振り出しは山登り、上りはひとっぷろ(参)
都内あちこち、銭湯へと向かう道すがら
立川市、荒川区、そして千代田区の「梅の湯」にて【東京都】
2020(令和2)年・夏、
ウイルスは暑さに弱いといわれていたが、
一向にそんな気配はない。
これではさすがに、登山と称しても
地方へ出かけるのは、はばかられる。
では、どこか近場、都内に
面白そうな場所はないかと
インターネットや書物を見ていたら、
どうにも気になる銭湯の情報に出会った。
それが都内にある3つの「梅の湯」だ。
最近は「銭湯登山」と勝手に銘打ち足を運ぶ身、
そこで、いささかこじつけ気味ではあるが
山、もしくは山らしき地点を起点に
各梅の湯がゴールとなる3つのコースをこさえてみた。
本格的な登山とは違い、コース上に危険箇所は皆無。
よって道中は、いろいろと思いも頭をよぎり、
ひとりニヤけたり、つぶやいたりすることもしばしば。
ウイルス対策用のマスクをしていなければ、
かなり変なおっさん、いやジィさんである。
それはともかく、夏の1日、
正確には日を分けて3日間、では出発進行。
●1日目。思い出すのは「きっかけ」だった。
~京王線・平山城址公園駅から
多摩動物公園の裏を通って立川の「梅の湯」へ~
~京王線・平山城址公園駅から
多摩動物公園の裏を通って立川の「梅の湯」へ~
コースは日野市のウォーキングマップにある
「かたらいの路」がベースとなる。
普通の山道であれば、耳にするのは鳥のさえずりや風の音。
一方、このルートは動物園に沿ってとなるため、
動物の雄叫びをBGMに歩く道だ。
声が遠ざかると、そこは高幡不動尊。ここでひと休み。
実はこの周辺は、卒業した母校が近所だったこともあり
大昔の学生時代は、夜な夜な居酒屋で飲んで、
酔って千鳥足ウォーク、幾度となく、
ふらふらと徘徊した場所でもある。
当時は、大層立派な道と原っぱばかり。
せっかく上京したのに、随分と田舎だなと驚きつつ
学校へと通ったものだが、今日はその都会化ぶりにびっくりだ。
変わったな、懐かしいなとぼんやりしていたら、
いきなり登山を始めたきっかけを思い出した。
山との出会いは、大学で入ったクラブからだった。
当時、目標としていたキャンパスライフは、
高校が男子校だったこともあり、
願わくば女子もわんさかの
サークルにでも入り、華やいだ雰囲気。
が、現実に待ち受けていたのは、
山登りクラブの勧誘だった。
最初は「いや結構」と断ったものの、2度3度と会ううちに
「まあ立ち話も何だから一緒に食事でも」となり、
いつの間にやら新入部員となってしまった。
どこか渡世人のような一宿一飯の恩義が、
山とつき合うきっかけだった。だが同じ時期に入部したのは、
高校時代は山岳部出身で国体にも参加したとやら、
趣味でアルプスを登っていたなど猛者ばかり。
片やこちらは、体力も根性もないズブの素人である。
そのため合宿も先輩方と一緒に登った個人的な山登りでも、
とにかく足を引っ張ってしまった。これは引き際が肝心である。
しかし「辞めます」といい出せないうちに、
次の合宿が始まる。あっという間に上級生にもなる。
そして気がつけば卒業だ。
社会へ出たら、なぜかアウトドアが趣味の人と
仕事をする機会が多く、
週末は学生時代以上にせっせと山登りである。
そうなると、いつしか山も趣味となり
そして今でも、山へ出かけている。
何ごとも塞翁が馬ですかな。おっと、休み過ぎたかな。
それでは行動再開、ゴー立川の「梅の湯」だ。
●お風呂ガイド「梅の湯(立川市)」
お風呂でいい気分、出たらコーヒー牛乳でもかたわらに、
読書三昧。こちらの「梅の湯」は銭湯であり、マンガ図書
館でもある。よって長居必至、湯冷めに注意、かも。
読書三昧。こちらの「梅の湯」は銭湯であり、マンガ図書
館でもある。よって長居必至、湯冷めに注意、かも。
●2日目。時間は昼時、頭に去来したのは「食べること」。
~十条富士塚より飛鳥山を経由して荒川区の「梅の湯」へと~
~十条富士塚より飛鳥山を経由して荒川区の「梅の湯」へと~
今回の出発地点は、都内に点在する富士山を模した富士塚のひとつで
JR東十条駅にも近い「十条富士塚」となる。
出かけてみると工事中で“入山禁止”となっていた。
出鼻を挫かれた格好だが、ここは山登りの鉄則でもある
心と体力に余裕を持った行動だ。
ガツガツしないでまた今度。先へと進もう。
次なる目的地は、未公認ながらも
東京都の最低山を主張する「飛鳥山(25.4m)」だ。
飛鳥山に着いたのはちょうど昼時。
立派な山名表示の前で大休止していたら、腹減ったである。
ランチは何を食べようかと一考していたら、
山を始めてからの胃袋の歴史も思い出された。
大学で山のクラブに入るまでは、
成人男子とすれば、かなり小食な部類だった。
ところ入部したクラブには、不思議な伝統というのか
食後のもうお腹いっぱいというタイミングで
下級生にはデザートとして飯ごうが一人1個あてがわれる。
中身は、当たり前だが銀シャリである。
飯ごう1個で炊けるご飯は大体4合。
