先日、日本語レッスンで面白いことを発見した。そしていままで気付かず、深く考えなかった自分が馬鹿だったと反省した。この例文を見て、気付いたのは生徒の方だった。
1) 母がセーターを送ってくれました。
2) 友達が駅まで(私を)送ってくれました。
英西バイリンガルの生徒は(1)の「送る」は 英語の "send"、スペイン語の "enviar" だと理解していたが(2)の「送る」は違うらしいと気が付いて質問した。私もハッとして(2)の意味を考えた。
[人を] 送る:llevar a alguien, acompañar a alguien(スペイン語)
スペイン語では、人を派遣するとか他の土地に社員を赴任させるとかには "enviar" で良いのだが、(2)のようなときには違う動詞を使うわけだ。そして(1)のように物を送るときは "enviar" や、ラテンアメリカでは "mandar" もよく使う。
日本語で説明を試みた。「”連れて行く” によく似ています。たとえば、空港に行きたい人を空港まで連れて行って、その人にバイバイして自分は戻ってくる。幼稚園まで子供を連れて行って、バイバイして置いてくる。」え?置いてくるって、物じゃあるまいし。
私が「面白い」と思ったのは、日本語では「~があります(物)」「~がいます(人)」のように、物のときと人のときでは違う動詞を使うため、多くの英語圏・スペイン語圏の生徒を悩ませているから。「(物を)持って行く」「(人を)連れて行く」も然り。それがこんどは同じ「送る」というひとつの動詞で、「物」も「人」も運んでしまおうというのである。
生徒も、日本では物だけじゃなく人まで配達(delivery)するのか⁈ …と言って驚いた。う~ん。
ところで、最近私は英語アプリを使ってフレーズの練習をしているのだが、昨日はこんな例文がでてきた。
Can I give you a ride?:送りましょうか?
この「give 人 a ride」だと幼稚園まで歩いて子供を送るときには使えない。アメリカで子供を送るときに「歩いて」というのは考えられないが、車じゃなきゃいけないのかな。自転車に乗せるときは使えるのだろうか。でも「無料で乗せてあげる」の意味が強いなら、どっちみち子供を送るときに使うのは変じゃないか。…色々考えるところである。