錯乱坊の彷徨える日々

フィールドでの出会いに癒しを求めて…

意外と知らない野原崎(ぬばれざき)の海

2015年11月19日 | 放浪雑記
むかーし、昔のこと。
石垣島の野原村(石垣市星野の北東岬)の人々が月の夜に海岸へと出て唄を歌っていると、沖の方から女性の美しい唄声が時には強く、そして時には弱くと波に乗るように聞こえてきます。
最初は、この唄声を聞き村人たちは怖がりましたが何時しか、その美しい声に聞き入ってしまうようになり、その歌は波静かな月夜には必ず沖の方から聞こえてくるようになりました。
それから暫くたったある夏の日の事・・・
一人の老人が野原崎(ぬばれざき)へと船を出して漁をしていると、引けども、引けども網は上がらず、それを見ていた若者が力添えをすることで、やっと浜へと引き上げる事ができました。
しかし、その網に掛っていたのは魚ではなく、半人半魚の姿をした美しい人魚が掛っていたのです。
人魚は助けて欲しいと懇願し、もし、助けてくれるのであれば見返りとして恐ろしい海の秘密(大津波)を教えると・・・。
優しき村人たちは、この不思議な容姿をした人魚を海へと抱きかかえて放してあげるのですが、その時に、「明日、この島を大津波が襲います、一刻も早く高い場所へと逃げてください」という事を、その老人へと伝えるのです。
まぁ、この話の続きには大半の島民にとって不運な結末が待っているのですが、それは、また別の機会にでも・・・
そして、その人魚が波静かな月の夜に歌い、老人の漁網に掛ってたという場所が、この海なのです。

そして、この石垣市星野の「星野共同売店」にある公衆トイレの上には恐ろしい海の秘密を教えてもらい、その命を救われたという事から魚像が設けられているのです。
※時は徳川家が納める江戸時代の1771年4月24日(明和8年3月10日)午前8時頃に発生した地震(推定マグニチュード7.4~8.7)による明和の大津波で先島諸島は大きな被害を受けた・・・ そうです。

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