まるまるではないが、程よく詰まっている。
これが「飯ごう整理」。目的は中身のご飯を平らげること。
さすが昨今はなくなったようだが
あれば、理不尽だ、何とかハラスメントだと、
非難されること間違いなしの儀式だ。
しかし人間の身体は凄いのひと言。
最初は全く食べることができないが、しばらくすると
胃は鍛えられたのか、飯ごうを空っぽにすることができる
アイアンストマックへとバージョンアップするのである。
そうなると困るのは懐具合。3度の食事で
強靭な胃袋を満足させるためには、
食費の大幅アップを余儀なくされる。したがって
財布はいつも超軽量薄型、中身なしの空っぽ状態だ。
加えて食事中は会話なし、黙々と食べる。
コロナ禍の今は、これも感染対策には良しだが、
やはり食事は、適度な会話も味の引き立て役。
さらに食べる速度も速いので、
人とご馳走さまのタイミングも合わなくなった。
社会へ出て、月日とともに食事中は話も楽しむし、
ゆっくりも食べるようにはなった。
ただ量は引き続きで、いい歳こいてよく食べる。
“燃費の悪い”ボディは、そのままだ。
泣く子と地頭、そして鳴く腹には勝てぬもの。
では仕方ない、美味を求めて行動再開。
食後は、めざせ「梅の湯」である。
●お風呂ガイド「梅の湯(荒川区)」
スタイリッシュな雰囲気漂う銭湯で、心と身体の垢を落と
してリフレッシュ。そうそうこちらの梅の湯には土産に好
適、自宅でも極楽気分をと「オリジナル入浴剤」もある。
してリフレッシュ。そうそうこちらの梅の湯には土産に好
適、自宅でも極楽気分をと「オリジナル入浴剤」もある。
●3日目。用具眺めて、思い出すのは「嗚呼痒い」。
~柳森神社の富士塚跡、ペンキ絵発祥の地、専門店を巡り、
ゴールは千代田区の「梅の湯」~
~柳森神社の富士塚跡、ペンキ絵発祥の地、専門店を巡り、
ゴールは千代田区の「梅の湯」~
皮切りは、千代田区で唯一残るとされる富士塚跡だ。
場所はJR「秋葉原」駅にも近い柳森神社の境内で、
あるのは案内板とわずかな石積みのみ。
ここは想像力を駆使して。目の前には低くそびえる
スモール富士山があると思って。
登ったつもりでヤッホ~、そして無事下山だ。
お次は、関東の銭湯の浴室壁面では定番
「富士山のペンキ絵」発祥の地である「キカイ湯」跡へ。
こちらも案内プレートのみ。よって再度、想像力にご登場願って
バーチャル入浴。湯舟から富士山の絵を見たつもりになり、
無事におしまい。
想像力で頭を使った後は、リアルさを求めて神保町へ。
神保町といえば本の街であり、
スポーツ・山道具の店が軒を並べるエリアであることは、
どなたもご存じの通り。
そこで近頃の装備について勉強というのか、
冷やかしに歩いてみることにする。
店舗に入り、まずはと手に取ったのが雨具だった。
ん、雨具といえば。ここで痒い体験を思い出す。
日本の山を泊まりがけで歩けば、雨に見舞われ、1日中雨具着用で
行動することも珍しくない。登山を始めてしばらくは、特に装備は
持参していれば良しとのスタンスだったので、雨具の具合も今ひとつ。
そんな雨具を身につけると、閉口したのは蒸れだった。
上半身はまだ我慢できるが下半身、特にパンツ、
いや昨今はアンダーウェアと称したほうが良いのか、
とにかく股間を覆う1枚が濡れると、途端に気持ちが沈んでくる。
日帰りなら気持ちだけだが、長期の山行ともなると
私の場合は、物理的な困ったも発生してくる。
原因は、恥ずかしいので難しい表現を使って「股部白癬」。
症状は猛烈に痒くなるのである。
対策として、雨具と下着は蒸れにくい一品を探し求めた。
そして薬もあれこれ数多く試してみた。
そして、巡り逢ったのが漢方の一品だ。
中国・後漢時代の名医の名前を拝したこのお薬、
彼の地ではポピュラーな水虫治療薬だそうだが、
それなら股ぐらにも効くだろうと塗りまくった。
体質に合っていたのか、これが効果てきめん。
装備との相乗効果で、痒い地獄からはついに脱出である。
おっと雨具から飛んだビロウ話になってしまった。
おまけに、すでに完治したはずなのに、股間にも痒みが‥。
ここは、そろそろウィンドーショッピングは切り上げて、
今日の行動のフィニッシュの地である「梅の湯」へと急ごう。
●お風呂ガイド「梅の湯(千代田区)」
マンションの1階部にあり、聞くところによると、こちら
は皇居を走る方々の秘密基地的存在とか。今日はランでは
ないが良湯満喫「お風呂、いただきます」だ。
は皇居を走る方々の秘密基地的存在とか。今日はランでは
ないが良湯満喫「お風呂、いただきます」だ。
日本各地に同名ながら趣の異なる名峰として駒ヶ岳がある。
そして東京の街には、浸かって満足、素敵な時間を過ごせる
同名の山ならぬ銭湯「梅の湯」が点在しているようだ。
~ブログにアップしたと思っていたら忘れていた。
そこで今頃、2020(令和2)年の夏の歩きを記す〜
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