すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【スピン報道】権力側に都合の悪い事案から世間の目を逸らすトラップにご注意

2025-02-04 17:46:23 | 政治経済
フジの女子アナ・上納案件は囮の「エサ」だ

 フジテレビの女子アナ・上納案件に絡み、「これでもか」とばかりに余波が続いている。

 元女子アナ・青木歌音さんなる新キャラが飛び出したかと思えば、今度は笑福亭鶴瓶さんにも報道被害が飛び火するーー。

 こうして次々に新ネタが発射され、大きな世間の話題になって行く。

 かと思えばつい先日、今度はホリエモンと組んだ対談で、あの長谷川豊・元フジTVアナがスキャンダラスな暴露発言をして大きな話題を呼んでいる。

「これを機に、また浮かび上がれるのでは?」

 過去に一度、社会的に「沈んだ」経験のある長谷川氏にとっては、最後の勝負をかけた行動なのかもしれない。

 そのYouTube動画(以下)でひさしぶりに同氏の喋りを聴いたが、実際、彼はとても語りのスキルが高く、まったく技能が錆び付いてない。

 今からでも番組のひとつも仕切らせれば、立派にコンテンツが成立しそうなレベルにあると感じた。

【緊急対談】「フジテレビに上納文化はあります」日枝久が作った“歪な構造”を元フジアナウンサー・長谷川豊が猛烈批判(堀江貴文 ホリエモン)
https://www.youtube.com/watch?v=V7xXAJ7upeQ

「結果的にスピン」になれば目的は達成される

 さて、こんなふうに世間の耳目を集めそうな(特に下卑たネタなど)旬の話題が繰り返されると、どうなるか? 社会の目はその一点に引きつけられる。で、ほかの出来事に対する注意がすっかりおろそかになる。

 こんなふうに権力側にとって都合の悪い事実から、ズル賢く世間の目を逸らす目的で行われるゴシップの撒き散らしは「スピン報道」などと呼ばれる。

 いや、別に「誰かが意図的に狙って目を逸らしているのかどうか?」は(実態的には)問題じゃない。

 結果的にいまの社会が抱える深刻な「本題」がボケさえすれば、「彼ら」の目標は達成される。例えばそんなスピン報道について評論家の荻上チキ氏は、以下のように分析している。

『僕は、「スピンか否か」という政治意図に着目するのではなく、「結果がスピン的になっていないか」という政治効果に着目するのが重要だと思っている。そして、結果的に政治ニュースの優先順位を下げるような報道のあり方を、「結果スピン」と読んでいる』(「桜を見る会」と芸能報道から考える、「結果スピン」の効能/2019年11月19日付・同氏の以下noteより)
https://note.com/ogiuechiki/n/nc37d8eb10b76

 うなずける意見である。

 つまり「悪いのは狙ってスピン報道するメディアだ」という陰謀論的な意味で言ってるわけじゃない。

 メディア自体にその意図があるかないかに関わらず「情報の受け手の側」(=私たち)は、それに踊らされて結果的に重大事から目を逸らされてはマズい、危ないぞ、ということだ。

 要は、メディアから情報を受け取る側の「私たち」が、どう理性的・客観的に自制するか? の問題である。

 繰り返しになるがフジの関係者だった(しかも非常に饒舌で能力のある)あの長谷川・元アナの参戦は特に直近、話題を呼んでおり、このぶんでは二の矢、三の矢で同氏への後追い報道なども今後ありそうだ。

 とすればこのフジ案件でもうこの先、数ヶ月間は社会の「目隠し状態」が続くのではないか?

 そんな気配も漂ってきた。

 非常に危険な状態だ。

「食料供給困難事態対策法」が4月1日に施行される

 そんなわけでこうしている間にも、たとえば農林水産省が管轄する「食料供給困難事態対策法」(今年4月1日施行)がスーッと通った。

 これはもともと昨年5月23日に第213回通常国会でひっそり成立し、6月21日に公布されたものだ。今年4月1日から施行される。

・ご参考「食料供給困難事態対策法について」(農水省)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/horitsu.html

 内容は、異常気象や国際情勢の悪化で米や麦など主要な食糧が足りなくなったとき、その深刻度に応じ政府が生産者などに生産や出荷の調整を要請・指示できるという食糧安全保障を目指したものだ。

 実は以前からこの法律は「台湾有事」を想定していると囁かれており、カンタンにいえば罰金付きで農家に生産調整を半強制するある種、過激な法律になっている。また農家の営業の自由を侵害するのでは? という議論もある。

 そもそも食糧安全保障という意味でいえば、この問題は(もはや政府がまったくやる気のない)日本の食料自給率をどう上げていくか? という死命を制する重大事とも密接に関係している。

 つまりこの法律のように緊急事態になったら「そのとき(場当たり的に)対策する」なんて問題じゃなく、平時から安定的な食料の生産と供給ができる体制を整えておくべきお話なのだ。

 また立場によって、例えば生産者か? 消費者か? でも意見は分かれる。まさに国民的な議論が必要な大テーマだといえる。

国民に向けたパブコメの募集が始まった

 さて、これについて農水省はきょう4日、「食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針案」(以下URL)を公示した。この案について3月5日まで、国民に対しパブリックコメントを募集する。

【食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針案】
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000286633

 パブコメするには、以下のページへアクセスする。

「食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針案」についての意見の募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=550004063

 上記のページからコメントを投稿する際には、まず同ページにある3つのPDFをひと通り開いた上で中身を読む。

 すると次にその下段にある「意見募集要領(提出先を含む)の全部を確認しました」という一行の冒頭にある四角い空欄にチェックマークが付き、さらにその右下の「意見入力へ」のボタンを押すと投稿できる。

 最低限、3つのPDFのうち、いちばん上にある「意見募集要領」さえ開けばラジオボタンにチェックマークが付き、投稿可能だ。だが、できればなるべく3つとも読んでほしい。

 なお、このテーマは「アベマプライム」でも取り上げられ、ひろゆきさんら数人のメンバーによって討論されている。動画は以下から視聴可能だ。

『食料危機の新法「農業の自由奪われる」本当か? 3Kイメージも? 減少する農家』(アベマプライム)
https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p6208?pl=1&resumeTime=803&utm_campaign=times_yahoo_10160974_centertx_ap_free_episode_89-66_s99_p6208&utm_medium=web&utm_source=abematimes

 一方、例えば外務省の関連では、昨年12月25日、来日する中国人富裕層向けに10年間も有効になる観光用の数次ビザが新設されると同時に、団体観光ビザの滞在日数も延長された。

「両国間の経済・文化交流を促進する」といえば聞こえはいいが、中国関連では特に北海道の土地が中国資本にバンバン買い漁られるなど、いまや深刻な社会問題になっている。

 このほか現在いくつもの社会問題になるような重要案件が控えているのだが、長くなるので今回はこのへんにしておこう。また回を改めて深掘りするつもりだ。

 お楽しみに。

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【ライヴ】ソウルフルな前田サラのSaxにぶっ飛ぶ

2025-02-03 17:47:22 | 音楽
前田サラBAND - "Shake Everything You've Got"
✳︎60年代にジェームス・ブラウンのバックバンド(J.B.'s)でファンクの礎を築いたSax奏者、メイシオ・パーカーが放ったヒット曲「Shake Everything You've Got」です。

たまたまYouTubeで観てびっくり

 こないだ偶然ベーシスト・Juna Serita (ジュナ・セリタ/芹田珠奈)さんのバンドで、前田サラさんのサックスを初めて聴いてぶっ飛んでしまった。

 日本人の、しかも女性で、こんなに黒くてホットなサックス奏者がいるなんて……。

 びっくりだ。

 とにかくファンキーでソウルフル、もう熱い熱い。

 平凡な表現だが、日本人離れしている。

 シンガーでいえば、まさにアレサ・フランクリンのサックス版だ。

 ちなみに私がYouTube上であれこれ聴いた範囲では、以下のセッション動画での演奏が(バンド全体に)いちばん重くてテクニカルです。

 おひとつ、どうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=cN4yzeoPsfU

◾️「前田サラ」情報

・Official X(旧Twitter)
https://x.com/sarah_sax729

・YouTube
https://www.youtube.com/@maedasarahofficiallivechan2788

・プロフィール&ディスコグラフィー
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Profile/A025324.html

・アルバム試聴
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A025324.html

◾️ライヴ日程

 2ndアルバム『Flowin’』をリリースしたバンド「Momiji & The Bluestones」でのツアーが、今月スタートするようです。
https://x.com/Sarah_Sax729/status/1883838416850428392

(日程)

2.13 高円寺 JIROKICHI
2.14 所沢 音楽喫茶 MOJO/O.A. フルネルソンズ
2.17 神戸 CHICKEN GEORGE
2.18 京都 磔磔
2.19 大阪S.O.Ra. / O.A. in the peace
2.21 名古屋 TOKUZO
2.22 松阪 MAXA
4.8 川崎 CLUB CITTA' ←Tour Final!!

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森永卓郎さんが亡くなりました。ご冥福をお祈りします。

2025-01-29 00:39:12 | エッセイ
 経済アナリストの森永卓郎さんが、昨日、自宅で亡くなりました。67歳でした。

 森永さんは2023年末にガンが判明されましたが、本当に亡くなる直前までものを書いておられました。尊敬します。

 ご冥福をお祈り致します。

 以下、深田萌絵さんからの鎮魂動画です。悲しいです。
 
森永卓郎先生が天へと召されました。享年67歳(深田萌絵TV)

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【中居事件】 ホテル代30万は誰が払った? フジテレビ社長「記者会見全文」が国民舐めてるワケ

2025-01-18 17:56:31 | メディア論
YouTuberの深田萌絵さんがフジのネタでまたカマしてくれた

 YouTuberでビジネス・アナリストの深田萌絵さんが、あの非公開で行われた実にふざけた糞フジテレビの社長会見を「全文書き起こし」で大暴露し、力強く「ド正論」をカマしてくれた。

 正直、日本にこんな70年代みたいなまるで時代遅れのセクハラ性上納があるなんて、想像もしなかった。本当にビックリだ。

 しかもフジテレビ社長の、このとんでもないトボけぶりはどうだ? 

 本当にふざけている。

 今回は、もう何も言わない。ぜひ黙って以下の彼女の動画を観てほしい。

 誰もが激しく心を動かされる内容だ。

 必見です。

【中居事件】 ホテル代30万は誰が払った? フジテレビ社長記者会見全文が国民舐めてるワケ(深田萌絵TV)

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【石丸新党結成】政策なき「素人集団」に未来はあるか?

2025-01-16 07:33:54 | 政治経済
エゴむき出しの「烏合の衆」のゆくえ

 前安芸高田市長・石丸伸二氏が音頭を取る新党「再生の道」とやらが15日、旗揚げした。

 今夏の都議選に向け、「東京を動かす 地域政党始動」をキャッチフレーズに誕生した地域政党だ。

 さてネット配信で話を聞きまず驚いたのは、のっけから「こういう社会を作りたい」という肝心要の政策がまるでない点だ。

 石丸氏によれば、「募集に当たっては右か? 左か? というイデオロギーがどうこうじゃなく、実務的な能力を重視したい」という。

 いやいや、「政策」というのは別に「右か? 左か?」の話じゃない。

 なぜそういう古くて単純な「イデオロギー対立」の話になるのか?

 政策って、そうじゃないだろう。

 例えば「大きい政府か? 小さい政府か?」とか、「緊縮財政か? 積極財政か?」みたいな具体的な大枠の話だ。

 根本的なところで、とんでもない勘違いしている。

 というか政策とは何か? を、よくわかってない。

 非常に驚いた。

すっかり「既得権益」側に変わった石丸氏の尊大さ

 また会見場に詰めかけたマスコミ各社も指摘していたが、記者会見に入れる「資格」を、「記者クラブ加盟社」および一定以上のアクセスを集める大規模メディア、およびネット媒体等に限定している点もヘンだ。

 つまり典型的な「オールドメディア限定」なのだ。

 なんでも石丸氏は「誰でもOK、では現場が混乱するから」だという。

 だがこれって要は、自分がまだ「小物」だった時代は、やたら突っ張りアウトサイダー気取りだったはずだ。

 それがいざ「取材を受ける側(=大物)」になると、とたんに「記者クラブ」という旧弊な既得権益にすがり、それをやたらありがたがって来場者の基準にしたり、既得権益者の力に頼り切りになることを意味する。

「ああ、底が見えたなぁ」という感じがした。

 彼は自分がまだ駆け出しの頃は既存概念に捉われず、「反権力」的なイメージを売り物にしていたはずだ。

 だが自分がいったん権力を握ればとたんに保守化し、今度は自分が「既得権益」側に回って「甘い汁を吸おう」というだけのお話だ。

 まったく呆れてモノが言えない。

 これぞ「堕落の典型」である。

 居並ぶ記者団に対する喋り方も、いかにも横柄かつ尊大で「いったい何様のつもりなのか?」という感じだった。

 ちょっとは「何か」をやるんじゃないかと思っていたが……まさかこんな早期に、これほどエゴむき出しの「こんなレベル」に成り下がるとは夢にも思わなかった。

 いやはや。

 まったく失望を禁じ得ない。

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【フジの女子アナ上納システム】お前ら、自分たちが「何やってるか」分かってんのか?

2025-01-10 10:32:16 | メディア論
繰り返される「セカンドレイプ」

 今回はフジテレビによる中居正広に対する女子アナ「上納システム」について書こう。

 ただし、これ一回だけだ。

 あの件を書くのは今回が初めてになる。思うところがあり、今まで意識して書かないようにしていた。

 だけどもう、こんなの黙ってられない。

 だから今回は一度だけ書く。

 フジテレビの上層部は「コトの経緯」をぜんぶ知ってて、明らかに責任回避しスルーしてるわけだ。

 だから本件の被害者女性に対し、わざわざ「このことは○○に言ってないからね」なんて上司から言わせてるわけでしょう?

 そんな彼女が本当に気の毒だ。ただしフジに関しては、記事の後半でまた再度、書くことにする。

 まず彼女自身の話が先だ。

精神疾患は(トリガーさえあれば)何度でも再発する

 そもそもご本人は「PTSD」(心的外傷後ストレス障害)を患っている。

 その彼女はもう治ったかのようにおっしゃっているが、コトはそう簡単じゃない。本人自身、事態をよく理解されてない感じだ。

 私は精神医学にも首を突っ込んでいるので及ばずながら言うが……一般に精神疾患は「完治」しにくく、トリガー(きっかけ)さえあれば何度でも再発する。

 時限爆弾みたいなものだ。

 にもかかわらずその被害者女性の実名を(何かの事件の「犯人」でもなんでもないのに)記事やYouTube動画であげつらいバンバン出す、ってあり得なくないか? 

