時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

プーチンの記者会見

2014-12-19 19:52:01 | リビア・ウクライナ・南米・中東
プーチンがどういうわけだか日本のアンダーグラウンドで妙に人気があるのは、
彼もカストロ同様に、国際情勢を分析し、列強の横暴に抗う気骨があるからだろう。


まぁ、あの強面と元KGBの戦闘力が主な原因だとも思うが……


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ウラジーミル・プーチン大統領は、
10回目を迎えた毎年恒例の大記者会見で、国内外の記者の質問に答えている。
経済、金融、世界情勢の不安を背景として、その発言に注目が集まっている。



経済およびルーブルについて

現状はまず、外部要因に誘発されている。
しかしながらロシアも、計画したこと、行うべきと言及したことの多くを実施できていない。


何よりも、原油価格が変動しており、ガス価格がそれにつられている。

ロシア政府、ロシア連邦中央銀行に聞きたいこともあるが、
全体としてはすべては適切な方法で行われている。

昨日、今日の外貨安とルーブル高がそのまま継続することを期待している。
これはあり得る。そして原油価格が下落し続けることもあり得る。



ロシア経済は現状から脱する。それにどのぐらいの時間を要するだろうか。
もっとも不利な展開で2年。中銀は何も考えずに準備金を放出しようとしているわけではない。


ロシアの総準備高は8兆3000億ルーブル(1410億ドル)。

実質的な非エネルギー事業をロシアで立ち上げることには苦心している。
今のところ、エネルギー部門が大きな利益を出している。働かなくてはならない。

現状は我々を効率化に向かわせる。

確かに、国家の社会的な義務を果たすことはより困難になる。だがそれを行うことは可能。



国際関係について


ベルリンの壁崩壊後、北大西洋条約機構(NATO)が東へと拡大することはないと、
我々は聞いていた。だがそれはすぐに起こった。これも壁ではないのか。


止まることはなかった。それが国際関係の問題である。

西側は自分たちが帝国で、残りの国はすべて属国であり、圧搾しなければならないと考えた。


ウクライナなどの情勢におけるロシアの強硬な姿勢は、
壁を打ち立てる必要などないことを西側に示すもの。

情勢に対するロシアの強硬な姿勢によって、
共通の安全な領域を構築する必要性を西側に感じてもらえるのではないか。


ロシアは何をしても反対され、責められる。
ロシアがいかにしてオリンピックの準備をしたか、思い出してほしい。
オリンピック自体と、その準備への信頼を失墜させようと、
未曾有の結託した試みが行われていた。



ミーシャ(ロシア)が森で子ブタを追いかけるのをやめて、
イチゴやハチミツを食べていたとしても、
ミーシャを鎖でつなぎ、その歯と爪を引き抜こうとする。


シベリア全体がロシアに属しているのは不公正だとまで言われている。

メキシコからテキサス州を奪い取るのは正常だが、
ロシアが自国の領土を管理するのは不公正なのか。

歯と爪のなくなったミーシャは不要になり、カカシにされてしまう。

我々は自分たちを守りたいから、闘って自立する。
さもなければ我々の毛皮が壁にかけられてしまうことになる。


アメリカは新たな可能性の生まれている東側に展開している。

アジア諸国のエネルギー需要は高まっている。
ロシアがそのような転換をあきらめる必要などあるのだろうか。

これについて我々はずっと以前から考えていた。
中国との契約は不利ではなく、ロシアは特恵を選んだ。

これによってロシアは西と東のガスパイプライン・システムを連結することができ、
情勢次第でガスを転進することができるようになる。

これは巨大な建設、税収、生活の活性化である。


トルコについては、我々はそのニーズを知っている。
トルコとギリシャのハブが可能かは、ヨーロッパのパートナーに依存している。
ガスの常時入手が望まれればハブになり、望まれなければハブにならない。

ロシアほど安く、信頼のおける供給は存在しない。



ウクライナ情勢について

ロシアでは大統領にすべての責任がある。
軍人については、その運命の責任を負うのは最高総司令官。それは同一人物である。


ウクライナなどでの戦闘行為に、
心の叫びから参加する人のすべてが、お金とは関係なく参加している。

ウクライナ政府の行動を懲罰作戦と認識している。

義勇兵がキエフを攻撃したわけではない。

クーデターの後、キエフは反対者と政治対話を行うかわりに、
警察、軍隊、経済封鎖を使った。我々はこれを無益、有害と考えている。


統一された政治領域が復活するまで、
仲介役になり、政治対話を支援する用意が我々にはある。


全員対全員[ウクライナ東部とキエフの間の捕虜交換]を実施する必要があると考えている。
しかし、現実はもっと複雑である。


ウクライナが平和と領土の一体性の復元を望むのならば、
ウクライナの特定の地域に住む人々を尊重し、それらの人々と政治対話を行わなければならない。






反政府派と「第5列」について


我々の社会を分割ではなく、団結させたい。
分割が起こったのなら、私は発言においてより慎重になるべきであろうが、
自分の意見を率直に述べる必要もある。境界はかなり微妙だ。

どこで反政府派が終わり、どこで第5列が始まるのか、科学的に定めることは難しい。


誰もがレールモントフの「さようなら、汚れたロシア」を覚えている。
レールモントフは反政府派だったのだろうか。当然そうである。

「詩人の死」を書いた時、レールモントフの親戚は詩の表現をやわらげるよう頼んだ。
だが本人はそれどころか、さらに厳しい表現にした。
反政府派であったが、愛国者でもあった。紙一重である。

