おはようございます^^
”朝顔の疾(と)くゆかしさに起きたれば 我より先に露は居にけり 赤染衛門(平安時代中期の女流歌人)最初の取っ掛かりがこのような高貴な歌でしたから、皆さんもさぞ驚かれたことでしょうか^^
これは昨日のお話の続きです。この歌の題材にもなっていますとおり朝顔って千年以上も前からあったんですねぇ。おそらく食用にもならない朝顔の可憐さや色合いの爽やかさを愛でて楽しんだの
でしょうか…それでこの歌の意味を解説しますと 朝顔が咲くのを早く見たいばかりに早起きをしたが、私より先に朝露が朝顔の花にたまっていた…という如何にも女性らしい歌だそうです^
この朝顔を題材にした俳句でもっとも有名なのが ”朝顔に釣瓶(つるべ)とられてもらい水 加賀の千代女(江戸時代)江戸時代以前は水道はなくて水の補給は井戸からでした。
この釣瓶というのは井戸から水を汲み上げる時に使った木製のバケツみたいなもので井戸の上に雨水が入らないよう屋根がしてあってこの屋根の天井からロープを伝って桶を井戸の底まで
落として汲んでいました。ある朝に水を汲みに来たら井戸端に生えていた朝顔が釣瓶に巻き付いて可憐な花を咲かせていたのでしょう。釣瓶で水を汲み上げるには朝顔のツルは邪魔でしょうけど
取ってしまうのはとても出来そうもない、それじゃぁ近くの別の井戸に行きましょう…とこれは私が解釈しました・・
ここで少し古典の勉強をしましょう。江戸時代の千代女の詠んだ「朝顔」はどんな植物だと思いますか。というのも古典に出てくる「朝顔」はなんと普通名詞であり、朝咲く花ならどれも朝顔と称さ
れた可能性があるからです。そのため「朝顔」という名の植物には大きな変遷があります。古く万葉の時代、「朝顔」は現在の桔梗のことでした。ですから秋の七草の「朝顔の花」は桔梗のこととさ
れています。 その後、外来種の槿(むくげ)が「朝顔」の座を奪います。さらに同じく外来種の牽牛子(けんごし)も「朝顔」と称されています。それが江戸時代になって淘汰され、最終的に牽牛
子の固有名詞として「朝顔」が定着し、今日に至っているのです。ということで、時代的に千代女の「朝顔」は牽牛子(今の朝顔)で良さそうです。ただし江戸時代にかなり品種の改良が行われてい
ますから、サイズや色や形などは原種とは大きく異なっているかもしれませんよ^^ 今朝は 一時期朝顔と称された 木槿をご覧いただきましょう。 これなら見たこと有るよ!と仰るあなた、確
かに朝顔とよく似た花ですね。ですが本体は朝顔よりしっかりした樹木であります。街中でもわりと見かけますから ちょっとキョロキョロ探してみては^^