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耕作放棄地、課税1.8倍 農水・総務省検討、移転促し農地集約

2015年11月11日 | 農業
耕作放棄地、課税1.8倍
農水・総務省検討、移転促し農地集約
2015/11/11 3:30 日経朝刊

 農林水産・総務の両省は農地向けの税制優遇を見直す。耕作放棄地の固定資産税を1.8倍に引き上げ、税負担を重くする検討に入った。税金の安さから放棄地のままで所有する持ち主が多く、やる気のある農家に農地が渡らない現状を改善する。一方で、農地中間管理機構(農地バンク=総合2面きょうのことば)に貸した農地の固定資産税の軽減も検討する。環太平洋経済連携協定(TPP)の発効をにらみ、農地の集約で農業の国際競争力を高める。




 与党の税制調査会に近く提案する。来月まとめる2016年度税制改正大綱に盛り込み、早ければ17年から適用したい考えだ。放棄地への課税強化をきっかけに、農地の集約による競争力強化策を推進する。
 土地は原則として評価額の1.4%の固定資産税が毎年かかる。ただ農地は全国平均の評価額が1平方メートルあたり70円ほどで宅地の約500分の1にとどまる。通常は土地の売買価格を評価額にするが、農地の場合は売買価格から45%差し引いて評価額を算定する特例があることも評価額が安い一因になっている。放棄地も農地と見なされて評価額が低く、固定資産税の負担が軽い。
 農水・総務両省は放棄地の場合、45%を差し引く措置をやめる方向で検討に入った。例えば現在の評価額が5万5000円の放棄地は新制度の導入で10万円に上がる。固定資産税は770円から1.8倍の1400円に増える。両省は持ち主に税金が増えるという負担感を抱かせる心理的な効果を見込んでいる。
 放棄地の課税強化は政府が6月にまとめた成長戦略に検討課題として盛り込んだ。これを受け、農水・総務両省は放棄地専用の新税の創設も検討したが、速やかに実施できる固定資産税の増税を軸に調整する。
 全国の放棄地は滋賀県の面積に匹敵する約40万ヘクタールに上る。すべての放棄地に増税するわけではなく、対象にする放棄地の認定方法などを今後詰める。耕作地への再生が容易な放棄地のみを対象にする案もある。
 放棄地を巡っては固定資産税に限らず、相続税が安いことも塩漬けの一因。このため相続税の課税強化も今後の課題になるとの見方もある。
 農水省は税制以外でも農地の集約を支援する。森山裕農相は10日の衆院予算委員会で「農地の集約化は大事。農地中間管理機構をさらに充実させる」と述べた。
 具体的には農家が農地バンクに農地を貸す際に受け取る賃料(協力金)の増額を検討する。現在は最大70万円を受け取っているが、これを上積みする。農地バンクが初年度に借りた農地は3.1万ヘクタールと年間目標の2割にとどまっており、農地の集約を急ぐ。

クボタ、全国でIT農業 データ駆使、効率生産 15法人で1000ヘクタール展開

2015年08月30日 | 農業
クボタ、全国でIT農業
データ駆使、効率生産 15法人で1000ヘクタール展開
2015/8/30 3:30 日経朝刊

 クボタはIT(情報技術)を駆使した効率的な農業の全国展開を始める。2019年までに各地の農家などと農業生産法人(総合・経済面きょうのことば)を15社設立し、東京ドーム約210個分に相当する1千ヘクタールの農地でコメや野菜を栽培する。コメの作柄を自動測定できるコンバインなどを活用して、生産性を大幅に向上させる手法を確立する。クボタなど高い技術やノウハウを持つ企業の参入は、高齢化などに悩む日本の農業の競争力強化につながりそうだ。




