「日刊ゲンダイ」2020/12/04
「勝負の3週間」と言いながら、かたくなに「Go To キャンペーン」を続ける菅政権。このままでは、新型コロナウイルスの感染拡大は止められそうにない。とくに気がかりなのが、「Go To トラベル」を利用した帰省だ。年末年始、感染が全国各地に一気に広がる恐れがある。
「Go To トラベル」は交通費のみでは対象外だが宿泊とセットにすれば成立する。旅行会社も〈Go Toを使って1泊だけホテルで実家に帰省〉〈新幹線+1泊以上の宿泊で帰省することもGo Toの対象です〉とPRしている。
1泊だけホテルに泊まっても、旅行代金の35%が値引きされ、15%分の地域共通クーポンがもらえるので、安く帰省できる場合があるのだ。実際、帰省に使う予定の人は相当数いるとみられ、大手旅行代理店は「年末年始にGo To トラベルを利用して帰省する方は多いですよ」と日刊ゲンダイの取材に答えている。
しかし、現在、第3波が猛威を振るっている。帰省によって地方にウイルスがばらまかれる可能性が高い。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が言う。
「第3波は会食や職場などで感染した無症状者が同居の高齢者に感染させるケースが目立っています。一人暮らしでは家庭内感染の心配はありませんが、帰省すれば、実家で高齢の親と接する機会ができて、感染させるリスクは高くなります。家庭ではどうしてもソーシャルディスタンスは取れませんからね。最近、実家に帰省を考えている人からの相談が増えています。安心して親に会えるように、帰省直前にできれば2回、PCR検査を受けることを勧めています」
英スコットランドのセント・アンドルーズ大学では、クリスマス休暇に帰省を予定している学生に3日あけて2回検査するように求めている。帰省による高齢者感染を警戒しているからだ。
■年明け局地的ロックダウン
年末年始の帰省を経て、全国隅々まで感染が拡大すれば、地方は大変なことになる。感染を封じ込めるために、各地で局地的なロックダウンが行われ、介護施設や老人ホームが次々と封鎖される可能性がある。
各地で帰省クラスター――。第3波はさらに大きくなるのか。
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新橋駅前にPCR検査センター 2900円、唾液採取、翌日に結果
「東京新聞」2020年12月5日
JR新橋駅前に開業し、40人以上が並んだPCR検査センター=4日、東京都港区で
東京都港区のJR新橋駅前のニュー新橋ビル1階に4日、「新型コロナPCR検査センター新橋」が開設された。工務店や不動産会社などの「木下グループ」(東京都新宿区)の子会社が、医療法人の監修を受けて運営する。(宮本隆康)
木下グループによると、予約後にセンターで唾液を採取し、翌日に検査結果を通知する。唾液採取の時間は3分程度で、価格は2900円(税別)。同グループは検査キットの卸売りも手掛けていて調達コストが低く済み、工務店を営むため検査センターの設置費も抑えられ、検査価格を安価にできたという。
医療機関の検査証明書を発行する場合などは、医師のオンライン診断も受け付ける。企業向けに50人以上の団体の場合、検体を配送する方式でも受け付ける。団体は1人あたり2500円(税別)。来年1月には来店と配送を合わせ、1日に2万件の検査を目標にするという。
これから「移動」を考えている方はPCR検査を少なくとも2回、受けてください。でも、なるべくなら動かないほうが良いでしょう。