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毒キノコ

2016年09月14日 | 野菜・花・植物

もし食べてしまったら…毒キノコの種類と対策法

株式会社オールアバウト - All About - 2016年9月10日

 ■1500種中、食用可能なキノコはわずか300種

キノコはカビと同じ菌類。菌糸と呼ばれる細胞が成長し、子実体と呼ばれる、我々が目にする形のキノコになり、胞子を作って、繁殖していきます。子実体の多くは傘を持ったような形をしています。

山には多くのキノコが生えており、秋になるとキノコ狩りなどのレジャーもありますが、食用可能かどうかの判断は非常に重要です。日本には約1500種類のキノコがあると言われ、食用可能なキノコは約300種、その中でも市販されているものは約20種と言われています。驚くべきことに、毒キノコと判っているものは約30種、残りの多くは、食用なのか毒なのかが不明なのです。

キノコを食べて様々な症状が起こるキノコ中毒ですが、その多くは、自ら山で採取した毒キノコを食用と考えて摂取して食べてしまうことで起きています。キノコによる食中毒では、意識がなくなるなどの意識障害、不整脈などの循環器障害、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器障害などが起こります。

■キノコ中毒の主な症状

キノコを食べた後、主にどこに症状が出るかで、大きく4つに分類されます。

1.消化器型

2.溶血型

3.神経型

4.その他

キノコ中毒を考える時に重要になるのが、摂取してから発症までの時間。3時間以内に発症する場合は、消化器型が多く、10時間以上経ってから発症するものは、重症になりやすいです。

以下で、各タイプ別に、その毒成分と含まれるキノコをまとめてみます。それぞれの毒に対する治療法についても解説したいと思います。

■消化器型キノコ中毒の種類・症状・治療法

●イルジンM、イルジンS、コリン

キノコ:ツキヨタケ、イッポンシメジ、カキシメジ

摂取から発症までの時間:30分~2時間

症状:水のような下痢、色彩幻覚と言って、青く見える(青視症)

治療:症状に応じた治療

●アマニタトキシン

熱に強い毒で死亡率が約90%で細胞を壊してしまうために、様々な臓器が障害される

キノコ:タマゴテングタケ、ドクツルタケ、シロタマゴテングタケ

摂取から発症までの時間:6~24時間

症状:水のような下痢、肝障害

治療:胃洗浄をして、活性炭、下剤を使用する。胆汁吸引を行う。ペニシリンGの投与。血液浄化と利尿を行う

■溶血型キノコ中毒の種類・症状・治療法

●ヒドラジン

熱で無毒化

キノコ:シャグマアミガサタケ

摂取から発症までの時間:6~12時間

症状:消化器症状、ビタミンB6の作用を抑えるために痙攣、溶血、肝障害、腎障害

治療:ビタミンB6を投与したり、メチレンブルーを投与

■神経型キノコ中毒の種類・症状・治療法

●イボテン酸

キノコ:テングタケ、ベニテングタケ

摂取から発症までの時間:30分~2時間

症状:アルコール中毒のような症状、粘膜が乾燥し、脈が多くなる

治療:ネオスティグミンという副交感神経を高める薬の投与

●ムスカリン

熱に強い

キノコ:アセタケ属、カヤタケ属

摂取から発症までの時間:30分~2時間

症状:発汗、よだれが出て、涙が止まらない、目の瞳が小さくなっている

治療:アトロピンという副交感神経を抑える薬の投与

●クリチジン、アクロメリン酸

キノコ:ドクササコ(ヤブシメジ)

摂取から発症までの時間:2~4日

症状:手足のしびれ、灼熱感、強い痛み

治療:硬膜外ブロックで痛みを和らげる

●シロシビン

キノコ:ワライタケ、ヒカゲタケ、シビレタケ

摂取から発症までの時間:30分~1時間

症状:幻覚、口の乾燥し、全身倦怠感、酩酊状態になり、意識障害

治療:統合失調症などの使用する抗精神薬であるクロルプロマジン

■その他の中毒・症状・治療法

●コプリン

キノコ:ホテイシメジ、スギタケ、ヒトヨタケ

摂取から発症までの時間:3時間~5日

アルコールを同時に摂取すると30分~2時間

症状:吐き気、嘔吐、動悸、顔が赤くなる、意識がなくなるなどの2日酔いのような症状

治療:アルコールを避ける。血圧を下げる薬であるプロプラノロールを投与

■キノコ中毒の予防法と対策法

まず何よりも、知らないキノコは食さないこと。キノコの外観、形態などをよくチェックして、図鑑などでキノコの種類をしっかりと確認しましょう。(図鑑だけでは不十分です。必ずきのこに詳しい人に見てもらうことが重要です。)そしてキノコを採取した時には、採取した場所、時刻、食べた場合は調理方法、摂取量、一緒に食べた人などを把握しておきましょう。加熱することで無毒化するキノコ毒もあります。

毒キノコを食べたかもしれないと思った時には、まずは、吐き出すことが大切です。ただし、意識がない場合、けいれんしている場合は、気道に吐物が入る可能性があるので、嘔吐させてはいけません。

キノコを食べてから、体調が悪化した場合は、医療機関を受診します。その時には、できれば残っているキノコを持参しましょう。食品として摂取したキノコ中毒と診断された場合は、医療機関ではただちに保健所に届ける必要があります(食品衛生法第58条)。また、発症までの時間が長い毒キノコもありますので、なかなか診断が難しいことがあるのも実情です。

