初回で私は、日朝対談は池上が述べるほど単純なものではなく、
経済制裁と拉致問題だけが話されたものではないと説明した。
今回は、その補足説明として次の記事を紹介したい。
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「会館問題の解決なくして朝・日関係の進展ない」
北京で行われた朝・日政府間会談(3月30~31日)
に参加した朝鮮外務省の宋日昊大使は帰国に先立ち、
「総聯の会館問題は、単純な実務的な問題ではなく、
朝・日関係の進展において基本的な問題であり、この問題の解決なくして
朝・日関係の進展はないというのがわれわれの考えだ」と強調した。
今回の会談でも朝鮮は、
この問題が適切に解決しなければならないと日本側に強く提起した。
違法売却される可能性がある総聯中央会館問題は、
在日朝鮮人の尊厳と生存権に関する問題であり、朝鮮の主権に関する問題でもある。
そのため、朝・日政府間会談でも看過できない懸案となっている。
総聯中央会館は総聯と在日同胞の活動と生活の拠点であり、
朝・日間に国交がない条件下で事実上の朝鮮の外交代表部的な使命を担っている。
総聯と在日朝鮮人に対する日本当局の弾圧の一環として発生した会館問題は、
妥当な司法判断が下されるべきであり、決して違法売却されてはならず、
日本政府が責任をもって解決しなければならない事案だ。
在日朝鮮人は、日本の植民地支配によって生まれた存在であり、
解放後も差別と弾圧を受けてきた被害者だ。
朝・日平壌宣言に沿って過去清算に基づく国交正常化を実現するとの立場を
一貫して堅持してきた朝鮮としては、在日朝鮮人に関する問題は当然、
会談で扱わなければならないテーマとなる。
今回の会談で双方は、今後も会談を継続していくことで合意した。
会談では、両国の利益と人々の利害関係が反映される。
会談が正常に行われて合意が履行され、両国関係が改善したならば、
初めから会館問題が会談で扱われることもなかったはずだ。
今後、会談を継続して関係改善を加速させるためにも、
会館問題は必ず解決されなければならない。
http://chosonsinbo.com/jp/2014/04/20140401riyo-7/
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今年5月にストックホルムで行われた朝・日政府間会談での合意にしたがって、
すべての日本人に対する包括的、全面的調査を実施する特別調査委員会
(委員長=徐大河・朝鮮国防委員会安全担当参事兼国家安全保衛部副部長)
の主要メンバーと日本政府代表団(団長=伊原純一・外務省アジア大洋州局長)
との実務接触が28日、特別調査委員会の庁舎(平壌市中区域)で始まった。
今回の実務接触は、特別調査委員会の活動状況に関して
日本側に直接説明することを目的に朝鮮側が提案し、実現したものだ。
この日の午前9時25分ごろ、徐大河委員長と副委員長らが
同委員会の庁舎に到着した日本政府代表団を迎えた。
徐委員長は冒頭、「みなさんの朝鮮訪問に関して、
日本でさまざまに食い違った主張があることは承知している。
そういった中で平壌を訪れたことは、朝・日平壌宣言にしたがって
ストックホルム合意を履行しようとする日本政府の意思を示す
よい選択だったと考える」と述べた。
この日の接触には、朝鮮側から徐委員長のほか、
副委員長である金明哲・国家安全保衛部参事
(拉致被害者分科、日本人遺骨分科を担当)と朴永植・人民保安部局長
(行方不明者分科責任者、残留日本人および日本人配偶者分科も担当)、
姜成男・国家安全保衛部局長(拉致被害者分科責任者)、
金賢哲・国土環境保護省局長(日本人遺骨分科責任者)、
李虎林・朝鮮赤十字会中央委員会書記長(残留日本人および日本人配偶者分科責任者)
が参加した。
一方、日本政府代表団は外務省、拉致問題対策本部、
警察庁、厚生労働省の担当者らで構成された。
朝鮮側はストックホルム合意にしたがって
7月4日に特別調査委員会の立ち上げを発表した後、
現在まですべての日本人に対する包括的で全面的な調査を実施してきた。
9月末には中国・瀋陽で政府間会談が行われ、
双方がストックホルム合意後の互いの状況について明らかにし、
合意履行に対する立場を再確認した。会談の場で朝鮮側は、
特別調査委員会の活動状況について日本側の当局者が平壌で
朝鮮側の担当者と会って説明を受けることを提案している。
日本政府代表団は27日午後、北京を経由して平壌に到着した。
実務接触は29日まで続く。
http://chosonsinbo.com/jp/2014/10/1028sy/
