黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

乳幼児健診の時の生活上のアドバイスⅠ

2017-10-20 05:53:50 | 育児
 前に書いたように、私の乳幼児健診は、単に病気の発見や、発育のチェックだけでなく、誰でも、何もしらなくても、上手な子育てができるように、その時期その時期の、子育て、事故予防、健康管理、か生活上のアドバイスをしています。今は、特別な時間がとれないので、診療時間内でしていますが、20分くらいかかってしまいますので、一緒にこれも診てほしいというのはやめて下さい。診療は別にいらして下さい。病気の説明も20分はかかってしまいます。

 これから順番に、一か月(4週)、二か月、四か月、六か月、九か月、十二か月、一歳六か月まで順次載せていきます。
 本当は、六歳までは一切ごと、その後は二歳ごとに思春期迄、あるのですが、来られる方はほとんどいないので省略しますが、大切なことはあるのです。とりあえず、一歳六か月までを載せます。

 はじめは、一か月(4週)  です。


   乳児の健康診断と生活アドバイス  Ⅰ
                                 
☆4週または1ヵ月の赤ちゃん
[栄養]
◎授乳方法がうまくいっていますか。
 母乳が出るか出ないかを心配しないで下さい。今はミルクがありますから、出なくても育ちます。不安になると出ず、出るものだと思っている人には出るのです。出なければ、次の子には母乳で育てようと思って下さい。不安やストレスで出なくなります。
 母乳は、3か月までの胃腸炎の予防です。母親からの免疫効果は、胎盤を通して赤ちゃんに移行し、半年でなくなります。母乳の免疫効果は、母乳が通る腸管内だけです。それも3か月頃までです。3か月まで出れば十分です。
 母乳は愛情があれば出ます。アメリカでは、キリスト教の教えで、赤ちゃんを育てられない人の子をもらって育てる習慣があります。その子を母乳で育てることができるのです。アメリカの養子の三分の一は母乳育児と言います。

 母乳栄養--不足していませんか。出ないのに無理にふくませていませんか。吸わせれば出るというのは誤解です。2週間過ぎても、充分出なければあきらめましょう。
 母乳は出る分だけ飲ませ、足りない分は、ミルクを与えましょう。
 ミルク-乳首は小さ過ぎたり、硬過ぎていませんか。1回に15分以内に飲んでいますか。 15分こえるようなら、S→Mへ替えましょうチュチュ、クロスカット、歯科医の薦める乳首などは、吸う力の弱い赤ちゃんには不向きです。3ヶ月以後にしましょう。
 欲しがる時に与えていますか。飲み残しが出るように充分欲しがるだけ与えていますか。1回に 200㏄を超えていませんか。超えていたらやめさせるのではなく、離乳食を積極的に進めるようにします。お腹をすかしているのに与えないのはかわいそうなことではないでしょうか。
 混合栄養--授乳のたびに、母乳後ミルクを与えることは止め、母乳は、はった時だけにし、はらない時はミルクだけ与える様にします。
 その訳は、混合の場合によくあることは、母乳かミルクのどちらかを赤ちゃんが選んで、好きな方しか飲まなくなるのです。その時期をできるだけ先にのばすためです。

◇哺乳ビンと乳首の消毒は--よく水洗いしてお湯でゆすげばよいです。
 煮沸の必要はなく、薬液消毒は有害(貧血になる)です。小児科医に、「あなたのこどもにはどうしていますか」と調査した医師がいて、その結果6割は自分の子の場合は、煮沸していないとのことでした。私の子では、水でゆすぐだけでした。その代りに、作ってもすぐ飲まなかったり、飲み残しがあった時に、置いておかず、すぐ処分することが大切です。

◎質、量の点でよい食事(母乳またはミルクと離乳食)を与えることの重要性は、よい食習慣をつけることが目的。少食、偏食、やせ、肥満を防ぐ為。
◎早期離乳の必要性--ビタミンC、D、A、Kの補給。
 早い時期から離乳を始め、ゆっくり時間をかけてならしながら進めるのがコツ。

◇早期に離乳を始める理由は、栄養の面ではビタミンの補給が主で、余り急ぎませんが、指しゃぶりなどのくせの予防、誤飲事故の予防、食欲を十分満たすことでの情緒の安定、良い食生活の習慣をつけるなどが目的で、将来の病気を予防する為に行ないます。(一番近くて生後6ヵ月過ぎの貧血の予防、遠いと成人後の肥満の予防)
◇大切なことは、赤ちゃんが主人公だということです。
 「まだ早すぎる」という人も多いですが、「早いか遅いか」を決めるのは一人ひとりの赤ちゃんです。あげて見て、喜ぶならどんどん進め、喜ばない時は喜ぶまで待つのです。離乳の時期を決めるのは、赤ちゃん自身で、医者でも母親でも栄養士でもないのです。

