松岡享子さんが書かれた
――子どもの本をめぐって――
というサブタイトルの付いた本の冒頭に、
「もう数年前の事になるが、アメリカのある児童文学評論誌に、次のような一文が掲載されていた。
『子どもたちは、遅かれ早かれ、サンタクロースは本当はだれかを知る。
知ってしまえば、その事は他愛のないこととして片づけられてしまうだろう。
しかし、幼い日に心からサンタクロースの存在を信じることは、その人の中に信じるという能力を養う。
私たちは、サンタクロースその人の重要さの為でなく、サンタクロースが子供の心に働きかけて生み出す能力のゆえに、サンタクロースをもっと大事にしなければならない』というのが、大要であった。」
こんな文章が書かれていて、何か心に響くものがあったのか、読んでから20年以上もたつのに、しばしば思い出す文章だ。
サンタクロースの起源は、はっきり分からないが、シューマンの「子供の為のアルバム」にのっている1曲に「サンタクロースのおじいさん」があるが、決して子供にプレゼントをもってきてくれそうにないような、短調の危機迫るようなちょっと迫力のある曲だ。
昔、テレビか何かで、サンタクロースの起源の様な、ヨーロッパのお祭りを見た事がある。
もともとセント・ニコラウストいう聖人がなまはげの様な、子供にとっては恐ろしいような者たちをひきつれて、
練り歩き、今年一年いい子だったか悪い子だったか、子供たちに問うというようなお祭りだったように記憶している。
決して赤い服を着た、人の良いお爺さんが、トナカイのソリに乗ってやってきた訳ではない。
どちらかと言えば、おもちゃを大量に消費してほしい、商業の広告塔になっている現状かもしれない。
けれど、この本では、そういう事を超えてこの“能力”には、確かキャパシティーという言葉が使われていた。
キャパシティーは、劇場の座席数などを示す時に使われる言葉で、収容能力を意味する。心の中にひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間を作り上げている。
サンタクロースその人は、いつかその子の心の外へ出ていってしまうだろう。
だが、サンタクロースが占めていた心の空間は、その子の中に残る。
この空間がある限り、人は成長に従って、サンタクロースに変わる新しい心の住人を、ここに向かえいる事が出来る。」
そういった文章で始まった、1冊の本だ。
何か大切な、あるいは崇高なものを宿すことのできる、この一つの座席・・・
子どもに信じる能力や、希望を与えるのかもしれない。
早くも12月、クリスマスのある月になった。
1年が、歳と共に早く過ぎてゆく。
しかし、子供たちと過ごすことのできる、この1年1年は、彼らの心と体、あるいは能力の目覚ましい成長を
目の当たりに出来る、貴重な年月なのだと思う。
――子どもの本をめぐって――
というサブタイトルの付いた本の冒頭に、
「もう数年前の事になるが、アメリカのある児童文学評論誌に、次のような一文が掲載されていた。
『子どもたちは、遅かれ早かれ、サンタクロースは本当はだれかを知る。
知ってしまえば、その事は他愛のないこととして片づけられてしまうだろう。
しかし、幼い日に心からサンタクロースの存在を信じることは、その人の中に信じるという能力を養う。
私たちは、サンタクロースその人の重要さの為でなく、サンタクロースが子供の心に働きかけて生み出す能力のゆえに、サンタクロースをもっと大事にしなければならない』というのが、大要であった。」
こんな文章が書かれていて、何か心に響くものがあったのか、読んでから20年以上もたつのに、しばしば思い出す文章だ。
サンタクロースの起源は、はっきり分からないが、シューマンの「子供の為のアルバム」にのっている1曲に「サンタクロースのおじいさん」があるが、決して子供にプレゼントをもってきてくれそうにないような、短調の危機迫るようなちょっと迫力のある曲だ。
昔、テレビか何かで、サンタクロースの起源の様な、ヨーロッパのお祭りを見た事がある。
もともとセント・ニコラウストいう聖人がなまはげの様な、子供にとっては恐ろしいような者たちをひきつれて、
練り歩き、今年一年いい子だったか悪い子だったか、子供たちに問うというようなお祭りだったように記憶している。
決して赤い服を着た、人の良いお爺さんが、トナカイのソリに乗ってやってきた訳ではない。
どちらかと言えば、おもちゃを大量に消費してほしい、商業の広告塔になっている現状かもしれない。
けれど、この本では、そういう事を超えてこの“能力”には、確かキャパシティーという言葉が使われていた。
キャパシティーは、劇場の座席数などを示す時に使われる言葉で、収容能力を意味する。心の中にひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間を作り上げている。
サンタクロースその人は、いつかその子の心の外へ出ていってしまうだろう。
だが、サンタクロースが占めていた心の空間は、その子の中に残る。
この空間がある限り、人は成長に従って、サンタクロースに変わる新しい心の住人を、ここに向かえいる事が出来る。」
そういった文章で始まった、1冊の本だ。
何か大切な、あるいは崇高なものを宿すことのできる、この一つの座席・・・
子どもに信じる能力や、希望を与えるのかもしれない。
早くも12月、クリスマスのある月になった。
1年が、歳と共に早く過ぎてゆく。
しかし、子供たちと過ごすことのできる、この1年1年は、彼らの心と体、あるいは能力の目覚ましい成長を
目の当たりに出来る、貴重な年月なのだと思う。
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