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つまり、北朝鮮は経済制裁だけでなく、
文字通りの戦後処理を今、日本と行おうとしているのであり、
実際に、国内の日本人の調査について誠意を見せているのである。
その中には在日コリアンの問題も含まれる。
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2014.9.2
朝鮮中央通信は1日、「総聯抹殺策動の結果について熟考すべきだ」と題した論評を配信し、
日本政府の総聯弾圧や朝鮮学校に対する差別的な取り扱いを非難した。
論評は、ジュネーブで行われた
国連人種差別撤廃委員会第85回会議(8月11~29日)で日本政府代表が、
「日本国内の朝鮮学校が政府補助金を受けるためには総聯との関係を断絶すべきだと言った」
と指摘し、
「これは対朝鮮敵対意識に基づく日本の極端な民族差別政策、
総聯抹殺政策の発露であって重大視せざるを得ない」と強調した。
そのうえで、
「日本は、自分らの朝鮮侵略犯罪に対する反省の意味からも当然、
朝鮮学校の教育条件と環境を十分に保障してやらなければならない」し、
「在日朝鮮人学生には日本の学生らと同じ待遇を受けて勉強する権利がある」と指摘した。
論評は、最近、朝鮮と日本の両国間で
関係改善のための多岐にわたる会談が行われていることに言及。
「朝・日友好関係改善のための信頼づくりが
いつよりも切実に求められる時期に、
日本当局が国際舞台で朝鮮の合法的な海外公民団体である
総聯に対して露骨な抹殺企図を標榜したことをどう見るべきか」
と疑問を呈したうえで、
「日本は、時代の流れをはっきり見るべきであり、
朝鮮民族に対してまたもや罪を犯すことになれば、
負うべき責任について熟考すべきだ」とした。
http://chosonsinbo.com/jp/2014/09/0902riyo-3/
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意外に思われるかもしれないが、在日コリアンへの差別に関しては
韓国よりも北朝鮮のほうが真剣に取り組んでいる(少なくとも政府レベルでは)。
池上が述べるように、中国との関係が悪化して金が苦しくなったから
日本から軍事費を分捕ってやろうといった下賤な理由で臨んでいるのではない。
在日コリアンの社会的地位向上も重要な懸案になっているのである。
経済制裁と拉致問題だけが話されたものではないと説明した。
今回は、その補足説明として次の記事を紹介したい。
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「会館問題の解決なくして朝・日関係の進展ない」
北京で行われた朝・日政府間会談(3月30~31日)
に参加した朝鮮外務省の宋日昊大使は帰国に先立ち、
「総聯の会館問題は、単純な実務的な問題ではなく、
朝・日関係の進展において基本的な問題であり、この問題の解決なくして
朝・日関係の進展はないというのがわれわれの考えだ」と強調した。
今回の会談でも朝鮮は、
この問題が適切に解決しなければならないと日本側に強く提起した。
違法売却される可能性がある総聯中央会館問題は、
在日朝鮮人の尊厳と生存権に関する問題であり、朝鮮の主権に関する問題でもある。
そのため、朝・日政府間会談でも看過できない懸案となっている。
総聯中央会館は総聯と在日同胞の活動と生活の拠点であり、
朝・日間に国交がない条件下で事実上の朝鮮の外交代表部的な使命を担っている。
総聯と在日朝鮮人に対する日本当局の弾圧の一環として発生した会館問題は、
妥当な司法判断が下されるべきであり、決して違法売却されてはならず、
日本政府が責任をもって解決しなければならない事案だ。
在日朝鮮人は、日本の植民地支配によって生まれた存在であり、
解放後も差別と弾圧を受けてきた被害者だ。
朝・日平壌宣言に沿って過去清算に基づく国交正常化を実現するとの立場を
一貫して堅持してきた朝鮮としては、在日朝鮮人に関する問題は当然、
会談で扱わなければならないテーマとなる。
今回の会談で双方は、今後も会談を継続していくことで合意した。
会談では、両国の利益と人々の利害関係が反映される。
会談が正常に行われて合意が履行され、両国関係が改善したならば、
初めから会館問題が会談で扱われることもなかったはずだ。
今後、会談を継続して関係改善を加速させるためにも、
会館問題は必ず解決されなければならない。
http://chosonsinbo.com/jp/2014/04/20140401riyo-7/
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今年5月にストックホルムで行われた朝・日政府間会談での合意にしたがって、