 それって「犯罪行為」に近いとは思わないのか?

 というより今回のケースは、テレビ界の業界構造と非人間的な「女子アナ・上納システム」の問題を暴き、世間に知らせるのが本筋だろう。

 だから中居事案のコトの経緯や誰に責任があるか? また肝心なテレビ業界の構造問題については、積極的に明らかにすべきだ。

 だが各社の報道姿勢を見ると、どうもそっちの方向へ行ってない。ややもすると三面記事的で、被害者は誰か? どんな「下卑たやられ方をしたのか?」的な、あざとい報じ方が圧倒的に目立つ。

 そのほうが売れるからだろう。

 でもちょっと考えて欲しい。

 コトの経緯が念入りに描かれた記事やYouTube動画をご本人が何度も観せられれば、彼女の脳にいったいどんな変化が起きるのか? この点に一定の配慮があって然るべきではないか?

 あの被害女性がこんなメディアの狂騒的な騒ぎの中、万一、度を失い、今回のコトの経緯が報道により改めてアリアリと彼女の脳に刷り込まれたらどうなるか?

 繰り返しになるが、PTSDは再発するのだ。

 いや専門知識がなくても、例えばこの騒ぎに巻き込まれた彼女にもしや「何か」が起こるんじゃないか? 精神がどうにかなってしまうのでは?

 みんな、そんなふうには感じないんだろうか?

「もしかしたら彼女はまたフラッシュバックを起こすのでは?」

 そういう「想像力」は働かないのか?

 PTSDに限らず、精神疾患は当たり前のように何度でも再発する。

 それを客観的に論証するため、Googleで検索したのでみなさんにお見せしよう。検索結果は以下の通りだ。もう結果はハッキリしている。

検索キーワード「PTSDは再発する」で検索した

PTSDは再発する

 上記のリンク先にある「検索画面」の上のほうを見てほしい。

「PTSDは、次のような要因で再発する可能性がある」と明記してある。

 その下に、以下のような記述もある。わかりやすいよう、少し噛み砕いて以下に書く。

 PTSDが再発するのは、「最初の心的外傷的な出来事を思い出させる物事を見聞きしたときだ」

 これなんかは「報道被害」がモロに現れたケースといえるだろう。しかも検索ページのいちばん上に出ているのだ。

 本当に彼女が心配でならない。

 またどんな治療を受けているのか? も気になる。

 おそらく向精神薬を使った薬事療法中心だろうが、それ一辺倒にならず、例えば「認知行動療法」などの心理療法も有効だ。

 果たして彼女は、こうしたことも含めて正確に自覚しているだろうか?

 心配になる。

メディアが「雪崩現象」を起こす心理は理解できるが……

 そもそも今回の事案では、被害者ご本人は「裁判沙汰にすると自分の名前が出てしまうから」もあり、それを控えたというのが当然あるわけだろう?

 にもかかわらず、こんなにバンバン報道で自分の実名が出るのでは、「自分はいったい何のために出るところに出なかったんだ?」と思うはずだ。

 みんな、それを分かってやっているのか? 

 いやもちろん私もそこそこ業界にいる身だから、こうした社会現象の背景にあるメディア業界の心理の動きはよくわかる。

 初めはなかなかウラが取れず、実名が判明しなかった。だがある社が間違いない裏取りをし、それを報じる。

 するとメディア業界では我も我もと先を争い、今回のような「雪崩現象」が起こる。

「あそこがもう実名で書いたんだ。これで実名を出さなきゃ、ウチのネタが腐ってしまうぞ」

 そんな話だろう?

 いや、そういう差し迫った取材現場の空気は理解できる。実際に私だって何度も体験している。

 例えば自分ではウラは取れてない媒体までもが、「みんなどこもあの実名をいっせいに報じてるんだ。これはもうまちがいないだろう」という話になる。

 で、自分たちはウラを取り切れてないが書いてしまう。

 その結果、各社、先を争い畳み掛けるような実名攻勢になるーー。

 そんな社会的な心理は実によくわかるが、さすがに今回のケースでそれをやるのはまずいだろう。

 なんせ彼女はPTSDだから。

 もちろん週刊文春みたいな「ファースト・ペンギン」がいなければ、そもそも事件自体が明るみに出ず闇に葬られた可能性もある。それはまずい。

 だからもちろん報道は必要だ。しかし問題はその報道の内容と手法、切り口だろう。

 例えば企業ぐるみ、業界ぐるみのうす汚い構造問題を暴き、鋭い問題提起をするのが今回のケースではキモになるはずだ。

 にもかかわらず、そんなテーマから外れた報じ方が多いのが気になってしまう。

自分の被害を切々と訴える深田萌絵さんの動画に心打たれた

 話は変わるが実は先日、たまたまいつも観ている深田萌絵さんの以下の「YouTubeチャンネル」で、同傾向のネタを観た。

「深田萌絵TV」【暴露】SMAP中居氏事件と芸能界、大企業、性接待どころの騒ぎじゃない件
https://www.youtube.com/watch?v=s9A77fNxtUs

 それは深田さんご自身の(だが寸前で何度も難を逃れた)実際の「体験談」を語る動画だった。

 ただし深田さんはあの被害女性のケースにはほとんど触れなかった(この点に私は「深い意味」を読み取った)。

 じゃあ、いったいこのタイミングで深田さんがご自身の体験動画を配信する意図はどこにあるのか?

 おそらくこれまで、彼女は実体験を黙して語らなかったのだろう。しかもあえていま、ご自身のあんなイヤな実際の体験を明かすことで、何らか不利益が発生するかもしれない。なのに動画でいま公開したのだ。

 やはり「思うところ」が強くあったのだろう。

問題は「本人の同意があるかどうか?」だ

 そんな深田さんが今回の動画で何度も繰り返し強調していたのは、「そこに本人の同意があるかどうか? が重要なんだ」という点だ。

 例えば逆に自分のカラダを武器に業界でのし上がって行こう、という女性もいる。ならば分かれ目になるのが「本人の同意の有無」だ。

 では今回のフジテレビのケースでは、同意はあったのか? それはあのケースの周辺事情を見れば明らかだろう。

 ポイントはそこにある。

 あくまであからさまにではなく、そんな勘所を指摘していく深田さんの知性が素晴らしかった。訴えたいことがひしひしと伝わってくる実感のこもった動画だ。

(みなさん、ぜひ上のほうに挙げた深田さんのこの動画を観てください。そうすればきっと考えが変わると思います)

 深田さんはあのご自身の動画の中でアリアリと当時の体験を思い出しながら、本当につらそうに涙を滲ませ声を詰まらていた。それでも決然として自分の実体験を語った。

 明らかに(義を見て)彼女は意図的なこのタイミングで、どうしてもあのコンテンツを出さなければならなかったのだ。いまも思い出すと、つられて自分も泣きそうになる。

 で、彼女が実際に複数の業界で「何度も経験した」という、自分の(思い出したくもない)度肝をぬくような体験談を語るのを見て「ああ、女性がこの日本社会でやって行くのは本当に大変なんだな」とつくづく実感した。

 いや、もちろん私は「頭ではわかっていた」つもりだった。実際にいままで何度もこのテの話は聞いてもいた。

 だが実はやっぱり私は、「カラダで」わかってなかったのだ。無意識のうちに何となく「人ごと」になっていたのだろう。

 しかしあの深田さんの実感がこもった本気の涙を見て、「本当に女性は大変なんだ。これは男にはわからない世界だな」と実感した。

 そんな私はといえば、今回の面白半分のメディア・スクラムを見てうんざりし、すっかり沈黙してしまっていた。

 だが深田さんのあの真摯な姿を見て、「ああ、自分も何かやらなきゃ」と感じた。で、やっと遅まきながら、このつまらない記事を書く気になったわけだ。

フジテレビは「免許停止」になるか?

 さて一方、本件の被害者女性の話に戻ろう。

 実際、あれはもう何らか外部の第三者的な調査機関が入り(というか管轄はハッキリ総務省だが)、公共の電波を使っているフジテレビに対し、「お前ら、ちゃんとやることをやらないなら、もう放送免許を取り上げるぞ」とでもやらないとダメだろう。

 いや、もし公式にそれができないなら、内々で「こっそり総務省がフジテレビに連絡を取り耳元でそっと囁く」とか。

 だって彼らは明らかに「会社ぐるみ」なのだ。

 そもそも一部報道によれば、今回、被害者女性はまず最初にフジテレビの女子アナ出身の管理職に相談している。

 だがその管理職は「病院へ行くのではなく、まず会社へ行きましょう。会社には産業医がいるから対応できるよ」と言ったとされる。

 で、被害者はその通りにした。つまりフジ付きの産業医が行なった(問題の行為直後に時間を置かず採取された)肝心の検査データは、いまもフジテレビの手中にあるわけだ。

 とすれば万一、被害者女性が何らか法的手段に訴え出ようとしても、フジがデータの提出を拒むこともできてしまう。

 つまりそもそも件の管理職女性が「病院でなく、まず会社へ行け」と指示したこと自体、フジによる隠蔽工作を意味しているのだ。

 すなわち同社はこの時点から会社ぐるみでやっている。

 ならば当然、公的機関から、何らか社会的制裁があって然るべきだろう。

 総務省がもしそれをできないなら、もうテレビ業界は終わりじゃないか? これではもはや、自浄作用なんて効かないだろう。 

 万一、証拠不十分で今回はフジを免許停止にできないとしても、一回は総務省が割って入るなりして「厳重通告」だか何だか、少なくともイエローカードぐらいは出すべきだろう。

 それとも彼らはお役所仕事だから、そんな「柔軟な対応」はできないのだろうか?

 だが(すでに「そう証言してる人」も業界にいるが)フジテレビどころか、ほかのテレビ局もみんな同じことをやってるわけだ。

 とすれば今回、フジテレビの件で公的機関がいったんコトを荒立ててしまえば、もうテレビ業界はどの局も消滅することになってしまう。

「そして誰もいなくなった」状態になるわけだよね?

 で、それじゃあ困るから「もうみんな、ここはひとつ大人しく黙っていようね」「みんなで仲良く、今日も『横並び』でよろしくやりましょうや」って話なのだ。

 オールドメディアは、いつもこのノリだから実にわかりやすい。

 そんな「横並び体質」はとっくに判明している。今も昔も変わりない。もはや一種の風物詩ですらあるといえる。

テレビはSNSに食われて視聴率が低下、広告が激減し「滅びゆく恐竜」化した

 そもそもテレビ業界は近年、視聴率だってダダ下がりだ。過去にこのブログでも何度か記事にしたが、これはもうはっきりデータで出ている。例えば以下の記事もそれを示している。

【YouTuber・400%増】テレビで視聴されるユーチューバーは「400%以上」も増えた
https://blog.goo.ne.jp/matsuoka_miki/e/61b8cbbc6090d7309a49bc9263ed2688

 こんなふうにテレビはネット(=SNS)にすっかり食われ、今やもう国民は「テレビいらない状態」だ。

 新聞はもちろん、テレビだってもう「滅びゆく恐竜」なのだ。

 もはやみんなテレビなど観ないし、ネットさえあれば用が足りるどころかお釣りがくる時代だ。

 しかもテレビはもともと太平洋戦争の戦勝国であるアメリカが、戦争に負けた日本に戦略的に押し付けた「洗脳用」の道具だった。

 敗戦当時、まだ日本人は軍国主義にすっかり洗脳されていた。そこでアメリカはまず、各家庭に流通させたテレビから流れる大量のCMを日本人の脳に直接、刷り込んだ。

 で、「大量消費」という、まだ日本人が未知の新しい概念のトリコにさせて再度、洗脳しようーー。

 テレビはそんな目的で、アメリカが敗戦国・日本に導入させたツールのひとつにすぎない。そんなものはもういらないよ、というお話だ。

 ご参考『日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」』(新潮社/2006年)

 だが少なくともフジテレビは、今回の対処の仕方はよく考えたほうがいい。

 さて、もうみんなでテレビなんかボイコットしようぜ。

 バイバイ、永遠にさようならテレビさん。

 ではごきげんよう。

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【右傾化の仕掛け人】なぜ日本はそもそも「右」が当たり前になったのか?

2025-01-08 09:42:09 | 政治経済
80年代発のTV番組「朝生」司会者・田原氏のシナリオでそれは始まった

 まず素朴な疑問がある。

 過去、以下の記事に書いた通り、2020年代にグンと台頭した石丸伸二・元安芸高田市長と玉木雄一郎・国民民主党代表、立花孝志・N党党首の3者やその支持者たちは、なぜそもそも揃いも揃って右派なのか?

✳︎ご参考【現代の真相】政治に新風を吹き込むビッグ3「石丸・玉木・立花」はなぜ揃って右なのか?(すちゃらかな日常 松岡美樹)

 実は、上記の記事にはあえて書かなかったが、それにはハッキリ歴史的な由来がある。

 はるか日本の右傾化の源流を辿れば、実は最終的には「あるテレビ番組」に行き着くのだ。

 で、その番組から生まれた新世代右派を(いわゆる「伝統的右翼」と区別して)第一世代とすれば、第二、第三世代とすでにテレビ・ネット世代における右派はその後続々と代替わりを続け、今ではすっかり何世代かが生まれ変わっているのが現状である。

番組で田原氏は「意図的」に右派の論者をしっかり揃えた

 では、その「テレビ番組」とは、いったい何か?

