ちょっと前の話になるのだけれど、「Yahoo!商品検索」のβ版が公開された。Yahoo!ショッピングやYahoo!カテゴリ登録済みサイトの商品情報を検索結果に表示するというもの。これらは「ユーザーからの要望が多かったサービス」とのことで、Yahoo!はパーソナライズサービスとともに検索の中核に据えていくようだ。が、この記事を読んで、違和感を抱いたのは僕だけだろうか。
エッセンシャル・サーチエンジン: Yahoo!商品検索(beta)をリリース
Yahoo! JAPANに商品検索ベータ版、インターネット上の販売情報を比較
ヤフーの検索サービスはパーソナルサーチに向かう
米googleの四半期における売上が12億6000万ドルで、純利益は3億6920万ドルになったり、Yahoo!japanの売上高が1,177億円を超えたり、広告費でネットがラジオを抜いたりと、「検索広告」を中心にポータルサイト、検索サイトにはこれまでにない追い風が吹いている。
グーグル、第1四半期決算--利益が前年の約6倍に急増
例えばYahoo!JAPANを例にとると、1人あたり2万とか3万とかの獲得コストをかけてまで拡大させたYahoo!BBが売上高構成比14%を確保しているとはいえ、昨年に比べそれほど伸びていないのに対して、ヤフオク(23%)と特に今年はリスティング広告(25%)が前年度の2倍以上の伸びを示している。日本No.1ポータルサイトとして、その集客力という強みを十二分に活かした結果だろう。
そうしたこともあってか、楽天に後塵を拝している「Yahoo!ショッピング」(構成比9%)を強化したいと言う狙いはよく分かるし、企業人としては正しい選択だろう。しかし「検索」という公共性を考えた時、この「Yahoo!商品検索」の検索結果として自社の会員サービス向けの検索結果を表示するというのはどうなのだろうか。
インターネットにおいて「検索サイト」が圧倒的に必要不可欠な存在だと言うことは改めて言う必要はないだろう。まさに井上氏自身も「検索は、ライフエンジンというヤフーのテーマにとって欠かすことのできないキーサービスである」と応えているほどだ。インターネットにおいて「検索サイト」とは、道路における信号機のようなものであり、図書館での書棚に表示されるインデックスのようなものだ。何らかの目的にたどり着くために必要不可欠の存在なのだ。
アメリカのように、Yahoo!とgoogle、一歩送れてMSNが続くというように、複数のサービス提供者が拮抗している状況であればともかくも、日本では圧倒的に「Yahoo!」を最初の検索サイトとして利用している人が多い。アメリカであれば、3社が切磋琢磨することでより社会最適化されたサービスが実現されるのかもしれないが、日本では既に一社独占のような状況であり、それゆえに「検索」という「公共性」の担い方もYahoo!の自助努力次第ということになる。
googleの場合、アルゴリズムによって検索対象となるサイトの評価がつけられているとはいえ、あくまでユーザーオリエンテッドによるものであって、ビジネスモデルにより影響はない。例えばこのサイトドメインはyahoo傘下だから検索結果順位を下げるとか、MSNだから検索対象外にするとかいったことはない。Adwords広告に申し込んだからといって検索順位が上がるわけではなく、スポンサーリンク枠内に表示されるだけだ。
しかしYahoo!の場合どうだろう。既に無料のカテゴリ登録の受付は終了しており、また有料で申し込んだとしても掲載されるとは限らない。もちろん、アダルトサイトや違法ビジネスサイトでもお金を払えば登録されると言うのが正しいと言う気はないが、掲載基準が明記されていず、お金を払いながら登録されないというのはフェアではないだろう。仮に競合サービスだからお金を払っても掲載しない、といったことは許されるべきではない。
また商品検索について言えば、Yahoo!ショッピングの検索結果を表示して欲しいというのは、毎月290円の会員費を払っているユーザーであって、多くのユーザーは(どのサイトというのではなく)インターネット上での商品を検索したいのであり、あるいはより安いサイトやショップを検索しているのであり、サービスなどの比較をしたいのである。検索結果に自社サービスのみを提供するのは、(Yahoo!ショッピング内検索のように)会員制サービス内部で提供すべきであって、より広汎な「公共性」を担うべき部分で提供すべきものではない。この点についてYahoo!は自らの公共性を認識していないのではないだろうか。この信号機はトヨタがスポンサーですのでトヨタ車は優先してお通りいただけます、なんてことはありえないのだから。
そもそも孫正義氏は通信事業としての「公共性」をこれまでも念頭に置いてないところがあり、そうしたものが企業文化としてYahoo!にも引き継がれているのかもしれない。Yahoo!BB立ち上げ時の他人のPCが覗けてしまうといった点や個人情報の取り扱い方など、売上重視・利益重視の結果ないがしろにされたのだろう。
あるいは公共性の求められる「検索事業」と有料で顧客から収入を得るような「会員制サービス」ではそもそも両立することが難しいのかもしれない。両者のシナジーを求めるということは、1つ間違えば「公共性」を放棄することになりかねないのだから。
