
普天間米軍基地の辺野古移設を巡り菅義偉官房長官は沖縄県知事の翁長氏と会談した。
内容の方は4か月にも及ぶ沖縄県知事の会談要請の割には乏しい結果になった。
安倍政権によるスタンスは普天間基地移設は辺野古一択との考えを崩していない。
それに対して沖縄県側は地域住民の反対との声を無視しているとした。
会談の中で菅官房長官が口癖のように使う「粛々と」との言葉が上から目線と指摘されて
菅官房長官は今後は「粛々」を使わないようにすると記者会見で述べた。
そんな訳で政治関係の小ネタとしてこの「粛々」について少し語ってみようとおもう。
先ず意味から
「粛々」・・・静かな様、厳かな様、
こんな感じ。まるで具体性の無い形容動詞となっている。毎度毎度で会談のたびにこのような
明確な答えの出せない答弁が続くようではほとんど会談を拒否しているようにしか思えない。
政治家ならもう少し的確な表現方法があると思う。
普通はお葬式などで「粛々と葬儀は進んだ」などと耳にする場合もある。
政治家が良く使う言葉としても名高い「粛々」ですがこれ以外にも以前は国会では「記憶にございません。」
という何とも一般論では到底通用しないと思われる発言も問題となった。更には「追訴の恐れがあるので・・・」と
する意味不明な発言まで出たことが有る。
実際の使われ方としてはこの「記憶にございません」は忘れた!!って事だろうな。アホ臭いけど。
「追訴の恐れがあるので・・・」はさすがに頻繁には使われるようには成らなかったが余りにも常識はずれな
高慢無知な政治家の態度に国民を呆れかえらせた経緯がある。
正しい言葉でも使い方を間違えた為にその言葉自体が印象を悪くすることもある。
過去にこのブログでネットスラングとして説明した「悪貨は良貨を駆逐する」もその類だといえる。
ではでは改めて「粛々」についてです。
この言葉が政治家が多用するようになったのは、消費税3%が導入される前の竹下内閣時代の元総理大臣である
中曽根康弘氏だと思われる説がある。
消費税導入に反対の意見が多かった巷の意見に対して「国会で粛々と議論されることを望みます。」と
コメントしたことが始まりとする説。この中曽根氏の「粛々」という言葉に対してテレビなどで注目を浴びることもあった。
一体どんな意味なのか、どのような状態の事を指すのか態々テーマにもなった。
その後この「粛々」は体調不良で入院が長引く昭和天皇を気遣い皇室に配慮するために生まれた「自粛」に繋がり
自らの意思で行動を慎むというニュアンスの言葉として今も多くの人々に使われている。
「粛々」は正しい日本語として存在しているが、「自粛」はその当時に生まれた造語である。
日本中での自粛ムードは日産のCMで井上陽水が発する「みなさんお元気ですか?」というセリフが消されるようになり
多くの人がこの自粛を意識するようになった。
日本経済新聞では「粛々」が使われた回数について消費税3%導入時の1990年からカウントが始まっているので
「粛々」使用の発祥は元総理大臣の中曽根康弘氏で間違いないと思われます。
この「粛々」は決して歓迎ムードの中で使われるものでなく、どちらかといえばネガティブ要素が強い。
そして慎重な姿勢のように聞こえるが政治的な使い方として「騒々しい」の対義語としての意味合いが求められるらしい。
それ故、上から目線と相手に印象づけることになる。
「粛々」には幾つかの逸話があり、海部政権時代には英語に翻訳する場合、決して良い意味合いには翻訳することが
困難なために外交上の会談では「粛々」を使わないようにとの指摘もある。
粛々を英訳すると「Quietly」になり、教師などが生徒に対して「静かに!」Be quietと並列的な意味合いがある。
菅官房長官と翁長知事との会談で使用を控えるよになった「粛々」は実は2度目の使用の自粛なのだ。