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板垣、憂いの勝ち戦ー『風林火山』鑑賞記、26

2007-07-06 01:20:36 | S.Chiba
            第26回 「苦い勝利」

 嬉しい、千葉ちゃん・板垣、トップバッターでの登場!これが、最初で最後。勇ましい足取りを見せ、久しぶりに重臣の列に並んで晴信(市川亀治郎)に物申すが、晴信は、もはや聞く耳を持たない。傳役も軍師も、文句があるならいってみろと、一見、自信に満ちた表情は、心の奥の誰にも見せられぬ、自分でも気づいていない、心情の裏腹。自分が追放した父親の鉄を踏んでいる事にも、そっくりになっていく表情にも、まだ気づく気配が無い。最後、唯一、由布姫だけに見せた晴信、表情・言葉を、傳役板垣は、何時気づくのか・・・。

 久々にたっぷり登場の板垣。まずは、最初のシーンは、先週に続き、足元から登場の千葉ちゃん・板垣。勇ましい音楽をバックに、諏訪・上原城の廊下を、御屋方様からの書状を手に、勘助(内野聖陽)に知らせに向かう板垣の足取りは、心なしか落ち着きが無い。?!
 志賀城の笠原清繁(ダンカン)が兵を挙げ、「諏訪の軍勢を率いて出陣せよとのおふれじゃ」知らせる板垣の穏やかならざる心中。関東管領の本軍が押し寄せたら、武田は窮地に陥る事を知りながら、親方様がどんな戦をされるのか?どっしり構えた風で座っている勘助と対照的に、立ったまま腰に手を当て、じっと床の間の諏訪大明神掛け軸見つめる千葉ちゃん板垣の表情は晴れない。

 第二のシーンは、武田の本陣となった稲荷山城で、久しぶりに、勇ましい鎧姿で重臣らと共に並び、全ての上州勢を甘利(竜雷太)と共に討ち取るよう申し付けられ、承知する。村上の援軍出陣の可能性を示唆する勘助の言葉を、きっぱり否定する晴信。「武田に歯向こうは犬死であると、全ての信濃衆に知らしめるのじゃ」と言った晴信を、じっと見つめる板垣。 
出陣前夜、甘利と二人、御屋方様を思うシーン。  「御屋方様は、何時になく勝気にはやっておられる。熱に浮かされておるようじゃ。」と話す板垣は、その熱の発端が自ら由布姫に語った自らの言葉からも来ていることを知る由も無い
「まるで佐久へ攻め入った折の信虎様と同じであるのう」と言う甘利を見つめる板垣。「あの若殿様が、今は御父上に重なって見えるは」と無念そうな甘利「われらがさようにしてしまったのじゃ。」と自ら戒める様に言う。 「さればこたび・・・」と甘利が板垣を見ると、正面を見据え「他(た)に有るまい」言い切り見つめ返す板垣憂いの気持ちは、どちらも同じ

 みごとに援軍を打ち破り城を孤立させ陣へ戻った板垣と甘利。一気に城を攻めよとの、晴信の言葉に物申すも、晴信は聞き入れる様子は無い。「軍師勘助何か申せ」と甘利にいわれ重い口を開き、降伏を促すよう進言する勘助。その言葉を拒絶した晴信は、力攻めを諌められ興奮逆上、激しい怒りに重臣らも息を呑む。ただ一人、小山田(田辺誠一)だけは笑みを浮かべ同意するが、すぐ、思い直したように落ち着き払った表情で「よかろう、そちが降伏を促せ。」と言うと、救われた思いで顔を上げた勘助に「討ち取った援軍の首三千を志賀城の周りにかけ並べよ、そちがやるのじゃ。それで、下れば命は助ける」と、冷ややかに言い捨て席を立つ晴信。信じられぬといった表情で見上げた板垣。甘利は隣でじっと目を閉じる。むごい仕打ちを、勘助はなすすべも無く受け入れ実行するが、結果は想像するまでも無く悲惨な戦いが待っていた。

 ラストは、並んで酒を呑む千葉ちゃん板垣と甘利の後姿。その向こう、雲間に大きな月。「次は村上と戦う事になろう」板垣の言葉に「勢いのみで戦えば、若い御屋方様のこと・・・」後は語らず無念の表情で、板垣を見る甘利。無言で甘利を見かえす板垣の表情にも同様に憂いの影が。武田を思う二人の思いは同じ。
 ここで、一瞬にして、場面は、由布姫(柴本幸)を抱きしめる(しがみつく?!)晴信苦悩の表情に。寝屋で、着替えもせず由布姫を抱く晴信の恐怖におののく姿に、由布姫も戸惑うばかり。

 今回も、戦国の世の重厚感たっぷり、見どころ一杯!メインキャスト以外にも、ダンカンの鬼気迫る表情、そして、GAKUTOも、短いながら長尾影虎として、存在感たっぷり。鬼気迫る表情に変わってしまった晴信と対照的な、美しく憂いを含んだ表情が、これからの展開への興味をそそる。

 謀略合戦花盛り。御屋方様に言われ間者となった柏木(近藤芳正)、そして、平蔵(佐藤降太)までもが間者に。葉月(真瀬樹里)の出番も増えそうな気配。

真田幸隆(佐々木蔵之介)の「負けを知らない御大将は、負けたものの気持ちを推し量る事が鈍くなっていくものじゃ」言葉通り、晴信は、負けたもののことを思う余裕は無い。想像もつかない、負け戦への重圧に押しつぶされそうな、御屋方の心臓。振り返る事も、立ち止まる事も、ままならず、ただひたすら闇の中を突き進む。果たして、傳役板垣は、晴信をどう導くのか?甘利は武田をどうやって守ろうとするのか?次回はさらに胸が締め付けられそうな、気配。
コメント
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