Googleの優れているところは、こうした境域に対してテクノロジーベースの公共性とビジネスモデルを完全に分離したところにあるのだろう。
エッセンシャル・サーチエンジン: Yahoo!商品検索(beta)をリリース
Yahoo! JAPANに商品検索ベータ版、インターネット上の販売情報を比較
ヤフーの検索サービスはパーソナルサーチに向かう
米googleの四半期における売上が12億6000万ドルで、純利益は3億6920万ドルになったり、Yahoo!japanの売上高が1,177億円を超えたり、広告費でネットがラジオを抜いたりと、「検索広告」を中心にポータルサイト、検索サイトにはこれまでにない追い風が吹いている。
グーグル、第1四半期決算--利益が前年の約6倍に急増
例えばYahoo!JAPANを例にとると、1人あたり2万とか3万とかの獲得コストをかけてまで拡大させたYahoo!BBが売上高構成比14%を確保しているとはいえ、昨年に比べそれほど伸びていないのに対して、ヤフオク(23%)と特に今年はリスティング広告(25%)が前年度の2倍以上の伸びを示している。日本No.1ポータルサイトとして、その集客力という強みを十二分に活かした結果だろう。
そうしたこともあってか、楽天に後塵を拝している「Yahoo!ショッピング」(構成比9%)を強化したいと言う狙いはよく分かるし、企業人としては正しい選択だろう。しかし「検索」という公共性を考えた時、この「Yahoo!商品検索」の検索結果として自社の会員サービス向けの検索結果を表示するというのはどうなのだろうか。
インターネットにおいて「検索サイト」が圧倒的に必要不可欠な存在だと言うことは改めて言う必要はないだろう。まさに井上氏自身も「検索は、ライフエンジンというヤフーのテーマにとって欠かすことのできないキーサービスである」と応えているほどだ。インターネットにおいて「検索サイト」とは、道路における信号機のようなものであり、図書館での書棚に表示されるインデックスのようなものだ。何らかの目的にたどり着くために必要不可欠の存在なのだ。
アメリカのように、Yahoo!とgoogle、一歩送れてMSNが続くというように、複数のサービス提供者が拮抗している状況であればともかくも、日本では圧倒的に「Yahoo!」を最初の検索サイトとして利用している人が多い。アメリカであれば、3社が切磋琢磨することでより社会最適化されたサービスが実現されるのかもしれないが、日本では既に一社独占のような状況であり、それゆえに「検索」という「公共性」の担い方もYahoo!の自助努力次第ということになる。
googleの場合、アルゴリズムによって検索対象となるサイトの評価がつけられているとはいえ、あくまでユーザーオリエンテッドによるものであって、ビジネスモデルにより影響はない。例えばこのサイトドメインはyahoo傘下だから検索結果順位を下げるとか、MSNだから検索対象外にするとかいったことはない。Adwords広告に申し込んだからといって検索順位が上がるわけではなく、スポンサーリンク枠内に表示されるだけだ。
しかしYahoo!の場合どうだろう。既に無料のカテゴリ登録の受付は終了しており、また有料で申し込んだとしても掲載されるとは限らない。もちろん、アダルトサイトや違法ビジネスサイトでもお金を払えば登録されると言うのが正しいと言う気はないが、掲載基準が明記されていず、お金を払いながら登録されないというのはフェアではないだろう。仮に競合サービスだからお金を払っても掲載しない、といったことは許されるべきではない。
また商品検索について言えば、Yahoo!ショッピングの検索結果を表示して欲しいというのは、毎月290円の会員費を払っているユーザーであって、多くのユーザーは(どのサイトというのではなく)インターネット上での商品を検索したいのであり、あるいはより安いサイトやショップを検索しているのであり、サービスなどの比較をしたいのである。検索結果に自社サービスのみを提供するのは、(Yahoo!ショッピング内検索のように)会員制サービス内部で提供すべきであって、より広汎な「公共性」を担うべき部分で提供すべきものではない。この点についてYahoo!は自らの公共性を認識していないのではないだろうか。この信号機はトヨタがスポンサーですのでトヨタ車は優先してお通りいただけます、なんてことはありえないのだから。
そもそも孫正義氏は通信事業としての「公共性」をこれまでも念頭に置いてないところがあり、そうしたものが企業文化としてYahoo!にも引き継がれているのかもしれない。Yahoo!BB立ち上げ時の他人のPCが覗けてしまうといった点や個人情報の取り扱い方など、売上重視・利益重視の結果ないがしろにされたのだろう。
あるいは公共性の求められる「検索事業」と有料で顧客から収入を得るような「会員制サービス」ではそもそも両立することが難しいのかもしれない。両者のシナジーを求めるということは、1つ間違えば「公共性」を放棄することになりかねないのだから。
Googleの優れているところは、こうした境域に対してテクノロジーベースの公共性とビジネスモデルを完全に分離したところにあるのだろう。
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