いずれにしても、名前がはっきりと判らないキノコや、確実に食用であると判別できないキノコを食べないようにすることが、キノコ中毒の予防の鉄則です。

 【医療情報・ニュースガイド:清益 功浩】

 


昨年は盆過ぎには出た落葉きのこ、今年は暑いせいでしょうか、まだ出ていません。北海道できのこといえば落葉きのこ。多くの愛好家たちが待っています。今年はクマが頻繁に出ているようです。気を付けましょう。


中学生の貧困・いじめ

2016年09月12日 | 社会・経済

ダイヤモンド・オンライン  201699

中学生の貧困・いじめ

   …保健室でしか聞こえないSOS

     みわよしこ [フリーランス・ライター]

   自分は貧しい」「自分は困っている」とは言いにくい。まして多感な中学生なら、なおさらだ。しかし、小さなSOSを素直に出せるかもしれない場所がある。学校の保健室だ。

 中学校の保健室に集まる、声にならないSOS

   保健室は子どもたちの「最後の砦」だ

   2016年8月10日に刊行されたばかりの書籍『ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル』(朝日新書。以下、『ルポ 保健室』)が、静かに反響を呼んでいる。

 著者は、ノンフィクション・ライターの秋山千佳さん。

 秋山千佳(あきやま・ちか)氏
   1980年生まれ、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。記者として大津、広島の両総局を経て、大阪社会部、東京社会部で事件や教育などを担当 。2013年に退社し、フリーのノンフィクションライターに。子どもや若者の生きづらさをメインテーマに取材・執筆している。著書に『戸籍のない日本人』(双葉新書)。

  タイトルどおり、舞台は「保健室」だ。公立中学校の保健室の日常が、つとめて感情を込めず、淡々と、事実を……という筆致で描かれている。にもかかわらず、保健室を訪れる中学生たちの思いや声にならない叫び声が、行間から噴き出してくるように感じられる。大人社会の中で「理解できない」「問題の子」とされがちな中学生たちは、しばしば、貧困・虐待・いじめなどの中で、小さな身体を張って十余年を生き延び、闘い疲れている。中学生になると、思春期の「性」の問題も加わる。性的虐待・不本意な売春・LGBTなど自らの性認識を含めて、「生きづらさ」が大きく増幅されがちだ。

「保健室を取材すれば、いまどきの子どもの問題が見えてくるのではないか」(『ルポ 保健室』より)

  と感じた秋山さんは、新聞社に勤務する記者だった2010年、保健室の取材を開始したという。取材を重ねるにつれ「当初の予想を絶するような事情を抱える子どもたちと出会う」ことになった秋山さんは、「貧困は、どの保健室でもありふれたもの」という現実を述べつつも、「子どもの立場からすると(略)苦しさは、一つのキーワードだけでは言い表せない、いくつもの困難が絡みあった状態」という。

  しかし、困難な状況にある中学生たちが教室の中でSOSサインを出すことは少ない。クラスメートの中で、教員たちの中で、常に評価され緊張を強いられる場で、弱みを積極的に見せたいとは思わないだろう。しかし保健室は、安心して弱みを見せられる場だ。ちょっとした体調不良を理由として行くことのできる保健室は、今、「保健室ほど、現代の子どもたちをとりまく問題を明瞭に見渡せる場所はない」という位置づけにある。

  もしも、そこにいる「保健室の先生」こと養護教諭が例外なく、ちょっとした体調不良の相談や雑談の中から子どもたちのSOSサインを感知し、たわいない雑談を繰り返しながら、置かれている環境や直面しつづけている困難を探り出し、支援のネットワークを作り上げられる状況であれば、全国の学校という学校にある保健室は「子どもたちを救う最前線」ともなりうる(以上、引用は『ルポ 保健室』より)。

 戦争の悲惨どころじゃない
        
「平和」と無縁な子どもたち

『ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル』(朝日新書)には、生徒たち・養護教諭・学校と地域社会の姿とともに、中学校の保健室の「いま」が濃縮されている。日本独自の養護教諭と養成システムの成り立ちなど背景も紹介されている

   なぜ、「保健室を取材しよう」と考えたのだろうか? 問いをぶつけた私に、秋山千佳さんからは、意外な答えが返ってきた。

   「大学を卒業した後、『事件記者になりたい』と思って、新聞社に入りました。希望通り、地方支局で事件を担当することができました。やりがいのある仕事でした。でも、『戦争と平和についての報道に携わりたい』と思うようになりました」

 「事件記者になりたい」と思ったきっかけは?

   「1999年、桶川ストーカー殺人事件の時です。その頃の私は、高校は卒業していましたが、進学も就職もせずアルバイトをしていて、浪人ともフリーターとも言えないような宙ぶらりんな状態でした」

  報道は当初、被害に遭った女性に対して、それほど好意的ではなかった。「加害男性からのプレゼントを身に着けていた」といった悪意ある報道もあった。

  「でも、ストーカー行為や殺人を『悪』とする立場からの報道を続ける記者もいました。そして、報道のネガティブな面をポジティブな面が上回る瞬間があり、『ストーカー規制法』へとつながりました。報道の力は国を動かして制度を作り、誰かを救うことがあるんだ、と実感しました」