◇離乳の準備を始める--大きい子、よく動く子はそろそろ始めて見ましょう。舌で押し出したり、顔を横に向けたり、いやという意思表示ができたら、開始しましょう。小さい子おとなしい子は急がなくても良いですが、一応試してみましょう。男の子は、女の子より早目に始めて見ましょう。1ヶ月または体重が5kgになったら始めます。
 ゆっくり時間をかけてならしながら進めます。「いやがったら、その時はやめる」が基本で、また翌日あげて見ます。
 離乳準備食とはサラサラッとした液状のものを云います。
 ポイントはスプーンに慣れさせることと、乳汁以外の味を教えることで、必ずスプーンで与えます。使うスプーンは、少し小さい紅茶用のデミタススプーンが良いですが、なければ普通のスプーンで良いです。果汁用の哺乳ビンは使わない方がよいです。
始めはみかん類の果物をしぼって、湯ざましで倍にうすめて、お砂糖を加えて酸っぱ味を消して、おいしくして飲ませます。コツはおいしくすることと、与える時間で、授乳前の少しお腹がすきかけた頃が良いのです。
初めはほとんどこぼしてしまい、口に入りません。いやがったらおしまいです。また翌日あげますが、またスプーンをいやがって舌で押出し、こぼしてしまったら、それでおしまい。また翌日与え、いやがったらおしまいです。                
根気よく毎日、いやがったらおしまいを繰り返していますと、ほんの少しずつ果汁が入り、おいしい果汁の味を覚えて、果汁を欲しがるようになります。そこで硬いスプーンを口に入れるのを、いやがらなくなるのです。スプーンになれるのに大体1週間位かかります。
哺乳ビンに入れて与える時期は、スプーンではもどかしくてもっと沢山早く飲みたいと怒りだしてからにしましょう。

◇甘いものを食べると虫歯が増えると言うのは、誤解です。
 よく言われていますが、根拠はありません。皆さんがそう思い込んでいるだけです。テレビのコマーシャルは宣伝で、出てくる歯科医は売り込む為の戦術です。
砂糖を制限してはいけません。糖分は3大栄養素の1つで身体に必要なので、制限することで糖分が身体に不足すると、身体が求めるのです。それが条件付けされますと、確実に甘いもの好きになります。充分与えておきますとそれ程欲しがらなくなります。
でも生まれつき好きな子は治せません。お母さんが甘いものが好きなら仕方がないので、食べたらすぐ歯をみがけば良いのです。虫歯は歯の質で決まります。でも、国際的には先進国では虫歯が減っています。原始的な社会には虫歯はありません。発展途上国では、昔少なかったのですが、社会の成長と共に増えています。「歯磨きがよい」という根拠はないのです。

◇家庭の味を覚えさせるのが目的ですから、ふだん飲まなければスープを作る必要はありません。みそ汁はみそに栄養があるので、みそのまま、倍にうすめて飲ませます。おでんも鍋物も汁ものも英語ではスープです。汁を倍にうすめて飲ませましょう。
[健康]--赤ちゃんはいつも「気持がいいなあ」と感じていることが大切。必要のない時にさわったり抱いたりしない様に。うっとうしいと感じるといけません。

◇かぜ-外出した時や、親や兄弟がかぜをひいてうつることが多い様です。でも本当に健康ならうつりません。

◇発疹-かぶれ、ただれが多く、汚れたらすぐにぬるま湯をしぼったタオルでふきましょう。自分の汗、涙、よだれ、おっぱいなどでかぶれてしまいます。いつも濡れタオルをもって行きましょう。汚れたらそれで拭いて下さい。

◇おへその処置はアルコール綿でふくだけにし、パウダー類は使わないで下さい。お湯でふくだけでも良いです。汚れがとれなければ、ベビーオイルかオリーブ油を長時間ひたして、オイルをしみこませるととりやすくなります。
◇赤ちゃん用の爪切りで、爪を切りましょう。うすい爪で顔を切ってしまいます。
◇お尻やおしっこの出口周辺を、きれいに洗ってあげましょう。男の子はおチンチンの皮をむいて、女の子は大陰唇や小陰唇を広げて、洗いましょう。
 なぜするのか--亀頭包皮炎(男)、膣前庭炎(女)と尿路感染症の予防の為。女の子は膣の入り口の癒着も予防します。昔、処女膜と言ったのは、癒着でした。
 最近は、性の判別もするようになりました。まれにまちがうことがあるようです。
◇脇の下、指の間、首の下、耳の周辺などを、毎日2回以上はぬらしたタオルをしぼってふいてあげましょう。

[安全]
◇自動車に乗せる時はチャイルドシートを使い、シートベルトでしっかり固定すること。お母さんもシートベルトをしていますか? 後部座席でも安全の為には、シートベルトをしましょう。法律と安全とは別です。

