紅牙のルビーウルフ

　若干２０歳で富士見ファンタジア大賞で準入選
をした淡路帆希先生の「紅牙のルビーウルフ」
（富士見ファンタジア文庫）
　挿絵は椎名優先生。
　
□「覚悟はいいか。―国ひとつ、盗りにかかるぞ
野郎ども！」
　「国盗り物語」の斉藤道三もかくやの少女
ルビーウルフ。
　ＮＯ
　盗るのではありません
　盗り戻すのです。
　悪臣から。
　ルビーウルフは王女様です。
訳あって盗賊と雌狼ヴィアンカに育てられて
いました。
　この作品は貴種流離談であります。
　放浪の尊い血筋の方が様々な体験をして
王になる、または実力で王になる、
という「王の帰還」の物語です。
　指輪物語のアラゴルンのように。

　尊い王族には神器が必要です。
アラゴルンにアンドゥリル
ヤマトタケルに草薙の剣
劉備玄徳も剣を持っていました。
　ルビーウルフも＜導きの剣＞という神具を
持っています。
　神具は全部で四つ、
創世神話では神は四つの国々に
それぞれ四つの神具を託したそうです。
　これだけでも話がどう広がるか楽しみですね。

□リアルファンタジー
　とは何か？呪文一発で山賊の砦を吹き飛ばす
作品もありますが、リアルファンタジーは魔法
はあくまで補助にすぎません。
　ほらガンダルフは肝心な時にいないでしょうｗ
　ルビーウルフでも魔法はせいぜい変装とかに
使われるくらいです。
　
□ルビーウルフとゆかいな仲間たち　
　☆ルビーウルフ
　狼と盗賊に育てられた王女様。
指を食いちぎる、ツバをはきかける
でもジェイドに包帯をまいたりする
とこは少女らしくてカワイイ。
　男らしいｗ
　肝がすわっている
　バオー来訪者みたいに「匂い」で人を判断
できる。
　演技が得意、盗賊時代からつちかった技だから。
　コルセットにきつそうな顔をするのはお約束。
　
　☆ジェイドくん　
　ルビーウルフ１の子分（笑）ただし狼を除く。
師匠に「デコッパチ」と言われ抜け毛恐怖症になる。
　金髪を伸ばしているがルビーウルフに切られる。
　美形で強いはずだが、ややへタレでぱっ、
としない。
　母性本能を刺激するタイプｗ
　本人にはかわいそうですが、不幸になれば
なるほど可愛いタイプ。
　
　☆エリカ
　年齢不詳のジェイドの美人な師匠。
ジェイドにトラウマを植えた張本人。
　ジェイドに老師と言われるのはイヤ。
　魔道の腕はすごい
ちょっとワガママ
人を甘やかすのは嫌い
　謙遜とは無縁、
それでも清々しい人。
　髪は雪のように白く、瞳は菫色。
豊満な胸を強調したドレス、スリット
からは艶めかしい足が除く。
　その美しさは椎名優先生の挿絵で
確認してください。
　
　☆ミレリーナ
　兄と父親が頼りにならないので実質
国をキリモリしているトライアンの王女様。
　神具＜裁きの天秤＞の使い手。
　フットワークが軽そう
外交や政治が得意そう。
夢は世界征服（？）
　緩く波うつ飴色の髪
砂糖でできた菓子細工のようなイヤミ
でない華やかな美貌。
　外見、砂糖細工、中は唐辛子。
　仕草が優雅。
　しつけ、が良さそう。
　
　☆ケーナ、フロスト
　ルビーを育てた雌狼ヴィアンカの子共たち。
心が通じ合うことができる。
オスのフロストはジェイドに嫉妬ｗ

　
　□椎名優先生
椎名先生の絵は美麗で王道ファンタジー
にぴったりです。
　気に入ってるのはエリカ様の「ふ」と息を
吐いたのと、カラー口絵の若草色のドレスを
着たお姫様なミレリーナです。
　椎名先生は赤系や青系の色使いがキレイです。
　炎や闇、場面に応じて色を使い分けてるのは
すごいですが、かわいい美少女、美女だけでなく
ヨロイ、ドラゴン、オヤジまで描けるのは
基本がしっかりできているからだと思います。