勇敢な将校で、銃弾の下をくぐり抜けた。

だが反政府派と第5列の境界は内なるものである。
反政府派は最後まで母国の利益のために戦う。
第5列は他国の利益によって示されたことを行う。



ホドルコフスキー氏について

恩赦を決定した時、ホドルコフスキー氏の政治活動の意向については考えなかった。
これは彼の問題だから好きに働けばよい。


私の決定は人道的なもの。ホドルコフスキー氏の母親は病気だ。
本人は服役の大部分を終えた。私は後悔などしていないし、正しいことを行ったと思う。



ロシアとグルジアの関係について


サアカシュヴィリ大統領(当時)には軍事行動を始めないようくぎを刺していたが、
始めてしまった。1919年のことを誰もが知っている。グルジアが
独立国家の創設を宣言した時に困難なできごとが起こった。すべて同じだ。


致命的な不幸すべてにおいて、ロシアが悪い、ロシアが挑発していると非難される。
だがロシアは挑発などしていない。ロシアはこれらの共和国の独立を認めた。



オリンピックとサッカーW杯について

オリンピックの準備および実施の際に成し遂げたかったことをすべて成し遂げた。
勝利に沸いたのだから、それ以上である。

レクリエーションと健康増進の24時間センターが創設されたが、
競技、児童スポーツが行われ、アイスホッケー・チームがあらわれ、
ファンが大勢いて、満員になっている。

多くの国が競技をやめているが、人々にはウォッカを飲むのではなく、
スケート靴をはいてほしい。子どもにサッカーをしてもらうために、
ロシアにはサッカー・ワールドカップが必要。これはロシア発展の誘因になる。



プライベートな生活について


知り合いに恋愛しているかと聞かれた。すべてうまくいっているので心配は無用。
リュドミラ(元夫人)とは友人関係にあり、会ったりしている。

自分の給与については知らない。私は退屈していないから、心配しないでほしい。
必要なことを行い、仕事をこなすだけ。

http://jp.rbth.com/politics/2014/12/18/1_51513.html
http://jp.rbth.com/politics/2014/12/18/2_51515.html

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国際関係とウクライナ問題については、特に読む必要があるだろう。


この会見およびルーブル安を利用して日本のメディアは、
プーチン大統領の支持率低下を結論付けようとしている。



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ロシアの通貨ルーブルは16日に急落、本格的な通貨危機の様相を呈してきた。

ルーブルがこのまま下げ止まらなければプーチン大統領の指導力に疑問符がつき、
「帝国崩壊」が現実味を帯びてくるかもしれない


底なしの原油価格下落、リセッション懸念もささやかれる景気、
ウクライナ危機を受けた欧米の制裁を背景に、ルーブルは下値を切り下げてきた。

中銀は政策金利を17%までいきなり引き上げるという緊急利上げに打って出たが、
ルーブル下落を食い止めることはできなかった。


プーチン大統領は、ルーブル急落の「犯人」は投機筋と西側諸国だと断定。
大統領報道官は「感情と投機的なムード」が原因と述べた。

ルーブル相場 は16日、米ドルに対して約11%下落しており、
1998年のロシア財政危機以来の大幅な下げを記録した。
今週に入って20%下落、年初来では50%以上も下落している。


通貨危機は何を意味するのか。経済にとっては、金利の上昇で成長がさらに鈍化し、
来年はリセッションが一段と進むことが見込まれる、ということだ。

企業にとっては、不透明感が強まり、資金調達が難しくなることを意味する。
そして、中央銀行にとっては信頼感の危機だ。

プーチン大統領にとっては、国民がこれまで大統領を支持してきた理由、
つまり金融の安定と繁栄が失われることを意味する。
欧米との関係が冷え込むなか、頭痛の種がこれ以上増えるのは避けたいところだ。


スピロ・ソブリン・ストラテジーのマネジングディレクター、ニコラス・スピロ氏は、
ロイターに対して「プーチン氏はこれまで、原油価格の上昇を背景として、
権力を欲しいままにしてきた。経済が今後、政局にマイナスの影響を及ぼし始めることに、
疑問の余地はない」と指摘。
政権の持続可能性が揺らぎ始めるのではないか」ともしている。


今年3月のクリミア編入以来、プーチン大統領の支持率は80%を超えている。
政敵を次々と排斥した結果、政権を脅かすような目立ったライバルはおらず、
巨大国営企業の大半は大統領の側近の掌中にある。


<国民にパニックの兆候なし>

ロシア国民の間にパニックの兆しはない。

国民の主な情報源である国営メディアは事実上、
プーチン大統領の傀儡(かいらい)であり
、ルーブル急落についても、
投機筋と西側の攻撃だと報じているからだ。


1998年の財政危機時の混乱とは異なり、
16日朝方も両替所に行列はできず、食料を買い占める動きもない。デモも発生していない。


ただ、ルーブル安と景気悪化への不満は今後、大都市の中間層の間に徐々に広がり、
大統領の支持基盤の地方にも波及する可能性がある


世論調査機関レバダ・センターのレフ・グトコフ所長は、
電話で「大統領への支持は1年半から2年ほどは持つだろうが、
来年の春ごろには、不満の最初の兆候が見られ始めるかもしれない」と述べた。


エリツィン元大統領は財政危機後に辞任に追い込まれている。
ゴルバチョフ元ソ連大統領は経済難をきっかけに権力基盤が揺らいだ。

プーチン大統領は「先輩諸氏」の運命に思いをはせているのかもしれない

http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPL3N0U126M20141217
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北朝鮮や中国へ対する報道とまったく同じ。


