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名古屋の宇宙ベンチャーPDエアロスペース燃焼切替実験に成功

2017年09月21日 | 企業研究
今週、名古屋の宇宙ベンチャー企業のPDエアロスペース社が燃焼切替実験に成功したことが記事になっていたので紹介したい。同社の技術が確立されれば飛行機で宇宙旅行が40万円程で行けるようになる可能性あり。社員5名で出発した小さな会社をHISとANAが出資をして応援している。
成功に期待したい。

記事1:
宇宙旅行目指す開発拠点を公開 名古屋のPDエアロスペース 日経新聞 2017/9/20

 宇宙船開発ベンチャーのPDエアロスペース(名古屋市)は20日、愛知県碧南市の研究開発拠点を公開した。2月に新設、試作品加工やエンジン燃焼試験などを1カ所で手掛けられる。

 この日は大気中の空気を使うジェット燃焼と、酸化剤で燃焼させるロケット燃焼を1台のエンジンで切り替える実験を披露した。今夏に世界で初めて成功した実験だ。

 同社は2023年の宇宙旅行サービスの開始を目指している。緒川修治社長(47)は「まだ小さな一歩を踏み出したにすぎない。宇宙旅行の実現に向け、開発を加速させたい」と話した。

記事2:
PDエアロスペース、燃焼切り替え成功
9/18(月) 7:15配信 フジサンケイ

 宇宙ベンチャーで宇宙輸送事業を目指すPDエアロスペース(名古屋市緑区)は、大気中で作動させるジェット燃焼と宇宙空間で作動させるロケット燃焼を1つのエンジンで行う、燃焼モード切り替え実験に世界で初めて成功した。実験成功により、宇宙航空機(スペースプレーン)にこのエンジンを搭載すれば、宇宙への旅行や貨物輸送が飛行場からできるようになる。

 従来のロケットエンジンは宇宙空間では酸化剤を使って燃料を燃焼させるが、大気中を通過する際も酸化剤を使う必要があり、軽量化への障害となっている。また、空気中の酸素を利用している従来のジェットエンジンは宇宙空間では使用できなかった。

記事3:
40万円で宇宙の旅 独自技術で挑戦(毎日新聞 2017年5月6日)


宇宙旅行のイメージ
 名古屋市の宇宙開発ベンチャー「PDエアロスペース」が、庶民にも身近な宇宙旅行の実現に挑戦している。2023年末に事業化し、将来は海外旅行並みの料金にする計画だ。社長の緒川修治さん(46)以下、社員5人という同社の武器は独自発想のエンジンと持ち前の行動力。壮大な夢は実を結ぶのか。

 「『下町ロケット』みたい。社員と開発に没頭する姿に感動した」。昨年10月、旅行大手「エイチ・アイ・エス(HIS)」とともにPD社に出資したANAホールディングス(HD)。片野坂真哉社長は池井戸潤さんの人気小説を引き合いに出して、緒川さんの情熱をたたえた。
 07年に設立されたPD社は「有松絞」で有名な名古屋市・有松地区にある。緒川さんの実家の離れが本社となっており、広さはわずか約16平方メートル。試作機の模型や資料、パソコンなどが所狭しと並ぶ。エンジンの燃焼実験に使う装置のスイッチなどは100円ショップで購入した材料も活用。「中核部品以外は徹底して節約し、コストを抑えている」と緒川さん。