 正体は80年代に、あのジャーナリストで評論家の田原総一朗氏が仕掛けた討論番組「朝まで生テレビ!」(1987年4月放送開始)である。

 現在では同番組は「BS朝日」に引っ越しているが、当時は放送開始からずっと地上波の「テレビ朝日」で金曜・翌日未明までの深夜帯に放送されていた。

 田原氏はあの番組で左派の言論人と対抗させる形で、抜け目なくしっかり右派の論客を揃えていた。

 例えば当時、メインパネリストとしてレギュラーだった評論家・保守思想家の西部邁氏(元・東大教授)と映画監督・大島渚氏という両雄を左右に従えた。

 そのほか、東大教授(当時)の舛添要一氏や故・西尾幹二氏(元・電気通信大学名誉教授/元・新しい歴史教科書をつくる会会長)、また「右」の革新者である故・鈴木邦男氏(民族主義団体「一水会」創設者)、大物の故・野村秋介氏(新右翼、民族派活動家。のち朝日新聞に乗り込み1993年に拳銃自死)、ら、それまでテレビなどの一般マスコミには絶対に呼ばれなかった、右派の大物言論人らを積極的に招いた。

 そんな彼らが発火点となり、かくて日本で初めて「右傾化の波」を巻き起こしたわけである。

巧妙な演出で左派の「穴」を突かせた司会者・田原氏

 旧来のマスコミによる紙面づくりや番組制作では、主に左派の有名言論人や知識人だけを揃えるのが常だった。

 だがあの朝ナマの(左派だけでなく)右寄りの論者をスキなく配置した常連出演者の陣容を見れば、司会者である田原氏の狙いと仕掛けはハナから明らかだった。

 おそらく「すっかり左に偏った今の世の中に、一発、オレが風穴を開けてやろう」という狙いだったのだろう。

 そんなわけで番組の基本的な演出は、こんなふうだった。

 まず「左」の論者にいかにも「正論」に聞こえる(実は建前的な)持論(つまりこれが当時のすっかり左に偏ったスタンダードな「世論」になっている)を語らせる。

 で、次に「右」の論者に、その矛盾を突く知的で巧妙なツッコミを入れさせるのだ。

 つまり左の論者の論理に潜む根本的な矛盾点(これがイコール、当時の日本社会が抱える「根本的な論理矛盾」だった)を突かせて叩かせるーー。

 そんな番組進行だった。

 とすれば初めてテレビでこうした「右派」の論理を聞く視聴者は、「あれ? 自分は今までてっきり(左の論者が番組で語る論理が正しい)と思っていたが……まちがいだったのか?」と自然に気づくーー。

 こんなうまい仕掛けだ。

(まあ、あとから考えれば、実はこれも一種の「洗脳」ではあるのだが)

 つまりすっかり左に傾いた世論のバランスを取り、今度は逆に右へ寄せようとする司会者・田原氏が描いたシナリオだったのだ。

舛添要一氏の左派に対するトボけたツッコミは絶妙だった

 ともあれこのやり方で番組は見事に大成功し、ウケまくった。

 まず珍しくテレビでこんな寸劇を観た右派の人たちは、「そうそう、オレが言いたかったのはそれなんだよ!」と賛同する。

 一方、「なんとなく左派」だった人たちは、「あれ? 自分が今までもっていた(左派的な)考えは、実はまちがっていたのか?」と自分に疑問を持つようになる。

 そんな仕掛けで、番組は当時の左派が支配する「致命的な陥穽に落ちた日本社会の基本的な矛盾点」を次々に暴き出した。

 特にそんな欺瞞的な左翼論者が持つ「穴」の突き方が、バツグンにうまかったのが舛添要一氏だった。

 彼は敵の手の内を(実は)完全にわかっていながら、最初はわざとトボけて相手の左傾化した話を「うんうん」と聞きながらエンエンしゃべらせる。

 で、次にやおら、こう切り出すのだ。

「あれ? でもあなたのその論理って、実はこうおかしいんじゃないですか? それって矛盾してますよね?」

 こんな具合いで、見事に敵の首を取って見せるわけだ。

 彼のこのやり口は、実に巧妙でおもしろかった。番組では、このやり取りがウケまくった。

 かくてこの手法で番組に出る「左の論者」は、揃って片っ端から論破されて行った。

 そんな田原氏による狙い通りの「右方向への修正作用」(世論誘導策)がやがては番組のワクを飛び出し、まるでさざ波のように世の中一帯へと浸透して行った。

 当時、「朝ナマ文化人」などというネーミングができたほど、この番組での右派の論陣は冴えていた。

 で、やがてはそれがだんだん社会のデファクト・スタンダードになって行くことになる。

 その後、日本は90年代以降にかけてさらに右ぶれし、やがて社会の隅々にまで右傾化が浸透した。それが今や、「右であることが当たり前」の世の中になった背景だ。

知的刺激でいっぱいだった「朝生」の議論

 80年代当時、あの「朝生」が発信した議論は新鮮でまったく見たことがなく、かつ知的刺激でいっぱいだった。

 特に常連だったあの西部氏が次々に繰り出す聞いたこともないような「ひねりのある知的な問題提起のしかた」には、口をあんぐりさせられたものだ。

 当時、まだ戦後の日本が左翼運動の思想や論理に占拠されていた状態のなか、各家庭では判で押したようにみんなが「朝日新聞」を購読し、揃って左の人権意識に染まっていた。

 それがあの「朝生」を初めて観て、後頭部をガツンと一発やられることになったわけだ。

「世の中にはこんな思想があったのか!」と。

 実際、そんな「ニューワールド」は、実にエキサイティングだった。

最後にトドメを刺したのは橋下徹・大阪市長(当時)だった

 一方、こうした右傾化の波が社会全体を覆うにつれ、90年代以降の左派はすっかり退潮して行った。

 特に「右」のニュースターとして、日の出の勢いで期待を一身に背負い維新から台頭した橋下徹・大阪市長(当時)が、2012年に勃発した「左の巨頭・朝日グループとの骨肉の戦い」に完全勝利を収めたのが大きかった。

 そして最後には朝日側から謝罪を引き出す。あれで朝日に代表される「左の権威や文化」がガタ落ちし、右の完勝がすっかり確定した。

 以後、今に至るも左の勢力は、もはや見る影もないのはご存知の通りだ。

 果たして今後また時代がもう一回転し、「左の世界」が来ることはあり得るのだろうか?

 個人的には唯一、そんな新しい潮流を「もはや左右の争いではなく、上流階級(既得権益層・支配者階級) vs 下層階級(一般庶民・被支配者階級)の戦い」へと昇華させようとしている、れいわ新選組の山本太郎代表には注目しているが……さてどうなるだろうか?

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【れいわの政権交代】れいわ新選組が「Z世代」を取り込み政権交代するには?

2025-01-05 11:59:33 | 政治経済
れいわ新選組は衆院選で国民民主に入れた「新規の客」を取れたはずだ

 先日の衆議院選挙で大躍進しキャスティングボートを握った国民民主党は、新規のお客さんをごっそり取った。

 だが本当なら国民民主に今回、新しく投票した非正規雇用者や派遣社員などワーキングプア層の経済的欲求を満たすのは、大胆な積極財政政策を掲げる「れいわ新選組」だったはずだ。

 おそらく本来なられいわの山本太郎代表は彼らの支持を得て、今の国民民主の地位を取りたかっただろう。だから今回の選挙に勝ったとはいえ、太郎氏は悔しそうだった。

 ではなぜれいわはそれを成し遂げられず、国民民主に次ぐ2番手になり下がったのか?

 まず大前提としていえるのは、現状、いきなり政権交代は起きにくい情勢にあるということだ。とすればこの状況で野党が自分たちの政策を実現するには、うまく与党と交渉しなければならない。

 その点、国民民主の玉木代表は「我々は与党の延命に協力しますよ」というスタンスを取った。

 つまり野党でも与党でもない、いわゆる「ゆ党」のそぶりをしながら自民側とうまく立ち回り交渉した。これが大きかった。

 このやり方なら、何も自分たちが政権交代しなくても自党の政策を実現できるからだ。つまり国民民主はこのテでキャスティングボートを握った。

 確かにこれで有権者には、いかにも国民民主の政策が通りそうに見える。一方、国民民主党は「与党に賛成する代わりに、与党は我々の政策を飲んでくださいね」と言えるわけだ。

 この点では自公政権に反発し、ひたすら声を荒げて突っ張りまくるれいわ・山本代表とは好対照だ。ここはアタマがよくて(悪く言えば)ズル賢い玉木代表はうまくやったといえる。

れいわ新選組は「左」に見えるぶん損だ

 第二に大きいのは、れいわの政治的なスタンス、つまり見た目がいかにも「人権を重視する左派の典型」に見える点だ。

 一方、衆院選で国民民主党へ大量に雪崩れ込んだ有権者層は、1997年度から2012年度に生まれた18歳以上〜30代の若い「Z世代」である。

 彼らは生まれたときから、ほぼ世の中に「右派しかなかった世代」だ。だから彼らも自然に右派になった。その意味で生まれついての、意識せざる生粋の右派だといえる。

 そんな彼らのなかには衆院選で国民民主党の「手取りを増やす」のキャッチフレーズを見て、今回まったく初めて選挙へ行った人も多い。

 つまりZ世代は今まで政治になんて興味なかったのだ。だから彼らの多くは、これまで選挙を棄権していた。

 だがその彼らが選挙に関心を持つようになったのは、実は先日の都知事選挙で石丸伸二候補が新旋風を巻き起こしたからだ。あのときに石丸氏を支持したのも、同じくZ世代だった。

 で、そんな彼らは今回の衆院選でも選挙に参加し、今度は国民民主党に入れた。

 とすれば彼らは投票する新規の有権者を増やし、「新たな有権者層」を掘り起こす役目を担ったことになる。

 今後も「投票で世の中を変えること」を知った彼らは選挙へ行き、有権者のパイは広がり続けるだろう。

 これは大きい。

 ではなぜ衆院選では、彼らが選挙に参加したぶん(都知事選の時のように)全体の投票率が上がらなかったのか?

 それはこれまで必ず選挙へ行っていた自民党の支持層の一部が、今回、自民が引き起こしたウラ金問題にウンザリし選挙を棄権したのではないか? だからそのぶん差し引きゼロになり、投票率が上がらなかった。

 あるいはこうして愛想をつかした自民支持層が、一部、国民民主の支持に回ったのかもしれない。で、差し引きすれば投票率がそう変わらなかった可能性もある。どちらの説も、差し引きすれば数字はだいたい合うはずだ。

Z世代が固着していた票のバランスを破壊する

 さて(繰り返しになるが)Z世代の多くはいままで投票を棄権してきた人々だ。ゆえに今後の来るべき政界再編や、その先にある政権交代を起こすに当たり、重要な役目を担う層になる。

 というのも今までの選挙では、自民・公明がおおむね組織票で(投票された票のうち)過半数の票を取ってしまい、これだけで自動的に政権を握り続けていたからだ。

 で、残りの投票分はといえば、野党がそれぞれ小刻みに四分五裂、分け合うだけ。これらの票は大勢にまったく影響しない。一方、あとに残る大半の有権者たちは、今まで選挙にまったく行かなかった。

 すべて棄権者だ。

 かくて票の配分はこれで完全に固着してしまい、自公政権が意味もなくすっかり定着していた。つまりZ世代が、今までずっと選挙を棄権し続けていたのが大きかったわけだ。

 すなわち裏を返せばカギを握っているのは、やはり彼らZ世代だということになる。

 彼らが動けば、政治は変わる。それが今回、実証されたといえる。

先日の都知事選で初めてZ世代が選挙に参加した

 実はこうして長く続いた票のバランスを初めて壊したのが、先日、行われた都知事選に出た石丸伸二候補だった。

 彼はSNSを使った巧みなネット戦術で若者に訴え、インターネットを使い慣れたZ世代を動かした。彼らを選挙に初めて誘導し、その票を獲得した。

 かくて選挙へ行かなかったZ世代の多くの票が、まったく新たに選挙マーケットに加わることになった。この現象がもし今後も続けば、日本の選挙における票の配分バランスは大きく変わるはずだ。

 こうして日本は新しい時代を迎え、今後は自公以外の第三勢力にも広く政権奪取の可能性が生まれるだろう。

 今まで棄権していた彼らが新しく政治に参加してくれば、従来の完全に固定化していた各党間の得票バランスがまるっきり変わる。これで将来的には、政権交代が起こる可能性も必ず高まるはずだ。

Z世代が生まれた時にはすでに右派しかなかった

 ちなみに彼らZ世代が生まれた時には、すでに政治的な「左右の対立」なんてとっくに終わっていた。

 そのとき世の中には、もうほぼ右派しか存在してなかったからだ。だから彼らZ世代が右派になるのは、水が上から下に流れるように自然だった。

 だってそこには、すでに右派しかいないのだから。

(では、なぜそもそもこんな決定的な「右傾化現象」が起きたのか? については、この記事で分析した通りだ。ご参考まで)

 そんなわけでZ世代は自分たちが右派であることにさえ、さほど自覚的じゃない。それだけ自身が右派であることが、ごく自然で当たり前の時代に生まれたわけだ。

 だからなんとなく雰囲気が「左派っぽい」れいわ新選組とマッチしにくい。ここが致命的なマイナスポイントになっている。

 山本代表率いるれいわ新選組は、今後、このギャップをどう解消するか? それが大きなカギになるだろう。

実はれいわは「左右対立」でなく「上下の戦い」をにらんでいる

 だが実はれいわの山本代表は広い目で見れば、今後の政治は「左右の対立」ではなく「上下の戦い」だ、つまり「上流階級 vs 下層階級」の闘争になると読んでいる。

 彼は左右の別にはこだわらない。

 そんな山本代表が考える上下対立の構図とは、「既得権益層」と「持たざる者たち」という対立軸だ。同時にそれは「抑圧者(支配者層) vs  非抑圧者(被支配層)」の対決でもある。

 すなわちこの記事でも解説した上流と下流、つまり「1% vs 99%」のせめぎ合いだ。

山本代表がやりたいのは「積極財政」である

 そんなれいわの山本代表が政権を取った場合、まずやりたいのは積極財政だ。

 具体的には、経済的弱者である下層階級を助けるために消費税の減税(または消費税の廃止)や「10万円の現金給付」などの経済政策を訴えている。

 こう言うとすぐ「じゃあその財源は?」というツッコミが入るが、ちょっと説明を聞いてほしい。基本的な経済原理の話だ。

 まず政府の大きな財政政策のひとつは、市場にあるマネーの量を調節することだ。

 なぜなら唯一、国だけが国債を発行でき、(実態的には)「お金を新たに作ることができる」からである。

 例えば「ユーロ」という共通通貨を使う欧州連合諸国(EU)などとちがい、日本には「円」という日本固有の独自通貨がある。

 一方、日本の国債は円建てだ。だから国債は必ず償還される。デフォルトするなんてあり得ない。したがって日本は経済破綻しない。

 ゆえに市場でお金が欠乏しているときには(今の日本は「この状態」にある)、その際は政府が大胆に財政支出して市場にマネーをマンマンと満たす必要がある。

 具体的には、政府が前述した消費税減税や現金給付をするほか、公共事業をやったり、必要な失業者対策や企業支援などを行なう。

 一方、逆に市場にお金があふれている(多すぎる)ときは、政府が消費増税などを行ない、熱した市場からおカネを間引いて市場の熱を冷ます。おカネを減らす。

 こうした「押し引き」する調整こそが正しい景気対策であり、正しい経済政策である。

 日本の財務省がいうように、予算の支出と収入を一会計年度内で一致させるべきだ、とする財政均衡主義なんて、はるか19世紀の遺物にすぎない。

 どんなときにも「緊縮財政」一辺倒だなんて、もはや常識はずれな話である。

真の「積極財政」を唱えているのはれいわ新選組だけだ

 だがそれならなおのこと、れいわ新選組の左っぽく見える見た目は改善の余地がある。

 これではれいわは誤解されてしまうかもしれない。

 それもあってか先の衆院選では、政治に新規参入してきたZ世代というおいしい右派層にも、れいわ新選組は完全にはリーチできなかった。彼らの多くは国民民主へ流れた。

 しかもあの国民民主党は皮肉なことに、れいわと比較的近い「積極財政」もどきの政策を唱えている。

 だが実はむしろワーキングプア層が多いZ世代のニーズを本当の意味で満たすのは、経済政策的には(国民民主ではなく)れいわ新選組だ。

 なぜなら国民民主が唱える経済政策は、見ればわかるがせいぜい「103万円の壁」やらガソリン減税ていどでしかない。

 ぶっちゃけ、政府に対する要求がしょぼい。

 だがれいわ新選組は国債発行を絡めた大胆な財政支出を基調とし、(1)「103万の壁」よりはるかに国民がトクをする本格的な消費税減税、(2)インボイス制度の導入撤回、(3)インフレ対策として季節ごとに一律10万円の現金給付ーーなどの政策を政府に迫っている。