   一念発起した秋山さんは、受験勉強に取り組み、早稲田大学に合格した。初志貫徹して、朝日新聞社に入社した。最初に配属されたのは、滋賀県・大津支局だった。

   「そこで戦争の証言を取材して、毎週、記事にする仕事をしました。『続けて取材していきたい』と思い、原爆が落とされた広島に行きたいと希望し、念願かなって広島支局に転勤することができました。原爆に関する取材にも携わることができました。今も、原爆に対する気持ちを忘れたわけではないです」

 期せずして、原爆取材は、秋山さんを保健室へとつなぐ最初の一歩となった。

   「原爆に関する取材をして、記事にしているうちに、『どうも、若い人に届いていない』という感じがしました。たとえば、広島市の平和記念公園には、修学旅行の中学生・高校生がたくさん来ますが、興味を持って、そこに来ているわけではないんですよね。『暑い』『つまんない』『見たくない』とか言いながら、広島平和記念資料館に入るわけです。お化け屋敷に入る感覚で入ったり、逆に、感受性の強い子が泣き出したり」

  1963年生まれ、福岡市近郊で育った私は、1975年、小学校の修学旅行で長崎原爆資料館を訪れた。当時の小学校のクラスメートの中にも、現地で悪ふざけをする男子はいたが、そこまでの「他人事」感はなかった。長崎から近い地域であり、親世代や祖父母世代に何らかの形で原爆を経験した人が少なからずいたせいかもしれないが、それだけではなさそうだ。

  「原爆のことを伝えたいのに、伝わらない。『なぜだろう?』と思いながら、大阪本社に異動することになりました。そこで、答えが見つかったんです」

2009年、大阪・富田林市で、高校1年だった男子高校生が、リンチの末に殺害された。事件取材を担当した秋山さんは、連日、現地に赴き、被害者・加害者双方の関係者を取材した。

 「みんな、高校生または同年齢の無職の少年たちだったんですけど、彼らの多くは貧困のさなかにいたんです。腕や身体に、ボールペンで入れ墨を入れていたり。その少年たちと話をしているうちに、『自分がまったく平和じゃないから、原爆や戦争の悲惨さを聞いても、それどころじゃないんだな』と気づきました。ガーン、と衝撃を受けた感じでした。この少年少女たちが平和にならなきゃ、原爆や戦争を伝えるなら、話はそれからだ、と」

 そこで秋山さんは、教育に目を向け始めた。

  「彼らは、中学校には通っていたんです。不登校ではありませんでした。『不良少年』というレッテルは貼られていたにしても、学校は関与できたはずです。でも、中学を卒業してしまうと、頼れる大人がいないまま、仲間でボールペンの入れ墨を競うような生活になってしまって。この現代において、『平和』というものが保障されていない子どもたちがいるんです。『大人として、これを見逃していたら、本当に無責任だなあ』と感じました。このとき、考えることを始めさせてもらった、という気がします」

 関西公立中9割で“マスク依存”
     
「だてマスク」から保健室へ

  翌2010年、東京本社に転勤することになった秋山さんは、偶然、教育を担当することとなった。
  「ちょうど東京本社に異動したタイミングで、『いま子どもたちは』という連載が始まりました。子ども・若者の生きづらさを発表できるわけです」
   最初に秋山さんが記事化したのは、風邪でも花粉症でもないのにマスクを手放せない子どもたちだ。記事「マスクで隠す素の自分 よそおう-1」には、一日中マスクを手放せない子どもたちの「先生に怒られている時、マスクをしていると聞き流したり反抗したりできる」「顔を隠せて視線にさらされない安心感がある」という声が紹介されている。

  『ルポ 保健室』の第一章は、東京都内の中学校の保健室から始まっている。保健室には毎朝、「マスクください」とやってくる生徒たちが来る。その中には、家でマスクを買ってもらうことができない貧困家庭の子どももいる。2016年現在も、状況はほとんど変わっていない。

   同書によれば、関西の公立中学校の90.6%に、マスクを手放せない「マスク依存」の生徒がいるという(兵庫県立大学准教授・竹内和雄氏の調査による)。学校の管理職も「自信がなく、顔をさらすのが怖い」という子どもたちの心理を理解し、「育ちに由来して、自尊感情の低い子が多い」と感じている。貧富の混在している地域では、家庭の経済状況が学力差につながり、共通の話題を通じて友人関係も「格差」化していく。また、貧困でなくとも、親との関係が「マスクを買ってほしい」と言い出すこともできないものである場合もある。

 「なぜかマスクをしている中学生がいる」という事実、「変わった流行」で片付ければ済みそうな小さな事実一つ一つの向こう側に、数多くの問題があり、発見され解決されるのを待っている。

 保健室は「最後の砦」
    
居場所を奪われていく子どもたち

  『ルポ 保健室』には、日々、中学校の保健室に持ち込まれる、大人の想像力を超えた問題の数々が登場する。
  「障害児」とはラベリングされていないが、学級にいられず学習のできない子どもがいる。
   虫歯だらけで生活習慣病を抱えた生活保護シングルマザーの子どももいる。母親は病気を抱えており、子どもの通院どころか、食事をさせることもできない。
   欠席がちだが、給食の時間の直前に学校にやってくる子どもがいる。極度に痩せており、給食が生命線なのだ。
  クラスメートとの性行為で緊急避妊薬を使う女子生徒、「どうせ不登校だろう」と中学校の制服を買ってもらえなかった子ども……。

