政界再編は第2幕、第3幕もありえる
いまの政界を眺め渡せば、少なくともすぐ政権交代できるような状況じゃない。だがあの悪夢の自公政権を倒さない限り、少なくとも日本には二度と経済的な繁栄なんて来ない。
もちろんそれだけじゃなく、少子高齢化も解決できないだろう。そもそも彼ら政権側はすでに正常化を諦めているはずだ。
つまりその代案として、外国人を大量に招いて外国人労働者に頼る無茶な解決法を取ろうとしている。
この方向が今後もどんどん進めば、まちがいなくヨーロッパなどで起きている外国人(排斥)問題が日本でも頻発するようになるだろう。
このほか食料自給率の向上も、日本政府はとうの昔に断念している。目下、食料は輸入に頼る綱渡りのような運用が続く。こんな国のままでは、いつ破綻したっておかしくない。
また非正規や派遣など不安定な雇用形態の蔓延で20〜30代のワーキングプア層が拡大し、貧富の格差もますます広がっている。いったい今の日本に「よさ」なんてあるのか? そんな気にさえさせられる。
こうした深刻化する一方のウンザリさせられる諸問題を考えれば、いまの自公政権を倒さない限り絶対に日本の復活なんてあり得ない。
もはやそれは誰の目にも明らかだ。
積極財政派のAチーム vs 緊縮派のBチームに組み替える
だが決定的な問題は、そんな悪夢の自公政権に取って替わる大きな勢力がない点だ。
だから一発で政権交代をやろうにもできない。
なにしろ政権を倒しに行く側のグループが、それぞれみんな小さすぎる。おまけに団結し協力し合うための旗印にすべきイシューも限られる。見渡したところ、「積極財政&減税は是か否か?」の一択くらいに見える。
とすれば幾度かの政界再編劇を繰り返しながら、やがて勢力の離散集合が進んで環境が整って初めて、やっと政権交代が実現すると考えるのが正しい認識だろう。
そこで現時点において、どんな政界再編が考えられるのか? 積極財政・減税というワンテーマのみを設定し、ない頭を振り絞って思案してみた。
するとこの政策のみにこだわれば、以下のような結論が出た。(ただし主要政党だけピックアップした)
【Aチーム】積極財政&減税派の「れいわ新選組と国民民主党、参政党、公明党」
【Bチーム】緊縮財政&増税派の「自民党と立憲民主党、日本維新の会」
いや、まず第1幕に当たるこの2パターンすら、すぐに実現できるかどうかは怪しいのだが……なるべく両チームの数を拮抗させながらイシューだけを揃えるには、こんな感じで組むしかない。
両チームの議員数をもっと近づける調整をするなら、立憲民主党にはAチームに入ってもらいたいところだが……。
しかし旧民主党時代から財務省と関係が深く、消費増税派の野田佳彦代表を戴く立民が積極財政で完全にまとまれるだろうか? やはり疑問が残る。
ちなみに立民は2021年の衆院選と22年の参院選で時限的な消費税減税(5%)を公約に入れたが、24年の衆院選では消費税減税をもう謳わなかった。
その代わり中低所得者向けとして、(仕組みが実にややこしい)所得税の控除と給付を同時にやる「給付付き税額控除」を提唱していた。
なぜいまの日本には積極財政が必須なのか?
さてあらためて問うが、いまの日本がめざすべき最大のテーマはいったい何か?
