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天者陰陽

2009-10-25 19:17:38 | 孫子
 「天者陰陽・寒暑・時制也 地者遠近・険易・広挟・死生也」


 (天とは、陰陽・寒暑・時制なり 地とは、遠近・険易・広挟・死生なり)【始計篇】


 統治の基本である「五事」の二番目は「天」「地」である。戦いを起こすに当り、それを決めるための重要な項目となるものだ。


 孫子の時代、この「天」は、所謂「万物の祖」である神であったのだが、現在においては、世の動向・世情といった時機(タイミング)ではないだろうか。


 「陰陽」は天候であり、「寒暑」は四季であり、「時制」は時間といえる。


 例えば、春の種を蒔いて、秋に果を収穫する。夏は暑いので薄着で、冬は寒いから厚着をする。晴れのときは帽子が必要であり、雨には傘がいる。時間がくれば、腹は減り、空腹を覚え、眠りもする。よって時機が計ることが大切だとした。


 さらに「地」とは、取り巻く環境のことである。その国柄とか、土地柄といった場所に合ったものにせよ、ということだ。


 例えば、シベリア氷原とサハラ砂漠とでは、環境が大きく違う。車などは、寒冷地仕様とか、砂漠仕様にする必要があるように、その場所に合った適切な判断が大切であるとした。


 「天の時」「地の利」は、事の大事を決行するに、極めて重要な要素であるのだ。



長屋の花見 (三)

2009-10-25 13:05:24 | 落語
 長屋の連中は言います。
 「いいえね。下の方が…… 上の方でみんな本物を食ってますからね。ひょっとすると、うで玉子なんか、ころころっと転がってくる。それを、あたしは拾って、皮をむいて食っちまう」


 「そんなさもしいことを言うなよ…… まあ、どこでも、おめえたちの好きなところへ陣取って、毛氈(もうせん)を敷くがいいや」


 「へい。毛氈…… 毛氈の係、いなくなっちゃったじゃねえか」


 「あれ、あんなところでぼんやり突っ立って、本物を羨(うらや)ましそうに見てやがら…… 見てったって飲ませてくれるわけじゃねえや。おーい、むしろの毛氈持って来いッ」


 「おいおい、両方言う奴があるか」


 「だって、そうでも言わなくちゃ気がつきませんから…… おうおう、こっちだ、こっちだ」


 「さあ、ここへ毛氈を敷くんだ。あれっ、どうするんだ。こんなに横に細長く並べて敷いて?」


 「こうやって、一列に座りましてね。通る人に頭を下げて…… 」


 「おい、乞食の稽古(けいこ)するんじゃねえや。みんなで丸く座れるように敷け―― そうだ、あの、重箱を真ん中に出してな。湯飲み茶碗はめいめいが取るんだ。
 さあ、一升びんは、いっぺんに口を抜かないで、粗相(そそう・あやまちのこと)するといけないからな。一本ずつ抜くとようにしてな。
 酌(しゃく)はめいめいに…… みんな茶碗は持ったか、さあ、今日はみんな遠慮なくやってくれ。
俺の奢(おご)りだと思うと気詰まりだから、今日は無礼講(ぶれいこう・堅苦しい礼儀を抜きにしてという意味)だ。さあさあ、お平らに、お平らに…… 」


 「ちえッ、こんなところでお平らにしたら、足が痛えや、本当に」


 「さあ、遠慮しないで、飲んだ、飲んだ」


 「誰が、こんな酒を飲むのに遠慮する奴があるものか。ばかばかしい」


 「何?」


 「いえ、こっちのことで…… 」


 「じゃ、わたしがお毒味と、一杯いただきましょう」


 「いいぞ、いいぞ」


 「なるほど、色は同じだね。色だけは本物そっくりだ。これで飲んでみると違うんだから情けねえや」


 「口当たりはどうだ? 甘口か、辛口か?」


 「渋口ッ」


 「渋口なんて酒があるか…… これは灘(なだ)の生一本だから、いい味だろう」


 「そうですね。いろいろ好き好きがありますが、あたしゃ、何と言っても、宇治が好きですね」


 「宇治の酒なんてのはあるかい…… さあ、やんなやんな、ぼんやりしてないで…… 」


 「ええ、普段あんまり冷ややったことがないもんですから」


 「燗(かん)にしたほうがよかったかな。土びんでも持ってきて、燗でもすればよかったな」


 「燗なんてしなくたって…… 焙(ほう)じたほうがいい」


 「よさねえか。何でも酒らしく飲まなくちゃいけないよ。もっと、一献(いっこん)、献じましょうかとか、何とか言ってやってごらん。みんな傍(はた)で見てるじゃないか」


 「あ、そうですか。じゃあ、金ちゃん、一献、献じよう」


 「いや、献じられたくねえ」


 「おい、断わるなよ。みんな飲んだじゃねえか。おめえ一人が逃れるこたあできねえんだよ。これも全て前世の因縁だと諦(あき)めて…… なむあみだぶつ…… 」


 「おい、変な勧め方するない」


 「おう、俺に酌(つ)いでくれ」


 「そう、その調子…… 」


 「いや、さっきから喉(のど)が渇(かわ)いてしょうがねえんだ」


 「おい、いちいち変なことばかり言ってちゃいけねえ。それで、一つ酔いの回ったところで、景気よく都々逸(どどいつ・唄の一種)でも始めな」


 「こんなもんで唄ってりゃあ、狐に化かされたようなもんだ」


 「どうも困った人たちだな。さあ、幹事はぼんやりしてねえで、どんどん酌をして回らなくちゃしょうがねえじゃねえか」


 「悪いとき幹事を引き受けちゃたな。おう、じゃあ、一杯いこう」


 「じゃあ、ちょいと、ほんのお印でいいよ…… おいおい、ほんのお印でいいって言ってんのに、こんなに一杯ついでどうするんだ? おめえ、俺に恨みでもあんのか? 覚えてろ、この野郎ッ」


