「東京新聞」2022年7月12日
参院選(10日投開票)の東京選挙区の投票率は56.55%で全国3位だった。1000万人以上の有権者を抱え、無党派層が多い都市部としては異例の高順位。大消費地・東京では、物価高が有権者の選挙への関心を高め、投票率を押し上げたとみられる。改選6議席を与野党が3議席ずつ分け合ったが、得票を詳しく分析すると、政権の物価高対策に対する有権者の意識が浮かび上がってくる。(村上一樹、我那覇圭)
◆「物価高・景気」対策を最重視する東京の有権者
参院選の都道府県別投票率(選挙区)が最も高かったのは山形(61.87%)。以下、長野(57.70%)、東京と続いた。東京の2019年、16年の投票率は全国11位。13年は18位だった。都市部は無党派が多く、投票率も上下しやすいが、東京で全国3位の投票率となるのは珍しい。
山形、長野両県では野党候補が接戦の末に勝利。激戦で有権者の関心が高まったことが投票率上昇につながり、選挙結果にも影響した可能性がある。
東京の投票率上昇の背景には、6議席を争う大激戦に加え、大消費地として物価高の影響に苦しむ有権者が多かったことがある。
本紙が都内の有権者を対象に実施した調査では、投票の際、最も重視する観点として「物価高・景気」が26.0%で最多。「物価高の影響を感じる」と答えた人は9割に迫った。また、「防衛費増額」と「暮らし対策」のどちらに税金を優先的に使うべきかを2択で聞いた質問では、暮らしが69.6%で防衛費は21.3%。こうした数字からは、各党、各候補の物価高への対応が投票の際、重視されたことが浮かび上がる。
◆消費税減税・廃止訴えた共産、立民などの合計得票数は自公を上回る
野党側は、政権を批判する共産党と立憲民主党、れいわ新選組の候補が3議席を得た。この3党は物価高対策で政府・与党と異なり、消費税減税や廃止を訴えていた。この3人の得票数に、落選した立民候補や社民党候補も足すと、約235万票。総得票数の37.4%で自公を逆転する。
同じく消費税減税を訴えた日本維新の会の候補や国民民主党の推薦候補の得票数を足すと約317万票で50.3%に達した。政府・与党の物価高対策が全面的な支持を得ていないことが浮かび上がる。
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日本の明るい未来を期待したくてあれこれと記事を読む。たしかに、捨てたもんじゃなさそうだ。「憲法改正」も最後は国民の声だ。9条は守らねば。まだ諦める訳にはいかない。