震度7の石川・志賀 稲岡健太郎氏
東京新聞2024.02.04
能登半島地震で震度7を観測し、大きな被害が出た石川県志賀(しか)町の稲岡健太郎町長(46)が、本紙の取材に応じた。町内に立地する北陸電力志賀原発について、2007年と23年に能登地方で地震が頻発した状況を引き合いに「北陸電力は再稼働を目指すとのことだが、首長として以前のように安全性をアピールすることは難しい」と語った。重大事故を想定し、住民の避難経路を抜本的に見直す必要性を強調した。(染谷明良)
◆「再稼働の道筋が見えてこない」
昨年末、前町長が逮捕された贈収賄事件に伴う町長選で初当選。その約1週間後、未曽有の震災が起きた。町長選では「化石燃料に頼り、電気代も高騰している現状では、すぐにでも原発を再稼働すべきだ」と主張したが、一転、慎重な姿勢に態度を変えた。
原発の耐震性については「敷地外の活断層を巡る専門家の意見や原子力規制委員会の判断を待つ」としたが、「安全対策の強化や審査の長期化などを考えると再稼働の道筋が見えてこない」と指摘した。
◆これまでの避難訓練「現実的でなく、訓練のための訓練だった」
年に1度実施の県と北陸電による避難訓練にも言及。想定されている避難経路が今回の地震で壊れ、寸断したことを受け「海にも空にも逃げられない。現実的でなく、訓練のための訓練だった。抜本的に見直す必要がある」と語った。
町内に16カ所ある放射線防護施設については「1カ所に40〜50人を収容し、1週間以内に救助隊が来る想定で、備蓄があると認識している」と説明。だが「万が一の場合、全町民を受け入れる容量はない。施設を何倍も増設する必要がある」と、町防災計画の見直しを検討する考えを示した。
防災服で取材に応じ「地震直後、原発事故が頭をよぎった。その後、北陸電の説明を聞き、稼働停止の現状を踏まえ、事故はないと分かった」と振り返った。その上で「むしろあの揺れをよく耐えたな、というのが率直な思い」と続けた。
志賀原発 1、2号機とも2011年から運転停止中。北陸電力は2号機の再稼働を目指している。23年3月、再稼働の前提となる新規制基準の適合審査会合で原子力規制委員会は「『敷地内に活断層はない』との北陸電の主張は妥当」と判断。敷地周辺断層による地震の最大震度や津波の想定について審査が続く。今回の地震では、壊れた変圧器から2万リットル以上の油が漏れ、想定していた周辺の避難経路が寸断された。
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2024焦点・論点 防災計画のあり方を問う
神戸大学名誉教授 室﨑益輝さん
「しんぶん赤旗」2024年2月4日
被害想定見直すべきだった 市町村の広域合併の弊害も
能登半島地震では、石川県地域防災計画「地震災害対策編」が1997年当時の想定から見直されていなかったことが明らかになりました。なぜ、見直されなかったのか。今後の各地の防災計画のあり方などを含め、石川県災害危機管理アドバイザーも務める、室﨑益輝神戸大学名誉教授に聞きました。(嘉藤敬佑)
―地域防災計画を見直す機会はなかったのでしょうか。
被害想定の見直しは、新しい断層が見つかるなどの知見に基づき、連動して行われるのが基本です。国は、断層の調査を行ってきましたが、能登半島ではその作業が遅れていました。県として、国に調査を要望してはいましたが、結果として間に合いませんでした。しかし、その場合でも、どこにでも未知の断層があり、それが動くという前提で防災計画を立てることはできました。
能登半島では2007年にも、最大震度6強を観測する地震が起きています。同様の地震が再び起きることを念頭に置いた対応が必要でした。
悔やまれるのは、地域の高齢化や過疎化といった社会情勢の変化を反映できなかったことです。それを踏まえて被害想定を見直すべきでした。
私は、石川県の災害危機管理アドバイザーに就いた09年以降、阪神・淡路大震災を受けて作られた計画の見直しを提案してきましたが、政府の地震調査委員会による「長期評価」の結果が出るのを待つ形になり、二十数年、見直しは進んできませんでした。
