読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

海底二万里(上・下) ジュール・ヴェルヌ 訳:村松潔 新潮文庫

2012-10-01 23:15:10 | 読んだ
海底二万里は、小学校の時「世界名作文学全集」で何度も読んだ。
すごく面白い冒険小説、というのがずっと抱いていた感想である。

今回、新潮文庫から新訳が出たということで、早速買って読んだ。

そうしたら、冒険小説、というだけではなく、科学の知識があふれていて、生き方というのも示されている。
冒険とか科学とかの設定をしているけれど、人を描いている物語である。

主人公はパリ自然史博物館の教授であるピエール・アロナクス。
彼の目を通して描かれる。

時は1867年。
日本でいうと慶応2年、徳川慶喜が征夷大将軍になり明治天皇が践祚(せんそ)した年である。

その時に、世界の海で不可思議な事件がおきる。
いたるところで「怪物」の目撃がされ、最後には怪物が船に衝突し、船底に幅2メートルの穴が開いていたのである。

アロナクス教授は、その怪物を巨大な「イッカク」ではないかと推理し、新聞に発表した。
そして、怪物退治のため高速フリゲート艦「エイブラハム・リンカーン号」が出航することとなり、アメリカ海軍省からアロナクス教授にフランス代表として遠征に参加しないかという誘いがあり、教授は急きょ乗船することとなる。

エイブラハム・リンカーン号は、怪物を求めて旅をつづけ、ついに怪物に出合い、そして攻撃を受ける。
その攻撃で、教授とカナダ人で銛打ちの王者ネッド・ランドが海に落ちる。
さらに、教授の忠実な従者である、コンセイユが教授の後を追って海に飛び込む。

3人は漂流することとなるが、その漂流で怪物に出合う。
怪物は、潜水艦であった。
3人はこの潜水艦に招待(実は軟禁?)され、ネモ船長と一緒に海を旅することとなる。

この時代に、たぶん今でも作れそうもない潜水艦を考えることがスゴイ。
動力は「電気」
この電気は海水から取り出したナトリウムを基本として発電されている。したがって海にいる間無限に作り出せる電気なのだそうだ。
このあたり、科学的に説明をされているのであるが、兎も角、スゴイとしか言いようがない。
なんたって1869年から1870年にかけて発表された物語なのである。

この潜水艦「ノーチラス号」は、現代の科学でも作れないようなものと思われるのだが、でも、その原理とかがちゃんと説明されているのである。

また、海の光景についてものすごく詳細に描かれている。
しかも、教授の従者であるコンセイユは『熱狂的な分類マニア』なのである。
少年少女向けではカットされていた部分だと思うのであるが、ちょっと書き写してみよう。と思ったが、あまりにも長くなりそうなのでやめておく。

このノーチラス号に乗って、太平洋、インド洋、紅海、地中海、大西洋、南極海、ありとあらゆる海を巡り、さらに海底深く沈み、海の謎を明らかにしてくれる。

そして、ノーチラス号の最期はあっけなく終わってしまう。

上下2巻を堪能した。

子供の頃に読んだものを、大人の本で読むのも楽しいものだし、新たな発見がある。

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