  養護教諭にできることは限られている。家庭の中まで踏み込んで支援することはできないし、子ども一人を飢えさせないだけの食糧や予算を動かす権限もない。そのうちに、卒業の日がやってくる。中学卒業後、高校に申し送りをすることができても、高校には「退学」がある。

  中学校の保健室は、まず、義務教育と義務教育以後の境界にある。中学校の中ではあるが、中学校の辺縁、最も社会に近い位置にある。その位置にあるから可能なことが、数多くありそうだ。そこに注目した秋山さんが『ルポ 保健室』をまとめたからこそ、私はそのことに気づくことができた。

  「でも私、なんで保健室に注目したのか、今となっては、はっきりとは思い出せないんです。取材を始めてからは『目からウロコ』、衝撃の連続でした。これほど、子どもの問題が、自分がいるだけで見える場所って、他にはないだろうと」(秋山さん)

   養護教諭の前では、「ヘンなことを言ったら内申書の内容が悪くなるかも」と緊張する必要もない。
  「教室での子どもの顔は、『素』の顔ではないことが多いです。中学は特に、教室は緊張を強いられ、成績で評価される場所ですから。でも保健室は、学校の中では唯一の、緊張や評価と無関係な場所です。子どもに残されている最後の居場所、学校の最後の砦です」

  自分の小・中学校時代、そういう「異界」のような場所は、他にも数多く存在した記憶がある。用務員室もあった。図書室もあった。現在は、「放課後、図書室に常駐させておけるだけの人員の余裕がないから」などの理由から、放課後は図書室を開室していない学校も少なくない。

 「今、学校で子どもの居場所になれる場所は、本当に、保健室しかないことが多いんです」

 「在学中限定」の保健室の限界は?
        
世の中に“保健室”は必要ないか

  保健室という居場所と養護教諭との関わりは、在学中限定だ。それでも、卒業後の何年にもわたり、困難の中でのその後を支え続けることもある。

   「自分のために必死になってくれた大人がいた、という事実は、子どものその後にとって(略)大きな意味を持つのだ」(『ルポ 保健室』より)

 それでも、人生のあらゆる段階に、「保健室」のような場所があったら、どれほど多くの人々が救われるだろうか?

  『ルポ 保健室』の第4章・第5章には、長野市にある「川中島の保健室」が登場する。小・中学校に40年間勤務した元養護教諭が、定年退職後に私費で開設した「まちかど保健室」だ。

  医療機関のように「壁の向こうで、ニーズのある相手が来るのを待っている」というスタイルではなく、押し付けがましくアウトリーチするのでもなく、用があってもなくても立ち寄れる「保健室」という場所とスタイルの重要さは、むしろ今後、大きくなる一方だろう。しかし、そのためには、場所と人件費の確保が必要だ。善意の私財だけで、長期に安定した運営を行うことは難しい。

 「でも財源以前に、まず、保健室で何が起こっているのか、保健室がどういう役割を担っているのかを伝えて、『世の中を動かさないと』と思ったんです」

   保健室があり、養護教諭がいるからできることは数多い。しかし現在のところ、地域差・学校管理職の考え方による差が大きすぎる。「教員カースト」の中では、養護教諭は最下位にあたる存在でもある。自分一人の志で学校を変えられるほどの力はない。

  「『ルポ 保健室』の子どもたちは、どこにでもいる子どもたちです。特別な事例じゃありません。学校も、これといった特徴のない普通の公立中学校ばかりです。その子どもたちが、保健室で救われたり、保健室に救われることもできなかったりします。大人の目も手も届いていない子どもたちが、現時点では、たくさんいるのだろうと想像しています。だから、現状を広く知らせて、状況を変えることができれば、変わってほしい、という思いで、書籍化まで取材を続けてきました」

 秋山さんが、これから伝えていきたいことは何だろうか?

  「保健室だけでも、『ルポ 保健室』で完結したわけではありません。

  小学生だと、大人に言葉で伝えることが難しいので、SOSもキャッチしにくいわけですが、早い年齢でキャッチできれば、その後をより大きく変えられ、心の傷が少しでも浅いうちに救うことができるかもしれません。

  高校生だと、問題の内容が大人に近くなります。特に女子では、深刻な性犯罪被害・妊娠の可能性・中絶などの問題が起こります。でも高校には、退学という制度があります。退学したりさせられたりすると、その後は接触できなくなります」

 「学校の保健室」という漠然とした理解では、想像の及ばないものごとが、たくさんある。

 「でも、子どもや若者の生きづらさが全部、保健室に持ち込まれているわけではありません。持ち込みたくないもの・持ち込めないものもあります。そもそも、不登校だと保健室にも行けません。さらに幅広く、取材していきたいです」


大好きなメロンパンが!

