているのが、とても素敵です。私は、Robert Prizeman氏の作曲の才能と音楽センスをきわめて高く評価しているのですが、この曲はとりわけそのことがよくわかる作品だと思います。それと、Benですが、彼はLiberaの歴代ソリストの中ではかなり頭声に近いしっかりした発声をしており、Prizeman氏も「彼は芸術家」と言っていたように、表現力の豊かさの点では飛びぬけていたのではないでしょうか。

Benのトレブルは、美しさのなかにも包容力があります。一昨年の東京公演の歳、思いがけなくサイン会があり、すっかり素敵な青年になった彼に直接サインをもらうことができました。すっかり舞い上がってしまった私はThank you….と一言いうのがやっとだったのですが、にっこり微笑んでくれて・・・ああ、幸せでした~~

去年の6月26日、栗之介が突然天国への階段を駆け上がったとき、このBenの歌声がどんなにか私を慰めてくれたか、とても言葉では言い表せないくらいです。実は、それよりほんの数日前にHarryのDie Schone MullerinがTadpoleより到着しており、待ちに待っていたものだけに、Die Schone Mullerinを聴きまくっていたときだったのですが・・・・26日以降しばらくは、さすがに、女の子にフラれたくらいで命を粗末にするヤワでおバカな粉挽き男の物語なんか、とても聞いてなんかいられませんでした。

その後、数カ月たったある日のこと、車の中でぼんやりラジオを聞いていました。リクエスト曲の紹介で「死者を悼む歌なのですが、愛する人を亡くした悲しみを歌っているのではなくて、死んだ人が、その愛する生きている人に対して『悲しまないで』と呼びかけるメッセージです。」というふうにアナウンサーが言うので、私はすぐにぴんときました。Liberaの曲とは別のものが、日本人によって歌われていたんだなと・・そのときかかったのは、どの歌手のものだったか覚えていませんが、冒頭「私のーお墓のまーえでー泣かないでください~~そこに私はいまーせん、眠ってなんかいませんー」というのが、もろ直訳なんだけどちゃんとはまっていて、びっくりしたものです。

今あらためて秋川さんの歌を聴くと、「夜は星になってあなたを見守る」というところで、どうしても涙があふれ、しばらく立ち直れないくらい泣いてしまいますね...。母国語でこういうふうにダイレクトに語りかけられるとやはり迫ってくるものが大きいです。

YouTubeにちゃんと。

http://www.youtube.com/watch?v=4Ut28zko1CU 

(これ、紅白の録画なんですね。ここで紹介するのに著作権上問題がありましたら、すぐに削除しますが・・・)

Benの歌もぜひ聴いてくださいね。

http://www.youtube.com/watch?v=OVY_OpWQyoE

新垣さんのも聴いてみたいです。余談ですが・・・彼は武蔵野音大卒ですが、音大の前に福岡の西南学院大学の神学部を卒業しておられ、バプテスト派の牧師さんだったそうですね。西南学院は私の母校なので(文学部外国語学科卒です)、嬉しくなりました。母校でリサイタルをされていたのも知りませんでしたが(なんと入場無料で)!

http://www.seinan-gu.ac.jp/university/new/2002/0514.html

http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A017661/VICC-35003.html

月並みすぎる言葉なのですが、、、音楽ってほんとにいいものですね。音楽なしでは絶対生きていけないです。

 

 

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
千の綿雲 (みゆき)
2007-03-09 19:44:56
虹の橋
昇天
涙そうそう

お話と詩と歌。

それぞれが心の深いところに響いて来ました。

愛する人、愛するしっぽを失ったとき、
遺された者の思いは同じなんだと。

涙そうそうにも
「あなたの場所からわたしが見えたら」
という歌詞があります。
あなたの場所は、星を暗示してます。

偲ぶ会の心の準備で、
一番つまったところです…

歌は、心を伝えるものだとしみじみ思います。


返信する
そして千のお星様 (Keiko)
2007-03-09 22:47:45
みゆきさああん・・・

>涙そうそうにも「あなたの場所からわたしが見えたら」という歌詞があります。あなたの場所は、星を暗示

そうですね・・・・この詩を書いたのは森山良子さんだとのことですが、彼女もお星様になったお兄さんのこと、いつもいつも側に感じているんでしょうね。

>歌は、心を伝える

伝え、結びつけるものですね!




返信する
CD買いました (エリーユキママ)
2007-03-09 23:06:10
自分のためにCDを買うことなど
子どもが生まれてから
子育てに追われて少なくなってしまいました。
(娘が買ったのを聴いてたけど)

最近はたま~に買ってます。
で、つい最近買いました。
新井満さんのを。

いいですね。
音楽って。
返信する
癒されてね (Keiko)
2007-03-09 23:32:45
おっ、新井バージョンをですね。

じゃあ私新垣バージョンを買うかな。

ママさんも、大きいお姉ちゃんの育児から解放されたらされたで、こんどはエリーちゃんユキちゃんの体調管理のことで毎日大変でしょうが・・・音楽で癒されてリフレッシュしてね!
返信する
もっといいのは~ (エリーユキママ)
2007-03-10 11:08:44
新井満さんもとってもよいのですが
もっとよいのは・・・

ハナミミパパさんです。

特に生でうたっていただいたら
きっと涙の海でおぼれちゃいそうよ。

返信する
だろうなあ・・・・ (Keiko)
2007-03-10 11:23:29
考えただけで・・・・・

去年の8月22日みたいにどおおおんと溺れちゃいそうで・・こわい・・
返信する
Unknown (Miliz)
2007-03-10 19:02:03
Keikoさんこんにちは。
リベラの歌が人気上昇と言う記事を見ましたよ。東京公演も追加があるようですし。人気がすごいですね。http://music.yahoo.co.jp/music_news/d/20070124-00000581-bark-musi
新垣さんのは秋川さんに比べてソフトな感じですね。視聴しかしてないんですけど。こちらも人気上昇したようですね。
返信する
Unknown (Keiko)
2007-03-11 00:15:37
Milizさ~ん! ありがとうございます。

liberaの方は、秋川人気に便乗して??東芝が、また盛んに宣伝作戦してるみたいですね~

liberaも、、いまやスーパースターですもんねえ・・

あ、でも、プライズマンさん自身が亡きお父さんに捧げるために作曲したものだったというのは知りませんでした! 
返信する
Unknown (Deo)
2007-03-11 22:34:37
話題がそれてしまいますが、妙なところで接点がありました。西南学院の文学部外国語学科というと、いつころかにもよりますが、Keikoさんもご存じかもしれませんご夫婦が教えておられました。ただ、残念なことに、奥様はその後、山口大に移られて、先年、お若いのに亡くなられました。私も九州時代に親しくさせて頂き、遺稿集を出されたときに1ヶ所だけ私の名が出ていました。
返信する
そうです! (Keiko)
2007-03-12 10:26:35
Deoさん、西南に関してコメントありがとうございます。 あっ、その先生・・・私もライティングを習ったような。。。そう、その奥様の方です。亡くなられたのですか?!全然知りませんでした。。。お名前をフルネームで思い出せないので、ちょっと今友人に聞いていますから、また後ほどお返事もう一度しますね・・・(なにせはるか昔のことなもので・・) でも西南は文系の学部ばかりですし、Deoさんがこういうお話をしてくださるとは思ってもいませんでした!
返信する

コメントを投稿