ろくに調べもせず、反体制派あるいは欧米の「識者」のコメントを載せ、
「かもしれない」「ではないか」のオンパレード。



北朝鮮は「まもなく」滅びる、中国も「じきに」バブルがはじけるとまぁ、
とにかく悪しざまに言うのが目的で分析が置き去りにされている。


こいつらがこの数年間でどれほど外しているのかを
説明するだけで、1冊の本になると思う。


こういう場合、俗にいう東側のメディアを見て、相対的に判断しなければならならい。

まず、ルーブル安についてはロシアNOWを読むのが一番手っ取り早い。
ロシアNOWはロシア政府の発行紙であり、日本メディアいわく
プーチン大統領の傀儡メディアらしいのだが、ウクライナ問題についても
与党と反する意見を述べていたりして、一概にそうとは言えないものになっている。


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ロシアのプーチン大統領は、
オフショアからの資本の還流に対する大規模な「恩赦」や
中小企業に対する税の「休暇」を提案したが、専門家らは、
それらの提案の一部はやや遅きに失した感があるとみなしている。

http://jp.rbth.com/business/2014/12/08/51361.html
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大体、ロシアにもインターネットはあり、
しかもアメリカの企業によって管理されているのが問題視されているのに、
どういう理屈でロシア人が国営メディアを情報源にしていると言えるのか。


北朝鮮報道とロシア報道に共通するのが、
一昔前の状況が今も変わらず続いているに違いないという思い込みである。


どちらも90年代の状況から進歩していないかのように伝えられている。

こういう偏見が混じった情報が多いがために、
国際情勢を知るには、あえて非欧米のメディアにも接近する必要があるだろう。

たとえば、イランのニュースサイト。


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最近行われた世論調査の結果、経済問題やアメリカの対ロシア制裁にもかかわらず、
ロシア人のプーチン大統領への支持率は低下していないことが明らかになりました。


AP通信とシカゴ大学のアメリカ国立世論調査センターが
共同で行った世論調査によりますと、ロシア人の80%以上が
今もプーチン大統領を支持しているということです。

この世論調査は、11月22日から12月7日まで行われたもので、
81%がプーチン大統領の大統領としての業績を確実に、またやや認める、としています。

この世論調査の数字は、2012年の同様の調査と比べて、20%以上増えています。

さらに、同時期に行われたロシアの非政府系の社会調査機関レバダの世論調査の結果、
74%がプーチン大統領を支持していることがわかっています。

アナリストによれば、ロシアの人々はプーチン大統領を国の救世主と見ている、
ということです。

アメリカとEUはロシア政府を、
ウクライナ東部の危機に介入していると非難し、制裁を行使しています。

西側はロシアをウクライナ東部の親ロシア派を支持していると非難しており、
ロシアの介入はウクライナや地域諸国の治安を脅かすものだとしています。

一方でロシアはこの主張を強く否定しています。

先頃ロシアの通貨ルーブルが対ドルで下落したにもかかわらず、
プーチン大統領の支持率は依然として高いままです。


http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/
50630-%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E4%BA%BA%E3%81%A
E%E5%8D%8A%E6%95%B0%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%8
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このように、いわゆる東側のメディアとの情報を比較して、
情報を自分なりに目利きしていかなければならない。


こういう技術は、学校では教えてくれないが、
例えば、藤永茂氏の「私の闇の奥」などの主流メディアとは
別視点で国際情勢を眺めている情報サイトなどが参考になるだろう。

ギリシアでも左派陣営が台頭中

2014-12-19 19:01:56 | 国際政治
今のEUの状況というのは、なかなか凄いもので、
特にイタリアやギリシアなどの南欧においては、資金援助の条件として
新自由主義的な政策(増税や解雇促進、社会保障費の削減)が提示されている。


当然、現地の国民の生活を破壊するこの政策によって、
ギリシアやイタリアでは今、本当に悲惨な目に逢っている。


この言わば、EU内での小植民地において、今、左派陣営が台頭している。


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【パリ=島崎桂】ギリシャ議会(定数300、一院制)は
17日、大統領選出に向けた第1回投票を行い、
与党が擁立した候補者の大統領就任を否決しました。

残る2回の投票でも否決した場合、憲法の規定により議会は解散。

次期総選挙では、緊縮政策の見直しを掲げる最大野党、
急進左翼連合(シリザ)への政権交代が有力視されており、
現政権の緊縮路線に終止符が打たれる可能性があります。

 
サマラス首相率いる連立与党は、大統領候補としてディマス元欧州委員を擁立。

採決では賛成160、反対135、棄権5となり、選出条件の賛成200票を下回りました。
計155議席を有する与党への上積み票は5票にとどまりました。


第2回投票は23日に今回と同じ条件で行われ、それでも決まらない場合、
29日の第3回投票では必要賛成票が180票に引き下げられます。



欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の3機関は
2010年以来、欧州債務危機の震源地となったギリシャに対し、
総額2400億ユーロ(約35兆円)の金融支援を実施。

ギリシャ政府は支援条件として課された増税や、
社会保障費と公務員の大規模削減など過酷な緊縮策を進めてきました。




結果、失業率はEU内で最大に達し、貧困を背景とした自殺者も急増。
先月末には、今年2度目となるゼネストが実施されるなど、国民の怒りが高まっています。


最近の世論調査では、約35%の国民がシリザを支持。
単独で連立与党の合計(約30%)を上回っています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-19/2014121907_02_1.html
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※例によって、また私のいい加減な試訳。
 気になる人は、辞書を使って自分なりに訳してほしい。
 一応、全体の意味は間違っていないと思う。


Some 40,000 protesters took to the streets of Rome on Friday,
4万の抗議者が金曜日にローマの街路を占拠した。
as Italy was gripped by protests against Prime Minister Matteo Renzi's reforms.
その時、イタリア全土で、抗議者がマテオ・レンチ首相の改革に反対して占拠を行っていた。
Demonstrations turned violent in Milan and Turin as protesters clashed with police.
ミランやツリンではデモが暴力に変わり、抗議者は警察と衝突している。
A general strike called by CGIL and UIL, two of Italy’s major trade unions,
全体のストライキはCGILとUILによって呼びかけられた。両者はイタリアの主要な労働組合で、
prompted huge rallies in over 50 cities nationwide.
同ストライキでは国全体(50以上の都市)において大行進が行われた。

