桃炎隊メンバーの1人、
ヒカルKENJIは
悩んでいた。
元々、自分は
アイドルに
なりたかったはず。
それなのに
どうして今、
リングに立って
戦っているのか?
アイドルにとって
命ともいえる顔に
毎日キズを
増やしながら・・・。
プロレスのリングでも
これといった成績を
残せてはいない。
その上、膝の状態も
日増しに悪化している。
これではもし
アイドルになる夢が
叶ったとしても
バック転ができなく
なるかもしれない。
・・・ならば
いっそのこと
プロレスを・・・。
自問自答を
続けるたびに
頭に浮かんでくる答えは
KENJIにとって
最も選びたくない
選択肢だけだった。
「これ以上の
膝への衝撃は
あなたの
アイドル人生にも
大きく左右します。
控えた方が良いでしょう」
オフの日に通っていた
整形外科医から
告げられた言葉は
KENJIが
想定していた
いくつかの
候補の中でも
最悪のものだった。
絶望に
うちひしがれながら
KENJIはあてもなく
東京の街を
さまよい続けた・・・。
「おう、KENJIクン。
チョリース!」
KENJIが
声のする方を振り向くと
桃色のジャージに
身を包む
中年男性の姿があった。
KENJIは
この男の顔を知っていた。
本名は知らない。
だが、
別の名前は知っている。
ミスターしも・・・。
それが彼の
リングネームだ。
「・・・なるほどねぇ。
それは確かに
落ち込むよね。
KENJIクンにとって
バック転って
個性っていうか
キャラ付けっていうか
なんかそういうアレだし。
バック転しない
KENJIクンなんて
エルボーしない
三沢さんみたいな
モンだからね。
ムフフッ・・・」
相談する相手を間違えた。
KENJIはすぐに
そう後悔したが
ピンクジャージの男は
話を止めない。
「つーかアレだ、
ニーパッド
付ければいいじゃん?
そしたら多少なりとも
着地のダメージも
和らぐんじゃないの?」
・・・!!
KENJIは衝撃を受けた。
その発想は
KENJIの頭の中に
まったくなかったからだ。
アイドルを目指していた
KENJIである。
日々の生活の中で
ニーパッドのことなど
考えたこともない。
当然といえば
当然である。
課題は解決したかの
ように思えたが
すぐに別の問題が
頭をよぎった。
KENJIにとって
ニーパッドは
ダサいのだ。
繰り返すようだが
KENJIは元々、
アイドルになることを
夢見ていた男だ。
それも80年代の
男性アイドルに
憧れていた。
アイドルたるもの
短パンに白い靴下、
もしくは素足というのが
KENJIの信条である。
プロレスラーが付ける
ニーパッドは
KENJIにとって
馴染み易いものではなく
そして受け入れ難い
ものだった。
ピンクジャージの男の
発案に一度は
首を縦に振ろうとしたが
すぐに思いとどまり
首を横に振った。
「・・・なーんか
メンドくさいなぁ。
事務所NGってヤツ!?
じゃあアレだ、
戦い方を変えてみたら?
武藤も棚橋も
そうしてきたわけだし・・・」
・・・!!
KENJIはまるで脳に
電気が走ったかのような
衝撃を受けた。
アイドルを目指しながら
プロレスを続ける
道はあった。
ファイトスタイルを
変えればいいのである。
気づいてみれば
とてもシンプルな
答えではあったが
アイドルか
プロレスラーかの
二択で悩んでいた
KENJIにとっては
辿りつき難い
解答でもあった。
「憑き物が落ちたって
顔になったじゃん!
・・・さすがオレ、
的確かつ最高の
アドバイス」
ピンクジャージの男は
有頂天になり
自らを賞賛していた。
KENJIにとって
もはや目の前の
男のことなど
どうでもよくなっていた。
一秒でも早く
自分自身の
新たなスタイルを
模索したいと考えていたが
目の前の男が
それを許さなかった。
「KENJIクンとは
『三光』を巡って
一緒に戦う
パートナー同士だし・・・
よし!
じゃあプロレス界の
TKと呼ばれる
このオレが
KENJIクンに
プロレスの何たるかを
教えてあげようじゃないの。
題して・・・
『KENJIを
プロデュース』!
某アイドル事務所系
レスラーだけにね」
ピンクジャージの男の
要らぬおせっかいは
はたして
KENJIにとって
吉と出るか、
凶と出るか・・・!?
to be continued...
・・・というわけで
桃炎隊メンバーの
サブストーリーを
製作者さんと話しつつ
展開していくという
新しい試みを
やっていこうかなぁと
思ってます。
基本的には
桃炎隊メンバーの
主戦場である
桜神さんの自主興行、
百花繚乱の
ストーリー展開に合わせて
進めて行きたいなと。
記念すべき第1回目は
プライベートでも
仲良くさせてもらっている
koba.さんのキャラ、
ヒカルKENJI選手。
方向性に
悩んでいるという
話があった中で
Mr.しもと一緒に
「三光」に
出場することに
なりましたので
声を掛けてみたところ
快くOKをいただきました。
「三光」の舞台で
KENJIクンのスタイルに
何らかの変化が
起きているのか、
そんなところも併せて
お楽しみいただければ
幸いです。
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