読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

タワーリング 福田和代 小説新潮連載 4月号完結

2010-04-04 18:34:44 | 読んだ
3月末から4月のはじめは、いろいろなことがあるので、ゆっくりと本も読んでいられない。いやな時期である。

そういうなかで、小説新潮に「集中連載」されていた『タワーリング』が4月号で完結をした。
で、完結をしたので読んだのである。
集中連載であるから短期間、1月号からであった。

物語は「ビルジャック」が柱となっている。

「六本木ヒルズ」を思わせるような巨大ビル「ウィンドシア」があっという間にジャックされる。

犯人は「ボス」「慧(あきら)」「哲」「ロッキー」「旦那」
そして彼らの狙いは「ウィンドシア」を作り管理をしている「マーズ」という会社の社長「川村」を誘拐することである。

川村はウィンドシアの最上階である50階に住んでいる。
更にウィンドシアは徹底的な安全管理がなされている。
それを犯人たちはうまくかいくぐって、更には徹底的に管理されているということを裏手にとって、まったく上手にジャックしてしまうのである。

ジャックをされた側の「マーズ」では、副社長の中沢以下幹部が対応を練る。
そのなかで船津という社員が社長救出に向け策をたて実行するが・・・

この物語はビルをジャックするということの、建物というハードをジャックするという、なんというかマニアックな部分が強調されるのか?
だったらなんとなく読みたくはないなあ、と最初は思ったのであった。

しかし、本来なら非情で世を拗ねているように描かれる犯人たちに筆者は優しく接している。優しく、というよりは思いをこめてというべきか・・・

また、巨大ビルを作り管理をしている会社の社長である川村も、最初は「いやな奴」というように思えていたが、彼にも著者は思いをこめているのである。

つまり、被害者にも犯人にも優しいのである。

その謎は、4月号の「謎解き」でわかる。

ビルジャックという新しいテーマというか柱があり、現代の最先端技術がそこに描かれているのだが、登場する人物たちの「情」はいかにも古い。

その「古い」ところが『なんだかなあ』的に感じられ、ちょいと「うそ臭さ」が激しいのではないのか、なんて思われるのである。
しかし、最先端技術と古い型の人情を対比させている、ということならば、まあ許せる、と思ってしまったのは、やっぱり人の情を描くが物語として面白いことになるからなのだと思う。

というわけで、あまり期待をしないで読んだのであるが、先ずは満足の物語であった。

小説新潮は連載が多いのであるが、まだ読んでいないものもある。
そろそろ読んでおこうかと思っている。
だから読書はやめられない。

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