 つまり本当の意味での積極財政政策を唱えているのは、日本の政党のなかではれいわ新選組が唯一の存在なのだ。

小泉改革的な「シングルイシュー戦略」で積極財政だけで戦え

 ちなみに最近では「右派だからこそ」Z世代にリーチし、彼らの支持を得たケースは、(1)衆院選で躍進した玉木代表の国民民主党、(2)兵庫県知事選挙で斎藤知事を「側面応援」し当選させたN党・立花孝志氏、(3)都知事選で大旋風を巻き起こした石丸伸二氏ーーの3つのケースだった。

 一方、れいわ新選組が左右の別に拘らず、左派と右派を合流させる大きな勢力を作って政権交代を起こすには、あの自民党の小泉純一郎首相がやった「小泉改革」的なシングルイシュー戦略が有効だろう。

 つまり政策をできるだけ徹底的な積極財政オンリーにし、複数の党や支持層がよりまとまりやすいよう共通政策をひとつに絞る。

 そして将来的には異なる複数の政党を糾合し、新たな多数派を作って選挙に臨むのがベストだろう。

 つまり政界再編を仕掛けるのだ。

勝負はいかに「1% vs 99%」の戦いに引きずり込むか?

 繰り返しになるが、れいわ新選組にとって勝負すべき土俵は、旧来から政治的なイデオロギーとして根付いている左右対決のような古い舞台じゃない。

 いかに「1% vs 99%」の戦いに持ち込むか?

 エリート富裕層など「1%の既得権益層」 vs 貧しく抑圧された「99%を占める庶民の戦い」へどう持って行くか? だ。この構図なら必ず多数が取れる。

 それには生まれた時からネットがあった初めての世代である10〜30代のZ世代を、(例えば)SNS戦略などでうまく取り込むいくつかの方策を打つことが必要になる。

 まず生まれた時から右寄りの彼らが納得するような、左右の古い価値観にこだわらない政策を取ることが肝心だ。

 本気で多数を占めて政権奪取を狙うなら、今後は抜本的な党のイメージ作りから考え直す必要があるかもしれない。

 それには山本代表は今までのように、「経済以外」の部分で何らか左派的な色の濃い部分を出すのはなるべく控えた方がいいかもしれない。

 あくまで本当の意味で左右の別に過剰にこだらず、上下の「格差」のみを強調して押し出す姿勢を見せ続けるのがポイントだろう。

積極財政派の議員は20年で「2倍超」に増えている

 こうして左派色をいくらか払拭できれば、あとは政界再編を起こしうる勢力をどこまで大きくできるか? だ。それにはまず各党に散らばる積極財政を支持する議員に協力を求めたい。

 実際、このところ積極財政派の政治家は確実に増えているのだ。

 例えば朝日新聞が東京大学大学院教授の谷口将紀研究室との共同研究でまとめたこの記事では、「積極財政派の議員は20年で2倍超になっている」と分析している。

 最近では地方議員にもその波は波及しており、2023年5月には超党派の「積極財政を推進する地方議員連盟」(事務局長・石井敏宏議員/千葉県・館山市議会議員)も設立された。

 このほか協力が得られそうな議員としてまず考えられるのは、かつて山本代表が活動を共にした立憲民主党・小沢一郎さんのほか、原口一博さんや須藤元気さん(元立憲)あたり。

 加えて立憲民主党に30〜40人ほどいる(ともいわれる)積極財政論者の「山本太郎シンパ」が揃ってもし脱党してくれば、勢力としてのスケールはかなり有望になる。

 彼ら積極財政派の議員たちを、なるべく経済政策のワンイシューでスムーズにすべて糾合することが大切だ。そして大波を起こしたい。

積極財政のインフルエンサーは揃って右派だ

 加えて社会的な影響力が大きく選挙で票に結びつきやすいインフルエンサーの支持を得ることも重要になる。

 というのも日本で積極財政を喧伝する有名なインフルエンサーは、これまた一部を除き、揃って「右」なのだ。その意味でも左派色を薄めることは意味がある。

 例えば「応援団」の候補としては、まず著作家の三橋貴明さん(YouTubeチャンネル「三橋TV」運営者)、中野剛志さん(評論家)、室伏謙一さん(室伏政策研究室代表)、藤井聡さん(京大教授)、ジャーナリストの鮫島浩さん(元朝日新聞社)、元明石市長の泉房穂さん、あたりだろう。

 こんなふうに四分五裂した「志」が同じ勢力に経済という共通政策を訴えかけ、大きな塊(かたまり)を作ることを目標にしたい。

「そろそろヘンなこだわりは捨て、ひとつにまとまろう」

 こう彼らに呼びかければ、うまくマッチングできる可能性は必ずある。

 かつてなら、なりふり構わずこれができたのが(現・立憲民主党の)小沢一郎氏だった。だが今の彼にそれが可能だろうか?

 いや可能かもしれないが、いまならやはりそれをやるのは山本太郎・一択だろう。

 そう感じる。

【謝罪と訂正】

 文中にあった、以下の文言を削除した。

「それには現状のれいわのように、例えば障害者を3人も立てて話題作りするような戦略を取るのは『左翼か?』などと誤解されて却ってソンだ」

 当初、この一文を入れた意図はあくまで、「イデオロギー的な左右の違いで争うのでなく、上下の争いに持ち込めば有利になるはずだ」という戦術的な意味だった。

 だが、だからといってその具体例として障害者の方の擁立に言及したのは、軽はずみで人権を侵害する表現だった。

「れいわ新選組を伸ばすには?」と考えてひねり出した愚策だったが、ちと短絡的で拙劣でした。

 深く反省し、障害者のみなさんと山本代表および「れいわ新選組」、そして読者諸氏に謝罪と訂正致します。

 なお、この修正はあくまで自分で後から気づいたものであり、外部の第三者などから抗議を受けてのものではありません。

 どうぞ誤解なきようお願い致します。

【山本太郎代表とれいわ新選組の躍動を願って】(2025年2月1日)

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【新型コロナ定期接種】高齢者人口を減らして社会保障費を削る狙いの「棄民政策」か?

2025-01-04 11:38:12 | 新型コロナ
危険を承知でなぜ定期接種を始めたのか

 情報通の人はもうすでに知っていると思うが、新型コロナ対策として開発・導入された「mRSAワクチン」にはさまざまな弊害があることが各種専門機関の研究で明らかになっている。

 例えば札幌医科大学の医学部附属がん研究所・ゲノム医科学部門の研究分析によれば、mRNAワクチンを打つと却って免疫力が低下することがわかってきた。接種した人の体内では、免疫を抑制する抗体「IgG4」が誘導されるのだ。

 その結果、感染症やがん、IgG4関連疾患など「あらゆる病気」が発症しやすくなる可能性があることがわかっている。これはもちろん「陰謀論」でもなんでもない。専門の研究機関による客観的な調査結果である。

 弊害はそれだけじゃない。

 mRNAワクチンの「スパイクタンパク」自体、毒性が強く、全身に血栓ができやすくなる。これが血栓症や血栓塞栓症、脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こすのだ。

 またスパイクタンパクを発現した細胞が、却って自分の免疫細胞に攻撃されることも判明している。「自己免疫疾患」と呼ばれるものだ。

公的に認定された死者だけで約800人も

 日本では新型コロナワクチンによる副反応や後遺症などの健康被害を救うため、厚労省が「新型コロナワクチン・予防接種健康被害救済制度」という仕組みを作っている。

 これはワクチン被害者が自分から申告して審査を求め、「あなたの症例は確かにワクチン被害だと認めます」と認定されれば所定の救済制度が適用されるものだ。

 現在、この制度で「認定されたケース」だけでも死者は約800人、死んだのではないが何らか健康被害があったと認定されたケースは約7000人もいる(2024年9月現在)。まだまだ今後、ウナギ登りで増えるだろう。

 またこれとは別に国は「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」、および「薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を合同で開催し、安全性について評価を行っている。

 こちらでは、計上された死者数は「2000人以上」にのぼっている。

 もちろんこれらは厚労省に自分から申請してきた人「限定」の人数だけで、だ。

 その上、公的機関はなるべく自分の責任を認めたがらない。だから被害を少なく見せようとするだろう。で、審査はどうしても辛くなるはずだ。

 とすれば、そんな「救済制度では認定されなかったが、本当はワクチン起因であるケース」まで含めれば、死亡例や被害例ははるかに多くなるだろう。

 ならば判明している数字は、氷山の一角にすぎない可能性が高い。

海外先進諸国ではとっくに打つのをやめたのに?

 そんなわけで日本に先行してワクチン接種を進めていた海外先進諸国では、いち早く「これは危ないぞ」と気づいた。

 で、2回程度しかワクチン接種してない段階で、各国はもうすでに接種をやめてしまっている。

 しかもアメリカは特に、トランプ次期大統領への政権交代が決まっている。

 だから先のバイデン政権下におけるmRNAワクチン採用をめぐる腐敗した政府機関の策謀や、政府と製薬業界との長年にわたる癒着関係がメディア報道や公聴会等で次々に明らかにされている。

 前政権の旧悪は、こうしてあとから暴かれるものだ。

 そんなわけで、すでにこんな「黒い業界構造」が存在することはわかっている。

 だが日本だけはバカみたいに、その後も今だに7回、8回とバカスカ打ちまくっている。

 こんなものは海外先進諸国ですでに実例として研究・採取された客観的な被害医療データや、接種起因による死亡者・被害者数などを調べればmRNAワクチンの危険性などすぐにわかるはずなのに。

 にもかかわらず、日本はまだ打つのをやめない。ということは「これは何か隠された意図があるとしか考えられない」と思わざるを得ない。

 だって被害が出るのは、海外における事例ですでに証明されているのだから。

「日本政府はこんなことにも気づかない単なる間抜けなんだ」などと、好意的に考える人などいないだろう。

 ならば相変わらず日本政府だけがmRNAワクチン接種を続ける「合理的な理由」を探すとすれば、これはもう打ち続けることによって国民を殺して人口を減らし、政府が将来支払うべき年金その他の政府支出を少しでも少なくしようとしているとしか思えないのだ。

それ以外に理由は考えられない

 繰り返しになるが、これは別に「陰謀論」でもなんでもない。

 特に少子高齢化が進む一方の日本では、それでも相変わらず有効な政府による政策がまるで打たれないままズルズル行っている。これでは政府が高齢者層に支払う年金だけでも、もう相当な額になることはどんなバカでも容易に想像できる。

 そこへ持ってきて日本では、そんな年金の原資を負担するはずの将来世代が「少子化」でどんどん減っている。

 これにより何が起きるか?

 すでに各種統計や研究によって少子高齢化で子どもが増えない日本では、高齢者の年金支給や医療費等の支出で国の財政がパンクすることは確定していることがわかっている。

 なのに政府は根本的な解決策を打とうとしない。

 まるでやる気がないのだ。

「65才以上」限定で定期接種を始めた理由とは?

 しかも政府は昨年10月から「65才以上を対象にした新型コロナワクチンの定期接種」をスタートさせた。危険だとわかり切っているのに、まだそれをしかも「定期」でやるという。

 おまけに「65才以上の高齢者」に限定してだ。

 てことはこれは意図的にお年寄りの人口を減らして人口バランスを人為的に修正し、政府が支払う高齢者の年金その他の諸手当や経費を節約しようとしているのではないか?

 つまり日本政府は「わかった上でわざとやっている」としか思えない。

 だってすでに海外先進諸国の知見や事例で、mRNAワクチンの危険性はもう確定している。なのに、それをやめずに打ち続ける「合理的な理由」がいったいどこにあるのか?

 もしあったら、ぜひ教えて欲しいものである。

 いや政府にもしこれを問い詰めたら「高齢者は新型コロナにかかったときの後遺症が重い。だからワクチン接種は、高齢者優先なんだ」とかなんとか、見え透いた言い訳をするのは目に見えているのだが。

 そのほか「ワクチンを政府ぐるみで大量消費することで公共事業化し、政府とグルの関係にある製薬業界に利益供与しよう」なんて「合理的な理由」もあるのかもしれないが。

 どっちにしろ、「やれやれ」であることはいうまでもない。

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【現代の真相】政治に新風を吹き込むビッグ3「石丸・玉木・立花」はなぜ揃って右なのか?