次世代エンジンの開発に励むPDエアロスペースの緒川修治社長=名古屋市内で2017年1月5日、竹地広憲撮影

 空への憧れは子供時代にさかのぼる。名古屋空港に足しげく通い、パイロットを夢見た。だが、航空学校への進学はかなわず、航空機などの設計会社に入社。夢が宇宙へと飛躍したのは、04年に米国のベンチャーが有人宇宙飛行に成功したことがきっかけだ。「民間が宇宙開発をやる時代が来た」と起業を決意した。
 開発するエンジンの最大の特徴は、燃焼モードの切り替えが可能なことだ。離陸時は燃焼に必要な酸素を大気中から取り入れる「ジェットエンジン」モードで飛び、酸素が薄くなると内蔵の酸化剤を使う「ロケットエンジン」モードに変更。モード切り替えで12年に特許を取得した。子供時代からエンジン技術者だった父の実験に立ち会い、機器の構造図にも親しんできた緒川さん独自の技術だ。
 ライバル社で英ヴァージングループの創業者、リチャード・ブランソン氏が主導する米国の「ヴァージンギャラクティック」は、ジェット機で宇宙機を一定の高度まで運んで切り離し、そこから宇宙機搭載のロケットエンジンで大気圏外に飛び立つ「二段式」。宇宙旅行の料金は1人25万ドル(約2800万円)だ。これに対し、PD社は一つの機体だけで宇宙空間へ一気に上昇する計画だ。同じ機体を使い回すことで大幅なコスト削減を実現し、将来は「1人40万円弱」の宇宙旅行を目指す。
 PD社のもう一つの武器が緒川さんの行動力。経済産業省が開催を後押しした09年のビジネスコンテストで宇宙旅行事業を応募し、審査員でHIS会長の沢田秀雄氏に協力を直談判。ANAHDの片野坂社長が雑誌で「宇宙を目指す」と語ったのを見つけると、関係者を介して同社に接触、資本提携につなげた。
 ヴァージンや米アマゾンの創業者といった著名起業家が支援している海外のライバル社は数百億円規模とされる資金力で、17~18年ごろの事業化を目指す。一方、PD社の資本金は約3500万円にすぎず、出資者をさらに募る必要がある。独自発想のエンジンもアイデアの段階で、実機を使った実証実験や耐久性、安全性の検証など課題は多い。
 宇宙業界に詳しい桜美林大の橋本安男特任教授は「米国と比べ、日本は政府による支援や法整備も進んでいない」と指摘する。緒川さんもこうした課題は覚悟の上で「全部背負って進んでいる」と力を込める。
 宇宙を見た子供たちが「地球で争ってはいけない」と平和な気持ちになってほしい--。宇宙にかける情熱で、外部の協力をさらに呼び込むことができるのか。夢への挑戦は続く。【竹地広憲】

ことば【PD社の宇宙旅行計画】
 乗員・乗客計8人乗りの宇宙機を開発し、2023年12月の運航開始を目指す。高度15キロ付近でロケットエンジンを作動させ、高さ約50キロまで加速。その後は弾道飛行で高度100キロの宇宙空間に約5分間滞在する。料金は当初1人1400万円程度を想定している。


JT、火のないたばこで株価に点火

2017年05月24日 | 企業研究
JT、火のないたばこで株価に点火
2017/5/24 12:46 日経新聞

 日本たばこ産業(JT)の株価が急ピッチで上昇している。24日は3日続伸し、連日で年初来高値を更新した。前日に火を使わない加熱式たばこ「プルーム・テック」の販売で6月末に東京都内へ進出すると発表。業績拡大に弾みがつくとの期待が広がった。たばこ世界首位の米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)などとの「次世代たばこ競争」の火ぶたが本格的に切られることになる。

 プルーム・テックはたばこ葉を燃やさず、蒸気を使ってたばこの味や香りを味わう製品。火を使用しないため燃焼で発生する煙やにおいを気にせずに吸うことができる。これまでの販売は福岡市とインターネットのみに限っており、入手が困難な状況のためオークションサイトでは高値で取引されている。6月末には銀座や新宿で専門店を出店するほか、都心6区の販売店でも売り出していく方針だ。

■出遅れたJT、巻き返しに動く

 現在、この加熱式たばこではPMIの「iQOS(アイコス)」が一人勝ちの状態となっている。2014年に名古屋市でアイコスを試験販売し、昨年に全国展開した。メディアなどで大きく取り上げられたこともあって知名度が高まり、供給が追いつかず品薄の状態にもなった。たばこ世界3位の英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)も昨年末に「グロー」を投入して加熱式市場に参入。まずは仙台市内で試験販売し、17年中の全国展開を目指している。

