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寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

猫に鈴をつけるのは誰か…19

2011年06月16日 11時20分16秒 | 日記
部課長が引き上げた会議室でした。司会役の加藤課長はようやく難関の月次会議を終えてほっと一息でした…
ところが一難差って又一難。
みんな出たはずの会議室の片隅に一人残っていました。河田部長です。しかも河田部長は倒れ込んでいましたから加藤課長もびっくりです。
「河田さん!」声をかけますが返事がありません。
しかし息はある様子で何かうわ言を発しています。
「しっかりして!!」
加藤課長も懸命に介抱します。
「…ま…」
「ま?」河田部長はしきりにうわ言で繰り返す「ま…」です。

「おかしいなぁ」加藤は少し落ち着きました。
河田部長は意識こそ朦朧としていますが、命には別状無さそうでしたから…
「はは~ん〓〓」
そうか♪緊張が解けて気絶したんだな(笑)
加藤課長は経験はありませんが、気の弱い人の中でたまにいるのを何かで読んだことが思い出されました。
きっと河田部長も緊張の糸が切れた瞬間に気絶したのでしょう…

「やれやれ…」
こんなことばかりじゃこっちの身が持たないぜ(苦笑)
加藤もその場に座り込んでいました。
「ま…ま…」
又だよ(苦笑)
何が言いたいんだろう…
朦朧としながら河田部長がしきりに口にする「ま…」
一体何を言おうとしているんだろうか!?

「課長〓」
後ろから声がしました。
はっとして振り返ると沢田さんです。
「会議は終わったのですね〓」
「ああ…」
良かった… 沢田さんは笑顔で頷きました。
会議が平和に終わったのを知っている雰囲気でした。
「お陰で何もなく終わりましたよ、ありがとうございました」
加藤課長は心底感服していました。
あの会議の始まる前でした…
沢田さんが放ったあの「まじない」です。

まじないを聞いた加藤課長は前後不覚に陥りました。
ふわふわとまるで空の上でも歩いているような、 初めてお酒を飲んだみたいな気分になりました。そして頭の中をおたべ(京都の銘菓)のお多福がぐるぐる回っていました。意識は混濁してきて麻酔をかけられたように身体が動きません。それなのになぜか愉快な気分であったのです!?こんな体験は初めてでした…
「大丈夫ですか〓」
沢田さんは倒れ込んでいる河田部長の姿を見ても驚いた様子はありません…

「ひ、ひょっとしたら…」
河田部長を見る沢田さんの平然とした横顔…
加藤課長は震えがきました。
「まさか」
加藤課長が何か言おうとしましたが言葉になりません。
この河田部長の伸びた姿と沢田さんの涼しい横顔…

「あわわわわ…」
身体中から汗が吹き出しました。
「どうしました?〓」
加藤課長を見る沢田さんをやさしく微笑み 小首を傾げます…

まるで何も知らない風ですが、加藤課長には確信がありました。

河田部長もきっと沢田さんの仕業に違いない。
広い会議室に2人でいや伸びている河田部長を含めて3人…
さっきの給湯室と同じメンバーでした。
あの時、河田部長はまじないの話をせせら笑いながら出ていきました。
あれで沢田さんの怒りをかったのでしょうか。
加藤課長は出来るだけ穏やかに話しました。
「沢田さん、河田部長もまじないのせいですか…」
「えっ?」
不意を突かれて沢田さんは聞き返しますが、態度はいたっ て冷静でした。
コメント
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