 「なんだな、一杯ついで貰ったら、悦(よろこ)べ」


 「悦べったって、冗談じゃねえ。あっしゃあ、小便が近えから、あんまりやりたくねえ。おう、そっちへ回せ」


 「おっと、あっしは下戸(げご・酒が飲めない人)なんで…… 」


 「下戸だって飲めるよ」


 「下戸なら下戸で、食べるものがあるよ」


 「一難去って、また一難」


 「何?」


 「いえ、何でもないです。こっちの独り言…… 」


 「それじゃ、玉子焼きをお食べ」


 「ですが…… あっしは、この頃すっかり歯が悪くなっちまって、いつもこの玉子焼きは刻んで食べるんで…… 」


 「玉子焼きを刻む奴があるもんか…… それじゃあ、今月の月番と来月の月番、玉子焼きを食べな」


 「じゃあ、なるたけ小さいやつを…… 尻尾(しっぽ)でねえところを…… 」


 「玉子焼きに尻尾があるか。よさねえか…… 寅さん。お前、さっきから見てるけど何も口にしないな。食べるか飲むかしなさい」


 「すいません。じゃあ、その白いほうを貰いますか」


 「色気で言うやつがあるか…… 蒲鉾(かまぼこ)と言いなよ」


 「そう、そのぼこ」


 「何だそのぼこたあ。おい、蒲鉾だそうだ。取ってやれ」


*こちらにGyaoで放映中
[ 入船亭扇橋 「長屋の花見」 http://gyao.yahoo.co.jp/player/00291/v01038/v0103800000000511030/ ]



Hounds of Tindalos

2009-10-25 10:00:29 | クトゥルフ神話

イメージ 1


「時空間の果てにある角度をゆっくりとよぎり、狙いを定めた獲物の匂いを何処までも飽くことなく追跡する貪欲な猟犬」


・「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」は、太古という言葉すら新しいと感じさせるほど過去の時空間の角に棲んでいる獰猛な怪物である。


・人間は、時空間の角ではなく曲線に沿って生きる存在であり、普通に暮らしている限りは、この怪物に遭遇する危険はないが、例えば、東洋の神秘的な仙人たちが調合した遼丹(リャオタン)や、「De Vermiis Mysteries(妖蛆の秘密)」に記された時間遡行効果を持つ薬を服用し、過去の時間を遡っていくようなことをすると、この獰猛な猟犬の尋常ならざる嗅覚に引っ掛かってしまうことがある。


・彼らは現実の肉体を備えておらず、生命活動に必要な酵素を青い膿汁のような原形質を構成している。


・「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」が、この空間に姿を現す前後には、名状しがたいほどの凄まじい悪臭が漂うが、その時には、既に手遅れであり、何ら慰めになっていない。


・「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」の住処を外宇宙とする文献も残っている。


・この怪物は、常に飢えており、一度捕捉した獲物は決して諦めることがない。しかし、彼らには、時空間の角度を通り抜けることでしか現実世界にやって来ることができないため、四隅の全てをセメントやパテなどで埋めて、角度をなくした空間に閉じこもり、この「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」が、別の獲物を見つけるまでやり過ごせば、生き残ることができるかもしれない。


・遼丹を手に入れ、時間を遡行する危険な実験の最中に「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」に察知された奇怪幻想作家ハルピン・チャーマズは、死を遂げる前にドールやサテュロスといった存在が、この怪物の追跡を手助けしていると書き残しているが、詳細については不明である。


・猶、この事件の際に残留していた「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」の体液を分析したジェームズ・モートン博士は、自らを被験者とする実験の結果、不死とこの怪物との融合を果たし、彼らの王であるムイスラを地球上に解き放とうと画策した。



道者令民与上同意

2009-10-25 03:58:08 | 孫子
 「道者令民与上同意 可与之死 可与之生 而不畏危也」


 (道とは、民をして上と意を同じくし、これと死すべく、これと生くべくして、危うきを畏れざらしむる)【始計篇】


 統治の基本とされる「五事」の一番目にこの「道」が挙げられている。


 通常、民衆を指導者と同じ思いにさせ、危険を恐れずに指導者と生死を共にするようにさせることが、「道」であるとしているが、今は、民衆が主権を持っている。
だから、世の指導者は、民衆の総意を敏感に汲み取らなければならない。それこそが、現在における「道」であろう。


 その上で、現代でいう「道」とは、「目標」ではないだろうか。
つまり、よく行動する組織とは、全メンバーが共通の目標持っている。一体感を持って行動することにより、1+1が2ではなく、10にも20にもあるのではないか。


 よって、上に立つリーダーは、全メンバーが結集できるような目標を設定することが大きな責務となるのだ。


 優れたリーダーとは、人々が気がつかぬうちに、ある目標に向かってメンバーの意思を統一させている。