「シミュラークル」という言葉がある。80年代の「ポストモダン」ブームだった頃に流行った言葉だ。フランスの思想家 ジャン・ボードリヤールが提唱した概念で、高度消費社会において、商品が「使用価値」以上に「記号」としての価値が高くなっていることを示したものだ。つまりこれまでであれば実際に「道」がありそれに基づいて「地図」が作成されてきたが、高度消費社会では先に「地図」ありそれに基づいて「道」が作られる、とした。
この「シミュラークル」という概念は、ちょうどバブルの頃の日本、W浅野が登場し、トレンディドラマなるジャンルが存在した時代の空気を非常に体現していたと思う。実際にはありえないような都会でのライフスタイルがテレビで流され、それに憧れた人々が実際にそんな生活をした/しようとしたのだ。
その頃から、実は日本は世界でもトップクラスの文化的な成熟あるいは戦後的文化・男性中心主義からの解放、高度消費社会の先進国になっていったのではと思う。そしてその極限としてたどり着いたのが「manga」「萌え」「フィギュア」「コスプレ」(あるいは「AKB48」!)なのだろう。
男性的な世界観(「男らしさ」「力強さ」「マッチョ」)やその反対としての女性的な世界観(「女性らしさ」「SEXY」)とも違う、非実用的・非現実的な「かわいらしさ」を追求し、ある面では精神的な成熟を拒否したような精神性――こうしたものが消費社会の慣れの果てに訪れたのだ。
そうした精神性が反映しているのか、あるいはこれが新しい日本の戦い方なのか、中国との問題を通じて興味深い現象があった。
萌えキャラ「ひのもと おにこ」を創作して日中関係を……? - スラッシュドット・ジャパン
「日本鬼子(リーベングイズ)」とは、中国での日本人に対する蔑称。尖閣諸島の問題もあって、中国のネット上で書き込まれたり、10月20日には島根県のHPに中国語で「打倒日本鬼子」と書き込みがあったりもしている。
「蔑称」というからにはこうした書き込みを行う中国人には当然、日本人に対する「軽蔑」「怒り」「ねたみ」「憎悪」といったマイナスの感情をこめているだろう。これに対して中国人への怒りを露わにしたり、蔑称で悪口を書き込むという行為は、(その善悪は別にして)当然起きるだろうし、その気持ちも理解できる。しかし今回日本人が仕掛けた方法というのは、「日本鬼子」を「ひのもと おにこ」として「萌えキャラ」にしてしまうというもの。
ちなみにそのキャラクターはこんな感じ。
![](http://newsplus.jp/~mcqueen/uploader/src/up0614.jpg)
![](http://newsplus.jp/~mcqueen/uploader/src/up0613.jpg)
![](http://newsplus.jp/~mcqueen/uploader/src/up0616.jpg)
![](http://newsplus.jp/~mcqueen/uploader/src/up0612.jpg)
今回の「日本鬼子」の萌えキャラ化は、しかも、結果として出てきたわけではない。「日本鬼子ってキャラを作り、日本鬼子に別の意味、概念を作る事。その新しい概念が定着した人間が反日デモ、反日暴動の画像みたら萌えオタが暴動起こしてるように見えるんじゃないか」という、かなり計画的な行動だ。
外交の基本は「力には力を」だ。しかしこの戦略は相手の「力」をいきなり「無」にしてしまう。「反日デモ」のはずが「萌えキャラの集まり」に変換されてしまうのだとすれば、相手からするとこんなやりにくい相手はいないだろう。実際、その絵柄を見ると、そのままマンガやキャラクターグッズになってもおかしくない。
果してこれは成熟国家・日本の新しい戦略となりうるのであろうか。それともただの精神的「退廃」に過ぎないのだろうか。中国側の反応がきになるところだ。
【日本鬼子】反日デモで叫ばれる「日本鬼子」を萌えキャラ化
この「シミュラークル」という概念は、ちょうどバブルの頃の日本、W浅野が登場し、トレンディドラマなるジャンルが存在した時代の空気を非常に体現していたと思う。実際にはありえないような都会でのライフスタイルがテレビで流され、それに憧れた人々が実際にそんな生活をした/しようとしたのだ。
その頃から、実は日本は世界でもトップクラスの文化的な成熟あるいは戦後的文化・男性中心主義からの解放、高度消費社会の先進国になっていったのではと思う。そしてその極限としてたどり着いたのが「manga」「萌え」「フィギュア」「コスプレ」(あるいは「AKB48」!)なのだろう。
男性的な世界観(「男らしさ」「力強さ」「マッチョ」)やその反対としての女性的な世界観(「女性らしさ」「SEXY」)とも違う、非実用的・非現実的な「かわいらしさ」を追求し、ある面では精神的な成熟を拒否したような精神性――こうしたものが消費社会の慣れの果てに訪れたのだ。
そうした精神性が反映しているのか、あるいはこれが新しい日本の戦い方なのか、中国との問題を通じて興味深い現象があった。
萌えキャラ「ひのもと おにこ」を創作して日中関係を……? - スラッシュドット・ジャパン
「日本鬼子(リーベングイズ)」とは、中国での日本人に対する蔑称。尖閣諸島の問題もあって、中国のネット上で書き込まれたり、10月20日には島根県のHPに中国語で「打倒日本鬼子」と書き込みがあったりもしている。
「蔑称」というからにはこうした書き込みを行う中国人には当然、日本人に対する「軽蔑」「怒り」「ねたみ」「憎悪」といったマイナスの感情をこめているだろう。これに対して中国人への怒りを露わにしたり、蔑称で悪口を書き込むという行為は、(その善悪は別にして)当然起きるだろうし、その気持ちも理解できる。しかし今回日本人が仕掛けた方法というのは、「日本鬼子」を「ひのもと おにこ」として「萌えキャラ」にしてしまうというもの。
ちなみにそのキャラクターはこんな感じ。
![](http://newsplus.jp/~mcqueen/uploader/src/up0614.jpg)
![](http://newsplus.jp/~mcqueen/uploader/src/up0613.jpg)
![](http://newsplus.jp/~mcqueen/uploader/src/up0616.jpg)
![](http://newsplus.jp/~mcqueen/uploader/src/up0612.jpg)
今回の「日本鬼子」の萌えキャラ化は、しかも、結果として出てきたわけではない。「日本鬼子ってキャラを作り、日本鬼子に別の意味、概念を作る事。その新しい概念が定着した人間が反日デモ、反日暴動の画像みたら萌えオタが暴動起こしてるように見えるんじゃないか」という、かなり計画的な行動だ。
外交の基本は「力には力を」だ。しかしこの戦略は相手の「力」をいきなり「無」にしてしまう。「反日デモ」のはずが「萌えキャラの集まり」に変換されてしまうのだとすれば、相手からするとこんなやりにくい相手はいないだろう。実際、その絵柄を見ると、そのままマンガやキャラクターグッズになってもおかしくない。
果してこれは成熟国家・日本の新しい戦略となりうるのであろうか。それともただの精神的「退廃」に過ぎないのだろうか。中国側の反応がきになるところだ。
【日本鬼子】反日デモで叫ばれる「日本鬼子」を萌えキャラ化
この「日本鬼子ちゃん」ですが、オタク日本人の発想力が世の中に対する挑戦でしょうか?
私もこの動きに乗って遊んでいます。
萌えキャラクターが何をもたらすか、興味津々です。