テーマは本当に「郵政民営化」だったのか?
衆院選で、自民党が単独絶対安定多数を超える296議席を取った。歴史的な勝利だ。小泉さんは「郵政民営化に賛成か反対か」を問う選挙だ、てなシングルイシュー戦略を取った。
だけど自民党に入れた人たちは、ホントに「郵政民営化そのもの」に票を投じたのか? そうじゃないだろう。
「郵政民営化なんてよくわからないが、何か改革をやってくれそうな小泉純一郎という人間」にYESと言ったのだ。
いわば今回の選挙は擬似・大統領選だったのである。
都市部の無党派層が自民党に雪崩を打った
いやはや、もうこの先10年くらい、小泉さんに首相をやってもらえばいいんじゃないの? そんな皮肉が思わず出るくらい、圧倒的な選挙結果が出た。これは歴史の大きな転換点だ。
じゃあ何がどう転換したのか?
まず今回の選挙でいちばん特徴的だったのは、都市部の無党派層が自民党に雪崩を打ったことだ。
これは土井たか子さんを党首にかついだ旧社会党が、1989年の第15回参院選で改選議席の倍以上を取り、マドンナ旋風を巻き起こしたときと同じ構造である。あのとき土井さんは「山は動いた」と言った。
自分の理想に近い人物がトップにいる党に投票する。今回の選挙結果は、この投票行動がハッキリ出た。たぶんもう日本人は、直接選挙(大統領選挙)をやりたいのだろう。
もうひとついえるのは、無党派層が投票すれば山は動くことが、またもや証明されたってことだ。こんなのはもうわかりきってる話である。
だけど今までの旧弊な政治業界は「じゃあどうすればそれが実現できるのか?」に対し、実効性のある答えをまるでもってなかった。だから投票率は長期低落傾向の一途をたどっていた。
今回の結果をマトモに分析できるマトモな政党なら、今後は政治や選挙に無関心な層にアピールするための戦略を、いままで以上に真剣に考えるだろう。そのいちばん有効な手段は、インターネットをフル活用することだ。
政治にネットを使って票を伸ばせ
ネットを使ってるユーザのうち、いちばん大きな比率を占めるのが若い層だ。一方、無党派層や政治にあんまり関心がないのも、若い人たちが圧倒的に多い。
つまり無党派層とネットユーザは、ニアリー・イコールの関係にある。彼らにプレゼンして山を動かすには、インターネットは最強のツールになるはずだ。
今回の選挙結果をふまえれば、政治家はもう「インターネットなんてよくわからん。そんなものを使うようになったら、今までの選挙戦略は通用しない可能性がある。するとオレは当選できないかもしれない。だから反対だ」なんて言ってる場合じゃない。
例えば公示日以降は、政治家が自分のHPやブログの更新をピタリと止める──。まるっきり本末転倒した公職選挙法のそんな拡大解釈は、即刻、やめるべきだ。
家にいながらにして候補者のブログにアクセスしさえすれば、その候補者の日々の行動や政策の変化が手に取るようにわかる。それが毎日毎日、時々刻々と更新される。これがメリットでなければ、いったい何だというのだろうか?
【関連エントリ】
WEB社会であれば、WEBがツールになってゆく道です。
今まだ公職選挙法のしばりがありますが、時代の流れは、WEBツールでしょう。
ブロガーを召集したのも自民党が最初だったわけですから変革は以外に早いのかもしれません。
期待しましょう。
>10年くらい小泉さんに首相をやってもらえばいいんじゃないの?