長く続いたデフレと、その余波で30年間もの不況を経験してきた日本だ。そして今度は挙げ句の果てに、
コストプッシュ・インフレで苦しんでいる状況にある。
加えて今年は団塊の世代がみんな75歳以上になり、恐れていた日本の高齢化がグンと進む「
2025年問題」も言われている。
そんななか、消費が低迷する我が国にいちばん必要な喫緊の課題は、国債発行を前提とし、政府が大胆に財政出動する積極財政であることはいうまでもない。
いま現在の日本経済(市場)はお金が足りない状態だ。消費が致命的に落ち込んでいる。
だから政府が積極的に財政支出し、世の中にマンマンとお金を満たす必要がある。こうして血液のようにマネーを世の中にうまく循環させ、景気を良くすることが前提になる。
そのために消費減税や国民への現金給付、その他公共投資などをバンバン行なう必要がある。こうした経済政策が最優先だ。
もちろん特に左派の人あたりは選択的夫婦別姓など、その他のイシューも同様に重視したいだろう。だが将来的には、自民党からも積極財政派の議員を引き抜きたいのであえて政策に入れてない。
とにかくワンイシューに絞ったほうが、賛同者を集めやすいのだ。
別姓については回を改めて書くかもしれないが、今回はあえて「喫緊の課題」とは言えないと分類した。
(もちろん異論は想定できるし、対する私の持論は最下段の【お詫びと訂正】で少しだけ書いた)
状況に合わせた政策を行うには、イシューごとに優先順位がある。まず経済の立て直しを先にしたい。だから政策をあえて1つに絞り、「大きな塊」を作りやすくした。
すなわち、それだけ今の日本は「緊急事態にある」ということだ。
現在の日本において、政策を選ぶときの優先順位は「その政策で果たして命が救えるのか?」というレベルの致命的な状況下にある、という認識が必要になる。
そうなると、(繰り返しになるが)何よりもまず経済政策が不可欠だ。
では何が緊急事態なのか? 次項で社会状況を説明しよう。
日本は自死と少子高齢化、食糧自給率低下のトリプルパンチだ
いま日本の特に都市部では、派遣など非正規雇用で生活するワーキングプアの10代〜30代の若者たちがひしめいている。
彼らはひどく困窮し、それぞれ孤立しもちろん結婚どころじゃない。だから出会いの機会もない。これは少子化の決定的な原因だ。
かくてそんなギリギリの生活を続けるうち、彼らは自分の経済的な問題や「仕事にやりがいがない」などの精神的ストレスからすっかりメンタルをやられて行く。
そして片っ端からウツ病にかかり、ウツが社会に蔓延する。
ウツ病にかかった人は、まず自分の置かれた状況を正確に把握するための現状認識がおかしくなる。これを精神医学では「認知の歪み」と呼ぶ。ウツの人にきわめて特徴的な症状だ。
そしてその必要もないのに「自分はもう死ぬしかないんだ」などと思い詰める。結果、特に東京の都市部では、そこらじゅうで人がバタバタ自死している。
(では人はなぜ自死するのか? そのメンタル面が実際の行動に及ぼすメカニズムについては、長くなるので回を改め別途、記事にする予定だ)
「闇バイト」に若者が吸い込まれる構造とは?
さて、それでもがんばって働き生き延びているワープアの若者でさえ、困窮する事情は(当たり前だが)変わりない。
一方、いまはインターネットで簡単にお金を借りられる世界でもある。ネットでは盛んに金貸しが宣伝している。
で、やむにやまれず生活費を怪しいところで借金し、返せなくなってその返済のためやがては複数の消費者金融からも借金を重ねる。
借りては別の借財先に返し、を繰り返す自転車操業だ。
その間もひっきりなしに厳しい借金の取り立てで追い詰められ、そのうち「一度だけ」のつもりで今度は闇バイトに手を出す。
最近、不良でも暴力団でもない20〜30代の「ごくふつうの若者」が、闇バイトに吸い込まれていく理由はこれだ。
そして最後には逮捕され、やがて釈放されても、彼らはもはや犯罪を繰り返すだけの「マシン」になってしまうーー。
そんな現状をいったい政府はどう解決するのだろうか?
自公政権はまったく問題を解決する気がない
この深刻かつ構造的な喫緊の課題を(フジテレビ・ネタ報道ばかりの)メディアはほとんど取り上げないし、世間もすっかりスルーしている。とんでもない話だ。
そもそもこれらの諸問題が解決しない限り少子化なんてなくならないし、となれば日本の発展もない。お先、真っ暗である。
だからこそまず「いの一番」に、お金の問題、つまり経済のテコ入れが先決になる。
とすれば、それを実現する布陣を作るため、積極財政を旗印にした政界再編が必要になる。
ひとまずテーマを積極財政だけに絞る理由は、ワンテーマのほうが複数のグループがひとつにまとまりやすいからだ。
現状の勢力分布を見ると、すぐには自公勢力を倒す政権交代を起こせそうにない。だから大きな固まりを作るため、まずワンテーマで対抗軸を作って政界再編を何度も繰り返す。
そうすれば次第に今の状況を解決できる理想の政権ができて行くはずだ。
そこで仮に構想として例えばAチームは、まず一の矢で各グループとも共通の政策として積極財政を掲げる。
それ以降に続く二の矢、三の矢の政策は、ある程度、各グループの独自色を出してもいいかもしれない。
それくらいでなければ、大きくはまとまれないだろう。ただし二の矢以降は、くれぐれも一の矢の趣旨と矛盾しない範囲での政策としておきたい。
もはや国民民主党は石破首相の眼中にない
さて積極財政を最大の公約にするれいわ新選組の場合、少数派だから一回こっきりの政界再編では政権交代を実現できる可能性は低い。
そうなると現状、ひとまず考えられる第1幕の組み合わせは冒頭にあげた通りだ。
そこで大きなポイントは2つある。
まず第1点として、自分たちの数が少ないため国民民主党の協力が必要だと考えた自民党は、ある程度、国民・玉木雄一郎代表に政策を譲る姿勢を見せてきた。
そこへ石破首相と大のお友達である前原誠司・衆議院議員が昨年12月、日本維新の会の共同代表についた。
さあ、渡りに船だ。もはや今となっては、(下手すると)自民党に減税を迫って来かねない国民・玉木代表と無理に組む必要なんてない。維新と組めば数は一定、もう足りるのだから。
しかも増税派で有名な立民の野田代表が、政権取りに色気を見せ始めている。
だが勝負はこれからだ。
また冒頭に挙げた組み合わせを成立させるためには、当然、乗り越えるべき壁は複数ある。
政界再編は、そうカンタンじゃないのだ。例えば変動する可能性がある不確定要素は、おおむね以下の3つだろう。
【その1】公明党が自民中心の政権へ参加して以降、すっかりうまみを吸って来た国交省利権から果たして卒業できるか?