 健康志向の高まりなどで紙巻きたばこの市場規模は縮小傾向にあるが、その中でも加熱式など次世代たばこは有望な成長市場だ。実は、日本は世界の中でも加熱式たばこの普及が早い"先進国"だ。路上喫煙の禁止などたばこに対する規制が強化されてきたほか、人口密度が高く、文化的に周囲への配慮が細やかなことから受け入れられる土壌があるとされる。PMIの17年1~3月期のアイコス用のヒートスティックの出荷は前年同期比10倍の44億本で、そのうちアジアが9割を占める。大半が日本とみられ、同社の業績拡大のけん引役となっている。

■1兆8000億円市場との予測も

 英ユーロモニターによると、次世代たばこの世界の市場規模は15年に約80億ドル(約9000億円)と、06年から約80倍に成長した。2020年に160億ドル(約1兆8000億円)に拡大するとの予測もある。たばこ大手各社はまず先進国の日本で販売を伸ばし、世界での成長の足がかりにしようとしている。

 JTはこの分野の取り組みが遅れており、この約2年間の株価は下落基調が続いた。PMIやBATの株価がほぼ右肩上がりで上昇しているのとは対照的だった。それが5月に入ってプルーム・テックへの期待が盛り上がり、JT株もやっと上昇に転じた。24日の株価は前月末比で1割強高い。松井証券の窪田朋一郎氏は「食品・日用品株の中で出遅れが目立っていたため、見直し買いが入りやすかった面もある」と指摘する。

 ただ、JTの巻き返し戦略は始まったばかりだ。野村証券の藤原悟史氏は「プルーム・テックは東京都心でも売り切れ続出が予想され、品薄状態は当面、解消されないだろう」と指摘する。生産能力の制約もあり、PMIなどのシェア拡大に歯止めを掛けられるかは不透明だ。

全コンビニに無人レジ 大手5社、流通業を効率化 ICタグ一斉導入

2017年04月18日 | 企業研究
全コンビニに無人レジ 大手5社、流通業を効率化
ICタグ一斉導入 日経新聞 2017/4/18 1:34

 セブン―イレブン・ジャパンやファミリーマートなど大手コンビニエンスストア5社は消費者が自分で会計するセルフレジを2025年までに国内全店舗に導入する。カゴに入れた商品の情報を一括して読み取るICタグを使い、販売状況をメーカーや物流事業者と共有する。深刻化する人手不足の解消を狙うとともに、流通業界の生産性向上につなげる。


 経済産業省と共同で発表する「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」に、25年までにセブンイレブン、ファミマ、ローソン、ミニストップ、ニューデイズで取り扱う全ての商品(計1000億個)にICタグを貼り付けると明記する。
 コンビニで買い物をする消費者は商品をカゴや袋に入れたまま専用機械を組み込んだ台に置くだけで会計できる。スーパーではバーコードを一つ一つ読み取るセルフレジが広がりつつあるが、日用品を扱う大手がカゴごとに瞬時に会計できる仕組みを全面導入するのは世界でも例がないという。

 コンビニ大手5社が共通のICタグを使うことで納入業者が異なる規格に対応する必要がなくなる。経産省は各社の系列のスーパーやドラッグストアなどに活用が広がることを期待している。

 ICタグは厚さ1ミリメートル以下で、商品の包装に組み込む。RFID(無線自動識別)と呼ばれる技術を使い、商品情報を書き込んだり内容を機械で読み取ったりできる。

 ICタグを読み取るレジは1台100万~200万円の見通しで、全国のコンビニ約5万店に導入すると500億~1000億円の新たな投資が発生する可能性がある。

 経産省はコンビニやIT(情報技術)企業、食品メーカー、物流業者などを集めた協議会を年度内に発足させる。コンビニ各社は18年以降、首都圏など都市部の店舗からセルフレジ化を進める。