2016年09月12日 | 食・レシピ

国が規制、メロンパンは人体に危険

     サイゾー - 2016年9月10日

 「好きなパン」ランキングで常に上位にランクインし、今やコンビニエンスストアの定番商品のひとつとなっているメロンパン。行列ができる「メロンパン専門店」も少なくない。

しかし、実はメロンパンには健康に悪影響を及ぼす材料が使用されており、非常に体に悪い食べ物だという。

●アルミニウムの蓄積で肝臓や腎臓に障害も

 メロンパンに含まれるもので、まず問題なのは「アルミニウム」である。「アルミニウムそのものは、空気や水、土、その土壌から栽培された野菜や穀物などにも微量に含まれていて、普通に生活していてもとってしまうものです」と語るのは、管理栄養士のAさんだ。
 しかし、アルミニウムは「体内に蓄積されると、肝臓や腎臓の障害を引き起こす可能性があります」(Aさん)という。実際、厚生労働省は2013年に「食品中のアルミニウムに関する情報」という研究結果を発表している。それによると、ラットに多量のアルミニウムを投与した実験において「腎臓や膀胱への影響や握力の低下」などの結果が得られたという。
 そして、厚労省がアルミニウムの規制対象食品として名指ししているのが、ほかでもないメロンパンなのである。

「多くのパンや菓子パンは『パン酵母』を使用していて、パン生地を膨張させるために膨張剤を使わないものがほとんどです。ところが、メロンパンのクッキー生地に使用されるベーキングパウダー(膨張剤)にはミョウバン(硫酸アルミニウム)が含まれているため、厚労省がスポンジケーキやドーナツ、蒸しパンなどとともに、メロンパンを対象食品にしたのです」(同)

 厚労省がアルミニウムの規制に乗り出したのは、2011~12年に子供を対象にした調査結果がきっかけだ。それによると、1~6歳の小児のうち5%が、世界保健機関(WHO)などの専門機関が設定した「1週間に体重1キログラムあたりで2ミリグラム」という暫定許容量を上回っていたという。

 「厚労省がメロンパンを規制対象とした理由は2つです。まず、共働き家庭の増加により、手間のかからない食事として、子供にメロンパンを与える機会が増えたこと。そして、アルミニウムの多量摂取による人体への影響が認められたことです。子供は大人にくらべて添加物の影響を受けやすいので、注意が必要なのです」(同)

乳化剤に遺伝子組み換え大豆が使用?

 Aさんによると、アルミニウムのほかにも、メロンパンにはさまざまな添加物が含まれているという。「メロンパンのなかには、果物のメロンに近づけるために食品添加物を使用したものも多くあります。メロンの“緑色”を表現するために、『青色1号』などの合成着色料が使用されている可能性も高いですね。また、メロンの香りをつけるための香料は、種類や量などの表示義務がなく、実際には数種類の香料が使われていたとしても、成分表には『香料』という一括表示のみになっています」(同)
 さらに、ほとんどのメロンパンが生地を均一に混ぜ合わせるために使う乳化剤にも、思わぬ落とし穴がある。乳化剤には、卵黄由来のものと大豆由来のものがあり、「レシチン」という卵黄由来のものなら問題ないが、大豆由来の場合は「遺伝子組み換え大豆」が使われている可能性があるという。

 「納豆や豆腐などのたんぱく質が残りやすいものは『遺伝子組み換えでない』という表示が義務づけられているのですが、乳化剤には記載の義務がないため、遺伝子組み換え大豆を使いやすいという実情があります」(同)

 巧みな表示トリックによって、知らないうちに食品添加物や遺伝子組み換え作物にまみれたメロンパンを食べさせられているかもしれないのだ。「食品添加物や遺伝子組み換え作物はラットやマウスでの実験しか行われていないため、人間の体にどのような影響を及ぼすのか、いまだに解明されていない部分が多いのです。私たちが、成分一括表示や表示のない食品を食べること自体が実験になっている可能性が高いですね」(同)

●栄養バランス最悪で糖尿病や高脂血症の引き金に

 さらに、栄養バランスという面でも、メロンパンは最悪の食べ物だという。「メロンパンひとつに含まれるエネルギー量は、約400~500キロカロリー。しかし、その成分は糖質と脂質ばかりなので、ビタミンとミネラルをほとんどとることができません。そのため、毎日のように食べていると栄養が偏るだけでなく、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病につながる危険があります」(同)
 また、砂糖のとりすぎは体内のカルシウムを溶かしてしまうため、砂糖が多く使われたメロンパンを食べすぎることによって、将来的に骨粗鬆症を患うという懸念も出てくる。

 「たしかに、焼きたてのメロンパンはとてもおいしいです。とはいえ、添加物や栄養面から見ると、とてもじゃないが『食事』と呼べるものではありません。あくまで間食として、2週に1個程度に抑えることをおすすめします」(同) 個人店などでは、アルミニウムを含むベーキングパウダー不使用のメロンパンもあるが、それでも栄養バランスが悪い食べ物であることには変わりがない。行列に並んでまでメロンパンを食べるなど、百害あって一利なしといえそうだ。

(文=谷口京子/清談社)


福島小児科医会とんでもない要望書

2016年09月11日 | 社会・経済

室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」 

日刊ゲンダイ2016年9月1日

検査規模の縮小要望
   
彼らはどこを見て仕事をしてるんだ?

 「(これまでの検査によって)被検者、保護者のみならず、一般県民にも不安が生じている」(8月25日/福島小児科医会)

  これは8月26日付、毎日新聞地方版に載っていた、福島小児科医会が25日、県庁の福祉課に出した要望書に書かれていた言葉だ。

  ちょっと、この言葉だけではわかりづらいよな。じつは、この要望書、とんでもないものなのだ。

  福島小児科医会が何を言いたいかというと、東京電力福島第1原発事故の健康影響を調べるため、県内の全ての子どもを対象に実施している甲状腺検査を、減らせと要望している。これからは同意を得られた人のみを対象とする仕組みへ、変えて欲しいんだとか。

  その理由として、前出の言葉だ。

   これまでの検査によって、173人が「がん」か「がんの疑い」と診断された。そんなに多くの甲状腺がんが見つかると、住民たちが不安になるでしょう、って。

その考え方って変じゃない? 普通は、住民を不安にさせてはいけないから、より丁寧にさらなる検査をしていこう、って話にならないか?

