2年ほど前に知り合った60代の女性のお話です。
仕事をしていて、会社が入っているビルのトイレに行くと、お財布が忘れてあって、びっくり!
このトイレを使う90パーセントの女性は自分の会社の人だから
それを持ってとりあえず、会社に戻り、
「トイレに忘れてあったけれど誰かのじゃない?」と聞くと、
「あ~私が入っていた時にもあったわよ」
「私も知ってた」
「私も」
「私も」
え?一体何人の人がこの財布を見てそのまま置きっぱなしにしたの?と思っていると、
「だって人のだし」
「関わり合いになりたくないし」
「防災センターにもっていくのはめんどくさいし」という言葉が飛び交う。
え~~~~~~~~
何それ
落とした人がもしかして今頃慌てていると思って、大変、かわいそうと思わないのか
と心の中の怒りが湧いてきて、
それで自分で防災センターにもっていって届けたそうです。
「それって何か悲しくなる話ね」と私が言うと、
「そうなのよ、落とした人の気持ちなんてまったく考えないで、めんどくさいが先にあって。
今の時代そんな風になってしまったのかな?」と言われたので、
「かもね・・残念だけれど」と話すと、
「時代はどんどん良くない方に進んでいくのかな」と少し寂しそうな顔をしていました。
おばさん世代の私たちにとっては考えられない対応で、とっても悲しい。
彼女は
「私ってこの会社の仕事のストレスがたまる理由がわかった気がしたわ。今頃気が付く私が鈍いのね」と苦笑いをしていました。
う~ん
今困っている人がいる、という気持ちにならないのかな・・
という考え方も古いのかな・・
ああ、第一発見者にはなりたくない、という気持ちもわからないではない。
昔、聞いた話で、お財布を届けて
「もっと現金が入っていたはずだ」と落とし主さんから言われて傷ついた人もいたという話も聞いたことがあって、
親切をして悲しい目にあう、ということもある。
ああ、複雑
ただね、
私自身の性格からすると、
絶対そのままにしておく、は自分の選択にはない。
いつも拾ったものは届けているし、
そしてその決断と行動のお蔭で先日落としてしまった銀行のキャッシュカードが無事手元に戻ってきた事実もある。
その場の判断にもよるけれど、
誰かのために自分が役に立ったらうれしいという気持ちは忘れたくない。
それと
知らない顔をして逃げる姿を神様や仏様に見せたくはない・・
ああ、でも、落とし主さんがややこしかったらどうしよう・・の複雑さ。
お財布ゆえの心の迷いが出るわ
ですから、みなさんもお財布だけは落とさないようにね。
もちろんあまり大きなお金を入れないように。
ちょっとした油断で置いちゃって、
そして忘れるから。
くれぐれも外であまりお財布を出さないようにね。