旅には新しい発見がある。一人旅には一人旅の良さがある。家族旅行や職場の団体旅行では、普段の生活空間を旅先まで持って行ってしまう。それは旅行であって、旅とは言い難い。旅とは命に宿した心(魂)の洗たくをし行く場かも知れない。自分も含め、多くの人は日々の喧騒の中で、知らず知らずの内、心に汚れや垢を溜め混んでいる。時々、心をきれいに洗って乾かすことが、特に定年後は、体の健康維持と同じく大切なことの様に思う。
我が人生の旅も還暦を過ぎて、今まで目の前にあってもこれまでよく見ていなかったことに、ふと気付くようになり始めた。東日本大震災をきっかけに、3年前に始めたこのブログもまた、この世に生を受けた命の証として残す、我が四半生の旅の記録(終活)である。
芭蕉が江戸を出発して、松島や平泉を巡ってから山形県に入り、最上川を下り、酒田から日本海沿岸の多くの難所を越えた旅を通して、数多くの日本人なら誰でも知っている有名な俳句を残している。それら奥の細道終盤の句碑が、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアの片隅に建っていた。多くの人達は句碑には目もくれず、日本海の展望台の方に向かう。四方山に囲まれた盆地に住んでいる自分も、穏やかな海を見ていると、心が和らいでくる。この6日間、能登からも北陸道からも、海が霞んで残念ながら佐渡を見ることはなかった。2・3年以内に佐渡にも一人旅に出掛けてみたい。
越後 出雲崎(いずもざき)
荒海や 佐渡によこたふ 天の河
市振(いちぶり)の関
一家(ひとつや)に 遊女もねたり 萩と月
有磯海(ありそうみ)
早稲の香や分け入る右は有磯海