The unions have denounced government reforms,
組合は政府の改革を非難している。
claiming they pose a threat to job security.
政府は雇用保護に脅威を与えていると彼らは述べる。
Strikers believe the burden of reform is being placed unfairly on workers.
ストライキの参加者は改革の負担は労働者に不公平に課せられると考えている。
"We want jobs and you can't create jobs by cutting the rights of the workers.
「私たちは仕事を望んでいますが、
 労働者の権利を切り取られては雇用は創出できないのです。
We want to reclaim our rights, we want democracy,
 我々は権利の復活を望んでいます。奪われた民主主義が
which they are stealing, together with the dignity of the Italian people
 イタリア国民や労働者の尊厳と共に復権されることを。」
and the workers," a protestor told ABC.
 このように抗議者はABCに話している。

http://rt.com/news/214043-italy-mass-general-strike/
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安倍のファシズムっぷりは多くの人が述べているが、
なかなかどうしてアメリカやEU(つまりNATO陣営)もえげつない。



私たちは冷静に情報収集をして、世界を色分けしてみることが必要だ。

すると、なぜか途上国が損をし、先進国が得をするシステムになっていることが
わかるだろう。この新自由主義という政治・経済システムは世界規模では、
先進諸国に有利な経済・政治体制を築き、国内では権力者が民衆を搾取する
ようになっている。これを隠ぺいするために小国家やマイノリティが
スケープ・ゴートにされている。


だが、このシステムはガタが来ているらしく、
「いい加減にしろ」という声が近年、彼らのおひざ元から聞こえてきている。

スコットランドしかり、イタリアしかり、
ギリシアしかり、ウクライナしかり、そして沖縄しかり。


こういう内部からの蜂起に着目しながらニュースを追うのも面白かろう。

米国、キューバと国交正常化を表明する

2014-12-19 18:33:38 | リビア・ウクライナ・南米・中東
まさかフィデル・カストロ氏の存命中に国交が回復するとは思わなかった。

これが吉と出るか、凶と出るか。思い切ったことをしたと思う。

以下、赤旗の記事を引用する。

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【ニューヨーク=島田峰隆】

オバマ米大統領は17日正午(日本時間18日午前2時)、
ホワイトハウスで国民向けに演説し、1961年から
国交を断絶しているキューバと国交正常化交渉を始めると発表しました。

今後数カ月のうちにキューバの首都ハバナに大使館を設置するとしています。


キューバの体制転換を狙って
半世紀以上続けてきた米国の敵視政策が破綻したことを示すとともに、
米国の対キューバ政策の歴史的な転換となります。


オバマ氏は「時代遅れの手法を終わらせ、キューバとの関係正常化を始める」と表明。
「この50年が示したのは、孤立させる政策が機能しなかったということだ」
と米国の政策の誤りを認めました。



ホワイトハウスによると、両国政府間の高官交流を近く開始します。
さらに▽キューバのテロ支援国家指定の見直し
▽キューバへの渡航や送金の緩和▽米製品の輸出を一部の分野について容認
―などを行います。


キューバのラウル・カストロ国家評議会議長も17日、
国民向け演説で「米国と外交関係の再構築に合意した」と発表しました。

同時に、米国による対キューバ経済封鎖の解除を求めました。


オバマ、カストロ両氏は16日、電話会談しました。
また発表に先立ち、キューバ政府は2009年から拘束していた米国人と、
20年近く拘束していた米情報機関員を釈放。

米政府はキューバの情報機関員3人を釈放しました。


報道によると、米国はカナダ政府やバチカンの協力を得て
1年半にわたりキューバと水面下で交渉を続けてきました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-19/2014121901_02_1.html
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米政府は親米政権を倒した1959年のキューバ革命を受けて
61年1月に国交断絶を通告。62年からは政権崩壊を狙って経済封鎖を続けています

同年には米国のイニシアチブでキューバを米州機構(OAS)の資格停止処分とし、
94年から米国主導で始めた米州サミットから排除してきました。


しかし体制の違いを理由にした一方的な敵視政策は、
主権平等や内政不干渉を定めた国連憲章や国際法に違反するとして、
世界から批判されています。


国連総会は92年から毎年、対キューバ経済封鎖の解除を求める
決議案を圧倒的多数の賛成で採択。今年も国連加盟国の97%が賛成し、
反対は米国とイスラエルだけでした。


また中南米諸国は、キューバを米州サミットへ参加させるよう何度も求めてきました。
中米パナマで来春開かれるサミットで、米国がまたもやキューバを排除するなら、
もはや出席しないと表明する政権も出ており、
サミットの開催そのものが危ぶまれる状況が生まれていました。



米国内でもキューバとの断交状態の継続は不利益だという認識が強まっています。

ロイター通信が7~10月に米国民を対象に行った世論調査では、
43%がキューバとの外交関係確立に賛成し、反対は20%を下回りました。

米紙ニューヨーク・タイムズは今年10月から
「キューバ 新しい始まり」と題する社説を連続して掲載し、
オバマ政権に関係正常化の決断を促しています。

オバマ氏は2009年4月、
「今後は(中南米諸国と)平等なパートナーを追求すると約束する」と表明。

中南米諸国は、米国が対キューバ敵視政策を改めるかどうかを、
対等な関係を実現する重要な試金石の一つとしてみてきました。


対キューバ経済封鎖の解除は議会の承認が必要であり、
容易に実現するかは予断を許しません。


しかし大統領が敵視政策の誤りを認め、国交正常化の開始を表明したことは、
中南米諸国全体と新たな関係を発展させる可能性を切り開くものといえます。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-19/2014121903_01_1.html