 タグには商品が作られた日時や工場、消費期限などの情報も書き込める。遠隔でも閲覧可能で、メーカーは商品の販売状況を即時に把握できる。生産体制を迅速に整えたり、販売計画を立てたりできるようになる。

 メーカーが店頭の需要に合わせた商品を提供することでコンビニから返品される商品も少なくなり、物流業者の負担抑制にもつながる。消費者もインターネットを通じて自宅から産地や消費期限を確認できる。

 大手コンビニ5社がICタグ導入に踏み切るのは、人手不足が一段と深刻化しているためだ。コンビニを含む小売店のアルバイトの有効求人倍率は17年2月時点で2.8倍と高止まりしている。コンビニ5社は店員を全く置かない無人店舗の設置も進める考えだ。

 課題はICタグの生産コストだ。現在は1枚あたり10~20円程度で、数十円の商品も取り扱うコンビニでの導入の壁となっている。経産省は技術開発と量産化に向け、タグを開発する企業への補助金などで普及を促す。

東芝半導体、混戦に 鴻海はソフトバンクやアップルと連携探る 日本経済新聞 朝刊 総合2 (3ページ)

2017年04月15日 | 企業研究
東芝半導体、混戦に
鴻海はソフトバンクやアップルと連携探る
日本経済新聞  2017/4/15 2:30

 東芝の経営再建の鍵を握る半導体メモリー事業の売却交渉が乱戦模様になってきた。売却先候補は当初の10社前後から半分に絞られたが最有力候補はみえない。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が攻勢を強める一方、東芝と生産面で提携する米ウエスタンデジタル(WD)は契約を盾にほかの事業会社への売却を拒否する構え。日本勢の参戦も見込まれ、交渉の行方は混沌としている。


 1次入札は米韓台の同業や投資ファンドなど10社前後が応札した。6月の株主総会までの選定を目指し、4~5社に絞ったもよう。個別交渉と詳細な資産査定(デューデリジェンス)を経て、優先交渉先を決める2次入札は5月中旬に締め切る。2兆円程度で売却して米原発事業の巨額損失を穴埋めする考えだ。

 高値が欲しい東芝の意向を踏まえ、鴻海は1次入札で約3兆円を提示したとみられる。鴻海はメモリー事業買収で部品製造という川上分野への進出を強める狙いがある。

 ただ海外への技術流出を懸念する日本の政府や経済界の意向を東芝は無視できない。事態を打開したい鴻海の郭台銘董事長は14日までに親交があるソフトバンクグループの孫正義社長に、国内金融機関との橋渡しなどの間接支援を要請した。

 シャープを救済するスポンサー選定でも産業革新機構に決まりかけた流れを土壇場で引き寄せた経緯がある。今回も日本側を自らに振り向かせる仕掛けに余念がなく、関係が深い米アップルに連携を打診したもようだ。

 十分な金額とともに欠かせないのが早期の決着だ。2018年3月期での債務超過解消のためには各国の独禁法審査を迅速に終える必要がある。

 この面で支障が少ないとみられているのが通信用半導体に強い米ブロードコム。米投資ファンドのシルバーレイク・パートナーズと組んで2兆円を提示したようだ。韓国SKハイニックスも候補に残るが、フラッシュメモリーで世界シェア5位と独禁法の壁は厚い。

 一方、三重県四日市市の工場を共同運営するWDは9日付で東芝に意見書を送付した。WDは契約上、売却のほか銀行融資の担保にする場合、同意が必要と主張している。技術情報を共有するWDとの合弁を東芝の事情だけで解消できず、売却交渉は複雑さを増す。このほかに1次入札に不参加の日本企業が投資ファンドなどと共同出資する計画も浮上している。


