すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ベルギー戦・分析】日本は「個の力」が決定的に足りない

2017-11-18 10:13:17 | サッカー日本代表
守備戦術はいいが技術に欠ける日本人

 前々回の記事で、「あとは個の力をどこまで上げられるかだ」と書いた。端的な例がFWの浅野だ。彼は「個の力」さえあればベルギー戦で3点取れた。相対的に日本はハリルが育てた「戦術力」はいいが、圧倒的に「個の力」が欠けている。ここが最大の課題だ。ロシアW杯まであとわずか。本大会での成否は「個の力養成ギブス」をどこまでパワーアップできるかにかかっている。

 そこで今回はベルギー戦の前半を題材にし、日本が「個の力不足」を露呈した決定的な場面をモデルケースとしてピックアップしてみよう。(以下、【】内は時間)

随所に見られる「個の力」不足によるミス

【1:20】長澤の中盤での絶妙なダイレクトのポストプレイ(胸トラ)から、右サイドを抜け出したFW浅野が決定的なシュートチャンスを迎える。だが彼はシュートをためらい、左に切り返してチャンスをフイにした。あの狭いコースを決め切る個の力があるかどうかが世界との差だ。世界レベルは、あの切り返した0.1秒の「遅れ」を見逃してくれない。

 浅野はシュートコースがないと判断したのだろうが、まだ前半の立ち上がりだ。あそこは切り返さず、そのまま思い切ってシュートを打っておくべきだった。そうすれば仮に敵プレイヤーにボールが当たっても、あんな高いゾーンでスローインやCK、うまくすればハンドによるPKなどをゲットできるのだ。あそこで「シュートを打たない」というのは最悪の選択である。

【12:00】山口蛍は中盤の底でリスキーな横パスを出してカットされ、カウンターを食らった。アンカーとしてはありえないミスだ。彼はこのゲームで2度、危険な横パスを出している。

【20:00】酒井(宏)が右サイドをドリブルで駆け上がり、敵陣の中ほどで左横へパスした。だがそのボールは長澤と大迫のちょうど真ん中を通り抜け、ミスパスになった。パスの角度とスピードが極めて中途半端で「だれにも通らないパス」だった。これも個の力である。

【20:46】アンカーの山口蛍から、FW大迫へすばらしい長い縦パスが入った。パスコースはドンピシャだったが、なぜか大迫はトラップミスし、ロストした。これもありえないミスだ。

【22:22】自陣ペナルティエリア手前という危険なゾーンで、CB吉田が頭の高さのボールを近くにいた山口蛍に中途半端なヘディングでゆるいパス。後ろから敵にそのボールをかっさらわれ、致命的なピンチに。セーフティ・ファーストが求められるエリアで、ああいうハッキリしない軽いプレイは深刻な危機を招く。あの不安定なCBが不動のレギュラーというのは皮肉だ。

【24:17】山口蛍から前線の浅野にすばらしい縦パスが通るが、後ろから敵にカラダを寄せられた浅野はトラップミスし、ボールを失う。世界レベルでは相手の激しいプレッシャーを受けた状態で「それでも正確にプレイできるか?」が死命を制する。この試合、浅野は自分に入ってくる縦パスに対し、同様のトラップミスを繰り返していた。彼は持ち前のスピードで何度もチャンスを作っていたが、ワンタッチコントロールの精度をもっと上げる必要がある。

【25:24】右サイドの酒井(宏)からゴール前にアーリークロスが入るが、大迫のヘディングシュートはゴールから大きくそれた。あれを決め切る個の力が必要だ。この試合、大迫はコンディションが悪いのか、シュートだけでなく持ち前のポストプレイも冴えなかった。

【30:21】味方DFの後ろからの大きなクリアボールに反応し、浅野がライン裏へ鋭く飛び出し浮き球をダイレクトでシュート。当たり損ねのような中途半端なシュートが相手GKの正面へ飛んだ。浅野はスピードでチャンスを作るところまでは非常にいいが、自分で作った絶対的な局面を決め切れない。彼の大きな課題だ。

【39:42】ゴール前へ飛ぶ右からのフリーキックを吉田が頭で合わせたが、シュートはゴールの上へ外れた。飛んできたボールには充分勢いがあるのだから、吉田はあんなに頭を振り切ってシュートする必要はない。軽くボールの角度を変えて当てるだけでいい。力みすぎだ。

凡ミスをなくし攻撃力アップをめざせ

 どうだろうか? 前半を振り返っただけでも、これだけ単純なミスが随所にあるのだ。これらを直しただけでも充分試合に勝てる。しかもその多くが「個の力」不足に起因するものだ。

 日本はハリルの仕切りで、全体戦術に関してはレベルが上がった。特に守備力の伸びはめざましい。あとは攻撃で違いを見せられるかどうか? そのためにも「個の力」を上げて凡ミスをなくし、決定機を決め切る力を身に付けたい。

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