2025-01-03 17:06:30 | 政治経済
支持層は生まれた時から日本が右傾化していた「Z世代」だ

 先日の都知事選で有力候補だった蓮舫氏を抜いて「2位」になり、旋風を巻き起こした石丸伸二氏とその支持層は大きな脚光を浴びた。

 だがここに来て、ひとつ気づくことがある。

 あの社会現象と、今回の衆院選で玉木雄一郎代表の国民民主党に投票した人たち、また兵庫県知事選で斎藤知事を勝たせる立役者になったN党党首・立花孝志氏の支持層のキャラクターという「3つの支持層」は、ぴったり重なる。

 まあ同じとまでは行かずとも、かなり近しい属性といえるだろう。

 それらの支持層は世代的にも思想的にも、かなり似ている。年齢的には、おそらく「Z世代」と呼ばれる人々が主体だ。

 これは1990年代半ば〜2010年代序盤に生まれた世代であり、2025年現在ではおよそ14歳~30歳相当に当たる。

 彼らは生まれたときから当たり前のようにインターネット(=SNS)があった、初めての世代だ。

 また同時に生まれたときから当時の日本は、とっくの昔に右傾化していた。というより逆に、ほぼ右派しか存在していなかった。

 だからそんな右しかない真っ只中で世に出た彼らは、自分が必然的に「右であること」すら意識することがない。それほど右でいることが自然でいる。

「生まれつきの右」、あるいは「右に生まれついた」と言ってもいい。

 一方、彼らは赤ちゃんがおもちゃを使いこなすかのように、SNSを自在に操る存在でもある。

 そんな彼らとガッチリ噛み合うように「石丸・玉木・立花」の3政治家もまた、YouTubeやX(旧ツイッター)をフルに使った「ネット選挙」を展開する点でも共通している。

 しかもみんな右派である。

分類すれば「右派ポピュリズム」を信奉する人々だ

 そんな揃って右派の支持者たちは、まぁ大半は軽めの「右派ポピュリズム」(右の大衆迎合主義)といえるだろう。

 この右派ポピュリストとは、右寄りの政治とポピュリストを結びつける政治上のイデオロギーを指す。

 例えば同志社大学・政策学部(政治学者)の吉田徹教授によれば、この後者に当たる思想の「ポピュリズム」は、まず既成の政治や経済、文化エリートに対し異議申し立てをする。

 第二に、社会から無視されている農民や労働者階級、自営業者、手工業者らの名誉を広め、その地位を高めようと盛んに動く。

 第三にポピュリズムは、カリスマ的な指導者が扇動することが最大の特徴だ。すなわちそれらのリーダーが、石丸、玉木、立花の3者に当たる。

 定義にドンピシャで当てはまる。

 もっとも彼らは典型的な右派ポピュリストであるトランプ次期米大統領や、フランスのルペン前「国民連合」党首みたいに「そこまで破壊的」じゃない。

 だが確かに典型的なネトウヨ層もまた、彼らの中には相当数、含まれているだろうと思われる。

支持者は学生や派遣、非正規などワープア層が中心だ

 次に社会的な属性でみれば、彼らは学生さんから派遣社員、非正規雇用などのワーキングプアが中心だ。あまり裕福じゃない人々がコア層になる。

 だから彼らは将来を悲観している。

 いまの政治は腐敗の極みにあり、人びとの敵をやっつける強い指導者が必要だと感じてる。それがまさに彼らにとっての玉木氏であり、石丸氏であり、立花氏なのだ。

 裏を返せば彼らの政治的関心をイチから呼び起こすトリガーになったのが、そもそも玉木・石丸・立花の3キャラクターだったのである。

 一方、いま社会構造の対立軸を政策の結果として見れば、完全に「1% vs 99%」の関係になっている。

 それぞれ具体的に「1%」と「99%」に例を当てはめれば、「オールドメディアと富裕層など社会の支配者階級、および既得権益層」(1%) vs 「SNSになじんだ単なる平民の被支配者層と被抑圧者層」(99%)という関係だ。

 そんな構図のなか、石丸・玉木・立花各氏の支持層は、99%の側に立つ。

 だから彼らは当然、後者に当たる99%(ふつうの人たち)の声を政治的に重んじるべきだと考える。

 また彼らはどちらかといえば今まで支持する政治家がおらず(無意識的な無党派層だ)、ゆえに選挙へ行かなかった「棄権者」の層もかなり含まれている。

 最近になって政治参加したばかりの新世代の有権者も、多く含まれるはずだ。

最初に「政治的成果」を挙げたのは国民民主の支持層だった

 経済的、社会的に満たされない彼らは、直近では衆議院選挙で国民民主党が掲げた「手取りを増やす」というキャッチーなコピーに飛びついた。

 それだけ彼らは新しい(特に経済的な)政治欲求が強い。

 で、その経済政策に対し、支持者は強く反応した。(ただし、その国民民主党の政策は以下の通り、実際には「うわべの見せかけにすぎない」ものではあるのだが。詳しくは以下、3本の記事をご参照下さい)

【国民民主党】やっぱり騙された? 公約の「消費減税5%」を反故に【衆院選2024】

【国政の七不思議】なぜいまだに国民民主党の政党支持率が高いのか?

【社会保険】「106万円の壁」が撤廃されて大増税に【国民・玉木代表と裏取引きか?】

衆院選で勝った国民民主がキャスティングボートを握った

 こんなふうに3グループに分類される新世代の政治参加者のうち、まず最初に目に見える実績をあげたのが国民民主党の支持層だった。

 かくて国民民主は衆院選で議席を飛躍的に伸ばし、キャスティングボートを握ることになる。

 彼ら新世代の支持者による政治への新規参入が、あんなふうに衆院選での国民民主の大躍進を生んだのだ。

 残る2派の実質的な躍動はまだこれからだが、注目すべきは今後、「右で99%を占めるSNSネット世代」のこれら3層の共同戦線があるのかどうか? だ。

玉木勢と石丸勢はマッチしそうだが立花勢は?

 個別に見れば、おそらく玉木勢と石丸勢は比較的、組むことにも柔軟に見える。

 だが立花勢は、ひときわユニークな個性とこだわりが強いだけに共闘はしにくいかもしれない。ただし、よく話し合い共通の政策に限定して政策を掲げれば、また話は別だが。

 最後に(客観的にではなく)極めて主観的で、個人的な意見を言わせてもらおう。

 外野の私からすれば、これら3派のリーダーは(少なくとも政治的には)悪く言えばうわべだけだ。ややもすれば雰囲気のみであり、現実の政策的には空気みたいに無意味な存在に見える。

 特に石丸氏には何も具体的な政策がないし、立花氏も(頭はすごくキレるが)政治的には同様だ。

 それにくらべ玉木氏の場合は(本当は経済政策としてやるべきことを)確実にわかっているはずだが、それをやれば「自身が破滅しかねない」からおそらく本気でやる気はないだろう。

 玉木氏は日本再生には何が必要か? 本当はわかっている。だが、やることをやらずにうわべの勢力(数の力)だけを稼ぐ戦法を取るはずだ。

 したがって万一、国民民主党が仮に連立政権に加わった場合でも、政策的には結局中身がカラっぽで真空だろう。世の中はなんにも変わらない。

 単に当たり障りがないだけだ。もっとも利権政治で腐敗し切った自民党よりは、まだマシだろうが。

玉木氏が真の意味で「積極財政のカード」を切ることはない

 大蔵省(現・財務省)出身の玉木氏がそうとわかっている「本当にやるべき経済政策」をやれば、日本は真の意味で改革を成し遂げて経済成長できる。

 だが彼はそれが自分の身を滅ぼすことを恐れ、やらないはずだ。

 すなわち「それ」とは、大胆な国債発行を絡めた上での大幅な財政支出を伴う「積極財政政策」を指す。

 もちろん積極財政をやれば、日本の経済は立ち直り、国民は幸せになる。

 だがその結果として、政治的なパワーバランスがどんな結果になるか?

 直接的には、党はまず財務省と真っ向から対立する。ひいてはやがてアメリカとも、コトを構えるガチンコ勝負になるかもしれない。

 もしそうなれば玉木氏は、故・安倍晋三氏や故・中川昭一氏、故・石井紘基のようになりかねない。もちろんそこまで本気じゃない彼は、当然そんなことまでやる気はない。

 だから「玉木改革」は見せかけで終わり、何もなし得ない。これは確実だ。

 それに引き換え、例えばれいわ新選組山本太郎代表は、本当に死ぬ気で積極財政をやるつもりでいる。

 だがいかんせん、れいわは党の見かけが「左」に見えるせいで、このままでは多数の支持を得られない可能性が高い。よって、このままでは政権に参画できないかもしれない。

(では、れいわ新選組はどうすればいいか? については、この記事で解説した通り)

 で、結局、いまの日本はこんなふうに、妙にフン詰まりした歪なパワーバランスで今日もあり続けるわけだ。

 やれやれ、である。

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【SNS規制】デマや誹謗中傷を防ぐ目的でYouTubeの「収益化を止める」自民案が浮上している

2024-12-31 17:00:53 | メディア論
来夏の都議選や参院選を念頭に規制を強化する

 産経新聞が2024年12月28日付けの記事で、来年夏の都議選や参院選をめどにした「SNS規制」を報じるすごいスクープをかましている。以下の記事だ。

『<独自>違法選挙動画で金もうけダメ 収益支払い停止、自民がSNS対策で法改正検討』
https://www.sankei.com/article/20241228-LTCLBGL5LBJWRLEYDAWBVJGWOI/

 この記事はまず「多くのSNSは動画の再生回数に応じ、収益を得られる仕組みを採用している」と指摘する。

 その上で選挙期間中にSNSで「誹謗中傷やデマが流されている」と思われるケースが発生している、という。

 そこでSNSを運営するプラットフォーム事業者が、YouTuberの動画投稿にデマや誹謗中傷を煽るなどの内容を見つけた場合、そのYouTuberの収益の支払いを停止できるように法改正することを自民党が検討中だ、という内容だ。

 実はここ数日で似たような記事が各報道機関から出ているのだが(最下段の【関連記事】参照)、特に産経はなかでも一歩踏み込んでいる。明らかな独自ネタだ。

 他社がまだ打っていない、以下の重要な3つの要素からなる突っ込んだポイントを盛り込んでいる。

 それはこういうものだ。

(1)自民党が進める法改正では(現状の削除等に加え)配信者への収益の支払い停止も追加する、(2)SNSに関する規定がない「公職選挙法の改正」なども検討する。

(3)このほか野党も同じ動きをしているとし、自民や立憲民主党など「与野党7党」が選挙運動の法的な課題を話し合う(今年12月開催の)協議会でも、同様にSNSによる偽情報の拡散や中傷への対策を検討する見通しだーー。

 キモになる要旨は、以上の通りだ。

「規制が来るぞ」という警告もむなしくーー。

 実はこれに先立ち弊ブログでは、以下2本の記事により、いかにに世界でSNS規制がどんどん進んでいるか? これは危ないぞ、とその最前線を伝えた。

 その上でこうした世界情勢のなか、日本におけるSNSのデマや過激化に対応し「日本も厳しい取り締まりが進む可能性が十分にあるぞ」と警鐘を促した。

 それが以下の記事である。

『【兵庫発の社会現象】N党・立花氏はしばらくネットから離れるべきか?』(2024年12月13付け)
https://blog.goo.ne.jp/matsuoka_miki/e/f6f2a49fdc266d0ff425801dbddac875

『【政府の思うツボ】世界的に大規模なネット規制が始まりつつある』(2024年12月11付け)
https://blog.goo.ne.jp/matsuoka_miki/e/c2a61b841148d24413dc650d600449f0

 上にあげたうち、特に重要な2本目の記事の要旨は短く以下の通りだ。ごく一部、結論だけ引用しよう。

『そもそもインターネットは政府やマスコミのような「絶対的権力」に対し、単なる市井の人々が対抗するためのかけがえのない唯一の武器だ。

 だからネットユーザーは「逆に敵へ塩を送るマネ」をしてしまい、逆に公権力からヘンな規制を受けるハメにならないよう、適切にモラルをわきまえて行動する必要がある。そうしなければ、必ず自分で自分のクビを締める結果になるだろう』

 だが冒頭で伝えた通り報道各社によれば、事態は予想を超えたスピードで悪い方向に進んでいる。

 実に危険だ。

自民党案が抱える「大きな問題点」とは?

 だがもちろん自民党のこの案は、大きな問題点もはらんでいる。

 まずSNSの動画の内容に関し、いったいそもそも誰が何の権限で案件ごとに「これはデマだ」「誹謗中傷だ」「こっちは違う」などと客観的に判定できるというのか? これって大問題だ。

 もし万一、政府が一方的かつ一律的に決めつけたりするならば、立派な監視国家の出来上がりになる。

 もちろん憲法が保障する「表現の自由」を侵害するのはいうまでもないし、報道の自由や知る権利も犯す可能性がある。

 だからそんな悲劇を起こす前になんとか未然に防げないか? と考え、上にあげた2本の記事を書いたのだ。

 いや実際、YouTuberは自分のコンテンツをより視られるように細工した上で、収益を得るためどうも内容を大胆で過激にする傾向が見られる。

 特にYouTubeに新規参入組が相次いだここ1年ほどで競合がますます激しくなり、そんな流れが顕著になった。

 例えば実際の事例を挙げれば、タイトルが内容とまるでかけ離れており、逆にそれを悪用して客のクリックを誘おうとするケースが典型例だ。

 あるいは同じくタイトルがすごく目を引くハデで過激な表現で、いかにもそれを見た人が思わずクリックしてしまうのを狙っているとしか思えないものもある。

 またはまるで根拠のない、こんな実例もあった。

「兵庫の斎藤県知事は記者会見を開き、自分は『有罪だ』と認めた」
「裁判所も斎藤知事にすでに有罪判決を出している」

 こんなまったくあり得ない明白なデマを、YouTubeで流しているケースまである。私はたまたまそのコンテンツを実際に観て、あまりのことに唖然とした。

 そんなわけでこの状態のSNS(=YouTube)に当局の規制がガッツリかかることを案じ、上記2本の記事を書いて「これではダメだ」と警鐘を鳴らしたのだが……。

 時すでに遅し、かもしれない。

さとうさおりさんが放った「正論」だったが……

 もちろん収益化を止めてしまえという自民党の暴論に対し、反論する世論もある。

 例えば公認会計士で人気YouTuberの「さとうさおり」さんが、自身のYouTubeチャンネルのコンテンツ、【SNS選挙】自民がSNS対策で法改正検討【収益支払い停止】で語った以下のようなご意見だ。
https://www.youtube.com/watch?v=dghz-81OcCg

 ああ、まずその前に予備知識として2つ知っておいてほしい。

 第一に、YouTuberは自身の動画を広く拡散してくれる「切り抜き」サイトに支えられていることがひとつ。

 第二に、この切り抜きサイトの運営者は、業界では「切り抜きさん」と呼ばれていることだ。

 その上で、さとうさんは以下のようにおっしゃる。勝手に私が要点をまとめると、ザックリ4連発の熱い訴えになる。

(1)「もし自民党が考えるような施策により、任意のYouTuberが収益化できなくなれば……そのYouTuberについている『切り抜き』さんたちも収益を失い、たちまちそのYouTuberから離れてしまいますよね」

 そうなったらYouTuberは自身のコンテンツを拡散してもらえず、大損害になる。

(2)「だったらじゃあ、もしカネを持つ者(例えば「裕福なインフルエンサー」)が自分で切り抜きさんを個人のカネで雇えば、従来の(ネットがまだなかった時代の)社会と同じように、カネがある者だけが支配する世の中になりますよね?」

(3)「そうなれば以前と変わらず、カネを持つ者だけが選挙で勝てる世の中になる。金持ちがSNSを制する選挙戦略になってしまう。すると(収益化できるからやっているのだろう)『リハック』さんなんかは、大打撃を受けるでしょうね」

(4)「もしこんなふうにYouTubeで収益化できなくなれば、彼らはもう(別のスポンサーから)お金をもらうしかない。

 でもそれじゃあそのスポンサーの意向を、ただただ話すだけの(おべんちゃら)チャンネルになっちゃうじゃないですか? とすればついにSNS上でも、現実的な言論統制が始まるってことを意味しますねよね?」

 なるほど、確かにとても深刻な問題だ。

だが実は「どっちもどっち」で広告収入には変わりない

 だがさらに一歩踏み込んで考えると、実はこれって「どっちもどっち」だと言うこともいえるのではないか、と思える。

 どういうことか?