テーマパーク、入場者数で明暗 16年度 USJ、5%増 大規模投資が奏功 TDR、0.6%減 入園料値上げ響く

2017年04月04日 | 企業研究
テーマパーク、入場者数で明暗 16年度
USJ、5%増 大規模投資が奏功 TDR、0.6%減 入園料値上げ響く
日本経済新聞 朝刊 2017/4/4 2:30

 国内二大テーマパークの明暗が分かれた。オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市、TDR)の2016年度入場者数は2年連続で前年割れ。昨年4月の値上げが響いた。一方でユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市、USJ)は過去最高を更新した。大型投資で客足を呼び込んだUSJにひとまず軍配が上がった格好だ。


USJの「ザ・フライング・ダイナソー」
 TDRの昨年度入場者数は前年度比0.6%減の3000万人。16年度上期(4~9月)は台風の影響もあり前年同期比0.3%減と苦戦した。下期(10~3月)には東京ディズニーランド(TDL)で今年の1~3月に開催した「アナと雪の女王」の期間限定イベントなどが好調だったが、0.9%減と回復には至らなかった。


 TDRは16年4月に大人1日券を500円値上げした。だが客数減の一因には悪化が指摘される混雑もあるとみられる。来園者の一部からはアトラクションの待ち時間の長さや混雑に不満の声が聞かれるようになった。繰り返し来園してきた固定客が頻度を落としているとの指摘もある。

 TDRの入場者数は14年がピークだった。人気の高いイベントを相次ぎ打ち出したことに加え訪日客の来園も伸びた。だが「想定を上回る増加ペース」(同社)だったことで混雑緩和の対策が後手に回った。設備拡張投資が追いついていないことに加え、人手不足を背景にスタッフの時給引き上げに踏み切るなど人材確保にも手間がかかるようになっている。

 TDRは巻き返しを図り20年までに約2500億円の大規模投資に乗り出す。アトラクションの刷新だけが目玉ではない。毎年500億円の投資計画のうち300億円は施設改修にまわす計画だ。屋外での暑さ、寒さ対策や温水便座の導入などといったソフト面の充実を図る。

 国内市場は少子化が避けられず、中高年の取り込みは不可欠。混雑を理由に一度は足が遠のいた固定客を呼び戻したい考えだ。

 一方で、USJの入場者数は同約5%増の1460万人で3年連続で過去最高を更新。16年3月に設けた新型ジェットコースター「ザ・フライング・ダイナソー」が人気を呼んだ。14年開業で映画「ハリー・ポッター」を題材としたエリアは訪日外国人など国内外からの集客力を維持している。

 来園者層の拡大につながっているのは、コンセプトである「ハリウッド映画」の垣根を越えた企画だ。少年漫画誌のイベントやアイドルグループ「AKB48グループ」の常設ライブなど、人気のあるコンテンツを前面に打ち出した企画を投入。集客のため大型投資を急いだことが功を奏した。17年度も新しいイベントを相次ぎ設ける予定だ。

 ただ、USJも今年2月に値上げを実施し入場料はTDRよりも高くなった。大型投資で消費者が満足するサービスやコンテンツを提供できるか、成果が問われている。

東日本大震災から6年(上)消えた「低廉」の2文字 見えぬ廃炉費用

2017年02月28日 | 企業研究
原発漂流 東日本大震災から6年(上)消えた「低廉」の2文字 見えぬ廃炉費用
日本経済新聞 朝刊 1面 2017/2/28 2:30

 「3.11」がまた巡ってくる。東日本大震災からまもなく6年。東京電力福島第1原子力発電所事故の傷痕はいまだ深く、国内の原発はほとんどが止まったままだ。東電の経営は綱渡りが続く。漂流する日本の原発はどこに向かうのか。



