わたしの『資本論』研究④
③「社会主義社会」をどう実現させるか?
世界には少なくない国が「資本主義」から脱出し、「社会主義」を目指している。
せっかく政治的な権力を握っても、その後の社会主義革命を実現させる経済的施策が伴っていない。「社会主義」とは何か、何をどうすれば社会主義へとたどり着けるのか、それが理解されていない。
労働に応じた報酬
資本主義を脱した次の社会での労働とは、「価値」を想像する労働ではなく、すべての社会的労働が等しいものと認められた社会の個々の具体的労働である。
交換が前提されれば、労働は「価値」を形成する。まだ資本主義から生まれたばかりの交換を前提にしない社会でも生産過程が人間を支配し人間がまだ生産過程を支配していない社会では人と人の関係は、直接的にではなく、労働を通じて、つまり抽象的労働によるのではなく具体的労働、さまざまな使用価値を創る労働として互いに認め合う。
労働者であること「それ以外の点には目は向けられず、他のことは一切無視される」(『ゴータ綱領批判』)労働の質を見てはならない。労働者であることだけが問題なのだ。だから報酬は労働の質によらず、時間で測られる。
社会に貢献する個々の異なった個人の労働を「平等」とみなす社会である。個々の個性を持った人々が平等な関係になる。設計図を描く人も、それを創り出す人も、障がいを持つ人も持たない人も。自分に合った好きな仕事する中で、さまざまなものへと挑戦できる社会である。
「労働におうじて」ー個人的、具体的労働である。単に分配を表すだけでなく、格差、階級が消滅する生産基盤を表す極めて重要なフレーズだ。
「共同社会」とは
個人的労働力が共同体の共同的労働力となっている社会。
マルクス『資本論』ー農民家族の家長性的な労働形態。
「個人的労働の支出は、ここでははじめから労働そのものの社会的規定として現れる。というのは、個人的労働力が初めからただ家族の共同的労働力の諸器官として作用するだけだからである。
不平等な労働が平等なものとみなされたとき、労働力は商品であることをやめ、また労働生産物は商品であることをやめる。交換を前提にする資本主義社会は崩壊する。労賃形態も新たな分配方法へと変わる。
それぞれの労働者の持つ能力におうじて働き、その能力をさらに発展させていくことができる。高度な労働だから単純な労働より多くをもらう、ということの必要のない、高度な生産力に裏打ちされた「競争」のない「結合した社会」である。こうした認識は、高度な生産力に裏打ちされた経済的基盤の上に成り立つ。
2024.01.04 現代新書編集部
首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火……過去にも起きた「恐怖の大連動」は、東京・日本をどう壊すのか。
発売即6刷が決まった話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」がありありと描かれている。
ここでは、過去の大災害から得られた教訓を考えたい。災害時にトラブルはつきものだが、何が奏功し、どのような課題があったのだろうか。
(※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)
前代未聞の大災害
今から320年ほど前、前代未聞の大災害は起きたことをご存知だろうか。
〈1703年の真冬、激しい揺れが深夜の東京都、千葉県、神奈川県(いずれも現在)を襲う。江戸時代、現在の関東地方を急襲した「元禄地震」だ。
被害の詳細はいまだ確定されていないものの、最大震度7に相当する強い揺れが起き、死者は1万人を超えたと伝えられる。10メートル超の津波は沿岸に住む人々に襲いかかり、一瞬にして多くの命を奪った。
2008年3月に千葉県が発行した防災誌には、古文書や供養碑などをもとに当時の被害がこのように記されている。
「房総半島南部では4メートル以上も土地が隆起、また沈降したために、農業や漁業を営んでいた当時の人々の生活に大きな影響をおよぼしました。大きな地震動と同時に、目の前にあった山が沈み、または今までなかった浜が出現したのです。これらの現象がどれだけ当時の人たちを驚かせたことでしょう」
巨大地震は強い揺れや津波とともに、大きな地殻変動も生じさせている。〉(『首都防衛』より)
過去に日本を何度も襲った巨大地震。本当に怖いのは、地震だけではない……。
「恐怖の大連動」にどう備えるか
元禄地震から始まり、いくつかの自然災害が「連動」したことがある。
〈4年後の1707年10月、今度は駿河湾から四国沖の広い範囲で大きな揺れが発生した。マグニチュード(M)8.6と推定される「宝永地震」は南海トラフの巨大地震で、最大震度7に達したとみられる。海岸部では最大で津波高約15メートルの大津波が発生し、現在の大阪を中心に死者は2万人以上と伝えられている。
内閣府の「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書」(2014年3月)によれば、宝永地震のような南海トラフの大規模地震が発生した後には周辺の地殻に加わる力に大きな変化をもたらす。
発生後に地震や火山活動が活発になる場所が現れ、宝永地震発生の翌日早朝にはM6.5程度の地震が富士山の東麓で発生。そして、49日後には富士山の噴火活動が始まる。〉(『首都防衛』より)
首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山大噴火という、過去にも一度起きた「恐怖の大連動」にどう備えるか。
最新データや数々の専門家の知見から明らかになった、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」とは――。
つづく『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。
それに現代では「原子力発電所」が加わるのだ。
放射能は見えない。
すべての行動にstopがかかる。
今から危険なものは取り除いておかなければならない。
元旦に次ぐ晴れの日だ。