これは彼らがもともと本来志向していた「福祉の党」への復帰を果たせるか? という問題ともニアリー・イコールの関係にある。
政党が利権のうまみを知ってしまったら、それを断ち切るのはなかなかむずかしい。さて、公明党はどうなるだろうか?
【その2】国民・玉木代表は、本気で国債発行や本格的な消費税減税に舵を切れるのか?
玉木代表は昨年の衆議院選挙では票を稼ぐため、「103万円の壁」引き上げだけでなく消費税減税やガソリン減税など、多くの
おいしい政策を提起していた。というか当時の彼の論調では、消費税減税が最も重視する公約のはずだった。
ところが目論見通り高得票を得て、キャスティングボートを握り政権党の自民と交渉できるようになった時点で、もう消費減税なんて足カセにこそなれ追い風にはならない。
で、ズル賢い彼は選挙終了と同時に、すっかり消費減税の話は口にしなくなった。これは彼がこれまで選挙のたびにさんざんやってきたのと同じ手口だ。
だがここに来て、風向きが変わった。維新が自民につきそうなおかげで、国民民主がお払い箱になりそうなのだ。
おそらく石破首相は「103万の壁」なんて、大幅に上げて譲歩することはないだろう。もうそんな必要はないから、あり得ない話だ。
だったら玉木代表は、どっちを向くのか? ここが大きな問題になる。
特にいま、10代後半〜20代の若い「
Z世代」と呼ばれる有権者層の支持票が、加速度的に増えている彼らを取り込む意味は大きい。この政界再編における最大のカギを握る分かれ目だ。
果たして玉木代表はこれまでの対自民・交渉路線から転換し、逆に自民の対抗軸へと変身できるのか?
おそらくそれを決めるのは、玉木代表が選挙前に公約してきた消費税減税は「果たして本気なのか?」にかかっている。
もしその気があるなら、本来の目的を実現できる積極財政派の「Aチーム」に加われるはずだ。
反面、あくまで自民と組む選択をするなら、彼は本気で減税をやる気はないという逆の証明になる。これで玉木氏の挙動不審ぶりに対する結論が出るだろう。
立民の「江田勉強会」=太郎シンパ? はAチームに来るか
さて次の3点目も大きな課題だ。
【その3】立憲民主党にいる「太郎シンパ」の一団は立民を離党し、Aグループに来る勇気があるか?
立民には、消費税減税を唱える「山本太郎シンパ」の議員群がいるとウワサされている。では彼らが本腰を入れて動くのはいつか? これも切実だ。
立民の内情がどうなっているのかよく知らないが……例えば立民の江田憲司・元代表代行が会長になり、昨年12月に時限的な食料品の消費税0%・実現をめざす勉強会「食料品の消費税ゼロ%を実現する会」が立ち上がった。
あそこに集まった約60人が、もしそれら太郎シンパに近いなら勢力として期待は持てるかもしれない。
この「江田勉強会」に集まった議員たちが、まとまって党を飛び出しAグループに加われば大きな力になる。勉強会はどうやら大人数だから、Aグループの主力にもなり得るはずだ。
ちなみに江田氏は以下の通り「消費税減税を野党連携の柱にすべき」と言っているが、さてその真意はどこにあるのだろうか?