 白いもやのかかった原発内部の映像がスクリーンに浮かび上がった。

 16日夜、東京・内幸町の東京電力ホールディングス本社。カメラを2台つけたサソリ型ロボットが福島第1原発2号機の内部に入り込み、炉内のようすを映し出した。

 だが、2メートルほど進んで立ち往生する。厚さ数センチの堆積物を乗り越えられず、走行用のベルトが動かなくなった。目標としていた原子炉の真下には近づけなかった。

膨らむ費用試算
 事故から6年たっても、原子炉内の状態はほとんどわかっていない。東電は溶け落ちた核燃料(デブリ)を取り出す方法を今夏に決めるつもりだ。しかし、いまのままでは難しい。どこにどれだけのデブリがあるかすらわからないからだ。

 経済産業省は昨年末、福島第1原発の廃炉や賠償にかかる費用の総額が21兆5千億円にのぼるという試算をまとめた。3年前に示した約11兆円のほぼ2倍だ。

 とても東電1社で負担できる額ではないが「これで終わり」と思っている専門家は少ない。廃炉に向けた作業の入り口にも立たない段階ではじいた数字だからだ。費用が膨らみ続ければ、ツケはいずれ利用者に回る。

 原発を受け入れている地元の首長に宛てて政府が出す再稼働の要請書から最近、2つの文字が消えた。「低廉」だ。

 これまでは原発の電気の安さを訴えるのが慣例だった。ところが、1月に九州電力玄海原発が安全審査に合格した際、佐賀県の山口祥義知事が受け取った要請書にこの決まり文句はなかった。

 「安全対策などの費用を考えれば、原発の電気が安いとはもう声高に言えなくなった」。経産省幹部はこう漏らす。

 福島の事故の前に54基あった日本の原発のうち、いま動いているのは九州電力の川内1、2号機(鹿児島県)など3基にとどまる。世論や地元の反発は根強く、再稼働は遅々として進まない。

 それでも、電気が足りなくなって生活や産業に影響が出るといった混乱は起きていない。電力需要の減少もあり、原発不要論は勢いづいている。

火力依存の弊害
 原発はもういらないのか。目を向けなければならないのは、火力発電に頼りすぎる弊害だ。

 北海道から沖縄まで電力大手10社は4月まで3カ月続けて一斉に電気代を引き上げる。昨年11月の石油輸出国機構(OPEC)による減産合意で原油価格が急上昇し、それにつれて火力発電の主な燃料になる液化天然ガス(LNG)が値上がりしたためだ。

 中東の政情不安や米トランプ政権のエネルギー政策が、原油やLNGの価格にどんな影響を及ぼすかは見通しにくい。地球温暖化を防ぐ観点からも、火力発電に頼り続ける状況は危うい。

 大切なのは太陽光や風力といった再生可能エネルギーを含め、さまざまな電源をどう組み合わせるかという視点だ。

 政府は2015年に30年時点で電気の20~22%を原発で賄うのが最適とした。電力の安定的な確保を考えたとき、原発をなくす選択肢はあり得ない。今年から始めるエネルギー基本計画の改定はそこが出発点になる。


銅の国際価格 6000ドルへ

2017年02月14日 | 企業研究
銅の国際価格 急伸
一時6200ドル ストや鉱石禁輸で供給不安
日本経済新聞 朝刊 2017/2/14 2:30
 銅の国際価格が大幅に上昇している。ストライキや鉱石の輸出停止措置で供給不安が広がっているためだ。国際価格の上昇につれて国内の地金卸値も上昇しており、伸銅品などの製品価格に転嫁される可能性もある。



 指標となるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物価格は日本時間の13日、約1年8カ月ぶりに一時1トン6200ドルに乗せた。6000ドルという節目超えは2016年にもあったが、わずかに2度のみ。今回は10日に6000ドルに乗せて以降、上昇基調を強めている。


 「ストライキが長期化すれば失われる供給量は相当だ」。都内商社の担当者は頭を悩ませる。チリにある世界最大規模のエスコンディーダ銅山では現地時間の9日、ストライキに突入した。銅山の生産量は世界全体の約6%に相当する。

 最近のチリでのストライキは数日間で終わることが多く、市場関係者の間では影響を限定的にみる向きも強かった。しかし鉱山を運営する英資源大手BHPビリトンはその後、出荷が困難になったとする「不可抗力宣言」を発動。ストライキの長期化が現実味を帯びた。