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「50年以上の失敗」

米国は59年のキューバ革命によって
米国いいなりのバティスタ独裁政権が打倒された後、
61年に国交断絶を通告して武力侵攻(ピッグス湾事件)まで引き起こし、
翌62年からは対キューバ全面禁輸に踏み切りました。96年以降は、
キューバと交易する第三国の企業への制裁を可能にする
国際法無視の封鎖強化策も実施しています。



国連総会は今年10月、米国による対キューバ経済封鎖の解除を求める決議案を
賛成188、反対2、棄権3の圧倒的賛成多数で採択しました。23年連続の採択です。


米国の敵視政策による米州機構(OAS)からのキューバの資格停止処分(62年)は、
保守政権を含む中南米諸国の強い要求を受け、すでに撤回に追い込まれています。

来年4月に開かれる米州首脳会議には、
議長国パナマなどの尽力で、キューバも参加する見通しです。


今日の世界では、対等、平等、内政不干渉、
異なる社会制度の国々の平和共存は国際社会の大原則です。



米国はこの原則に立って、国交正常化にとどまらず、
キューバを国際社会の一員として認め経済封鎖の解除を求める
国際社会の声に真摯(しんし)に耳を傾けるべきです。


オバマ大統領は声明で、
「キューバの崩壊は米国の利益にとってもキューバ国民にも役立たない」とのべるとともに、
イラク侵略などが引き起こした混乱の反省を示唆しつつ、
混乱のない方が「諸国は永続的な進化を享受しやすい」と強調しています。


同時にオバマ大統領は
50年以上にわたる対キューバ政策を「失敗した時代おくれの政策」と認めつつも、
「関与を通じてわれわれの価値観を促進する」意図をあらためて明確にしています。

それは、キューバの「民主化」という「善意」は
正しかったとする言明にあらわれています。


人権と自由の拡大は各国が取り組むべき課題ですが、
米国は、キューバの未来はキューバ国民が決めるという原則を正面から認めるべきです。

ラウル・カストロ議長も、主権の平等と民族自決権の原則に立って
対話する用意があることをあらためて強調しています。

同議長はまた、国交正常化は
「もっとも重要な問題が解決したことを意味しない」として、
当然にも経済封鎖の解除を求めました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-19/2014121901_05_1.html

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注意深く読むと、作戦変更したに過ぎず、
キューバを「民主化」させようとする企み自体は撤回していないことがわかる。


イラクしかり、アフガンしかり、リビアしかり、ベトナムしかり。

アメリカが、ある国家体制を転覆させる時には決まって「民主化」が叫ばれた。

実際には、アメリカの利益に基づいて保護国化させるのが目的だったのは言うまでもない。

仮にキューバに有利に動けば、国交正常化はキューバの経済発展に貢献するだろう。
逆にアメリカに有利に動けば、国交正常化は経済侵略の隠れ蓑に過ぎなくなるだろう。


いずれにせよ、重要なのはキューバが主導権を握ることだと思われる。



・追記
キューバは権国家だという言葉がよく叫ばれるが、実際にはそうではない。


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チェ・ゲバラの長女でキューバの小児科医のアレイダ・ゲバラは、
キューバ親善大使としても、国際的によく知られた人です。

日本にも何度か来て、東北の罹災地を視察し、
広島など各地を訪れて講演をしています。

この11月から12月にかけては英国を訪問して、幾つか講演をしたようです。

11月29日(土)にはロンドンのコングレス・ハウスという場所で、
“Latin America 2014”という集会が催され、彼女はそこで
キューバについての講演を二つしました。

これで10回目となる集会の主要な目的は、
キューバという国に対する国際的な理解と支持を高めることにありますが、
「キューバは来るべき世界のモデルとなりうる」というのが
アレイダ・ゲバラの講演の主要メッセージだと思われます。

その可能性、現実味を端的に示した最近の事例は、
西部アフリカでのエボラ出血熱の伝染に対するキューバの反応でした。


このLibya360°の記事によると、15,000 人の保健医療関係のキューバ人が、
今回、進んで西部アフリカ行きを志願したようで、アレイダさんもその一人でした。

結局、選抜された数百人がまずエボラ熱の伝染地帯に送り込まれましたが、
彼らは自らを感染の危険に晒して、住民の中に入り込んで行きました。

これが他の国々からの派遣団員と際立って異なる点でした。


すでにボリビア、メキシコ、ニクアラガでエボラ対策要員の訓練を開始しており、
キューバでエボラ熱に関する学会を主催して、これには米国の医師たちも参加しました。

実は、今回は、これまでと違って、世界保健機関(WHO)の側から
直接キューバにエボラ危機対処への出動要請がありました。

現在、キューバから派遣されて国外66カ国で働いている保健医療関係要員の数は、
ベネズエラに11,000人、アフリカに4,000人など総計50,731人、
“しかし、数は重要でない。大事なのは彼らがあげている成果だ。
幼児死亡率は確実に下がっている。これこそ重要だ”とアレイダさんは強調します。

http://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/a7d17d94b05cb72fdb6abab99151ae57
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革命の志士、チェ・ゲバラが医者だったこと、
カストロがとてつもないインテリであることもあってか、
キューバは医療と教育に力を入れた国家へと発展していった。


もちろん、外貨獲得という経済的理由もあるし、
設備の老朽化と薬不足という実際の問題も山積みであるようで、
病気の治療というより、病気の予防に力点を置いているようだ。