  だって、検査規模を縮小し、甲状腺がんの発見が少なくなっても、それで健康被害が小さくなったなどとは言えまい。

  住民が安心するのは、子どもが十分な検査をし、がんが発見されなかった場合だ。

  それか、たとえ甲状腺がんが見つかっても、発見が早かったから、初期の段階で手術をし、大事に至らなかった場合だ。

  もちろん、大事に至らなかったといっても、手術までするのだから、許せない気持ちにはなる。そういうことをわかっているのか?

  少子高齢化の昨今、さほど儲からない小児科を志した先生は、子どもが好きな良い人たちばかりなのかと思っていた。子どもの健康をいちばんに考えてくれる人たちだと。彼らはどこを見て仕事をしてるんだ? 信じていたぶんだけ、酷い裏切りに思えてしまう。

 

室井佑月作家

1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。


人間の可能性を信じて

2016年09月10日 | 社会・経済

人の可能性伝える 相模原殺傷「命を感じて」 

    毎日新聞2016年9月8日

  【リオデジャネイロ飯山太郎】7日開幕したリオデジャネイロ・パラリンピックに、身体障害者競泳女子で過去にメダルを量産してきた「水の女王」、成田真由美(46)=横浜サクラ=が2大会ぶりに出場する。7月、相模原市の障害者施設殺傷事件の現場を訪れた。「身体と知的の差はあるが同じ障害者。亡くなられた人の命を感じながら、しっかり結果を残さないと」とレースに臨む。

 「水の女王」2大会ぶり出場の成田真由美

  事件発生5日後の7月31日の朝、成田は事件現場の「津久井やまゆり園」にいた。中学生の時に脊髄(せきずい)の病気で車いす生活となった。手足にまひなどがあり、自宅のある川崎市から園まで車の運転は自信がなかったが、友人が車を出してくれた。

    障害者の存在そのものを否定するような事件が、障害者スポーツの祭典の前に起きた。「リオに行く前に行きたかった」という成田は、献花台に花を手向け、犠牲となった19人の冥福を祈った。

  1996年アトランタから2008年北京まで4大会連続で出場し、金メダル計15個を獲得した。北京大会で運動機能障害のクラスをそれまでより軽く判定された影響でメダルゼロに終わってからは、第一線を退いた。

  13年9月に20年東京パラリンピックの開催が決まり、それに向けて障害者スポーツの認知度を上げるためには、自分は泳ぐしかないと考えた。昨年9月に競技に本格復帰し、今年3月の代表選考会でリオ切符を手にした。

  障害者アスリートの立場から東京大会組織委員会の理事も務める。さらに「障害者の環境など改善しないといけない点が多々ある」と思い、頼まれれば行政機関の委員なども務めてきた。

  それだけに相模原の事件は大きなショックだった。「年を取れば誰だって階段を上がるのがつらくなる。障害はみんなに関わる問題。それなのに、動けない障害者が次々と刺されていくなんて理解できない」。競技を通じ障害者の可能性を示してきた自らの努力を無にするような事件に言葉を詰まらせた。

  成田はパラリンピックの意義を「人間が持てる能力を最大限に発揮するということ」と言う。障害があっても残された能力を生かし、できなかったことを、できることに変えていく。人間の可能性を引き出すことが大会の魅力と感じている。

  40代後半になっても自己ベストを更新し続ける大ベテランは、リオの目標を「自己ベストを出し、決勝に進むこと」と話す。8年ぶりの大舞台は、まず過去の自分を乗り越えることで、人間の可能性の素晴らしさを見る人に感じてもらいたいと考えている。


藻谷浩介の地方創生

2016年09月09日 | 社会・経済

政府が大転換! 地方創生は「手に職つけて、田舎で人間らしい暮らしも悪くない」

     企業経営 2016.9.9PRESIDENT Online

  地域エコノミストとして全国各地を巡っている藻谷浩介氏。市町村合併前に約3200あった全地方自治体を踏破している。各地の実情、地勢、風土まで知り尽くした氏が地域経済を眺めていて感じることとは、何か。

日本総合研究所・藻谷浩介主席研究員

 国主導の地方創生がうまくいかないわけ

  私は長年、地域の再生や地方活性化について発言してきた。そうしたなか、国が「地方創生」をスローガンとして掲げ、人口減少問題に正面から取り組む姿勢を見せたことは、他のどんな論者よりも高く評価している。東京都豊島区ですら、消滅可能性のある自治体と名指しされたくらいで、人口減少は日本中のすべての自治体が直面する問題なのだ。

  とはいえ国が予算を付けて行うことは、とかく「補助金ビジネス」の温床となりがちだ。全市町村に「地方創生計画」策定を義務付けたところ、不勉強な自治体ほど地方の現状をわかっていないコンサルタントに丸投げすることとなり、相も変わらず道路や箱モノ中心の形式的な計画ができて建設業界を喜ばせる結果となっている。

  国自身わかっていることだが、地方創生が国主導で成功するわけはない。国を親、地方を子どもにたとえるとわかりやすいが、親が子どもに小遣い(カネ)をたくさん与え、一方的にああしろ、こうしろとやって、子どもがちゃんと育つか、ということだ。子どものやる気を喚起して、生活費ではなく自己研鑽費を支援することで、初めて子どもは自立していく。地方創生の補助金も、全部がムダということはもちろんなく、この話の前から高い意識を持って研鑽をしてきたような自治体では、とても有効に使われている。