すべての日本人に対する包括的、全面的調査を実施する特別調査委員会
(委員長=徐大河・朝鮮国防委員会安全担当参事兼国家安全保衛部副部長)
の主要メンバーと日本政府代表団(団長=伊原純一・外務省アジア大洋州局長)
との実務接触が28日、特別調査委員会の庁舎(平壌市中区域)で始まった。
今回の実務接触は、特別調査委員会の活動状況に関して
日本側に直接説明することを目的に朝鮮側が提案し、実現したものだ。
この日の午前9時25分ごろ、徐大河委員長と副委員長らが
同委員会の庁舎に到着した日本政府代表団を迎えた。
徐委員長は冒頭、「みなさんの朝鮮訪問に関して、
日本でさまざまに食い違った主張があることは承知している。
そういった中で平壌を訪れたことは、朝・日平壌宣言にしたがって
ストックホルム合意を履行しようとする日本政府の意思を示す
よい選択だったと考える」と述べた。
この日の接触には、朝鮮側から徐委員長のほか、
副委員長である金明哲・国家安全保衛部参事
(拉致被害者分科、日本人遺骨分科を担当)と朴永植・人民保安部局長
(行方不明者分科責任者、残留日本人および日本人配偶者分科も担当)、
姜成男・国家安全保衛部局長(拉致被害者分科責任者)、
金賢哲・国土環境保護省局長(日本人遺骨分科責任者)、
李虎林・朝鮮赤十字会中央委員会書記長(残留日本人および日本人配偶者分科責任者)
が参加した。
一方、日本政府代表団は外務省、拉致問題対策本部、
警察庁、厚生労働省の担当者らで構成された。
朝鮮側はストックホルム合意にしたがって
7月4日に特別調査委員会の立ち上げを発表した後、
現在まですべての日本人に対する包括的で全面的な調査を実施してきた。
9月末には中国・瀋陽で政府間会談が行われ、
双方がストックホルム合意後の互いの状況について明らかにし、
合意履行に対する立場を再確認した。会談の場で朝鮮側は、
特別調査委員会の活動状況について日本側の当局者が平壌で
朝鮮側の担当者と会って説明を受けることを提案している。
日本政府代表団は27日午後、北京を経由して平壌に到着した。
実務接触は29日まで続く。
http://chosonsinbo.com/jp/2014/10/1028sy/
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つまり、北朝鮮は経済制裁だけでなく、
文字通りの戦後処理を今、日本と行おうとしているのであり、
実際に、国内の日本人の調査について誠意を見せているのである。
その中には在日コリアンの問題も含まれる。
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2014.9.2
朝鮮中央通信は1日、「総聯抹殺策動の結果について熟考すべきだ」と題した論評を配信し、
日本政府の総聯弾圧や朝鮮学校に対する差別的な取り扱いを非難した。
論評は、ジュネーブで行われた
国連人種差別撤廃委員会第85回会議(8月11~29日)で日本政府代表が、
「日本国内の朝鮮学校が政府補助金を受けるためには総聯との関係を断絶すべきだと言った」
と指摘し、
「これは対朝鮮敵対意識に基づく日本の極端な民族差別政策、
総聯抹殺政策の発露であって重大視せざるを得ない」と強調した。
そのうえで、
「日本は、自分らの朝鮮侵略犯罪に対する反省の意味からも当然、
朝鮮学校の教育条件と環境を十分に保障してやらなければならない」し、
「在日朝鮮人学生には日本の学生らと同じ待遇を受けて勉強する権利がある」と指摘した。
論評は、最近、朝鮮と日本の両国間で
関係改善のための多岐にわたる会談が行われていることに言及。
「朝・日友好関係改善のための信頼づくりが
いつよりも切実に求められる時期に、
日本当局が国際舞台で朝鮮の合法的な海外公民団体である
総聯に対して露骨な抹殺企図を標榜したことをどう見るべきか」
と疑問を呈したうえで、
「日本は、時代の流れをはっきり見るべきであり、
朝鮮民族に対してまたもや罪を犯すことになれば、
負うべき責任について熟考すべきだ」とした。
http://chosonsinbo.com/jp/2014/09/0902riyo-3/
------------------------------------------------------
意外に思われるかもしれないが、在日コリアンへの差別に関しては
韓国よりも北朝鮮のほうが真剣に取り組んでいる(少なくとも政府レベルでは)。
池上が述べるように、中国との関係が悪化して金が苦しくなったから
日本から軍事費を分捕ってやろうといった下賤な理由で臨んでいるのではない。
在日コリアンの社会的地位向上も重要な懸案になっているのである。