読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

太平記<蜂起之章、怒涛之章> さいとうたかお SPコミックス

2010-12-30 23:02:38 | 読んだ
コンビニで見つけた。
「アンコール発売!!」となっていた。

太平記は、有名な物語で、この本の表紙にも「軍記物語の一大傑作」という惹句がのっている。

この物語は、小学校の時「世界少年少女名作文学」で読んだ。
同じような題名の「太閤記」と違って、誰が主人公で誰が正義なのかよくわからなく、不思議な物語という記憶がある。

その後、太平記の時代(鎌倉幕府の滅亡から足利<室町>幕府の成立)までのことを本を読み知るようになり、そして映画「仁義なき戦い」をみて、一つの時代が終わって一つの時代が始まるということの「混沌」というのは、いつの時代でもその環境が大きくても小さくても変わらないということを知った。

今回、改めていわば「さいとうたかお版」の太平記を読むと、その感は強くなった。

太平記は、登場人物達が敵になったり味方になったり、権力争いに明け暮れる物語で、彼らには「国をどうするのか」という定見はない。
日本の中にある富を恩賞という形で誰が一番自分にくれるのか、ということがリーダーを選ぶ基準である。

ウーン、なんだろうか?
現代もそのような争いが行われているのではないか?

私は、どちらかといえば足利尊氏派である。
しかし、足利だって、その執事である高師直、弟の足利直義と内紛を起こしている。

唯一、楠木正成が清涼剤である。しかし、彼の大きな間違いは後醍醐帝についたということである。

後醍醐帝の粘り強さには敬服するが、手練手管が過ぎる。
そして高貴な方特有の冷たさがある。
だから、あまり好きではない。

本書を読んで「太平記をわかった」といってはならない。
入門編、ダイジェスト版といった形であって、太平記を知ったというなら、読物に行くべきだ。

その時々の登場人物たちの心理や行動原理がよくわかる。

それにしても、ついたり離れたりするのが大義名分ではなく損得や好き嫌いというのは、
非常にわかりやすいようでいて、実は根が深いような、もしかしたら一番難しい関係なのではないか。

ときどき太平記を思い浮かべるのもいいかもしれない。

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