カストロのアメリカや新自由主義に対する演説文は、
アメリカ研究に身を置く人間には、ぜひ読んでほしい。


イラク戦争を全面的に支持する学者が
国際政治学やアメリカ研究の権威になっている今の日本では特に。


こぶし書房から出版されている『同市諸君!』などは
もっとも購入しやすい文献の1つだと思われる(後は結構高い)



・追記2


「今日の世界では、対等、平等、内政不干渉、
 異なる社会制度の国々の平和共存は国際社会の大原則です。」


この原則がどれだけリビアやシリア、ウクライナ、イラン、北朝鮮で
無視されてきたか……言うまでもない。


かつてキリスト教国家は、南米やアフリカの諸国家を「野蛮」とみなし、
キリスト教による「文明化」を口実に侵略、植民地・属国化してきた。


今、EUやアメリカが行っているのも、この文明化政策となんら変わらない。

このたくらみによって滅んだ国もあれば、まだ生きている国もある。


アジア・アフリカ・中東・東欧・南米。

いわゆる非欧米諸国に対する列強の干渉政策は終わっていない。

[朗報] 元朝日新聞記者、来期も北星学園で雇用決定

2014-12-19 00:30:19 | 歴史全般
元朝日新聞記者である植村隆氏が来期も大学で雇用されることになった。

産経新聞の悔しがる姿が目に浮かぶようだが、
それはどうでもいいとして、私が気になったのは、朝日新聞の報道の仕方だ。


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慰安婦問題の記事を書いた元朝日新聞記者、
植村隆氏(56)が勤める北星学園大(札幌市厚別区)は17日、
植村氏との非常勤講師の契約を来年度も継続することを発表した。


植村氏はすでに更新を打診され、受け入れる意向だという。



北星学園大には3月以降、植村氏が朝日新聞記者時代に書いた
慰安婦問題をめぐる記事は捏造(ねつぞう)などとする電話やメールが相次いだ。


5月と7月には植村氏の退職を要求し、
応じなければ学生を傷つけるとする脅迫文も届いた。

10月には、大学に脅迫電話をかけたとして60代の男が威力業務妨害容疑で逮捕された。


この日、記者会見に臨んだ田村信一学長は
「我々だけが先頭に立って戦い続けるのは限界があるとの認識だったが、
 行政を含めた様々な社会の支援が出てきたことから雇用継続を決めた」と述べた。


最終的な判断は、会見に同席した大学を運営する
学校法人「北星学園」の大山綱夫理事長と話し合って決めたという。



田村学長は10月末、学生の安全確保のための警備強化で財政負担が増えることや、
抗議電話などの対応で教職員が疲弊していることなどを理由に、
個人的な考えとして、植村氏との契約を更新しない意向を示していた。

しかし、その後の学内での議論では学長の方針に反対する意見が相次いだ。

中島岳志・北海道大准教授や、作家の池澤夏樹さんら
千人以上が呼びかけ人や賛同者に名を連ねた「負けるな北星!の会」が発足するなど、
学外でも大学や植村氏を支援する輪が広がりをみせた。


田村学長は当初の考えとは違った結論になったことについて、
「380人の弁護士が脅迫文が届いた事件について刑事告発したり、
文部科学大臣が大学を後押しするような発言をしてくれたりしたことが大きかった
」と話した。


一方で、田村学長は
「支援の輪は大きくなりつつあるが、まだ現場の教職員も不安を抱えている。
それでもキリスト教による建学の理念に立ち返って前に進もうと決めた」
と苦しい胸の内を明かし
、文科省や道警、弁護士らと連携して
大学の安全管理などを一層強化するとした。


大山理事長は
脅しに屈すれば良心に反するし、社会の信託を裏切ることになると思った
と述べ、植村氏との契約更新に賛成の立場だったことを明かした。


植村氏は2012年度から北星学園大に非常勤講師として勤務。
留学生向けに日本の文化や芸術を教えたり、新聞を使って世界情勢を解説したりしている。


契約が継続されることになった植村氏は
「これからも学生たちと授業ができることを何よりもうれしく感じています。
大学も被害者で、学長はじめ関係の方々は心身ともに疲弊しました。
つらい状況を乗り越えて脅迫に屈せず、今回の決断をされたことに
心から敬意と感謝を表します」とのコメントを出した。(関根和弘)

http://www.asahi.com/articles/ASGDK5J69GDKIIPE03N.html

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これだけを読むと下村博文文科相などの応援によって
「当初」の考えを改め、勇気をもって暴力に立ち向かったかのように見える。

だが、実際には、この事件はもっと重大な問題を孕んでいる。


次の英文は今月の初め(12月2日)に掲載された
ニューヨーク・タイムスの記事から引用したものである。
(なお、訳文は私によるもの。試薬なので正確な訳は読者にまかせる)

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Mr. Uemura said
上村記者は以下のように話している。

The Asahi had been too fearful to defend him, or even itself.
「朝日新聞は怖がって私を守ってはくれません。自分たちに対してすらそうです。
In September, the newspaper’s top executives
9月に同新聞の経営トップは
apologized on television and fired the chief editor.
テレビで謝罪して編集長を解雇しました。」

“Abe is using The Asahi’s problems
「安倍は朝日の問題を利用して
to intimidate other media into self-censorship,” said Jiro Yamaguchi,
他のメディアが自己検閲するように脅しているのです」と山口次郎氏は話した。
a political scientist who helped organize a petition to support Mr. Uemura.
彼は政治学者で植村氏を援助する請願団体の組織づくりに貢献している。
“This is a new form of McCarthyism.”
「これは新しいマッカーシズムの形態です。」

