自分で初めてダイコンの油いためを作った。
母の味になっていた。
でもたぶん母には固い。
母は差し歯をおもちゃにして、パニくった私はその時以来
差し歯を取り上げてしまった。
歯がないと食べられないと言われて、ハッとしたが
しばらく使っていなかったので、もう入らない。
それ以来食べられるようにして食べてもらっている。
パリのマンションには老女が3人いた。
年頃は同じくらいだ。
私の隣人も一人住まいの老女。
彼女が同年輩の男性は皆戦死し、
彼女の世代は女が余っているのだと言った。
第一次世界大戦を生きた人の世代かもしれない。
生きていればもう皆110歳にはなっている。
3人ともマドモアゼルだ。
同じ棟ではないがよく会いにいく老女がいた。
私は昔会社で「老人愛護協会の会長」を名乗っていたことがあった。
社内のたいていの役職付きは私のリストにいた。
老人にはなんとなく手を貸したいのだ。
その老女が「昔は入れ歯なんかなかったけど、歯茎で食べられた」と言った。
そういえば母も祖母が歯茎で沢庵を時間をかけて食べていた話をしたことがあった。
鍛えると結構使えないと思ったところが使えるようになる。
途中から盲目になった人はハンディキャップがあるが、
記憶がよくなり、目に代わる器官が発達してくると聞いたことがある。
もう一人の老女とは一度も話したことがない。
一番ボケ(失礼!)が進んでいて、一日中出たり入ったりしていた。
そしていつの間にか見当たらなくなった。
何もできなくても誰でも年だけはとれる。
誰にでも訪れる老化。
今は若くても明日は我が身とずいぶん若いときから思っていた。
今はあまり気にしていない。
ボケたらボケたときのことだ。
母の味になっていた。
でもたぶん母には固い。
母は差し歯をおもちゃにして、パニくった私はその時以来
差し歯を取り上げてしまった。
歯がないと食べられないと言われて、ハッとしたが
しばらく使っていなかったので、もう入らない。
それ以来食べられるようにして食べてもらっている。
パリのマンションには老女が3人いた。
年頃は同じくらいだ。
私の隣人も一人住まいの老女。
彼女が同年輩の男性は皆戦死し、
彼女の世代は女が余っているのだと言った。
第一次世界大戦を生きた人の世代かもしれない。
生きていればもう皆110歳にはなっている。
3人ともマドモアゼルだ。
同じ棟ではないがよく会いにいく老女がいた。
私は昔会社で「老人愛護協会の会長」を名乗っていたことがあった。
社内のたいていの役職付きは私のリストにいた。
老人にはなんとなく手を貸したいのだ。
その老女が「昔は入れ歯なんかなかったけど、歯茎で食べられた」と言った。
そういえば母も祖母が歯茎で沢庵を時間をかけて食べていた話をしたことがあった。
鍛えると結構使えないと思ったところが使えるようになる。
途中から盲目になった人はハンディキャップがあるが、
記憶がよくなり、目に代わる器官が発達してくると聞いたことがある。
もう一人の老女とは一度も話したことがない。
一番ボケ(失礼!)が進んでいて、一日中出たり入ったりしていた。
そしていつの間にか見当たらなくなった。
何もできなくても誰でも年だけはとれる。
誰にでも訪れる老化。
今は若くても明日は我が身とずいぶん若いときから思っていた。
今はあまり気にしていない。
ボケたらボケたときのことだ。