 そもそも現状、YouTuberが得ている収益って、「いったいどこからやって来るのか?」がポイントだ。それを考えれば「どっちもどっち」である。

 例えばご存知の通り、YouTubeはあの検索サービス「Google」が所有するサービスだ。

米グーグル,YouTubeを買収」(NHK放送文化研究所)

「(YouTubeは)2006年11月に16.5億米ドルでGoogleに買収され、現在は同社の子会社の1つとして運営されている」(ウィキペディア「YouTube」)

 そして肝心の本体であるGoogleは、いったい何で収益を上げているのか? 当たり前だが、同社は「Googleのサービスは広告収入により支えられています」と宣言している。

 同じ理屈で同様にYouTubeも、このページに「YouTubeはどのように収益を得ていますか?」、および「YouTubeは、広告とサブスクリプションから得た収益をどのようにクリエイターに分配していますか?」の項に、こう書いている。

「YouTubeの主な収入源は広告です。企業は広告を配信することで、関連性の高い視聴者を見つけてビジネスとブランドを拡大できます」

 つまりいずれにしろ、もとは広告収入なのだ。

 ゆえにYouTuberがYouTubeから得ている収益だって、同じようにそこから来る広告収入であることはいうまでもない。

 だからさとうさんの「もしYouTuberがYouTube上で収益化できなくなれば、彼らは(別のスポンサーから)お金をもらうしかなくなる。

 でもそれではスポンサーの意向を、ただただしゃべるだけの(つまらない)YouTubeチャンネルになってしまうだけじゃないですか?」というのは、一種の論理破綻になるように思える。

 だって現状でも同様に、もともとクライアントである企業がYouTubeに広告料として支払った費用をモトに捻出された「収益」を、YouTuberさん達はもらっているのだから。

 だったら彼らもいまや、YouTubeやそこに広告を出す企業と「一蓮托生」の関係になっているような気もする。

無意識のうちに企業に都合のいいコンテンツ作りになる理由とは?

 さらにいえばもともとYouTubeは「コミュニティ・ガイドライン」を設け、それに違反したケースを取り締まっている。

 だがこのガイドラインによる規制自体が、実はそのままYouTubeの広告クライアントを守るためのものを兼ねていたりもするわけだ。

 また同ガイドラインに明示されていなくても、暗黙の了解事項だってある。

 ひとつ例を挙げれば、YouTubeでは「Meiji Seika ファルマ」(旧・明治製菓)が手がける新型コロナ・ワクチンの「レプリコン・ワクチン」というワードは禁句になっている。

 なぜか?

 それは複数のYouTuberがこのワードを自分のコンテンツ上で実際に使い、YouTubeからそれらのコンテンツを削除されたことで「これは事実上の禁句なんだ」と判明したのだ。

 現に彼らが実際に自分のコンテンツ内で、そんな複数の「削除体験」を語るのを私は何度も見聞きした。

 だからもはや新型コロナワクチン関係を追っかけているYouTuberさん達は、誰もコンテンツの中で「ワクチン」なる言葉を口に出していない。

 文字でいえば「伏せ字状態」でトークをうまくまとめ、それぞれ自分のコンテンツを苦労して作っている。

 ちなみにこのレプリコン・ワクチンについて、巷間、研究者や医者ら専門家が指摘している危険性を知らない人は、以下の記事を参考にしてほしい。

『【ご注意!】10月からの新型コロナワクチン「定期接種」を考えている方へ』
https://blog.goo.ne.jp/matsuoka_miki/e/39d93538520e8f656a2cb464300eeba6

 このほか弊ブログの「新型コロナ」カテゴリーにも、レプリコンの記事があるので、そちらもご参考に。

 そんなわけで(繰り返しになるが)このワードをYouTube上ではもう言えない。いまや暗黙のタブーになっている。

 もちろん同様のケースは、ほかにもある。禁句や規制ありだ。したがって上記のさとうさんのご意見には賛同できる一方で、個人的にはちょっと違和感もある。

 以下の記事でも触れたが、それはいわゆるオールドメディア(マスコミ)の「広告戦略」に感じる違和感と同じ理屈だ。

 ご参考『【マスコミの広告タブー】広告で経営が成り立つ「オールドメデイア」は広告主の言うがままだ』
https://blog.goo.ne.jp/matsuoka_miki/e/61d554477937b56a6d5e4aaa66b0fc53

 つまり上にあげたYouTubeの「コミュニティ・ガイドライン」を守ることで、YouTuberさん達は(無意識のうちに)企業の広告クライアントの意に沿うコンテンツ作りをすることになるわけだ。

 それは知らず知らずのうちに、極めて自然に(当たり障りのない)「コマーシャルなコンテンツ作り」を行ってしまうことを意味している。洗脳と同じだ。

 これはクライアント企業の大きなメリットになっている。

 あなた(YouTuber)の知らないうちに。

収益化を目的に嘘のタイトルをつけて「クリック詐欺」をやるのは?

 付け加えれば、YouTuberが完全に収益化だけを目的に視聴数を稼ぐ目的でやる過剰な演出や「クリック詐欺」もどきのタイトル作り、コンテンツ制作を行う行為にも「ちょっとなぁ」と感じる。

 繰り返しになるが、「それって正しいのか?」という基本的なモラルの問題だ。だって、いわば「騙しコンテンツ」なんだから。そこに根本的な疑問もわく。

 もうひとつの理由は(これも繰り返しになるが)、YouTuberの収益のモトってしょせんは企業からの広告収入である点だ。

 結局は企業からの「おこぼれ」をもらうのかよ、みたいな虚しい感じがする。

 まあそんなわけで私がYouTubeから収益をもらうこと自体に感じる違和感は、一部これでなんとなくわかっていただけたかなとも思う。

 もちろんこの私の感覚が、絶対的に正しいなんていうつもりはない。それにみんなが右へならえで、これに従うのもヘンだろう。

 そんなものはもちろん、個人の自由であることはいうまでもない。

 ただし上記のことは、みなさん、どこか頭のスミにでも置いておいてほしいなぁ、とは感じている。

【お詫びと補足】

 なお一点、お詫びと補足がある。

 私が本文中で書いた通り、確かにYouTubeは広告で経営が成り立っている。これは事実だ。

 だがテレビや新聞、雑誌、ネットメディアなど既存のメディアに広告を出すときのように、例えば「あのA社に都合の悪いことは言えないぞ」「書けないんだ」みたいなケースは少なくとも「YouTube上ではあり得ない」らしい。

 たまたま人気YouTuber・立花孝志氏のチャンネル配信で、そんな仕組みを初めて聞いて驚いた。

 どういうことか?

 それはYouTubeならではの独自でユニークな仕組みに秘密がある。

 例えばYouTubeに企業が広告を出す場合、「我が社はYouTuberの○○さんに対してスポンサードしたい」的な既存メディアの広告出稿の仕方(ターゲット指定)が、YouTubeではどうやらできない仕組みらしいのだ。

 わかりやすく言うと、例えば自動車メーカーであるB社の「Cというクルマ」の悪口を言っているYouTuber「Dさん」のコンテンツが始まる直前に、そのB社のCというクルマの広告が同じコンテンツ上で流れていたりするらしい。

 なんと、びっくりだ。

 既存のオールドメディアの広告出稿の常識にすっかり慣れっこになっているおじさんは、それを知って新鮮な驚きを覚えた。

 ええっ、そんな方式は革命的だなぁ……。

 逆に言えばYouTuberの「Dさん」から見て、何の気兼ねもなく自動車メーカー・B社の「Cというクルマ」をボロクソに言う事ができるわけだ。

 つまり上であげたさとうさんがおっしゃる主旨の通りなのだ。

 YouTubeの経営が広告で成り立っていることは確かに事実だが、だからといって必ずしも例にあげた「Cというクルマ」を悪く言えないなんてことはないらしい。

 従来の広告の常識からいえば、そんなことは考えられない。だって広告を出稿している企業にとって不利になっちゃうんだから。

 じゃあ、その企業はいったいなんのために広告を出しているのか? ってことになる。

 しかし逆にユーザから見れば、非常にユニークでおもしろいシステムである。

 とても自由で「ネット的」だ。

 あくまで好意的な想像だが……Googleか、YouTubeだかの意向では、YouTubeの「語り手」が広告のせいで「報じるべきこと」を報じられなくなるような広告タブーができるのを未然に防ぐため、このシステムを取っているのではないか? と勘繰った。

 もしそうだとすれば、すごく画期的だ。発明とさえいえる。ホントにすごい仕組みである。

 だって(大げさに言えば)メディアの「言論の自由」を自動的に侵害してしまいかねない、従来の広告が持っていた弊害を事前に防いでいるのだから。

 なのに上の文中で私はさとうさんに対し、反論するような文脈で「でも結局、YouTubeはやっぱり広告で成り立っているんだから」というニュアンスのことを書いてしまっていた。

 だがこれまたさとうさんがおっしゃる通り、YouTubeは広告が出ているからといって別に何かを気兼ねする必要なんてぜんぜんない仕組みのようだ。

 無知だった。

 さとうさんには(事実と相違する)失礼なことを書いてしまった。

 大変申し訳ありません。

 お詫び致します。

一ヶ所、「さとうさん」のお名前を間違えておりました

 おまけになんと私は(いま読み返すと)一ヶ所、さとうさおりさんのお名前をうっかり、さとう「し」おりさん、などと反射的に誤記してしまっていたことに気づいた。

 こちらも大変申し訳ありません。

 修正しました。

 私は日ごろから元の原稿をいつもテキストエディタに下書きした上で、何度も推敲してからブログの投稿画面にコピペしている。で、今回も同じ作業をやったのだが、自分が誤記していることにまったく気づかなかった。

 いや、もちろんさとうさんの正確なお名前は、以前からすでに存じ上げている。現に私は彼女のコンテンツを常日ごろから、楽しんで観ているのだから。

 しかし告白すると……実はなぜか私はいつもさとう『さ』おりさん、と書くところを決まって「さ」を「し」とつい間違えそうになるのだ。

 で、そのたびに「ああ、危なかった」と必ず気づく。

 じゃあいったい、なぜ何度も間違えそうになるのか? 推理すれば、おそらく「さとうさおり」さん、と「さ」が2回続くからではないだろうか。

 で、本能的に「さ」の重複を避け、2回目の「さ」を自動的に「し」と読み替えてしまいそうになるようだ。

 いや、でもそんなことは単なる言い訳にすぎない。

 さとうさん、このたびは本当に申し訳ありませんでした。

 ただひとつだけ言い残させて頂けるなら……(まだあるんかい)

 さとうさんのお名前の表記は「すべてひらがな」ですのでそのぶん読みにくくて……(アッ、すみません!)、むずかしいんです。

 で、私はいつも読者さんが少しでも判読しやすいよう、「さとうさおり」さんと鍵カッコ付きで念を入れて書いておりますぅ。

 その旨どうか、お汲みください……(^^;)

【関連記事】



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【SNSブームの新星】YouTubeジャーナリズムの時代が来た

2024-12-29 09:40:47 | メディア論
「マジメなこと」をユーモアも交えながら面白く解説する新世代

 その昔、ネタを取って報道する機能は大手メディア、いわゆるオールドメディアが独占していた。だが、これからは単なる一般人がそれをやる時代だ。この傾向はインターネットが生まれ、一般に解放された時点で始まった路線といえる。

 もともと60年代にアメリカでネットが生まれたのが、そもそもの始まりだ。これで「報道権」がプロから一般人の手に広く行き渡った。そしてまずネット媒体として、初期からのいわゆる昔ながらのWebサイトができた。

 ところが大きな変革が2000年に起こった。それまでWebサイトの構築や記事更新には、「HTMLタグ」などそれなりの専門知識が必要だった。

 だから一般人には、なかなかむずかしかった。で、そこまでの広がりがなかった。サイト運営はコア層のたしなみに過ぎなかった。

 だが2000年にHTMLタグなどの専門知識が必要なく、サイト構築や記事更新がカンタンにできるブログが生まれた。これが大きな転機になった。で、ネットユーザの多くが情報の受け手ばかりでなく、送り手の側になる。

 ブロガーの誕生だ。

 つまり従来、読み手だったネットユーザが書き手になるケースがすっかり一般化した。

 続いて2005年に「YouTube」が登場し、機能がさらに進化した。今度はブログみたいな文字と画像だけでなく、なんと動画と音声付きで情報を送ることができるようになったわけだ。

 こうして今や、YouTubeはいよいよ黄金期を迎えつつある。

エンタメ系に偏るYouTubeに不安を感じる

 だが巷間、見ていると……どうも不安な点もあちこちにある。そのひとつは、ジャンル的にエンターテインメント系に偏っている印象がある点だ。

 いわゆる(硬い言い方だが)報道系のものが少ない。

 つまり従来からあったテレビで主流のバラエティ番組やワイドショー、芸能ニュースみたいなありふれたネタを、ただ単に媒体を替えて今度はYouTube上でやってるだけ、みたいな感じがする。

 要は中身、やってるネタがテレビそのままなのだ。媒体がテレビから単にYouTubeに変わっただけである。

 これでは逆にプロが制作するテレビ番組より、アマチュアが作るYouTubeの方が、むしろ伝える情報の精度や正確性のレベルが明らかに低いぶんデマや誤報が多い点だけが目立ってしまう。

 だからYouTube独自の強みが活かせない。(逆に「素人YouTuberのメリットや強み」は後述する)

 一方、収益面を見ると多くのインフルエンサー(影響力のある有名YouTuber)は、「案件」と称する企業の広報宣伝活動の一翼を担い、彼らの販売促進にひと役買っておアシを頂き喜んでいる。