Hokusei Gakuen University, a small Christian college
北星学園は小さなキリスト系の大学で、
where Mr. Uemura lectures on local culture and history,
そこで植村氏は地方の文化や歴史の授業をしているが、
said it was reviewing his contract because of bomb threats
大学側は同氏の雇用を見直すと話している。爆弾による恐喝が
by ultranationalists.
極右によって行われたためだと言っている。

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つまり、植村氏は朝日のサポートを受けずに
この問題に対処したのである。


一応、朝日新聞は、この問題の動向を記事にもしているし、
社説にも書いてはいるが、直接の援助はしていなかった。



普通は、自分の元社員が苦しんでいるのだから、
全面的にバックアップするものだが、あくまで「中立」の姿勢を保ったわけだ。

これがどういう意味を示すのかは言うまでもない。


また、学長をフォローするかのような叙述も気になる。


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北星学園大学(札幌市、田村信一学長)は9月30日、
元朝日新聞記者で日本軍「慰安婦」報道に関わった非常勤講師(56)を
「辞めさせないと、ボンベを爆発させる」などの脅迫文が届いている問題で
声明を発表し、大学としての基本的立場を明らかにしました。


声明では、
(1)学問の自由・思想信条の自由は教育機関において最も守られるべきものであり、
侵害されることがあってはならない。したがって、あくまで本学のとるべき
対応については、本学が主体的に判断する

(2)日本軍「慰安婦」問題ならびに(非常勤講師の)記事については、
本学は判断する立場にはない。また、本件に関する批判の矛先が
本学に向かうことは著しく不合理である

(3)本学に対するあらゆる攻撃は大学の自治を侵害する卑劣な行為であり、
毅然(きぜん)として対処する―としています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-02/2014100201_02_1.html
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北星学園は当初、このように脅しには屈さない態度を示していたのである。
それが、11月の初めに「やっぱ、来期の雇用やーめた」と態度を翻した。


つまり、当初の考えとは違った結論に達したのではなく、
当初の考えに「戻った」にすぎないのである。

なぜ、途中で手のひらを返したのか?
その態度は反対者をどれほど失望させたのか。

このことを朝日新聞は書いていない。



それどころか、実際には時系列順に大学の態度を整理すると、

屈しない→屈します→やっぱり屈しません

なのに、朝日新聞の記事は、屈します→屈しません

という叙述になっている。これでは印象操作も良いところだろう。


繰り返すが、田中学長は
「キリスト教による建学の理念に立ち返って前に進もう」と
 もったいつけた言い方をしているが、一度は屈している。

 それも、「脅しには屈しないぞ!」と言った1ヶ月後に。
 その約1ヶ月後に「やっぱり屈しないぞ!」である。


こんなコロコロ意見を変える男が学長をやっていることが
どういう状況なのか、もう少し危機感を抱いてほしい。



大体、掌を返した理由も、入試を前にして受験者数、
入学者数が減ることを危惧したからである。金の問題>人権だったのだ。


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従軍慰安婦問題の報道に関わった朝日新聞元記者が
非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に、元記者を辞めさせろとの
脅迫文が届いた問題で、田村信一学長が講師と来年度の契約を更新せず
雇用しないことを検討していることが31日、複数の大学関係者への取材で分かった。


非常勤講師を支援するために教職員らが30日に発足させた
「大学の自治と学問の自由を考える北星有志の会」の関係者などによると、
学内には脅迫文に対応する危機管理費用など財政的な問題や、
来年以降の入試への影響などを懸念する声があるという。

http://www.sankei.com/life/news/141031/lif1410310019-n1.html

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まぁ、産経の誤報である可能性も大いにあるが、
少なくともキリスト教の倫理精神を語る資格がある人物には見えない。


ガリレオ・ガリレイを題材にした戯曲『ガリレイの一生』を書いたブレヒトは、
ガリレオの罪は一度発表した地動説を、後に否定したことにあると述べている。

初めから争いを避けたコペルニクスと違い、
ガリレオは一度戦いを始めておきながら、途中で権力者に寝返った。

それは前者よりも重い罪なのだとブレヒトは語る。


田中学長も初めは「毅然として対処する」と言っていたのに、
後にその立場を放棄した。朝日は一部始終を傍観していた。

それがどれほど記者に重いダメージを負わせていたか……


最終的に雇用を継続させたと言っても、
朝日新聞と北星学園の学長・理事長の冷淡な態度は追及されるべきだろう。


こういう一見、客観的な文章であるかのようでいて、
絶妙な文章力で、さりげなく自分たちの責任をはぐらかしていては駄目だ。



以前から朝日は、この問題について実に中途半端な報道をしていた。


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慰安婦報道にかかわった元朝日新聞記者が
勤める大学へ脅迫文が届き、警察が捜査を進めている。

インターネット上では、元記者の実名を挙げ、
「国賊」「反日」などと憎悪をあおる言葉で個人攻撃が繰り返され、
その矛先は家族にも向かう。暴力で言論を封じることは許せないと市民の動きが始まった。

~中略~

攻撃は北星学園大にとどまらない。
帝塚山学院大(大阪府大阪狭山市)にも9月13日、
慰安婦報道に関わった元朝日新聞記者の人間科学部教授(67)の
退職を要求する脅迫文が届き、府警が威力業務妨害容疑で調べている。

