役に立つ本は、残念ながら、すべてのひとに有益ではない。
たとえば、神田橋條治「改訂 精神科養生のコツ」岩崎学術出版社、2009年では、初版本からみると、かなり変更されたが、「もしこの本があなたに合わなかったらコツを試さないでください」というような主旨のまえがきが書かれているように、どのような書物であっても、誰にでも有益であるとは限らない。
全くないことはなかったが、神田橋先生の書物以外で、かなり実用になるものは、それほどなかった。
そういう意味でも、本書は、胃腸の調子がよくないときに、安中散なのか、半夏瀉心湯なのか、黄連湯なのかを選択する際に役立つ漢方の実用書に似ている。
こころ、あるいは、脳に関係する病気も、また、胃腸の調子が悪くなるのに、たとえば、食べ過ぎたとか、ストレスがかかりすぎたとかいった原因があるように、そのような何かの経験なり、環境があったりするようだ。
神田橋先生流に言えば、具体的な工夫の積み重ねも役立つということになろうか。
続刊を待ちたい。