 いや別にそれを批判するのが今回の趣旨じゃない。

 だがここでちょっと警鐘を鳴らしたいのは……それって、いわゆるオールドメディアが「かつて来た道」と同じだよ? って話なのだ。

「購読料」で経営が成り立たず「広告頼り」になる新聞業界

 オールドメディア(特に新聞)は、もともと部数を売り、購読料・収入で経営が成り立つスタイルだった。

 だが販売部数の激減でそれがすっかりダメになる。その結果、企業の広告頼りになり質的に堕落し、広告クライアントに都合の悪いことは報道できない広告タブー体質が生まれた。で、客観的な報道機関としては質が落ちて行った。

 彼らはクライアントや絶対的な政府権力、富裕層など「既得権益層」に致命的に弱いのだ。

 この道程と同じ道を、いまネットユーザはたどってしまっていないだろうか? という杞憂がある。

 例えばかつての新聞は記者がいい記事を書けばそのぶん読者数が増え、購読料からの収入が増した。これにより倍々ゲームで経営状態が向上した。

 だがもはや現代では紙の新聞が時代性に合わなくなり、ネットの台頭もあり全国的な部数減が起こって従来の経営戦略はだんだん萎んだ。で、広告料収入頼りになって行った。

 それとともに既成の広い意味での権力(これは政治的な権力だけでなく、例えば「商業主義」も立派な権力の典型だ)に抗えなくなり、「書くべきこと」が自由に書けなくなった。で、タブーが増えることで、新聞はメディアとして終わって行った。

テレビは日本人に「消費意識」を植え付けるためアメリカが日本に入れさせた

 一方、かたやテレビは、もうハナからCM頼りのメディアだから何をか言わんやだ。こうしたCM頼りの欠陥は、もともとテレビが生まれたときから抱えていた特性だ。

 しかも逆にその弱点は、先の終戦時、日本の敵対国だったアメリカが当時の軍国主義・日本を弱体化するための武器でもあった。

 つまりテレビはもともと軍国主義に洗脳された敗戦国・日本の国民に「消費意識」というまったく新しい概念を芽生えさせることで、消費により洗脳し、軍事的に「大人しくさせる」ためにアメリカが日本へわざわざ輸入させたものだ。戦略的に、である。

 例えば日本で初めてテレビ放送をスタートさせたNHKに遅れること半年後だった。

 民間放送として初めて1953年8月にテレビ放送を開始した(読売新聞社主で)日本テレビ初代社長の正力松太郎氏は、そんな米国CIAのエージェントだった(コードネームはPODAM)。

◾️参考1・日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」

◾️参考2・ウィキペディア「正力松太郎

【記者クラブの弊害】日本には約800の各種記者クラブがあるが……

 さて、加えてそんなオールドメディアに、いくつかのマイナス要因が重なった。

 そのひとつとして大きいのが、記者クラブ制度の弊害だ。

 もともと記者クラブは、明治時代からある。その初期の歴史は直接知らないが、想像するに難くない。

 当然、はるか昔は報道各社が単独でそれぞれ取材活動していたはずだ。

 それが「取材源はどうせ役所など同じだから各社みんなでまとまり、合同で取材源と団体交渉した方がいい。そのほうが何かと我々の力が増し、効力が出るよね?」という話になった。

 特に中央(地方)官庁などの公的機関や業界団体などを取材する各新聞社のチームは、各社とも取材対象がぴったり重なっているからなおさらだ。

 だったら合同で記者クラブを作り、みんなで力を合わせて情報を吸い上げる合理的なシステムを作ろうぜ、ということになった。

 で、あちこちに記者クラブができ、いまでは日本に約800団体もの各種記者クラブが存在する。ザッと上げただけでも、以下の通りだ。

 参考『記者クラブ一覧』(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%98%E8%80%85%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96%E4%B8%80%E8%A6%A7

 これらの記者クラブは、いまや中央省庁や国会、政党のほか、企業・業界団体、地方自治体の役所など、あちこちに設置されている。

記者クラブの安楽な「横並び主義」が堕落を生む

 ところが、これがまた堕落の温床になって行った黒歴史がある。記者クラブはその性格上、必然的にクラブに加盟してない「よそ者」を弾く性質がある。そんな閉鎖性や排他性が強い。自然と情報カルテル的な性格を帯びる。

 いわゆる護送船団方式だから、それが安楽な「横並び主義」も生む。

 だんだん特ダネを「抜いた」「抜かれた」なんて関係がなくなる。記者は情報ソースとしては、役所や企業等が記者クラブを通して「同時に発表」した資料やレクチャーに、もはや頼り切りなのだ。

 資料に書いてあることを、機械的にリライトするだけで原稿ができ上がる。

 で、記事を発表する「解禁日」は、各社共通だ。みなさん同時発表で、仲良く横に並びよろしくやりましょうやーーそんな安易な空気が醸造されて行く。

 これで記者はもらった資料や受けたレクチャーをもとに、ただ記者クラブにいるだけで自動的に記事が書ける。ラクに仕事が成り立つ。

 こうして自分の足で取材先をあちこち歩き回り、汗をかいて「自社にしかないネタを抜く」気力なんて、だんだんなくなって行く。

 なんせ情報ソースは、絶えずネタをくれるありがたい自分たちの「お仲間」だ。だから取材源は大切にしなきゃーー。

 そんな悪しき慣習が生まれて行った。

記者が「受け止めをください」だって?

 そんな現代の記者が「いかにダメか?」は、今の記者会見を一瞥しただけでわかる。その典型例がある。

 例えば今どきの記者が会見で質問するときの決まり文句のひとつ。「○○の件について『受け止め』を下さい」てなセリフだ。

 あんな「受け止めをくれ」なんて、いちばんダメな聞き方といえる。

 すなわち「自分はこの件についてこう考える(分析している)が、一方、あなたはどう思うか?」などと、相手になんらかの刺激を与えて異なる意見を「当てる」ことで、新たな議論を喚起するような方向の質問の仕方じゃない。

 自分独自のユニークな発想や思考を相手にぶつけ、その反応を見るわけではない。

 逆に自分は相手に何も示さず、○○についてただ単に「あなたの意向や方向性を(なんでもいいから)教えてください」という聞き方だ。

 これなどはすっかり記者クラブ体制の安逸な生活に慣れ、情報の発信元が与えてくれる「意向通りの切り口」に沿い、ただ何も考えず記事を書くようになっている何よりの証拠だ。

 自分が記事を書く方向性を決める「あなた(取材源)の意向や切り口を私にどうぞ示してください」という質問の仕方なのだ。

 つまり記者のメンタリティが「体制側の仰せの通りに致します」「あなたに従います」という意味である。

 こんなふうにオールドメディアは同じ取材源と日常的に密着し、「ナアナア」の関係になる。政府や役所、業界団体など「既得権益側」の味方と化す。

 癒着の関係だ。

 で、健全な批判や批評関係がなくなって行く。馴れ合い、もたれ合いの利権の関係が構築される。

 そしてオールドメデイアの世界は長年のこんな野合で腐敗が進み、いまや治療が不可能な状態にまでなっている。

 こうなるともう、おしまいだ。

 例えばあの兵庫で斎藤知事をしきりに何かと攻撃する、百条委員会のお付きであるマスコミ陣のヒステリックで異常な取材の様子を見れば、おおかた内情は窺い知れる。

 たぶんあそこのオールドメディアは、兵庫県政史上最長の5期20年も続いた旧・井戸敏三知事体制とナアナアだった。長年、馴れ合い関係にあったのだろう。

 だから突然、そこへ降ってわいた新しい斎藤・新知事政権をあんなに叩くのだ。で、斎藤知事を倒し、「古き良き時代を再び」というわけである。

YouTuberはオールドメディアが「かつて来た道」を歩いてないか?

 こんなふうにもともとオールドメディアは、必然的に自滅する方向にあった。

 そこにインターネットが新たに台頭し、新しいメディアとして自由闊達なSNSが生まれた。これでは、旧メディアはもうひとたまりもない。かくてオールドメディアは完全な終焉を迎えつつある。

 そのテレビというオールドメディアが企業CM頼りで、「あとはテキトーに人気のお笑い芸人でも出しておけばいいや」てな具合いに番組自体がすっかりつまらなくなって行ったあの、かつて来た道ーー。

 ところが広告タイアップ案件頼りになっている今のYouTuberさんは、かつてのオールドメディアが来たのと同じ道を歩もうとしているかのように見える。

 これってとても危険な兆候じゃないだろうか? なぜなら広告頼りになってしまうと、クライアントにとって都合の悪いことは報じることができなくなるからだ。

 つまり現代のYouTuberも、オールドメディア同様に安楽な広告案件体制に慣れ切り、なんらか利権絡みがないとコンテンツ作りができない(そのモチベーションがわかない)体質になって行く気配がする。

 なんだかヤバい感じだ。いや、そういう人がいてももちろんいいのだが、「そうじゃない人」がもっといてもいいのでは? と思うのだ。

 例えばとても案件がつかないような、もっとハードな報道寄りのコンテンツだってあってもいいのになぁと感じる。

YouTubeチャンネル「ねずみ」や「吠える!ニュース」「アシタノワダイ」はおすすめだ

 具体的には、既存のチャンネルでいえばドキュメンタリー志向の「街録チャンネル」や、清水有高氏・主催の「一月万冊」、あるいはCBCニュース系の「大石が深掘り解説」などなど。

 このほかテイストはエンタメ寄りでも、ユーモアを交えながら「マジメなこと」を面白おかしく報じるYouTubeチャンネル「ねずみ」や「吼える!ニュース一刀両断チャンネル」、「アシタノワダイ」などもおすすめだ。ああいうのが、もっと増えてもいい。

 テレビや新聞などのいわゆる「くたびれたプロ」が作る慣例的な手法じゃなく、彼らは視点や切り口がユニークで斬新だ。「ハッ」とさせるものがある。

 なかにはちょっと陰謀論的な方向に寄ってしまっている回もあるが、まあそこはそれだ。

 個人的には、このテの有意義なチャンネルがもっと出てきてほしいなと希望している。

 このほか感じることは、仮に報道っぽいことをやっていても、どうしても素人さんだからツッコミが甘い点だ。ここは(仕方ないが)将来的には、もっと進化させたい。

 例えば先日あるYouTuberが、厚生労働省に電話で新型コロナワクチンの取材をしていた。だが、その聞き方がどうも浅いのだ。ツッコミが甘い。

 ゆえに官僚の都合のいいように操作されてしまっていた。もっとあらかじめ自分で独自に調べてネタ(突っ込む材料)をある程度持ち、その内容を取材相手に「当てる」感じでやったほうがいい。

 なんでも取材相手に「どうぞゼロから教えてください」では、相手に舐められてしまう。先方に都合のいい方向に誘導されるだけだ。それでは他チャンネルがまだ報じてないような、新しいネタは取れない。

 このほか正確に情報の「ウラを取る」ことや、「引用の仕方をマスターする」など、情報の基本的な取り扱い方のセオリーが、もっとYouTube上で広まればいいなぁとも感じる。

 そんな感じで、今後もYouTubeの健闘を祈っている。

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【メリット&デメリット】オールドメディアとネット(=SNS)は一長一短か?

2024-12-26 09:34:03 | メディア論
両者の違いは情報の「確度」と「スクープ性」だ

 最近よく話題になる新聞やテレビなどのオールドメディア(マスコミ)と、ネットメディア(=SNS)の違いって、なんだろう?

 まず大手マスコミは基本的にニュースの裏を取り、ソースに忠実な事実確認を行うノウハウや技術、確度が高い。そこはプロならではだ。自前のセオリーも確立している。

 この点でアマチュア主体のネットメディアと大きく違う。だからいわゆるあからさまで単純な「誤報」は少ない。

 だがそのぶん(広告主や絶対的な社会権力のような)既得権益に過剰反応し、自分の身を守るため本当に重要なことは伝えず隠す。

 うまく立ち回ろうとする。ズル賢い。

 往年の新聞みたいに読者の貴重な「購読料」で純粋に経営が成立していた時代とちがい、今では広告を出してくれるクライアントに媚びへつらい、彼らの商品やサービスの「宣伝」をしないと、もはや採算が取れない体質になっている。

(機会があればこのへんは詳しく解説するが、今ではそれをやってさえ、もはや彼らの経営は成り立っていない。オールドメディアは今や、「滅びゆく恐竜」と同じ運命にある)

情報を正確にわかりやすく伝えるセオリー「5W1H」とは?

 一方、ネットは玉石混交でデマも多い。セオリーにしても、例えば「正しい引用の仕方」さえ知らない人だってゴロゴロいる。プロのマスコミみたいに基本的な「情報の取り扱い方」を知らないユーザが多い。

 例えば情報を正確に伝えるには、それなりのセオリーがある。正確でわかりやすい記事を書くセオリーのひとつは、まず「5W1H」を押さえることだ。

 いったい何か?