◇入浴中の事故も増えて来ます。仕事で疲れたお父さんには入れさせないで。赤ちゃんがすべらないように、浴槽の底には浴用タオルを敷く。
赤ちゃんの事故死の70%は窒息死。ふとんは首までかけずに胸までかけ、手を出させる。吐き気のある時は、吐物を吸い込まない様に、身体ごと横に向け、背中に座布団などをあ
ててつっかえる。(顔だけ横に向けてもすぐ戻ってしまう。)

◇うつぶせにするなら、硬いマットにシーツを敷いただけの上でしましょう。たたみやマットの上なら窒息しません。ふとんの上では、うつぶせにしてはいけません。窒息の危険がありますから。

◇添い寝はやめましょう。(今まで、多くの小児科医たちが、添い寝の悲劇(窒息死)を無くそうと努力してきた、過去の歴史があるのですが、小林元東大教授が全く根拠なく、添い寝を良いと言い出したのです。それから添い寝は良いと変ったのです。欧米では未だに添い寝はいけないとなっています。)
 小児科医会の全国調査で、1986年7月の1か月だけで、2人添い寝での死亡事故があり、報告されていないケースも含めると、決して稀とは言えません。かわいい子を自分の不注意で死なせるのは母親の悲劇であり、そんな危険をおかしてはいけません。
 また添い寝の習慣がついてしまうと、タバコがやめられないのと同じで、添い寝をしないと眠れなくなります。大きくなっても、新しい習慣がつくまでは、かなりの長期間、4歳頃まで、母親が添い寝しないと眠れません。

◇ベッド、ソファ、椅子、台の上に赤ちゃんをおいたら、目か手を、離さないこと。目を離したほんの僅かの間に、落ちるのです。寝かせる時は広い方を横にし、転がっても落ちないようにします。
◇幼い兄弟やペットだけを、赤ちゃんのそばに残さないように。何をするか判りませんから。
◇家の中や、車の中に赤ちゃんを一人で置いていかないこと。
 どんなことが起きて、赤ちゃんが死やけがの危険にあうか、分からないからです。

◇赤ちゃんを強くゆすぶったり、クルクルまわしたりしては絶対にいけません。
「ゆさぶりっこ症候群」:この時期の赤ちゃんの脳は、豆腐よりも軟らかく、置くとくずれる程ですから、揺さぶると頭蓋内出血を起こします。
◇赤ちゃんの首のまわりに、ひもやネックレスを置いたり、ベッドの柵におしゃぶりなどを結ぶ長いひもを使わないこと。細い糸も、赤ちゃんのまわりから除くこと。赤ちゃんの指にまきついて、指が壊死してとれた例があります。また、ベッドから落ちかけて、首にひもがひっかかり、亡くなったこともあります。
◇家やこども部屋に煙探知器をつけた方がよいです。マンションでは普通に着いています。
[社会的発達]
◇泣くのはなぜ。--欲求の表現だから、原因を探し、欲求をみたす様にしましょう。
 でも抱くと泣き止む時も、放っておいて泣きやむ時も、理由がわからない時もある。
◇いわゆる夜泣き-多分悪い夢。昼間、こわいことや、いやな思いをさせないこと。
赤ちゃんを迎えた兄弟の扱い方。--なりたがったら、赤ちゃんにしてあげて、からかって下さい。それから、お兄(姉)さんでいる方がメリットが大きいと感じさせ、自分の意志でお兄(姉)さんになることを選ばせます。無理にお兄(姉)さんにしてはいけません。赤ちゃんは寝ていて、おっぱいだけで、遊べません。お菓子やおもちゃを見せて、赤ちゃんはだめだけど、お兄(姉)さんは、食べたり遊んだりできるのだけど、どっちがいいと子どもに選ばせます。親が無理にお兄(姉)さんにさせると、子どもは反発する子が少なくありません。自分で選ぶと親に文句が言えません。赤ちゃんに危害をくわえる時以外はしからずに、お兄(姉)さんにしてあげ、ほめてあげましょう。できれば母と二人で赤ちゃんをみるような気持ちにさせると良いのです。
 そして上の子たちと遊んだり、本を読んであげる時間をつくりましょう。

◇母の外出時に、赤ちゃんを一人だけおいてゆかないこと。寝ているから、その間にお買物をしましょうと考えてはいけません。火事等の事故が起きたら助からないし、目がさめた時に一人だけだと、赤ちゃんは捨てられたと思います。繰り返すと母親から離れなくなるし、情緒が不安になります。連れていくか、誰か大人に預けていきましょう。
◇夜何回も起こされるようなら、昼間赤ちゃんが寝た時に仮眠すること。

☆うまくいかない時、心配なことができた時、相談したい時、一人で悩まないで、電話するか、来院して下さい。 医師に聞きにくい時は、看護婦や職員に相談してみて下さい。
  力になれると思います。               




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