 インドネシアにある世界2位の銅山でも供給不安が浮上している。同国政府は1月12日にこれまで条件付きで認めていた未加工の銅鉱石の輸出を停止。今月に入っても新たな輸出許可が下りておらず、鉱山を運営する資源大手は生産の縮小や人員削減を示唆している。

 銅は電線から自動車まで用途が広く、世界経済の「体調」を示すとして「ドクター・コッパー」の異名を持つ。銅価格は世界経済の回復期待が高まり年初から緩やかに上昇していたが、供給不安という材料が加わり先高観がさらに強まっている。投機筋の資金流入も強まり「今後、6500ドル程度をめざす展開になる」(住友商事グローバルリサーチの本間隆行経済部長)との見方が広がっている。


キリン、資本提携断念 米コカ・コーラと折り合えず 業務提携交渉は継続 飲料連合づくり正念場

2017年02月14日 | 企業研究
キリン、資本提携断念
米コカ・コーラと折り合えず 業務提携交渉は継続 飲料連合づくり正念場
日本経済新聞 朝刊 2017/2/14 2:30

 キリンホールディングス(HD)は13日、コカ・コーラグループと交渉していた清涼飲料事業の資本提携を断念すると発表した。強固な関係構築を目指す米コカ・コーラ本社との条件調整で折り合いが付かなかった。今後は「業務」だけの片翼での交渉となる。不振事業を立て直す切り札と位置付けるコカ・コーラグループとの連合づくりは正念場を迎える。



 「日本で収益の上がる飲料事業をやろうじゃないか」。今回の提携協議の発端は2015年、米コカがキリンに持ちかけた提案だった。国内首位とはいえ、シェアを落としていたコカ・コーラにとって、4位のキリンと組むことは2位のサントリー食品インターナショナルを引き離す原動力になる。キリン側にも「実現すれば百億円単位のコスト削減が期待できる」との期待があった。


 交渉入りした当初、キリンが描いていたのは数%ずつの持ち合い。17年4月、日本ではコカ・コーラ製品の製造・販売を手掛けるコカ・コーライーストジャパンとコカ・コーラウエストが経営統合し、コカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJI)が発足する。CCBJIにキリン、米コカがキリンビバレッジにそれぞれ出資する案だ。

 しかし、キリンとの飲料事業提携で主導権を握ることをもくろんでいた米コカは認めなかった。2月上旬、米アトランタの本社にムーター・ケント最高経営責任者を訪ねたキリンHDの磯崎功典社長。妥協点を探る会談も「資本に対する考え方が違い、仕方なく友好的に別れた」(磯崎氏)。

 13日の決算発表記者会見でも磯崎氏は「我々は最初、業務提携でいいと思っていた。アトランタがどうしても資本にこだわった」と強調。米コカの示した条件がのめなかったことをにおわせた。

 資本に関しては折り合いが付かなかった交渉。業務提携の中身を探り合うこれからの交渉はCCBJIが窓口になる。正念場を迎える協議で磯崎氏が頼りにするのはCCBJIの社長に就く吉松民雄コカ・コーラウエスト社長の存在だ。

 吉松氏はキリンが出資していた近畿コカ・コーラボトリング出身。過去にも面識のある吉松氏に対し、磯崎氏は国内の清涼飲料事業の市場環境や生産現場への理解も共通するとみる。資本の制約がなくなる今後の交渉では米コカに細かく伺いを立てる必要もなくなる。物流や原料調達に加え、生産や販売にも提携内容が広がる可能性はある。

 キリンが念頭に置くのは16年4月に始まったキリンビバとダイドードリンコの提携だ。それぞれの自動販売機で互いの主力商品を扱うという提携の結果、キリンビバでは主力商品「午後の紅茶」の売れ行きが大きく伸びたことで収益改善につながった。

