物す屋です
ハンケチといって思い出すのは
とある夕暮れのとあるラーメン屋で
見かけた見ず知らずの青年のこと
地元で先日の火事で全焼してしまったラーメン屋
引っ越す前はその近所に住んでいたこともあり
高校時代は友人と
その頃は唯一の家族だった母親と
結構ひんぱんに通っていたものでした
ある、あれは確か秋の夕間暮れ。
いつものように母親と二人そこを訪れて
母親の晩酌に付き合いながら
「味噌野菜ラーメン」なぞを注文している間の
暇を持て余していたとき
一人の青年が暖簾をくぐって店内へ入ってきました
私と母は4人掛けのテーブルに対面で座り
私の席から良く見えるカウンター席に
その男性は腰を掛けました
お勤めしている方というのは
スーツ姿や片手に提げていたバックでわかり
仕事帰りにご飯を食べに立ち寄ったのだなと
勝手に想像している私
たぶんそれは間違ってはいなかった(はず)
確か私のラーメンが先に来て
ずるずずずーと麺をすすりながら
何となく目が離せなくてコソーっと彼を覗いていると
彼のところへも注文したラーメンが。
さすると彼はスーツの上着ポケットだったか
とにかく何かを取り出して
広げはじめたのです
それがピシーっとアイロンがかかっていたハンケチ。
この人はこの若さからして
結婚している匂いもしないし(匂いでわかるか)
田舎臭さも無いから
近所のビジネスホテルに
出張か研修かで泊まっているサラリーマンなのかと
想像に拍車がかかったわけですが
そんなことはこの際どうでもよく。
彼がきっちり揃えて腰掛けた膝の上を
そのハンケチではらりと覆うようにしてから
おもむろにラーメンを
ツルツルツーと食し始めたのを見て
「ひざかけ掛けてラーメン食べる男の人初めて見た!!!!!!」
と心の中で絶叫。
「これから先の男子はどうなっていくんだあああああ!!!!!」
と雄叫びを上げる私。
自分も品の悪い人は好ましくはないし
折り目正しく丁寧な人は好きでもあったけれど
男子たるもの(以下略)
という思いもあったのは事実で
先行き不安に思っていたあの頃の私。
あれから10数年。
9月に最終回を迎えたドラマ「電車男」の
『最終回をメイドカフェで観るアキバ系の男性』
の映像を見ていたら
そこにも
スーツを着た男性が
主役二人(すいません興味なくて名前知らないんです)の
チュー場面に涙し
その涙をハンケチでそっと拭っていたのを発見。
男の人は涙をハンケチでは拭わない
拭くならタオルかティッシュか着ている洋服(それはありか)
一番ベストは自分の手の甲だと
そう信じて疑わなかった私は
かなりショックを受けてました・・・・・・
そのショック今朝も再燃。
「高校生ドラフト会議」の昨日。
福岡一校の陽クンが
意中の地元球団「ソフトバンク」の交渉権獲得を伝える
テレビ中継を観て流した嬉し涙を
そっとハンケチ(それは白いハンカチだったらしい)で
目頭を押さえる姿。
しかしその嬉し涙は途中から
かなしみの涙に(変わった、と思う。)・・・・・・
ゴタゴタ混乱のドラフト会議、
実際の交渉権を獲得したのは「日本ハム」だったことが判明。
仕切り直し後の二度目の記者会見で
日ハム入りに前向きな姿勢を見せるも
言葉に詰まる場面も。
その心中察するに
こんな風に書いちゃ元も子もないと思いつつ。
やはり男子たるもの
そしてスポーツ選手なるもの
涙は手の甲で拭ってほしいと思ってしまう
物す屋なのでした・・・・・・