  地方創生が、若者を中心とした国民の一部の意識に働きかけをしたことも評価できる。21世紀だというのに、いまだに親の意識は高度成長期の頃のままで、「いい大学に行って、いい点数を取って大企業に就職を」一辺倒だ。そのため出生率が1.2しかない、つまり非常に子どもの生まれにくい首都圏に若者が集中し、結果として日本の人口減少に拍車がかかっている。「手に職つけて、田舎で人間らしい暮らしをするのも悪くない」という選択肢を、国が音頭をとって示したことは画期的だった。

  とはいえそこで親が「お前が田舎で結婚するためのデート費用を出してやろう」といって金を与えてしまえば、子どもは経済的に自立しないままであり、ますます彼女ができない、みたいなことが起きるのは当たり前。補助金ビジネスでうまくいくはずがない、というのはそういうことだ。予算を執行すれば終わりと考えているうちは、真の地方創生は難しい。

東京のノウハウはもう地方には通用しない

 地方創生を考えるとき、現状認識として「活力ある東京、ダメな地方」と決めてかかることは禁物だ。「東京の優れたノウハウを地方に注入したら、地方が創生するだろう」とトライする人がいるが、ことごとく失敗している。

 東京のノウハウとは、大企業のノウハウのことだ。大市場相手に効率的に供給するシステムを専門スタッフが分業して構築する、いわば「トヨタ化を推進するようなもの」と言っていいだろう。しかし、そのやり方は、市場が小さく人材も限られたが地方では通用しない。本当のことを言えば、この東京のノウハウは東京ですら通用しなくなっている。好みの多様化で市場が細分化しているのに、旧来の「専門スタッフ」は対応できず、間接費の塊となっているのだ。地方の現場に立って、未来に通じるノウハウを研究したほうがいい。

 道の駅の魚市場のつくり方などは、その典型。生の水産物は供給が安定せず、客が多い週末にまったく獲れないなんてこともあり得る。だからといって他産地のモノを入れたり、冷凍品や加工品を入れたりすれば、大手スーパーと変わらない品揃えになってしまう。それではだめなことはイトーヨーカドーもイオンもスーパー部門が赤字であることを考えればわかるだろう。「いつでも・どこでも・誰にでも」ではなく、「今だけ・ここだけ・あなただけ」を売り物にして、今あるものに付加価値をつけて高く売るノウハウが必要なのだ。

 他方で地方にも、「いつでも・どこでも・誰にでも」を求める市場はある。業績好調のセブン-イレブンは、東京に限らず、高齢化した超過疎地の店舗でも、こうした需要を掘り起こして黒字だ。その陰には、地域によってこまめに商品構成や味付けを変える工夫がある。

 地方創生を否定する東京一極集中という愚論

 驚かされるのは、地方創生よりも東京一極集中を推進すべし、という論者がいることだ。彼らは、東京一極集中しないと上海などとの都市間競争におくれをとると主張する。私から言わせれば、そもそも競争相手の設定が間違っている。上海は中国という国家の経済中心地に過ぎない。東京も現状では日本の中心であるだけだ。国際競争のライバルは、金融ならシンガポールや香港、ロンドン、フランクフルト、ニューヨーク。ITならシリコンバレーだ。

シンガポールの人口は、外国人居住者を入れても600万人。一方、東京圏にはすでに3500万人もいる。人口が大きいほど勝つというのなら東京は6倍勝っていないとおかしいが、現状は負けている。そもそも東京は、2位以下に2倍の差をつけた世界最大の都市なのだ。そこにもっと人口を集中させるとは21世紀の大砲巨艦主義、アホかって話です。

 ニューヨークですら都市圏人口は2500万人。でもそのニューヨークが、超広域でも人口500万人のシリコンバレーに産業のイノベーションで勝っているわけではない。自動車産業でいうと、デトロイトが300万人なのに対し、豊田市の人口は40万人と約1/8に過ぎないが、今や豊田市が圧倒的に勝っている。東京一極集中論者は、都市間競争の意味がまったくわかっていないのではないか。彼らが言っているのは「東京に人口が集まれば、都市のGDPが大きくなる」ってだけ。それだけなら、いずれ中国やインド(の都市)が勝つでしょ、って話です。

 都市間競争を勝ち抜くために肝心なのは、人口一人当たりの価値をあげること。どれだけ国際的なネットワークを持ちイノベーティブな人材を擁するか、質が重要で数は関係ない。私から言わせれば、競争力は数だと主張する論者が学者でいられることが信じられない。

課題はいかに地方の生産年齢人口を増やすか

 そもそも地方創生の政策のイノベーティブなところは、交通インフラ整備に工場誘致、という旧来の発想は通じないことを直視し、「地域内の経済循環の拡大」が必要だと明確に掲げたことにある。今までの地方では、補助金も年金も地域企業の稼ぎも、資材購入や消費や貯金を通して、ことごとく東京以下の大都市に還流してきた。これらが少しでも多く地域内で回るよう、地産地消を進めなければならないというのだ。慧眼である。

