札幌市の地下鉄のドアにこういう広告がありまして、北海道民は「にやり」とやり過ごせるんですが、これが日本語学習中の留学生を悩ませているようです。撮影してるワタシの亡霊が映り込んでいますが、まずは写真をアップします。
これは北海道米の広告なので「そんなにおいしいとついついお米が 食べらさる:自分の意向ではなくお米が口から胃に送り込まれる様」と言いたいのでしょう。
日本語の難解なフォーム「~される」「~られる」「~させられる」あたりを勉強中の留学生がこの広告を見て頭を抱えていたので、「これは実は北海道弁なんだわ」と説明すると、「そんな紛らわしい活用を方言にしないでほしい」と苦情がきました(笑)。
ブログ内を探したらなんと、ちょうど18年前に北海道弁「さる言葉」について投稿してたんですよね~(感慨深い)。
「~さる」言葉は否定文でよく使う→「~さらない」
使用例:
1)このペン書かさらない。─インク固まってるんでないの?
2)ファックス送らさってない。─切り替え式だべか?
3)シャッター押ささらない。─フイルム巻かさってないんでないかい?
(アナログな例文ですみません)
◆ブログ内ページ [~さる]言葉 2005年4月8日
当時は日本語文法がよくわからなかったので、動詞の活用(変化)という点で解説できませんでした。日本語教師になったいまならできるかな?と思い再挑戦します。
【動詞Ⅰグループ】("i" の音が "a" に変化します)
書きます⇒書か ⇒⇒ 書か+さる
送ります⇒送ら ⇒⇒ 送ら+さる
押します⇒押さ ⇒⇒ 押さ+さる
巻きます⇒巻か ⇒⇒ 巻か+さる
【動詞Ⅱグループ】
食べます ⇒⇒⇒ 食べ+らさる
見ます ⇒⇒⇒ 見+らさる
【動詞Ⅲグループ】
します ⇒⇒⇒ ?
来ます ⇒⇒⇒ 来らさる
だ、だめでした。不規則グループの「します」の活用がわかりません。すべての動詞が「さる言葉」になるわけじゃないらしいんです。「します」の代わりに「やります」を使って「⇒やらさる」にはできると思います。
「さる言葉」を「ます形・食べらさります」で使用するのは稀であり、一般的に(北海道的に)「さる言葉動詞(Ⅰグループ)」となって普通形の活用、つまり「食べらさる/食べらさらない/食べらさった/食べらさらなかった」に変化したものが使われているのではないかと思います。ちなみに「て形」は「食べらさって」でしょうねー。
追記:
18年前の例文を見て気付いたんですが、否定文では「食べらさらない」「食べらさらなかった」のほかに「食べらさってない(て形+ない)」という言い方もけっこう使うようです。
例1:「写真映らさってないよ」(て形+ない)
例2:「メール送らさってなかったよ」(て形+なかった)