アルジェントソーマ その２

アルジェント・ソーマ
◆その２　
　
　
　国連軍がフューネラルを占領している間に
エイリアンは『巡礼ポイント』に到着してしまいます。
　宇宙から飛来した全てのエイリアンは、ある一点
『巡礼ポイント』を目指していました。
　そこにはなにがあるのか？
　意外な事に麦畑が広がるのどかな田園風景でした。
　
　
　たびたびソーマの前に現れては助けて来た
ミスターＸの口から真実が語られます。
　『フランク』や全てのエイリアンの意思は
　ある一人の男の意思でした。
　
　
　ソ連とアメリカのロケット宇宙競争時代
ユーリ･レオノフという宇宙飛行士がいました。
　彼です。
　（ＥＤに写真だけは出ていた人で伏線）
　その時の管制官が友人ミスターＸ。
　
　ユーリ･レオノフは宇宙船ユリシーズ号に
乗りこんだまま行方不明になってしまいます。
　理由は不明ですがユーリの故郷へ、妻のもと
へ帰りたい、という思いがエイリアンという
形を取り『巡礼ポイント』、彼の故郷を
目指しました。
　
　この後フューネラルのザルクと国連軍の
量産機トートとのバトルがあるのですが
文章にしても面白くないのでカット。
　

◆『アルジェント・ソーマ』と『オデッセイ』
　
　
　アルジェント･ソーマはギリシャ神話の
『オデッセイ』が元ネタなのでしょう。
　
　『オデッセイ』の主人公・領主オデッセイは
別名ユリシーズともいいます。
（トロイの木馬でも有名）
　アルジェント･ソーマでユーリ・レオノフ（フランク）
の乗る宇宙船が ユリシーズ号という名前なのは
この『オデッセイ』から引用されているのでしょう。
　
　『オデッセイ』はオデッセイが自分の故郷の妻のもとへ
帰ろうとする話ですが、
（その途中で会うのがナウシカ）、
　途中一つ目の巨人サイクロプスに遭遇しますが
知力を駆使して退けます。
　一つ目の巨人サイクロプスが、フランクのモデル
かもしれません。
　フランクも一つ目の巨人ですから。 　
　
　

　さてもうひとつのオデッセイが存在します。
映画『２００１年宇宙の旅』です。
　ちなみに原題は『スペースオデッセイ』といいます。
　
　火星に向う宇宙船（アルジェント･ソーマと同じ）
に乗ったボーマン船長は故障したコンピューター・
ＨＡＬ９０００に仲間を全員やられますが、
奇策を駆使しＨＡＬ９０００をストップさせます。
　
　この、赤い一つ目のマシン・ＨＡＬ９０００が
一つ目の巨人サイクロプスを表しています
　その後、ボーマンはオーバーロード
（２００１年の原作はクラークなのであえて）
という 超存在により、スター・チャイルドに
進化させられました。
　これはニーチェのツァラトゥストラ、
「神は死んだ、人は更に進化しなくてはならない」
であります。（ゲームのゼノサーガＥＰⅢですね）
　
　言うなれば
『オデッセイア』プラス
『２００１年宇宙の旅（スペースオデッセイ』
＝アルジェント・ソーマ
ではないか？、と思います。 　
　


　『オデッセイ』はオデッセイ（ユリシーズ）が
一つ目の巨人を倒して故郷の妻のもとに帰る話
ですが、
　アルジェント･ソーマはユリシーズ号に乗った、
ユーリ（フランク）が、サイクロプスになって
故郷の 妻の元へ帰ろうとする話だと思います。
　　
　

　アルジェント・ソーマの一番の見どころは、ハティ
でしょうか。最終回では少し胸が
おおきっくなっていましたが、
少し 無防備なところに萌えますｗ
　恋人のスーとの掛け合いもまた♪ほっぺにちゅ、
っとか ごはん食べたりとか。
　純粋で少し知恵送れ、っぽい彼女でしたが、
学者になれるほどの才女だったのです！

　
　もしアルジェント･ソーマを見ることがありましたら
エヴァの続編というだけでなく、もっといろいろな
見方をしてください。

アルジェントソーマ その１

アルジェント・ソーマ
◆その１
　
　
　この「アルジェントソーマ」のシリーズ構成
の山口宏氏は「エヴァンゲリオン」でも
シナリオを書いていました。
　
　私にはこの「アルジェントソーマ」は数々の
謎を残した「エヴァ」への山口宏氏なりの答え
ではないかと思っています。

　
　監督は片山一良氏。ちなみに片山氏は庵野秀明
と一緒にナウシカ　の音声解説をしています。
　　
　
　時は近未来、なぞの生物エイリアンが
巡礼ポイントという、ある一点を目指して
宇宙から来訪していた。
　
　（誰だ使徒とか言うのは？）
　
　

■ようこそモルグへ

　科学者の主人公タクト･カネシロ（保志総一郎）は
恋人のマキ（桑島法子）とモルグという研究所を訪れる。
　そこにはエイリアンの死体のパーツを組み合わせて
作り上げた巨人『フランク』が横たわっていた。
　もっともタクトはマキに、
「こんな怪物の為にオレを避けていたのか？」
と冷たい言葉をはく。
　
　ミスからフランクは暴走、マキは亡くなってしまう。
　自らも重傷を負った彼の前にミスターＸ（竹村拓）
が表れ「メフィストフェレスのような」取引を持ちかける。
　