問題は、小泉首相が来年までで終える、
と発言されていることなんですよねぇ。
>都市部の無党派層が自民党に雪崩を打ったことだ。
一部のうわさでは、「マンガ嫌韓流」が若干動かした、という話が……。
「ほんとかよ……」と思いますけどね(--;
>その候補者の日々の行動や政策の変化
確かにインターネットでアクセスしていろいろな情報を見つけた、という報告はちらほらと見かけました。
とある候補のポスターで、日本ではなく中国や韓国をバックにしているポスターがあった、とか。
すごく情報の流れが大きいですよねぇ。インターネット。
改めてネットのすごさがわかりました。
ほかにも、選挙後であっても、
http://elmundo.cocolog-nifty.com/elmundo/2005/09/post_6f36.html
こういう考えの人がいる、というのもじっくり見て回ることが可能ですし。
それでは、また~。
「ホントに<郵政民営化そのもの>に票を投じたのか? そうじゃないだろう。<何か改革をやってくれそうな小泉純一郎という人間>にYESと言ったのだ。いわば今回の選挙は擬似・大統領選だったのである」
人気投票的色合いという意味ではそうだったかもしれません。大統領制をしく仏、米などではシングルイシュー、あるいは「何かやってくれそうな人間」がどちらかにつき競っているのでしょうか。引き合いに出された土井さんもシングルイシューの選挙でしたが、少なくとも政党としてのスタンスは他の政策分野についても明確すぎるほど明確であった上での選挙であったと記憶しています。
「公示日以降は、政治家が自分のHPやブログの更新をピタリと止める──。まるっきり本末転倒した公職選挙法のこんな拡大解釈は、即刻、やめるべきだ」
同感です。しかし、今回のブロガー動員までこれまでの公選法を死守してきたのは自民だそうです。そして、こうした方面で自民の責任者をつとめてきた世耕議員が、民主党の公示日以降の更新に総務省から警告をださせつつ、ご自分のブログは民主に言われるまで続けておられたとことも一部報じられていたように記憶していますが、間違っていたらお教え下さい。
ちなみに勝手な感想を述べれば、結局小泉さんが旧態依然たる党員・党友のもとを去り、自らを心底支持し、余計な枝葉をとりのぞいた郵政のみのマニフェストでウェブ選挙をやる党を作っていれば一番わかりやすかったんだと思います。しかしそれでは法案を書いてくれる頼みの官僚機構がいない、与党でなければ勝馬に乗る有権者(勿論そうでない方も多くおられたと思いますが)も候補者も集まらない、選挙資金もないという現実感覚をしっかり発揮されたのでしょう。こうしたやりかたに違和感を覚えるのは少数派であるとの感を今回は強くしました。
http://blog.goo.ne.jp/newseko/
公職選挙法は改正すべきですね。小選挙区制の死票による民意の国政への非反映を補充する意味でも改正し、ブログやインターネットを使った選挙活動をすべきと感じます。
街頭演説よりも詳しく候補者とその政策について理解できると思います。
こんにちは。公示日以降、候補者がウェブを使って情報発信できない(ことになっている)のは、公職選挙法の拡大解釈(のしすぎ)だと私は考えます。この拡大解釈は同法の趣旨に照らせば正当性に欠け、無理があると。もちろん選挙関連にネットを使うことにはデメリットもあるでしょうが、メリットとデメリットを量りにかければどちらが重いのか? という問題だと思うんです。
■KMさん
こんにちは。
>>10年くらい小泉さんに首相をやってもらえばいいんじゃないの?
>問題は、小泉首相が来年までで終える、
>と発言されていることなんですよねぇ。
上記の部分だけを引用されると、「私・松岡」が「10年やってほしい」と考えている、と誤読される可能性があります。引用は注意して行ってください。
■死票有権者さん
こんにちは。以下、ご質問にお答えします。
私が「擬似・大統領選」と表現した意味は、いくつかあります。そのひとつが、小泉さんは首相というより強い権限を発動する大統領的なリーダーだな、ということです。土井さんの件に関しては、「この馬に乗れば世の中が変わるな」と感じた人が投票した、という意味でまったく同じだと思います。私はそういう意味で「同じ構造だ」と書いています。それ以外の意味はないです。何か誤解があるかなと感じましたので、補足説明も兼ねて新しいエントリーを立てました。もしよろしければご参照ください。
■MMさん
あー、ほんとだ。総務省の助言を受けた上で書いている、とありますね。
■yaoyaさん
>街頭演説よりも詳しく候補者とその政策について理解できると思います
ですね。なおかつ大きいのは、自分の都合のいい時間に小分けして見られることです。今や新聞とってない人も多いだろうし、たとえば選挙の前日になって急に投票に行く気になる人だっていますよね? そういう人がネットにアクセスしさえすればすぐ情報が得られる、ってすごいメリットだと思います。
>いわば今回の選挙は擬似・大統領選だったのである。
>もうこの先、10年くらい小泉さんに首相をやってもらえばいいんじゃないの? それくらい圧倒的な選挙結果が出た。これは歴史の大きな転換点だ。
つまり私達は、歴史的な選挙に投票した、と……不思議ですねぇ。
それでは、個人的にお伺いしたい(無視していただいてかまいません)のですが、個人的にはどう考えられているのでしょうか?