 クボタは農家との競合を懸念し農業参入に慎重だったが、方針転換する。同社の国内の農機関連売上高(約2100億円)は、農家の高齢化で10年前に比べ約1割減った。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉によりコメの輸入が拡大すれば、市場が一段と縮小しかねない。ITを使い利益を出せる経営モデルを示し、農機需要を自ら底上げする必要があると判断した。
 クボタはITを活用した稲作技術に強みを持つ。自社農場には全地球測位システム(GPS)を利用して正確な作業ができるトラクターや、稲刈りと同時にコメの水分やたんぱく量を測定できるコンバインを投入。こうしたデータはクラウドサービスを通じて田んぼごとに管理し、翌年には肥料の散布量を自動調整する田植え機に生かし収穫量アップにつなげる。
 従来の農作業は農家の経験と勘に支えられている。ただ大規模化が進む農業生産法人では数十人単位の従業員を雇っている。農作業の手順を一人ずつスマートフォンに配信することで、作業の間違いや遅れを減らし生産性を引き上げる。
 種付けから収穫までの工程、従業員の活用策など経営全体に踏み込むモデル農場をつくり、農家に手法を示す。平野部や山間部、温暖地や寒冷地など多様な条件で効率の良い経営モデルを探るため、合計で1千ヘクタールの規模を目指す。小売りでは神戸物産が北海道で約1600ヘクタールの農場を運営しているが、メーカーとしては最大級の規模になる。
 新潟県で26日に農業生産法人を立ち上げたほか、東海地方や南九州でも法人設立準備を進めている。来年1月には国家戦略特区に指定されている兵庫県養父市で地元農家と農業生産法人「eファーム養父(仮称)」を設立する。クボタは子会社を通じ25%を出資する。
 09年の農地法改正を受け企業の農業参入が加速。国内ではイオンが19の直営農場で約300ヘクタールを耕すほか、ローソンなどが調達ルートの確保のため参入している。安倍政権も農業改革を成長戦略の柱の一つに掲げており、今後規制緩和が進めばさらに企業の参入が増える可能性がある。

地域農協、問われる自立 改正法成立、JA全中の指導権廃止

2015年08月29日 | 農業
地域農協、問われる自立 改正法成立、JA全中の指導権廃止
農地活用策 課題残る
2015/8/29 3:30 日経朝刊

 政府が成長戦略の一つに位置づける農業改革の柱である改正農協法が28日、成立した。全国農業協同組合中央会(JA全中)の権限を縮小し、地域農協や農家の競争を促す内容だ。農協や農家が新需要を開拓すれば所得を増やせる半面、手をこまぬけば衰退しかねない。日本の農業の競争力を高めるには、今回先送りした企業の農地所有など農地の有効活用策も課題になる。



 改正農協法の柱は、現在は農協組織の頂点としているJA全中や全国農業協同組合連合会(JA全農)の位置づけを「地域農協をサポートする」と変えたことだ。JA全中が地域農協に対して持つ監査・指導権をなくす。
 今後は各農協がJA全中に頼らず自らマーケティングなどを考える必要がある。地域農協の理事の過半数を将来性があると自治体が認めた生産者や、農産品の販売に優れた「農業のプロ」とすることも規定した。
 「農協や農家は売れるものを自ら考える工夫が求められる。大変だが所得増大のチャンスだ」。ミカンの生産や加工販売を手掛ける三ケ日町農業協同組合(浜松市)の後藤善一組合長は改正農協法の成立に改めて身を引き締める。
資材費減に期待
 千葉県のある地域農協の組合長も「直売所での野菜や畜産品の売り上げを伸ばし、若い人たちを取り込んでいきたい」と意気込んでいる。
 これまで一部の地域農協は、農産品の集荷と引き換えに、肥料や資材を農家に購入させていた。制度上は強制力はないものの「購入を渋り続けると集荷してもらえなくなることもある」(四国の農家)ため、やむを得ず量販店より高い値段で買わざるを得ない農家も多い。こうした強制販売は改正で禁止される。コメ生産などを手掛けるドリームファーム(富山県入善町)の鍋嶋太郎代表は「競争原理の導入で価格が下がるのではないか」と期待している。
 農協改革の追い風となったのはJA全中の会長交代だ。農協改革で政権と対立し、事実上の辞任に追い込まれた万歳章・前会長に対し、11日に就任した奥野長衛・新会長は「JA全中がピラミッドの頂点にある組織を変える」と明言している。 政権との距離も万歳時代の対立から融和姿勢に転換。27日に安倍晋三首相と会談した際には、首相からの「ともに改革に汗をかいていきたい」との呼びかけに「いろんな知恵をお貸しいただきたい」と応じた。
改革効果疑問も
 ただ、農協改革への評価は地域農協によって温度差がある。梨北農業協同組合(山梨県韮崎市)の仲沢秀美常務理事は「(政府の説明では)改革で生産者所得の向上につながるという論理が分からない」と話す。
 国内農業の競争力を高めるための改革は農協以外にも課題が多い。
 改正農協法とともに成立した改正農地法では、農地を保有する法人への企業の出資比率の上限を上げた一方、直接の所有は認めなかった。企業が大規模に設備投資すれば生産性の向上が見込めるが、自社保有できないため投資に二の足を踏む企業も多い。
 農林水産省が農地集約を目指して昨年度に始めた「農地中間管理機構(農地バンク)」も、初年度の利用実績は目標の2割程度にとどまった。
 高齢化も深刻だ。現在の農業就業人口は227万人で、うち65歳以上の割合は6割強を占めている。若い担い手の育成や農地の有効活用に向けた取り組みが重要になる。