元記者は同日付で退職した。

~中略~

植村氏によると、その後、
自宅に面識のない人物から嫌がらせ電話がかかるようになった。
ネットに公開していない自宅の電話番号が掲載されていた。

高校生の長女の写真も実名入りでネット上にさらされた。

「自殺するまで追い込むしかない」
「日本から、出ていってほしい」と書き込まれた。

長男の同級生が「同姓」という理由で長男と間違われ、
ネット上で「売国奴のガキ」と中傷された。


~中略~


朝日新聞は10月1日付朝刊で
元記者の勤務先の大学に脅迫文が相次いで届いたことを報じた。

2日付で「大学への脅迫 暴力は、許さない」と題した社説を掲げたほか、
毎日、読売、産経の各紙も社説で取り上げ、厳しく批判した。


朝日の慰安婦報道を紙面で批判してきた産経は
同日付で「大学に脅迫文 言論封じのテロを許すな」と題した「主張」を掲載。

「報道に抗議の意味を込めた脅迫文であれば、これは言論封じのテロ」
「言論にはあくまで言論で対峙(たいじ)すべきだ」と訴えた。

~中略~

八木秀次・麗沢大教授(憲法学)の話〉 

慰安婦問題を報じた元記者が中傷されていることを
当事者の朝日が問題視して、読者の理解を得られるだろうか。

普段、企業や役所の不祥事を厳しく追及しているのだから、
執筆の経緯を元記者が自ら説明すべきだ。ただ、個人を
「さらし者」にして攻撃するネット文化にくみすることはできない。

脅迫は許されないし、職を奪うまでの行為は行きすぎている。


古谷経衡(つねひら)さん(著述業)の話〉 

朝日の慰安婦報道は国際社会に負の影響を与えたと考えている。
だが、暴力で要求をのませる行為は許せない。

脅迫状の送り主は日本の名誉を回復したいと考えているのだろうが、
日本は元記者らが脅される国だと、国際的評価を下げるだけだ。

短絡的な行動が後を絶たないのは、「愛国」を掲げさえすれば
厳しい批判を受けない、保守派のあり方にも問題がある。


http://www.asahi.com/articles/ASGB362XRGB3UTIL06C.html

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産経や八木、古谷、そして下村文科相は極右陣営に属する連中だ。

今回の事件は偶然起こったものではなく、極右が焚きつけたものである。

放火魔にガソリンとライターを提供したようなものなのである。


日常的に、ネトウヨに餌を投下している極右の責任こそ、
朝日新聞は問うべきではないだろうか?



「右翼の人でさえ反対してますよ~」という書き方は、
 相対的に右翼が正常であるように弁護しているようなものだ。


焚きつけられた人間も問題があるが、焚きつける人間のほうがもっと問題だ。

(また、古谷や八木たちの話からは脅迫は駄目だが街宣はOKという印象も受ける)


今後、また同じような事件が起き、最悪、犠牲者が出たとしても
八木や古谷は「おお、なんということだ!」と嘆くのだろうか?


試しに彼らの著書をリスト・アップしてみよう。


八木の著書

『論戦布告――日本をどうする』 1999年6月。
『誰が教育を滅ぼしたか――学校、家族を蝕む怪しき思想』 2001年5月。
『反「人権」宣言』 2001年6月。

『国民の思想』 産経新聞ニュースサービス、2005年3月。

『日本の国家像と国民の思想』 國民會館〈國民會館叢書 67〉、2006年11月。
『公教育再生――「正常化」のために国民が知っておくべきこと』、2007年1月。
『日本を愛する者が自覚すべきこと』 2007年7月。

『憲法改正がなぜ必要か――「革命」を続ける日本国憲法の正体』2013年11月。

共著

渡部昇一、呉善花 『日本を誣いる人々――祖国を売り渡す徒輩を名指しで糺す』 2011年2月。
渡部昇一、潮匡人 『日本を嵌める人々――わが国の再生を阻む虚偽の言説を撃つ』2013年9月。



古谷の著書

『フジテレビデモに行ってみた! 大手マスコミが一切報道できなかったネトデモの全記録』
 青林堂、2012年1月。

『韓流、テレビ、ステマした 韓流ゴリ押しの真犯人はコイツだ!』
  青林堂、2012年6月。

『竹島に行ってみた! マスコミがあえて報道しない竹島の真実』
 青林堂〈SEIRINDO BOOKS〉、2012年11月。

『ネット右翼の逆襲 「嫌韓」思想と新保守論』 総和社、2013年4月。

『反日メディアの正体 戦時体制(ガラパゴス)に残る病理』
  KKベストセラーズ、2013年12月。

『クールジャパンの嘘 アニメで中韓の「反日」は変わらない』
  総和社、2014年2月。

『若者は本当に右傾化しているのか』 アスペクト、2014年4月。

『もう、無韓心でいい』 ワック・マガジンズ、2014年8月。

『知られざる台湾の反韓 台湾と韓国がたどった数奇な戦後史』 PHP研究所、2014年10月。


どうだろう、タイトルを読むだけでも強烈な内容だと思わせる本を
この連中はせっせと書き続けてきたのである。


「韓国を憎め!中国を憎め!」と言ってきた連中なのである。

そういう輩が、いざ爆破予告や家族まで狙う人間が出てくると、
「やりすぎだ!」と話すのは、あまりにも無責任な態度ではないか。


それを朝日は追及しない。これこそが問題なのだ。

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Ultranationalists have even gone after his children,
極右は植村氏の子供の後を追いまわし、
posting Internet messages urging people
インターネットに彼の娘が
to drive his teenage daughter to suicide.
自殺するように追いやるようメッセージを送っている

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言葉の暴力がエスカレートした事件であることを
ゆめゆめ忘れてはいけない。

事件の再発を防ぐためにも、これまでにも何度か主張しているが、
慰安婦制度がれっきとした史実であること、
それを証明する史料と最新の研究動向を紹介する必要があるだろう。


今のところ、共産党や週刊金曜日が新聞社やテレビに代わり、
その役目を果たしているが、植村記者が話している通り、
この問題について及び腰の朝日が果たして根本的な解決にむけて動くのだろうか?

「それはない」と思わざるを得ない。現状を見る限りでは。