根本には「すぐには地震は来ない」と考えていた面があります。それでも、能登半島で群発地震が起こり出し、それを踏まえ見直しは始めたものの、結果的に見直す前に地震が起きてしまった。すぐに、より大きな地震を想定して見直していれば、被害の「想定」と「実際」の乖離(かいり)をもっと小さくできた可能性がありました。
―今回の被災地は非常に混乱しました。
確かに今回、地域防災計画の「想定外」という面はあります。ただ、マグニチュード7・6だと分かった時点で、想定を超える大きな地震だと判断して、被害を推定することはできました。それが対応できなかった。倒壊建物数など、今も被害の全体像がつかめていません。初動のためには、概数でもいいので迅速に被害の全体像をつかむようにしないといけません。
発災直後、被害状況をすぐに把握する必要がありました。いわゆる「平成の大合併」などの影響も受け、自治体の力が弱くなっています。衛星電話をあらかじめ配備しておくなどの体制も必要でしたが、それもままならなかった。人工衛星やドローンなどの新しい技術を活用して、被害状況を把握するようにしなければなりません。
「想定外」が起きたとき、どう対応するかが問われています。例えば、道路が徹底的に寸断され、まったく自動車がつかえないときどう対応するか。孤立集落が多数発生し、すぐに解消できない場合どうするか。自然災害は人間の経験値を超えて起こりうるものです。
―直接的には防災計画に反映させないとしても、想定を上回る被害が出る場合も念頭に置くべきなのですね。
例えば、想定を上回る数の孤立集落が発生し1週間、物資も届けられないケースが発生したとします。その時に、空からでも孤立集落に支援物資を届ける体制を考えた方がいい。
道路が破壊されたなら、被災地救援で主に使われる大型の自動車は現地にすぐには行けないにしても、小型の車両なら入れるかもしれない。防災計画自体は、道路に被害がある場合、ある程度は大型車両の通行も可能なことを前提に作るとしても、使えない場合も想定しておくべきでしょう。
自治体職員が被災し、すぐには対応できないケースもあり得ます。普段に比べ、2割、3割と職員が少ない中で、いかに被災者救援にあたるかといったことも用意すべきです。
―南海トラフをはじめ、巨大地震はいつどこで起きるかわかりません。今後、全国的にどのような対応が必要でしょうか。
能登半島地震を受け、すでに防災計画の見直しに着手した県もあります。他の地域の経験を踏まえ、「一刻も早くやる」ことが大切です。北陸地方でも、富山県は国が調査した断層以外にも、県が独自に調査した断層が動いた場合も想定して計画を立てています。これ以外にも、5年ごとや10年ごとなどと定めて、常に計画の見直しをやっている自治体もあります。
防災計画の中で、発災時に自治体職員の広域応援をどうするかも検討しておくべきです。過去において災害対応の豊かな経験がある職員にすぐに現地に入ってもらう体制がいります。また、非常時には自治体の元職員を再招集する体制も必要でしょう。
地震は自然現象で、激しく揺れることは当然あります。災害は、自然現象と人為現象が合わさったもので、人間社会の側で被害の軽減をはかるようにしなければなりません。
自治体にも押し寄せる効率化の波ですが、それは災害には弱い。今回は、社会、行政の備え方が不十分だったために、被害が大きくなってしまいました。市町村の広域合併の弊害が如実に表れています。自治体は効率化だけを求めるのではなく、大きな被害を極力少なくできるように、防災計画を考えていくことが大切です。
むろさき・よしてる 1944年生まれ。神戸大学名誉教授。日本災害復興学会会長などを歴任。著書に『大震災以後』『建築防災・安全』など。
これから超巨大震災がやってくるという状況で、自治体と国が歩調を合わせて対応していかなければいけないのだが、国に要望する前に役立たずの政権をまず倒すことから始めなければならない。その方が早道だ。
がんばったのに、倒すことができませんでした。
なんででしょうね? 悔しいです!
最後は反共攻撃しかできない相手は卑怯です❢
最適な候補者なのに、ほんとに申し訳ないです。
前橋市のように共闘したら、勝てたでしょうに😥