1960~70年代に、簿記の独習を試みた方の中には、「沼田式簿記」から入門されたかたも多いのではなかったでしょうか。
「沼田簿記」というのは、実際に帳面を付ける過程を経ながら、体験的に簿記を学ぶ方法として、当時は人気があった。
私は、大学に入ってから、父の影響もあり、簿記や会計に触れていくのだが、法学部には、簿記の先生がいるわけもなく、
三条河原町にあった進々堂書店で、元帳や仕訳帳も付録に付いた沼田簿記が分かりやすそうに思えて、買ったのが、簿記との出会いであった。
最近では、日商簿記検定の受験の過程で、簿記を学ぶひとも多いと思われるが、教科書に沿って、仕訳帳に仕訳し、元帳に転記し、試算表を作るという作業から
始めた。
簿記の学習に於いて、左側を貸方と呼んだり、右側を借方と呼んだりするが、本質においては、左方や右方でも、システムとしては成り立つもので、さまざまな疑問は沸くが、
それはそのままにしておいて、徐々に難しい仕訳にチャレンジしていくうちに、簿記のあらましが身につくようになる。
そういう意味では、体験学習、あるいは、シミュレーション学習といえるだろう。
仕訳帳で仕訳をし、元帳に転記し、試算表で貸借が合うかを確認して、それをひたすら繰り返していく。
その作業の過程は、こころの状態は、そのままにしたまま生活していく「森田療法」に似ている。
そのように似ているものは、世の中に多いので、「認知行動療法」は、「森田療法」に似ていると言われるが、本質は、まったく別物だと、私は思っている。