ChinaImpact 世界の企業、中国で苦戦 構造変化対応できず
GE、インフラ受注減 現代重工業、建機低迷 消費関連は好調
2015/12/28 3:30 日経朝刊トップ記事
中国の景気減速が世界の企業業績に影を落としている。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は中国でインフラの受注が減り、韓国の現代重工業も建設機械やプラントが低迷する。欧州や日本の企業も戦略の見直しを迫られている。一方で米ナイキなど消費関連の企業は好調だ。安定成長に向け第3次産業を育成する中国の経済構造改革が進むなか、業績が二極化する兆しもある。
中国での苦戦は数字に表れている。世界の企業財務データを扱うQUICK・ファクトセットによると、株式時価総額が大きい米企業300社のうち、中国に子会社や関連会社を持つ135社の売上高の合計額は、7~9月に前年同期比6%減少した。4~6月と比べても2%減になる。
インフラ事業や設備投資に関連する企業の厳しさが目立ち、10月以降も苦戦が続く。米キャタピラーは工事や鉱山向け建機が不振で7~9月期の純利益は前年同期に比べ6割減った。「中国の需要は直近10年で最低の水準」といい、従業員1万人を削減する方針だ。同社は2016年も売上高が5%減ると見込む。
GEは中国を含むアジア地域でのインフラ受注額が33億ドル(約4000億円)と6%減った。ボーンスタイン最高財務責任者は「公共事業の受注が落ち込んでいる」と話す。中国では地方政府が財政難に苦しんでおり、公共投資縮小のあおりを受けた。化学大手の米デュポンも太陽光発電用の素材が低迷し中国の売り上げが減少している。
欧州やアジアの企業も中国事業が悪化している。独BASFは中国の景気減速を受け化学品の販売が低迷。台湾のTSMC(台湾積体電路製造)はスマートフォン(スマホ)向けの半導体の需要が減少している。現代重工業は中国での不振が響き、7~9月も営業赤字になった。
日本企業も状況は同じだ。中国と関係の深い企業で構成する「日経中国関連株50」の採用企業は7~9月の純利益が3%減と、4~6月の19%増から悪化した。空気圧機器で世界首位のSMCは、電気製品や自動車産業向けが「総じて売れ行きが悪い」(薄井郁二専務取締役)といい、工場の新設計画を見直す。三菱電機は工場現場で使う機器や昇降機が厳しい。
中国の消費市場で存在感を高める企業の業績は底堅い。米アップルはスマホ「iPhone」の快走が続く。「減速の兆しは見えない」(ティム・クック最高経営責任者=CEO)として、直営店を拡大させる方針だ。スポーツ用品のナイキは9~11月に中国での売り上げが2桁増えた。
中国は豊富な労働力で「世界の工場」に飛躍した局面から、消費・サービスなど第3次産業中心へ「経済構造の移行が進んでいる」(米金融大手シティグループのマイケル・コルバットCEO)。「5~6年は成長鈍化が続く」(第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミスト)との声もある。
GE、インフラ受注減 現代重工業、建機低迷 消費関連は好調
2015/12/28 3:30 日経朝刊トップ記事
中国の景気減速が世界の企業業績に影を落としている。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は中国でインフラの受注が減り、韓国の現代重工業も建設機械やプラントが低迷する。欧州や日本の企業も戦略の見直しを迫られている。一方で米ナイキなど消費関連の企業は好調だ。安定成長に向け第3次産業を育成する中国の経済構造改革が進むなか、業績が二極化する兆しもある。
中国での苦戦は数字に表れている。世界の企業財務データを扱うQUICK・ファクトセットによると、株式時価総額が大きい米企業300社のうち、中国に子会社や関連会社を持つ135社の売上高の合計額は、7~9月に前年同期比6%減少した。4~6月と比べても2%減になる。
インフラ事業や設備投資に関連する企業の厳しさが目立ち、10月以降も苦戦が続く。米キャタピラーは工事や鉱山向け建機が不振で7~9月期の純利益は前年同期に比べ6割減った。「中国の需要は直近10年で最低の水準」といい、従業員1万人を削減する方針だ。同社は2016年も売上高が5%減ると見込む。
GEは中国を含むアジア地域でのインフラ受注額が33億ドル(約4000億円)と6%減った。ボーンスタイン最高財務責任者は「公共事業の受注が落ち込んでいる」と話す。中国では地方政府が財政難に苦しんでおり、公共投資縮小のあおりを受けた。化学大手の米デュポンも太陽光発電用の素材が低迷し中国の売り上げが減少している。
欧州やアジアの企業も中国事業が悪化している。独BASFは中国の景気減速を受け化学品の販売が低迷。台湾のTSMC(台湾積体電路製造)はスマートフォン(スマホ)向けの半導体の需要が減少している。現代重工業は中国での不振が響き、7~9月も営業赤字になった。
日本企業も状況は同じだ。中国と関係の深い企業で構成する「日経中国関連株50」の採用企業は7~9月の純利益が3%減と、4~6月の19%増から悪化した。空気圧機器で世界首位のSMCは、電気製品や自動車産業向けが「総じて売れ行きが悪い」(薄井郁二専務取締役)といい、工場の新設計画を見直す。三菱電機は工場現場で使う機器や昇降機が厳しい。
中国の消費市場で存在感を高める企業の業績は底堅い。米アップルはスマホ「iPhone」の快走が続く。「減速の兆しは見えない」(ティム・クック最高経営責任者=CEO)として、直営店を拡大させる方針だ。スポーツ用品のナイキは9~11月に中国での売り上げが2桁増えた。
中国は豊富な労働力で「世界の工場」に飛躍した局面から、消費・サービスなど第3次産業中心へ「経済構造の移行が進んでいる」(米金融大手シティグループのマイケル・コルバットCEO)。「5~6年は成長鈍化が続く」(第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミスト)との声もある。