常夏のハワイではアロハシャツ、短パン、スポーツシューズなどなど、プライベート、ビジネスにかかわらず、ほとんどが軽装で間に合う。
友人から正装晩餐会の招待を受けた。背広を飛び越えて、いきなりタキシード (tuxedo) である。まさかハワイで正装をするとは夢にも思わず日本から持ってきていない。恥ずかしながら今までの人生でタキシードを着て晩餐会に出たのはパリでの一度きりである。日本でもなかったし、米本土でもなかった。
まず正装といえどもタキシードと燕尾服の違いが分からない。その時、インターネットの「力」というのは凄いと思った。1週間かけて情報を英語から日本語まで検索しまくった。歴史から服の種類、写真、中に着るタキシード用のシャツ、ネクタイ類、ベスト類、サスペンダー、カフリンク、靴など関連するサイトを徹底的にマークする。
さて今度は調達の問題。買って全部そろえても今後、再び着るチャンスが来るのかどうか保証がない。借りることにする。幸か不幸か、この島には貸し出すところが一軒しかない。デパートの「シアーズ(Sears)」である。借りに行く前にサイトで検索すると100種類くらい持っている。さすがアメリカ、パーティの国だ。安くて見栄え・格好の良く自分に合ったタキシードの写真を見つけ、コンビネーションで一式揃える事にした。
アラモアナ・センターにあるシアーズの1階に正装服貸し出しの小さなコーナーがある。まわりに売り物のタキシードが10着くらい吊ってあって店員が暇そうにしている。借りたい事を告げると手際よく中の狭い部屋で丈・襟などをメジャーし始めた。30代の男性が小さな紙切れに数字を次々と書いてゆく。その間、約10分。「大丈夫かいな」と思いつつ94ドル(9400円)を払ってその場を去った。
1週間後、晩餐会の前日に取りに行った。そこで試着しようと思ったが着替えが面倒くさいので自分のコンド (condominium) に持って帰り恐る恐る着てみる。「ウアォー」、オーダーメイドでもこんなにピッタリはないと思われるくらいパーフェクト。ここでまた、貸出の服の種類とサイズの多さに感心する。
コンベンションセンターでのホノルル・シンフォニー主催のディナー・舞踏会場には400人くらいの正装の人達で満員であった。聞くところによるとハワイの政財界のVIP・金持ちばかりだそうだ。カクテルコーナーでは寄付のためのオークション (auction)、テーブルを囲んでのディナー、ステージでのオークション、そして最後は社交ダンス。そこで一番気になったのが女性たちのイーヴニング・ドレスも然ることながら、皆がどんなタキシードを着てるかだった。「いやー、安心した!」自分のが結構マトモであった。インターネットのお陰である。
恐ろしい、今では映画・テレビに出てくるパーティ・晩餐会のシーンでの正装服の批評家になっているではないか!YS
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