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Y字路がおもしろいのは、どちらを選んでもあまり変わりがないはずなのに、ながくあるきつづけるうちに、確実に違う方向へ向かって離れて行ってしまうことである。
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軽く「じゃあ、また!」とあいさつしたら、それが一生の別れになることもある。
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ただ、Y字路のもう一つの面白さは、たとえば十字路で左右に分かれたはずの友人と、その後それぞれがY字路をなん度も進んでいるうちに、いつの間にか似たようなところにたどり着いたり、思いがけない場所でばったり鉢合わせしたりするところである。
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人生の軌跡を長い目で見れば、ジグザグのように見えて一直線の場合もあり、まっすぐ迷わず進んできたはずなのに大きく湾曲していることもある。
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それでも行きたいと思っていた方向にいつか人生は収束していくのだと、どこかで深く信じていたい。