先週、湖東に行ってきました。ずいぶん久しぶりでした。百済寺・金剛輪寺・西明寺の湖東三山に永源寺。紅葉が実に見事でした。お寺を見るのか紅葉を見るのか、なんとも微妙でした。そして彦根城。壮麗な天守が立派。ひこにゃんもいました。安土城、多賀大社、近江八幡にも足を伸ばしました。安土城は、30年前とほとんど変わっていませんねえ。多賀大社は立派な社殿でしたが、閑散としてました。しかし、観光バスが来ると、一遍に賑やかになりますねえ。大変です。
そんなこんなで、今回はシューベルトのピアノ・ソナタであります。過日、いつものように音楽を聴きながら、走っていました。少々疲れ気味のとき、ピアノの曲が流れてきました。あー、いい曲だなあ、と思いながら聴き惚れていました。これは、シューベルトのピアノ・ソナタであることは間違いないが…。第2楽章だが、うーん、これは何番だったっけ、と思いながら、走っていました。美しいピアノの響きが心の中に染み込んできていました。それで、その曲は、ピアノ・ソナタ第13番イ長調D.664の第2楽章でありました。涙が流れそうになりました…笑。
このイ長調のソナタは、シューベルトが22才のとき、1819年7月頃の作品。オーストリアのシュタイアーを訪れ、その滞在中に作曲されたと言われています。この地で18歳のヨゼフィーネ・フォン・コラーと知り合い、彼女が自分のリートを歌ってくれたことに感謝し、ピアノ・ソナタを捧げたのだというのでありました。(しかし、一方では25才のときのものという説もあるそうです)。そして2年前のD.568の変ホ長調の第7番に続くもので、D.613,625,655の三つの未完のソナタがある中で、この曲だけが完成しています。この後、3年半の間、このジャンルから遠ざかることになるのありました。
それはそれとして、このソナタはシューベルトらしい作品ですねえ。メロディーも一度聴いたら忘れられない愛らしいのであります。以前にリヒテルやラドゥ・ルプーの演奏を取り上げました。ルプーのピアノは、今でも一番いいな、と思っています。ピアノの音色もきれいだし、実にいしっとりとした美しさに満ちています。しかし、今回は別の演奏で。シューベルトの真打ちとも言えるか、ウィルヘルム・ケンプのピアノであります。1967年の録音です。
ケンプの演奏は、多少一時代前の演奏の雰囲気を持っています。テンポとかピアノの音色など、1950~60年代の世界でしょうか。ケンプの対してルプーなどは1980~90年代ってとこでしょうかね。ピアノの音は大きく、テンポは少し早め。襟をきちんと正した演奏とでも言うのでしょうか、曲を正面から取り組み、虚心坦懐、正々堂々とシューベルトと向き合い、そこには何ら意図するところもない。そんな自然なピアノなんです。それでいて、何でこんなにいいんだろう、不思議と惹きつけられるものがある演奏なのであります。
第1楽章、冒頭からテンポは速めで、颯爽としたピアノの流れが心地よい。音色も高音は澄んだ明るさであり、低音は安定感に満ちた深みのある響きであります。屈託のない、真っ直ぐの表情はシューベルトの若さも感じさせる。そして左手の演奏が、右手の表情をうまくサポートしています。第2楽章、意外とあっさりとしたピアノ。余分な情感などはほとんど聴くことができない。しかし1:50すぎたあたりで高音でテーマが歌われるところあたりから、ピアノの音色が美しくなり、なだらかなピアノが情感こめて歌い上げる。とはいえ、他の演奏の比べるとあっさりめですねえ。そして、第三楽章。躍動感たっぷりに歌い上げる。テンポはゆったりとしているが、動きは心地よく、腰も落ち着き、旋律もよく歌うところは、非常に気持ちがよいのでありました。
11月も終わりなので、紅葉もそろそろ見納めでしょうか。確かに紅葉もきれいですが、私的には新緑の方が好きなんですよね。紅葉はあとは散るばかりですからねえ。とはいえ、そのきれいさに目を奪われるのも事実であります。
(DG 463 766-2 2000年 輸入盤)
