いつだったか鳩山さんが記者にこう質問されていた。
「これだけ財政が厳しい中、金のかかる今回のマニフェスト実現にこだわるべきだと思うか?」
鳩山さんの答えはこんなふうだった。
「自民党政権時代、選挙公約は選挙が終わるたび反故にされてきた。今回われわれが同じことをやれば、負の連鎖が断ち切れない」(論旨)
いやそれは正論だが、国民は政治家が思っているほどバカじゃない。
国民は、民主党のバラマキ公約に釣られて投票したのではない。「このまま政権交代が起こらなければ日本はダメになる」と思って民主党に入れたのだ。今回は民主党がバラマキを公約した選挙と、国民が政権交代を期待した選挙とがタイミング的にたまたま一致しただけだ。
ウソだと思ったら、「財源がない今の状況下、今回のマニフェストをあなたは実現してほしいと思うか?」と国民投票にかけてみればいい。マニフェストを国民に事業仕分けさせるのだ。その上で、「マニフェストはいったん押入れにしまっておき、今は財政規律を優先させろ」てな結果が出ればだれも文句はいわないだろう。
そうすれば「民主党は公約違反するのか!」などとつまらない揚げ足を取る人間もいなくなるだろうし、なによりいま重視すべき論点が明確になるはずだ。
日本では、国民投票は憲法改正のためだけに存在する。改憲以外の国政上の重要案件について、国民投票が行われるようには法制化されてない。だが今回は非常事態だから特別だ。現に2007年の第166回通常国会では、民主党自身が「憲法改正国民投票」だけでなく「国政問題国民投票」を作るよう、修正案を出していたじゃないか。
自分で作ったマニフェストのせいで自己矛盾を起こし、いまにもフリーズしそうな民主党を見ていると、自分から王手飛車にかかりに行くヘボ将棋を見せられているような気分になる。
このさい鳩山さんがテレビとネットで国民に呼びかけ、「大変申し訳ありません。国民のみなさんを見下していました。われわれ民主党は選挙に勝ちたいあまり、『有権者はエサ(バラマキ公約)で釣れるだろう』と、つい出来心を起こしてしまいました」と素直にあやまるべきだ。
その上で国民投票をやるなら国民は納得し、大局的な見方をするだろう。いやまじめな話、いまの経済情勢と財政事情、それに国民の暮らしはそれくらいやってしかるべき深刻さのはずだ。
あらためて言う。
民主党はマニフェストを国民投票にかけろ。
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「これだけ財政が厳しい中、金のかかる今回のマニフェスト実現にこだわるべきだと思うか?」
鳩山さんの答えはこんなふうだった。
「自民党政権時代、選挙公約は選挙が終わるたび反故にされてきた。今回われわれが同じことをやれば、負の連鎖が断ち切れない」(論旨)
いやそれは正論だが、国民は政治家が思っているほどバカじゃない。
国民は、民主党のバラマキ公約に釣られて投票したのではない。「このまま政権交代が起こらなければ日本はダメになる」と思って民主党に入れたのだ。今回は民主党がバラマキを公約した選挙と、国民が政権交代を期待した選挙とがタイミング的にたまたま一致しただけだ。
ウソだと思ったら、「財源がない今の状況下、今回のマニフェストをあなたは実現してほしいと思うか?」と国民投票にかけてみればいい。マニフェストを国民に事業仕分けさせるのだ。その上で、「マニフェストはいったん押入れにしまっておき、今は財政規律を優先させろ」てな結果が出ればだれも文句はいわないだろう。
そうすれば「民主党は公約違反するのか!」などとつまらない揚げ足を取る人間もいなくなるだろうし、なによりいま重視すべき論点が明確になるはずだ。
日本では、国民投票は憲法改正のためだけに存在する。改憲以外の国政上の重要案件について、国民投票が行われるようには法制化されてない。だが今回は非常事態だから特別だ。現に2007年の第166回通常国会では、民主党自身が「憲法改正国民投票」だけでなく「国政問題国民投票」を作るよう、修正案を出していたじゃないか。
自分で作ったマニフェストのせいで自己矛盾を起こし、いまにもフリーズしそうな民主党を見ていると、自分から王手飛車にかかりに行くヘボ将棋を見せられているような気分になる。
このさい鳩山さんがテレビとネットで国民に呼びかけ、「大変申し訳ありません。国民のみなさんを見下していました。われわれ民主党は選挙に勝ちたいあまり、『有権者はエサ(バラマキ公約)で釣れるだろう』と、つい出来心を起こしてしまいました」と素直にあやまるべきだ。
その上で国民投票をやるなら国民は納得し、大局的な見方をするだろう。いやまじめな話、いまの経済情勢と財政事情、それに国民の暮らしはそれくらいやってしかるべき深刻さのはずだ。
あらためて言う。
民主党はマニフェストを国民投票にかけろ。
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あえて違う点を言うとすれば、「野党時代、与党に対して散々批判し、主張してきたことが、実は夢だったんじゃないかと思わせてしまうほどの変わり身?具合に落胆する声が多く出ている」ことが唯一、ほとんど与党側に居続けていた自民党とは違う視点での矛盾点でしょうか。
自民党政権時代、「いっぺん与党から転落して、外野から政治を見直せばいい」と思ったことはありましたが、民主をはじめとした他の政党の中に「ココと代わればいい」と思える政党が思い当たらず呆然とした経験があります。
それでも、民主党が与党となった瞬間は「これで政治がよくなるとは思えない。それでも、野党時代に散々糾弾し、主張してきたことは実行されるだろう」と考えておりましたが、認識が甘かったようですね^^;