 これは「When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どんなふうに)したか?」の6つの要素を指す。

 これらの要件を入れてながら記事を書けば(アナウンスすれば)、必要な情報をわかりやすく正確に端的に伝えることができる。

 これは情報を扱う場合の基本の「キ」だ。しかもたくさんあるセオリーのうちのひとつにすぎない。

 腐ってもいわゆるオールドメディアとされる専門機関は、こうしたセオリーを必ず押さえている。そんなレベルの専門知識がある。

 だがこの「5W1H」なんて、ネットユーザは知らない人も多いだろう。

 ただし、だ。

 そのぶんネットユーザは、気質的に既得権益や既成概念に左右されない。

 だからネット上には(一部に)オールドメディアでは絶対に得られない、超ド級の「語られない真実」が混在しているケースがある。

 そんな砂に埋もれた宝石を探し出せれば、収穫はデカい。

 こうした大きい魅力のある媒体が、ネットメディア(SNS)だといえる。

社会正義を気取りながら広告で食う詭弁

 さて、一方のネット(=SNS)は、広告で経営が成り立っている点では、オールドメディアとまったく同じだ。

 ただしこっちはオールドメディアみたいに「俺たちは社会正義だ」なんて顔はしていない。(むしろ、いい意味での「悪漢」だったりする)

 例えばマスコミみたいに正義を気取っていながら、その実、裏では完全に「広告依存」=(大企業などの)既得権益とべったり癒着したナアナア体質なら、確かにやましいだろう。

 だがネット(=SNS)は特定の既成概念や価値観に縛られるところがない。マスコミみたいに正面切って、正義など気取っていない。

 だからそのぶんネットメディアの場合、別にそれが広告で成り立っていよういまいが、誰に文句を言われる筋合いもない。

ネット(SNS)は情報を受け取る側の「自己責任」の世界だ

 加えてネットにおいては情報の送り手側の正確性は(上にも少し書いたが)、よく言われる通り確かに「あいまい」だ。正確とはいえない。

 例えばそれが「意図的か?」 「無意識か?」を問わず、自分でよく事実確認もせずテキトーなことをアバウトに発信してしまうネットユーザも確かに多い。

 そこはもう、逆にこうした情報を「受け取る側」の自己責任の世界だ。

 あとは情報の受け手の側が、しっかり自覚を持ち、自己規制して自分なりにジャッジするしかない。ネット上ではオールドメディアが標榜するような、ある種の「品質保証」なんてない。

 だからそのぶんSNSは、マスコミが絶対にやらない凡ミスをすることもあれば、逆に彼らが決して報じないきわどい真実も平気で伝える。

 忖度なしだ。

 だが(繰り返しになるが)その一方で、どうしたってネットにはヘンなデマや陰謀論も入り混じる。それが実態である。

初期のネットは「課金システム」が議論されたが「広告モデル」に落ち着いた

 おまけに昔のネットには、マスコミみたいな「広告タブー」なんて少なかった。いや、というよりネットにはそもそも「広告モデル」そのものがなかった。

 つまり初期のネットでは今みたいに「広告で収益をあげて採算を取るスタイル」ではなく、ユーザに対する課金方式がもっぱら取り沙汰されていた。新聞でいえば「購読料」に当たる、いわば「サービスの利用料」を取るスタイルだ。

 その流れで確か90年代だったかには、「一体どうやってネットメディアで課金するか?」がしきりに議論されたりした。

 だが今や例えばYouTuberなんて、まさに企業からもらう広告料で成り立っている。いわゆるテレビや雑誌でよく見られるタイアップ方式だ。

 そしてもちろん、日夜、配信するインフルエンサー(YouTuber)たちも、それを「悪いことだ」なんてツユほども思っていない。逆に「おいしい案件だ」と考えている。

 だからマスコミと同様、ネット上にも今では立派に「広告タブー」があると言いえる。これはときには「大きなアキレス腱」になりかねない。

「広告タブー」はメディアにどう影響するか?

 こうしたネットメディアの広告タブーは、ある種、致命的ではある。

 なぜなら本来、「報じるべき正しいこと」が、クライアントタブーのために「報じられなくなる」からだ。

 例えば新型コロナワクチン問題の功罪などは典型である。

 モデルケースとしてレプリコン・ワクチンを手がける明治製菓ファルマが、それを批判する立憲民主党の原口一博議員を提訴する騒ぎになっている。構造的には、ああいうケースが典型だ。

 大企業にとって都合の悪いことは、あんな形で言論封殺される。

 もっともあれは「広告」とは直接関係ないが……例えば、もしワクチン「A」の広告を掲載しクライアントから広告料をもらっている媒体は、もうワクチン「A」の欠陥を指摘したり、「A」に都合の悪い情報を掲載した上で「客観的で公正な批判」すらできなくなる。

 これが深刻な「広告タブー」だ。

 結論としては、オールドメディア、SNS双方ともに今や広告タブーがあるのだから、どっちもどっちだ。

「メディア・リテラシー」が重要になる

 結論としては、ならばネット情報の受け手の側は、しっかり自衛する必要がある。

 ひたすら情報を自分の目で(主観的にでなく)「第三者的」に見て確かめる。で、その都度、真贋を自分で見極めるしかない。

 流れてくる情報をあえて絶えず「批判的」な方向から見ながら、客観的に分析した上で価値判断することが重要だ。

 現代のネット上では、ユーザ個人個人がめいめいそんな「メディア・リテラシー」をしっかり持ち、流されず自分の頭で考えて自衛しなければ生きていけない時代になっている。

 でなければたちまちヘンな陰謀論に足元をすくわれ、取り返しのつかないことになってしまうかもしれないーー。

 現代は、そんなむずかしい時代に差し掛かっている。

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【必見!】元朝日新聞記者の鮫島浩(ジャーナリスト)さんが「正しい財政政策」を言い切る

2024-12-24 23:35:41 | 政治経済
YouTubeチャンネル「鮫島タイムス」が本日、正論を解説した

 元朝日新聞記者でジャーナリストの鮫島浩さんは、ご自身のYouTubeチャンネル「SMEJIMA TIMES」を以下の通り、本日、更新した。

 そのなかで鮫島さんは「政府の大きな財政政策のひとつは、市場にあるマネーの量を調節することだ。唯一、政府はお金を刷って新たに作れる。

 ゆえにマーケットにお金が少ない(例えば)今なら、刷ったマネーで財政支出し積極財政を行なうべきだ。これは政府にしかできない、政府の役割だ」(要旨)などと、本日の配信でハッキリ宣言した。

【財務省のウソ】減税をつぶした「財政収支均衡」の幻想〜税金の役割は財源確保ではない! 自民党税調の宮沢洋一会長「税は理屈の世界。財源問題は切り離せない」への反論
          ✳︎財務省の役割は、経済の「調節弁」になることだ。

政府は市場にあるマネー量を増減し調節するのが正しい

 この配信で鮫島さんは、以下のように語った。(要旨)

「日本市場にお金が欠乏しているときは(=いま現在、日本はこの状態だ)、その際は政府がお金を刷り、財政支出して市場にマネーをマンマンと満たす」

 逆に、「市場にお金があふれているときは、政府が消費増税するなどして市場からおカネを間引く。おカネを減らす。こうして経済を調整する。これが正しい経済財政政策だ。したがって『緊縮財政一辺倒』の財務省はまちがっている」

 そう! 正論だ。それこそが「お金を刷れる政府」にしかできない財政政策であり、こうして経済を調整するのが政府の役割だ。

 ところが日本政府(=財務省)は、それをやらない。

 だから鮫島さんが言い切った。上記のように切り捨てた。

 でも、みんな財務省をこわがって言えないんだ。それを鮫島さんが明言した。

「正しい経済理論」をいう人は日本に数人しかいない

 だが日本では、上記の正しい経済理論をわかっている人がいない。だから言う人も少ない。

 こうした財政理論を理解している(または実際に口に出す勇気ある人・団体は)、少なくとも政党でいえば唯一「れいわ新選組」か、または著作家の三橋貴明さん(YouTubeチャンネル「三橋TV」運営者)、あるいは室伏謙一(室伏政策研究室・代表)さん、藤井聡(京大教授)さん辺りの財政政策を真っ当に理解している数人しか、日本にはいない。

 それを鮫島さんはよくぞ言ってくれた。

 すばらしい。

 よって本コンテンツを拡散します。

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【YouTuber・400%増】テレビで視聴されるユーチューバーは「400%以上」も増えた

2024-12-24 11:17:29 | メディア論
いまやテレビ画面はYouTubeにすっかり占拠されている

 いまのネットユーザーのコア層である10~30代にとって、(以下の弊記事でも触れた通り)生まれたときから当たり前のようにインターネットが存在している。

 だからもちろん彼らは新聞を読まないし、テレビ(=地上波)だって観ない。例えばスマートテレビのように、ネットに繋がったテレビでYouTubeを観るのがいまや常だ。

 そんなわけで今やテレビの画面は、すっかりYouTubeに占拠されている。そんな事情を、以下の過去記事でもちょっと書いた。

「【兵庫案件】今回の現象は「1%(利権者側) vs 99%(庶民)」の争いだ」(すちゃらかな日常 松岡美樹)
https://blog.goo.ne.jp/matsuoka_miki/e/23b2eb97757ab6ca2b124eeebe8699f6

 例えばあのYouTubeが発行する「日本版youtube公式ブログ」の記事「より豊かな YouTube 体験をテレビ画面向けにデザイン」(2024年3月14日付)によれば、昨今ではユーザがテレビでYouTubeを観る1日の総視聴時間は世界中で、なんと「10億時間」を超えている。

 この記事ではそんなユーザの視聴動向に対応するため、YouTubeが「自分自身」をテレビ視聴向けに改良する具体案を推進している様子が説明されている。

旧来のテレビは「文字入力機能」が弱く検索しにくかった

 実は今まで旧来のテレビでYouTubeを観るには、あれこれ不便な点が多かった。そこでこうした最近の視聴動向に合わせ、テレビでより「YouTubeを観やすくする改革」が行われているわけだ。

 例えば我が家のスマートテレビはちょい古く、標準添付の縦長&昔ながらのテレビのリモコンで文字を打たなきゃならない。ゆえに検索性が激しく落ちる。とんでもなく検索しにくくて不便だ。

 ほかにもどこかへログインするため、このリモコン上の文字キーで複雑なIDやらパスワードを打つなんて考えると気が狂いそうになる。

 ところが今どきのチューナーレステレビ等は、キーボードとマウスさえ繋げばPC並に使えるようだ。

 ちなみにワイヤレス&コンパクトでPC並に打ちやすい平面・単体キーボードが標準添付されている最新のテレビって、今ではもうすでに存在するんだろうか?

 あとでちょっと調べてみるつもりだが……もし現状ないなら、ぜひ今後は「テレビでYouTubeを観る層」に向け、そんなキーボードをテレビのメーカーはぜひ開発してほしいものだ。

テレビ経由の収入が大半なユーチューバーは前年比「30%増」に

 さて一方、調査会社「Nielsen Gauge」のデータを元に報じたネットメディア「Gigazine」の記事(2024年9月19日付け)によれば、インターネットに接続した(スマートテレビなどの)「コネクテッドTV」で視聴されるYouTubeの人気は高く、その割合はすでに10.6%を占めている。

 また「YouTubeによれば、テレビからの収入が大半を占めるクリエイター(松岡・注/いわゆるインフルエンサーのようなコンテンツの作り手であるユーチューバー)の数は、前年比で30%増加している」という。

 しかも同サイトによれば、過去3年間でテレビ上で視聴される時間が大半を占めるユーチューバーの数は、なんと「400%以上」も増加している。

 つまり今のネットユーザは、ネットに繋がったテレビでYouTubeを見る層が爆発的に増えているわけだ。

 例えば先日の兵庫県知事選挙の話題が世を賑わす社会現象の裏では、こうしたテレビの視聴スタイルの変化も密接な関係がある。

 例えば斎藤知事を「援護射撃」したN党・立花氏は兵庫県知事選に立候補し、YouTubeで自身の街宣を配信して斎藤知事が再選される最大の立役者になった。

◾️ご参考 【速報・兵庫県知事選】斎藤・前知事が劇的な逆転勝ち 〜「法の抜け穴」を突く巧みな立花氏の「応援・立候補」(すちゃらかな日常 松岡美樹--2024年11月17日付)
https://blog.goo.ne.jp/matsuoka_miki/e/614d1af05e038a8ee3629585a41b0251

 こうした立花氏の映像群は社会的に大ブレイクしたが、おそらく同氏がYouTubeで配信したその多くも視聴者はお茶の間でテレビ画面を通して観たのだろう。

 また同時にスマホの普及・興隆も、岩盤のような存在であることはいうまでもない。立花氏のYouTube配信がスマホで手軽に観られたケースも多いはずだ。

 こうして誰もが能動的な配信者側=ユーチューバーになれるYouTubeの興隆は、今回の兵庫県知事選挙でも大きな役目を担った。

 現に立花氏の「切り抜き動画」は、多くの名もないYouTubeチャンネル主により膨大な量が配信されていた。

16年前に導入された「YouTubeパートナー・プログラム」(YPP)は大盛況だ

 一方、YouTubeではご存知の通り、「YouTubeパートナー・プログラム」(YPP)を16年前に導入している。こやつのウリはチャンネル主・自身のコンテンツに広告が掲載されると、そのユーチューバーにも収益が分配される仕組みだ。

◾️「YouTube パートナー プログラムの概要と利用資格」
https://support.google.com/youtube/answer/72851?hl=ja&co=GENIE.Platform%3DAndroid

 ただし(詳しくは上記のリンク先を精読してほしいが)これに参加するには、審査を受ける必要がある。

 合格する基準はチャンネル登録者数が1,000人以上で、かつ有効な公開動画の総再生時間が直近12か月間で4,000時間以上あること。

 またはチャンネル登録者数が同じく1,000人以上で、かつ有効な公開ショート動画の視聴回数が直近の90日間で1,000万回以上あることだ。

 てなわけでいまや昨日まで単なる市井の人だった一市民が主役になり、この基準をクリアすれば手軽に配信で稼ぐことができるわけだ。

 こうしてYouTubeによる収入で生活が成り立っている人は、もはやかなりの数に上ると見られている。

 目下、そんなYouTube上では「どうすれば動画を(ルールに触れず)削除されなくて済むか? そのノウハウやコツは?」。

 また「視聴者(固定ファン)をつかむには、どんなコンテンツ作りが有効なのか?」などのノウハウ話で持ちきりだ。

 もちろんこの傾向は今後もますます続くだろうし、さらに加速するだろう。

 古めかしい言葉を使えば、「1億総ユーチューバー化」の時代なのだ。

日本はネットが1984年に本格化、2000年のブログ誕生で一般人の「クリエイター化」が一気に進んだ

 もともと発祥をたどれば1969年にアメリカでインターネットが生まれて以来、日本ではそれが1984年から本格化した。そして一般のユーザが発信し、参加できるネットコンテンツはどんどん進化してきた。

 ちなみにこうしたネットの発祥と進化については、小生の以下の著書でも詳しく触れている。

ニッポンの挑戦 インターネットの夜明け』(RBBプレス/オーム社)

 こうしてネットが生まれて以降、次にきた大きな最初の変化はブログの誕生だった。

 2000年頃にブログが登場し、サイトの構築や記事更新が(HTMLタグ等の専門知識がない人にも)すっかりカンタンになり、誰もがみんなブログを開設して「書き手」になったのだ。

 つまりネットユーザの「クリエーター化」の走りがこれだった。

 続いてmixiやX(旧ツイッター)、LINE、Facebook、Instagram、TikTok等が無数に生まれ、SNS(ソーシャルネット・ワーキング・サービス)が花盛りになり、どんどん普及して行った。

 もちろん今回、取り上げたYouTubeもそのトレンド上にある。

 恐らく今後もネットコンテンツの進化は止まらない。オールドメディアをびしびし駆逐していくだろう。

 さて、ではYouTubeの「次」に来るものは、いったい何か? 今後はそんな予測記事も書くつもりでいる。

 なお本ブログでは、相対的にすっかり衰退しつつあるテレビや新聞業界などオールドメディアの「いま」も順次、今後取り上げる予定だ。

 お楽しみに。

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