「隠蔽捜査」といえば、キャリア警察官僚の竜崎が自らの信念を貫き隠蔽捜査をやめさせたことと、息子の不祥事が重なり、エリートコースを外れた第1話よりも、外れたあとに大森署長となってからのほうが面白い。
警視庁の所轄署の署長が、多くのキャリア官僚に対して信念(正論)を通していく姿は、何よりも胸がスカッとするものだ。
世の中には、正論をぶち壊す権力が多すぎる。
だから、この物語は面白いのである。
さて、隠蔽捜査外伝シリーズは、当初、竜崎の幼なじみで同じキャリア官僚の警視庁の刑事部長の伊丹が主人公となっているものが多かったが、近頃は他の者たちも主人公となっている、いわゆる「スピンオフ」の物語である。
で、今回は、久々に伊丹が主人公である。
竜崎の大森署管内で殺人事件が発生する。
伊丹は、自分の信念に従って操作の指揮をすることとし、情報をつかむために竜崎に電話をする。
竜崎は相変わらず伊丹に対して冷たい態度である。
もっとも、冷たいと感じるのは伊丹のほうであって、竜崎のほうは冷たい態度をとっているわけではないのだが・・・
伊丹が捜査会議に出席すると捜査は着々と進んでおり、有力な容疑者を確保して事情聴取と証拠固めを行っているところまで進展しており、伊丹は犯人確定として『送検』を決定する。
そのことを竜崎に電話すると
「それでいいのか」
といわれる。
さて、捜査はこの後大きく転回する。そして、後戻りができないようなところまで進んでしまう。
この物語の中で、伊丹の考え方が示される。この考え方に同意した。
それは、近頃の捜査体制についてで、捜査会議を行って捜査員全員が情報を共有して自分の役割を認識すべきというのが伊丹の考え方なのだが、捜査会議は不要で、捜査員は情報を集めて管理官に運んでくるだけでいい、そのほうが効率的であるという考え方が出てきている
伊丹はさらに考える。
それでは最近の企業の論理に似ている。
社員を労働力と割り切り、雇いやすく切り捨てやすい派遣社員を使う発想では、人材が育たない。
幹部を育てられない会社、社員が理念を理解できない会社は、いずれすたれていく。
まったく、激しく同感である。
さてさて、伊丹は最後に竜崎からまた一発食らう。
『刑事部長の一言は重い。おまえが何気なく言った言葉でも、捜査幹部は重たく受け止める。だから今回のようなことが起きた。発言には注意しろ。』
所轄署の署長が刑事部長に言う言葉ではない、のに言うところが(言わせるところ)この物語の面白さである。
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警視庁の所轄署の署長が、多くのキャリア官僚に対して信念(正論)を通していく姿は、何よりも胸がスカッとするものだ。
世の中には、正論をぶち壊す権力が多すぎる。
だから、この物語は面白いのである。
さて、隠蔽捜査外伝シリーズは、当初、竜崎の幼なじみで同じキャリア官僚の警視庁の刑事部長の伊丹が主人公となっているものが多かったが、近頃は他の者たちも主人公となっている、いわゆる「スピンオフ」の物語である。
で、今回は、久々に伊丹が主人公である。
竜崎の大森署管内で殺人事件が発生する。
伊丹は、自分の信念に従って操作の指揮をすることとし、情報をつかむために竜崎に電話をする。
竜崎は相変わらず伊丹に対して冷たい態度である。
もっとも、冷たいと感じるのは伊丹のほうであって、竜崎のほうは冷たい態度をとっているわけではないのだが・・・
伊丹が捜査会議に出席すると捜査は着々と進んでおり、有力な容疑者を確保して事情聴取と証拠固めを行っているところまで進展しており、伊丹は犯人確定として『送検』を決定する。
そのことを竜崎に電話すると
「それでいいのか」
といわれる。
さて、捜査はこの後大きく転回する。そして、後戻りができないようなところまで進んでしまう。
この物語の中で、伊丹の考え方が示される。この考え方に同意した。
それは、近頃の捜査体制についてで、捜査会議を行って捜査員全員が情報を共有して自分の役割を認識すべきというのが伊丹の考え方なのだが、捜査会議は不要で、捜査員は情報を集めて管理官に運んでくるだけでいい、そのほうが効率的であるという考え方が出てきている
伊丹はさらに考える。
それでは最近の企業の論理に似ている。
社員を労働力と割り切り、雇いやすく切り捨てやすい派遣社員を使う発想では、人材が育たない。
幹部を育てられない会社、社員が理念を理解できない会社は、いずれすたれていく。
まったく、激しく同感である。
さてさて、伊丹は最後に竜崎からまた一発食らう。
『刑事部長の一言は重い。おまえが何気なく言った言葉でも、捜査幹部は重たく受け止める。だから今回のようなことが起きた。発言には注意しろ。』
所轄署の署長が刑事部長に言う言葉ではない、のに言うところが(言わせるところ)この物語の面白さである。
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