社会の道義的荒廃を嘆く声は良く聞かれる。2000年前のローマ人も嘆いていたらしい。何で今は昔よりも悪くなったと考えてしまうのか、ハーバード大とコロンビア大の共同チームが研究し論文として発表した。調査結果に拠れば荒廃を感じるのは何も年寄りの専売特許では無く、老若男女思想信条を問わず見られる傾向だったそうである。その理由として報道の不均衡と過去に対する認知バイアスが作用しているとの事である。良いニュースよりも悪いニュースの方が関心を持たれ易いのは確かである。逆に過去の記憶は良い出来事の方が悪い出来事よりも印象に残り易いそうで、その複合的要因によってそう錯覚してしまうのが人の性の様である。事実、人類は終末を迎える事も無く100億人を突破しそうな勢いであり、将来の様々な困難も何だかんだで乗り越えていきそうな気がする。それがバラ色の未来なのかは分からないが、より良い明日を信じるお気楽さも時には有用なのである。