『立民 江田元代表代行ら 食料品の消費税0%目指し検討へ』(NHK・2024年12月19日付)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241219/k10014672921000.html『消費減税を野党連携の柱に 立民・江田憲司氏、参院選で』(日経・2025年1月26日付)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA262TU0W5A120C2000000/ 江田氏がいう「野党連携の柱に」の文言が、もし政界再編を起こすにあたりAグループが出す政策の柱にしては? という意味に近いなら大いに賛同できる。
だがその「柱」なる意味が、例えば立民の大きな勢力である自分たちを野党連携の中心にしろ、みたいな夜郎自大な話なら、この動きはしぼんでしまいかねない。
「オレたちを中心に」ではダメなのだ。
なぜなら大きなかたまりを作ろうとするときには、呼びかける側は常に謙虚に自分たちの方から七重の膝を八重に折り、相手に譲るスタンスを取る必要がある。
たがいにそんな譲り合いを繰り返しながら、切磋琢磨して行くのが前提だ。
最大の問題は減税という大義のために、どこまで自分を殺せるか? なのである。
自分を殺せないなら、どだい大同団結などできない。政権交代可能なほどの大きな集団は構築不能だ。
いや、もちろん江田氏がいう柱なる文言が「自分たち」の意味じゃなく、上記の記事にある通り「減税を政策の柱に」という話ならその限りではないが。
紆余曲折しながら政界再編は第2幕、第3幕へ
なお、この再編劇の第1幕には、不確定要素も多い。
例えば(1)「現政権側に長くいた公明党は、まだすぐにはAチームに加わらない」という案件がひとつ。
そして次は(2)「暮らしのための積極財政」とは謳ってはいるが、ただし「責任ある財源論とセットで」(つまり彼らは「税は財源じゃない」ことを理解してないことがわかる)とも唱えている日本共産党は、果たしてAチームに加わるのか? などだ。
もちろんこうした紆余曲折は当然あるだろう。そんな微調整を幾度も繰り返しながら、山あり谷ありで理想の政権作りをめざしてチーム作りが収斂して行く。
その結果、ゴールとして政権交代が結実する。
この種の動きがそんな経緯を辿るだろうことは、ある意味、歴史の必然だ。逆にこの自公政権が未来永劫、変わらず続くのだとすればもう日本は終わる。
もちろんその自民党にも「このままではまずい」と考える積極財政派はいる。今後、Aチームはそちらの方面にも触手を伸ばし、自民からも引き抜いてチームの数を増やしながら政界再編の第2幕、第3幕へと繋げたい。
そして本当の意味で国民を幸せにする政府を作ろう。そのためには諦めず今後も選挙へ行こう。
みなさんも心折れず、そこのところよろしくお願いします。
【お詫びと訂正】
初期の文中で「選択的夫婦別姓は、必ずしも人間の根源的な『飢え』までは救えない」という趣旨の記述をしていたが、この部分を削除し別の表現に変えた。
もし初期状態の表現を不快に感じたり、「こいつ、わかってないなぁ」と思われた方には深くお詫び致します。
実は別姓については、一般家庭や職場など現場の声も過去にあれこれ聞いている。
だから「なぜ(実用的な意味で)夫婦別姓は必要なのか?」、その意味は十分わかっている。(これについては、回を改め記事にするかもしれない)
だからここではひとことで済ますが、一例として結婚した女性が夫の姓に変わる場合、以前の仕事を続けるのがあれこれ不便になるケースも多いのだ。
ただし今回は「政策の優先順位」を示す意味で、夫婦別姓についてはあえて「飢えまでは救えない」と書いた。
だが、やはりそんな私の真意(わざと別姓に否定的な表現をした真意)なんて、わざわざこんなふうに説明しない限り伝わらないだろう。また第一、客観的事実とはいえない部分だってある。
そう考えて今回は、上記の通り記事の本文を一部修正した。
一方、もう一点、修正が箇所がある。積極財政と消費税減税を唱える「Aチーム」のほうに、参政党さんの名前も加えさせて頂いた。
同党の経済政策はもちろん存じていたが、まだ勢力も小さいし今回の第一回・元原稿には加えてなかった。だがやはり志向性は「Aチーム」に近いので加えた。失礼しました。
最近、忙しいせいか謝罪や訂正が重なるが……どうぞ呆れずお付き合いください。
なお、このお詫びと訂正は、外部の第三者などのクレームを受けてのものではありません。あくまで私が自主的に判断した。その旨、どうぞご理解いただきたい。