■「復讐か忘却かキミをどちらを選ぶのかな？」
　
　ミスターＸは竹村氏の好演です。シェイクスピア
を引用し人を食ったようなところもあり、現実の人
か幻かわからない人物でしたが、実は、、、、。

　取引を受けたタクトは名をすてリウ･ソーマと名のる。
偽悪的な性格になり（復讐を行える程非情になれない）
ハカイダーの如く左右非対象の姿になって甦ります。
　あたかもフランケン･シュタインのように。
錬金術のように。
（タイトルのアルジェントは銀、ソーマは肉体、
不老不死の薬という意味）

　
　ミスターＸのはからいで目指す仇
（ソーマ自身がフランクを、そう思っている）
『フランク』のいる、
『対エイリアン戦用組織･フューネラル』へと入隊。
　『ザルク』というメカを駆使してエイリアンを
倒すのですが・・・。
（フランクとも協力して）


「フューネラル」とは「葬式」
「ザルク」は「棺桶（かんおけ）」
という意味です。
　かなり皮肉がこめられていた事が後でわかります。

　
　二話でソーマの亡き恋人マキの面影を残す
少女ハティに（桑島法子）出会います。
　両親はすでに亡く祖父もエイリアンによって
亡くしてしまいます。
　全てを失くしたハティに

「帰る所はフューネラルしかない」

と冷たく言いいはなつソーマですが
結局は非情になりきれない男なので
ハティに手を差し伸べます。

　
　
　ここでみなさんは「エイリアンの正体は？」
と疑問を持っているでしょうが、
まずはフューネラルという組織について説明
したいと思います。
　
　この組織･国際統一連合軍の指揮におかれ
エイリアンを巡り、様々な国の駆け引きや思惑
が入り乱れています。
　隊長はイネスさん（妙ゆり）、なんと女性で
階級は少佐ですが聡い分

「何故女の自分が隊長？しかも階級は
少佐なのに？」

　と、自分たちは何かスケープゴートに
されているのでは？、
と薄々感づいています。
　
　副官はマイケル（中田譲二）で階級は中佐、
そうです隊長よりも階級が上なのですが、
これは「亡くなった部下の為に前線に立ちたい」
という本人の希望です。
　
　
　両親と祖父を亡くし帰るべき場所がフューネラル
しかない過酷な現実を付きつけられたハティ。
　そんな彼女に「家族」のような関係を築いてくれた
のが隊長のイネスであり、友人として接してくれた
のが、メンバーのスー（堀江由衣）でした。
　もう１人、ではありません

　
　主役メカ･ザルクは山根公利氏
（無限のリヴァイアス、カウボーイ･ビバップ）
のデザインですが、エイリアンの死体
を再生したマシンです。
　だからザルク（棺桶･かんおけ）という
名前なのです。
　
　ソーマは自身のザルク五号機が正体不明機に
襲われますが、実は量産型機トートでもちろん
国際統一連合軍の仕業です。
　こんなんでフューネラルと上手くいくわけがなく
最初から利用するつもりなので国連軍は
フューネラルを軍を使い占領します。


　誰だ、映画エヴァみたいという人は？
だから山口宏と片山一良
なりのエヴァの答えと見えるんですよ


　
　フューネラルという組織はソーマ、ハティ、フランク
にとっては新しい家族のような場所でもありました。
　何故か自らの意思があり協力するフランク。
　外見こそフランケンのようですが、祖父の教えから
外見だけで判断せずにハティはフランクを
「妖精くん」と呼びます。


「誰だヴァンドレッドのディータの『宇宙人さん』
という呼び方に似てると思ったのは？
　まぁヴァンドレッドにも山口宏は参加
してますので氏の持ち味ではないかと」

　
　ソーマにとっては巨人フランクは仇であり化け物で
しかないですがハティは恐怖心を抱きません。
　純粋な少女と巨人という組み合わせはまさに
美女と野獣のようです。
　
　「みつばちのささやき」という映画を知っていますか？
宮崎駿、細田守、吉田玲子とジブリ系の人や七月鏡一も
好きな映画ですが、内容は姉妹がフランケンの映画を見て
姉は現実的に「いない」と考え、妹は「いる」、という
反応をします。
　
　この二人の考えの違いがソーマとハティのフランク
への反応の違いに表れている、と思うのは
考えすぎでしょうか？
　でも片山一良監督、ナウシカに参加した人なので
もしや？