 価格競争という消耗戦が続く国内の清涼飲料市場。キリンがかつて統合を模索したサントリー食品は日本たばこ産業の飲料事業買収などで規模拡大を進める。コカ・コーラとの提携を早期に結実できなければ、キリンが飲料事業を再び成長軌道に乗せることは難しい。

(朝田賢治)


東芝、事業継続に「注記」 決算短信記載へ 巨額損失で不透明感

2017年02月14日 | 企業研究
東芝、事業継続に「注記」
決算短信記載へ 巨額損失で不透明感
日本経済新聞 朝刊 1面 2017/2/14 2:30

 東芝が14日に開示する2016年4~12月期の決算短信に、事業継続のリスクを示す「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記」を初めて記載することが分かった。この注記は業績や財務の悪化で事業の先行きに不透明感が高まった時に投資家に注意を促す意味がある。欠陥エアバッグ問題を起こしたタカタも4~12月期の短信に記載した。(関連記事総合2面に)

 東芝は米原子力事業で6000億~7000億円の損失が発生したもようだ。最終的な損失額を集計したところ4~12月期の連結最終赤字は4000億円台後半に膨らんだとみられ、自己資本がマイナスになる債務超過の可能性も高まっている。半導体メモリー事業の分社と外部資本受け入れといった対策を実施し17年3月末は債務超過の回避を目指すが財務は極めて脆弱になっている。

 事業面でも不透明感が高まっている。半導体と並ぶ収益の柱としてきた原子力で巨額の赤字が発生しリスクの高さが鮮明になった。

 原子力発電所の新設は世界的に需要が減少し、安全対策へのコストも膨らんでいる。今後、原子力事業の見直しを本格的に検討していくが、現時点では投資家に注意を促さざるを得なくなったと判断した。東芝は14日に決算を発表し、米原子力事業で損失が発生した理由などを説明する見通し。


キリン、コカコーラと資本提携に至らず

2017年02月13日 | 企業研究
キリンHDの磯崎社長「ブラジル事業、単独での黒字化に限界」
2017/2/13 18:30 日経新聞

 キリンホールディングスが13日発表した2016年12月期の連結決算は営業利益が前の期比14%増の1418億円だった。飲料事業は緑茶「生茶」などの販売が伸びた。主力の酒類事業も発泡酒や第三のビールの販売が苦戦したが、原材料費を抑えるなどのコスト削減で部門増益を確保した。同日記者会見した磯崎功典社長は撤退を決めたブラジル事業について「単独での黒字化には限界がある」と述べた。主なやりとりは次の通り。

 ――前期の総括と今期の展望は。

 「16年12月期は計画を上回る結果を出せた。飲料事業は『生茶』が好調で、増益だった。酒類事業は『のどごし』ブランドなどが苦戦した。今後の酒税の税制改革などに向け、主力ビール『一番搾り』などブランド力の強化に努める」
 ――黒字化する前の段階でブラジル事業からの撤退を決めた理由は。

 「現在、ブラジルでのビール販売のシェアは10%程度だ。今後黒字化したとしてもそれ以上の収益拡大は厳しいと判断し今回、ブラジル事業を断念した。現時点で撤退を決めたのは、ブラジル事業が回復基調にあり、既にビール事業でブラジル展開しているハイネケン社からオファーをもらったからだ」

 ――ブラジル事業からの撤退で得た教訓は。

 「ホールディングスが主導権を握っていなかったことだ。海外事業は各社に経営を委ねてきたが、新興国などは情勢の変化が激しい」

 ――コカ・コーラグループとの資本業務提携に至らなかった理由は。

 「2月のはじめにアトランタに行き、ケント最高経営責任者(CEO)と会談したが、お互いの折り合いがつかなかった。資本提携ではなくなったが、業務提携では日本において様ざまな協力方法がある。物量や原料の面で積極的に協力していくつもりで、他社の飲料メーカーの参入も歓迎する」

(下村凜太郎)