そんなこんなで、今回はシューベルトのピアノ・ソナタであります。過日、いつものように音楽を聴きながら、走っていました。少々疲れ気味のとき、ピアノの曲が流れてきました。あー、いい曲だなあ、と思いながら聴き惚れていました。これは、シューベルトのピアノ・ソナタであることは間違いないが…。第2楽章だが、うーん、これは何番だったっけ、と思いながら、走っていました。美しいピアノの響きが心の中に染み込んできていました。それで、その曲は、ピアノ・ソナタ第13番イ長調D.664の第2楽章でありました。涙が流れそうになりました…笑。
このイ長調のソナタは、シューベルトが22才のとき、1819年7月頃の作品。オーストリアのシュタイアーを訪れ、その滞在中に作曲されたと言われています。この地で18歳のヨゼフィーネ・フォン・コラーと知り合い、彼女が自分のリートを歌ってくれたことに感謝し、ピアノ・ソナタを捧げたのだというのでありました。(しかし、一方では25才のときのものという説もあるそうです)。そして2年前のD.568の変ホ長調の第7番に続くもので、D.613,625,655の三つの未完のソナタがある中で、この曲だけが完成しています。この後、3年半の間、このジャンルから遠ざかることになるのありました。
それはそれとして、このソナタはシューベルトらしい作品ですねえ。メロディーも一度聴いたら忘れられない愛らしいのであります。以前にリヒテルやラドゥ・ルプーの演奏を取り上げました。ルプーのピアノは、今でも一番いいな、と思っています。ピアノの音色もきれいだし、実にいしっとりとした美しさに満ちています。しかし、今回は別の演奏で。シューベルトの真打ちとも言えるか、ウィルヘルム・ケンプのピアノであります。1967年の録音です。
ケンプの演奏は、多少一時代前の演奏の雰囲気を持っています。テンポとかピアノの音色など、1950~60年代の世界でしょうか。ケンプの対してルプーなどは1980~90年代ってとこでしょうかね。ピアノの音は大きく、テンポは少し早め。襟をきちんと正した演奏とでも言うのでしょうか、曲を正面から取り組み、虚心坦懐、正々堂々とシューベルトと向き合い、そこには何ら意図するところもない。そんな自然なピアノなんです。それでいて、何でこんなにいいんだろう、不思議と惹きつけられるものがある演奏なのであります。
第1楽章、冒頭からテンポは速めで、颯爽としたピアノの流れが心地よい。音色も高音は澄んだ明るさであり、低音は安定感に満ちた深みのある響きであります。屈託のない、真っ直ぐの表情はシューベルトの若さも感じさせる。そして左手の演奏が、右手の表情をうまくサポートしています。第2楽章、意外とあっさりとしたピアノ。余分な情感などはほとんど聴くことができない。しかし1:50すぎたあたりで高音でテーマが歌われるところあたりから、ピアノの音色が美しくなり、なだらかなピアノが情感こめて歌い上げる。とはいえ、他の演奏の比べるとあっさりめですねえ。そして、第三楽章。躍動感たっぷりに歌い上げる。テンポはゆったりとしているが、動きは心地よく、腰も落ち着き、旋律もよく歌うところは、非常に気持ちがよいのでありました。
11月も終わりなので、紅葉もそろそろ見納めでしょうか。確かに紅葉もきれいですが、私的には新緑の方が好きなんですよね。紅葉はあとは散るばかりですからねえ。とはいえ、そのきれいさに目を奪われるのも事実であります。
(DG 463 766-2 2000年 輸入盤)
さて、シューベルトのピアノ・ソナタですが、色々持っていても、なかなか聴きません。それは、後期の曲など、長すぎて、飽きてくるのです。美しいメロディと、時折、強いフォルテが出て、それが延々と続くのが、チョットです。その中で、第13番だけは、私も大好きな曲です。とにかく、メロディが美しいですね。リヒテルが好きですが、ケンプもよく聴きます。こういう曲は、テクニックだけでは、どうにもならない曲ですから、ある意味難しいですね。