今さら聞けないPCR検査、抗原検査、抗体検査の違いと特徴についてまとめてみました。
□PCR検査について
検査したいウイルスの遺伝子を専用の薬液を用いて増幅させ検出させる検査方法です。
鼻や咽頭を拭って細胞を採取し、検査を行います。感染してから発症する数日前より検出可能とされています。
主に体内にウイルスが検査時点で存在するかを調べるときに用います。
感度は約70%程度と言われており、検体採取をした場所にウイルスが存在しなかった場合などは感染していた場合でも陰性となってしまう場合があります。
そのため検査機関によってはウイルスを検出できなかったケースを「陰性」とはせず「検出せず」と表現する場合もあります。
□抗原検査について
検査したいウイルスの抗体を用いてウイルスが持つ特有のタンパク質(抗原)を検出する検査方法です。
PCR検査に比べ検出率は劣りますが、少ない時間で結果が出る、特別な検査機器を必要としないことから速やかに判断が必要な場合等に用いられることが多いです。
病院でインフルエンザの検査をするときはこの抗原検査を行っていることが多いです。
□抗体検査について
過去にそのウイルスに感染していたかを調べる検査です。
ウイルスに感染すると形成されるタンパク質(抗体)が血液中に存在するかを調べます。
体内に抗体ができるまでには時間がかかり、現在そのウイルスに感染していないことの検査に用いることは難しいとされています。
ウイルスに感染した場合だけでなく、ワクチンを打ったことによって抗体ができた場合にも陽性となります。
この検査は自治体の公表する新型コロナウイルスの検査実施数にカウントされません。
抗体検査でIgMとIgGという言葉を聞かれたことがあると思います。その違いは下記です。
上記しましたが、抗体検査とは過去にそのウイルスに感染していたかを調べる検査です。
抗体は免疫グロブリンというタンパク質のことですが、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があります。
その中から主に検査の対象となるIgMとIgGの2種類の違いを説明いたします。
IgMは、細菌に感染した時に一番最初に作られる抗体です。
発症してから1週目の中頃から後半に生成が開始され、検査で検出可能になるのは発症後2週目頃からとされています。
そのためウイルスに感染して間もないと陰性になってしまうことがあるため、現在感染していないという陰性の証明に利用することは難しいとされています。
その後、2週間から4週間ほどをかけて消失していき検査実施をしても検出されなくなります。
IgGは、IgMが生成された後に生成され始めます。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多いです。
比較的長期間持続するとされ、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なります。(新型コロナウイルスの持続期間に関しては現在調査中です。)
IgGが消失すると再感染する恐れがあるため、ワクチン接種などによって再度免疫を獲得することが望まれます。
IgMとIgGの検査結果の見方
IgG陰性 | IgG陽性 | |
IgM陰性 | 感染していない もしくは 感染してすぐであり反応していない | 過去に感染したことがある 感染性は少ないと思われる |
IgM陽性 | 感染して期間があまり経っていない 感染性あり | 感染してからある程度時間が経った状態 感染性が残っている可能性あり |