こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

シューベルトの遺作

2008年09月23日 00時13分07秒 | シューベルト
過日、職場の近くの(といってもそんなに近くはないのですが)、BOOKOFFにふらりと寄りましたら、シューベルトの弦楽五重奏曲ハ長調D.956を見つけました。ハーゲン弦楽四重奏団とハインリヒ・シフを加えての演奏でした。早速購入したのですが、その理由は、この曲、それほどのCDがあるわけではないことと、値段がなんと250円だったためです。しかし、250円は安い!BOOKOFFでは、たまにそんな破格の値段で出ていることがあるのがうれしいですね。新品同様でしたよ。
それで、この弦楽五重奏ですが、このCDにも「遺作」と書いてあります。シューベルトの早すぎる晩年、特に死の1年前あたりから残した作品は、死の病との闘いの中のものにしては、たいそう素晴らしいものが多いとよく言われます。それでこの作品にも「遺作」という表記がされているのですが、この表記は、シューベルトの作品にはけっこう目にすることができます。ピアノソナタのD.960、弦楽四重奏のD.887、D.944のグレート、その他にもかなりの数に登ります。遺作とされた尺度は不明ですが、これほど遺作の多い人もたいへんですねえ。まあ、それはともかく、最晩年には、ほんとに素晴らしい曲がたくさん作られているのは揺るぎない事実であり、この弦楽五重奏曲もその代表であります。
しかし、この弦楽五重奏曲、曲想はかなりユニークですよね。特に、後半の2楽章は異様な世界とでもいいましょうか。特に、第3楽章スケルツォ、冒頭から弦のユニゾンによる主題が登場。分厚い強烈さは、この曲が弦楽四重奏ではダメなことを思い知らされます。この演奏、ここにおいて粗野な音づくりで豪快さを感じます。そして一転してトリオでは、深い祈りの音楽。ここでも分厚さがいいです。そして、第4楽章。これもシューベルト独特と言ってしまえば簡単ですが、まあ味わい豊か、かつ少々風変わりな曲であります。ここでもチェロのシフの存在が曲にシンフォニックな表情を与えています。ここまででほぼ40分を越えています。まさにいつ果てるともなく、って感じ。こんな後半に対して、前半は魅力満載のシューベルトの美しい表情ですね。20分にも及ぶ第1楽章は、長すぎる嫌いはありますが、シューベルトの歌がありますし、第2楽章、この楽章も叙情性たっぷり。私的には一番好きですね。ハーゲン四重奏団は、まだ若手のSQですが、この録音は1991年。演奏全体についても、若さを感じられ、シューベルト30才あたりの作品をエネルギッシュに演奏していますね。まあ、もっとねちっこくして欲しいと言うところもありますが、そうなると嫌味が出てくるのも事実です。
250円で、これだけ楽しめれば、もう満足満足。
(DG UCCG-4195 2006年)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« カラヤン、VPOとのブラームス | トップ | 「音のカタログ」とシベリウ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

シューベルト」カテゴリの最新記事