 このようなスキームを初めにつくったのが、自民党の石破茂氏、平将明氏、小泉進次郎氏の3人である。石破氏は、とにかく謙虚に勉強する人で、地方の実情にも深く通じている。平氏は大田区で家業の仲卸会社社長を務め、大田区の町工場の現状をよくわかっているし、大田区の町工場と日本の地方が抱える構造が同じであることを認識されている。そして地方は当初、このスキームで地方創生の計画づくりを始めたはずなのだが……。

 困ったことに地方の政治家や自治体職員の方が、地域内の経済循環の拡大といわれても何のことか全然わかっていないという現状がある。かつての新産業都市だろうが地方創生だろうが同じで、やろうとしているのは、補助金で道路を造ろうとしていることだけ。でもある程度下の世代は、日銀の金融緩和や補助金、五輪の公共投資なんかで経済が活性化するわけないじゃん、ましてや子どもは増えないよね、ってわかっていると思う。

 地方創生の予算をまいたから地方が活性化するだろうと思っていたが、うまくいかなかったなど、旧来の文脈でやっぱり地方創生はダメだと言われても困る。地域内の経済循環を拡大し、人口を増やすところにまで漕ぎ付けている自治体は、山間過疎地や離島にも出てきている。都市部こそ、こうした成功事例に学んで努力することが必要なのではないか。

 

藻谷浩介(もたに・こうすけ)
日本総合研究所調査部主席研究員。1964年、山口県生まれ。88年東京大学法学部を卒業後、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)に入行。以来、日本全国の市区町村をくまなく回り年間500回以上の講演をこなす地域エコノミストとして活動している。94年、米コロンビア大学大学院ビジネススクール修了。2011年より日本総合研究所に転じて現職。日本政策投資銀行地域企画部特別顧問、NPO法人地域経営支援ネットワークComPus理事長などを兼務する。著書に『実測! ニッポンの地域力』『デフレの正体』『里山資本主義』(共著)『和の国富論』など多数。

 


ひきこもり

2016年09月09日 | うつ・ひきこもり

引きこもり」全国に推計54万人

      朝日新聞デジタル - 2016年9月7日

   内閣府は7日、学校や仕事に行かず半年以上ほとんど外出しない15~39歳の「引きこもり」の人が、全国に54万1千人いるという推計値を発表した。6年前の推計値に比べ、7年以上引きこもっている人の比率が倍増し、長期化がうかがえる。

 「若者の生活に関する調査」で、2015年12月に5千世帯の本人や家族を対象に調べた。10年に続く2回目。引きこもりの人の割合は1・57%で、前回の1・79%(推計69万6千人)を下回った。内閣府は「相談窓口の設置などにより、人数的には改善があったと思われる」と分析する。

   年齢は、20~24歳と25~29歳が24・5%で最も多く、30~34歳と35~39歳が20・4%で続いた。男女別では、男性が6割以上を占めた。

   引きこもり期間は7年以上が34・7%で最多で、前回の16・9%から倍増。引きこもりになった年齢は、15~24歳が6割以上を占め、「不登校」「職場になじめなかった」などの理由を挙げた。35~39歳も10・2%と前回の5・1%を上回り、比較的年齢が高くなってから引きこもる人が増えた。


童謡「赤とんぼ」

2016年09月08日 | なんだかんだ。

毎日新聞経済プレミアム  2016年9月7日

 日本人の心に染みる「赤とんぼ」の郷愁と叙情

          森村潘 / ジャーナリスト   

   蒸し暑い日は続くが、朝夕の風はたしかに秋めいてきた。街によって、毎夕決まった時間に、鐘の音やなじみの音楽を流すところがある。

   童謡「赤とんぼ」を作曲した山田耕筰が、昭和初期に暮らしていた神奈川県茅ケ崎市では、この赤とんぼのメロディーが流れる。ああ、今日も暮れていくのかと、一日が終わりに向かうころにふさわしい、安堵(あんど)の気持ちをさそうやさしいメロディーだ。

 夕焼小焼の 赤とんぼ 負われて見たのは いつの日か 山の畑の 桑の実を 小かごに摘んだは まぼろしか

   ある新聞が十数年前、「日本の童謡や唱歌で、くちずさめるもの」を調査したところ、「赤とんぼ」の回答がもっとも多かったという。代表的な童謡・唱歌である「ふるさと」「赤とんぼ」「赤い靴」「おぼろ月夜」「浜辺の歌」「荒城の月」の6曲のなかから、複数で答えてもらった結果だった。

  それほど多くの人に、この歌が自然と覚えられているということだろう。郷愁を誘う素朴な歌詞と、親しみやすいのだが不思議な余韻のあるメロディーが心に残るのではないか。

 故郷との断絶を思わせる2番の歌詞

  ほのぼのしていながら、しんみりしたところのある詞は、詩人であり童謡作家の三木露風の手による。1921(大正10)年に出版した童謡集「真珠島」に、この詩が掲載された。

  それから6年後の27(昭和2)年に、山田耕筰は、東京−茅ケ崎間の列車のなかで、三木の詩集の「赤とんぼ」を読んでいるときに、メロディーが浮かんできたという。

  詞の話に戻れば、三木は故郷の兵庫県揖保郡龍野町(現在のたつの市)で過ごした幼少期を思い、当時の自分をいとおしむ気持ちなどからこの詞を書いたという。だが、必ずしもほのぼのとした郷愁だけではなかったようだ。

   6歳のときに、両親が離婚し母が家を出て、祖父に育てられた三木の心情が反映されたと言われている。「負われて見た」のは、幼くして「背負われて見た」という意味だから、作者の視線なのかもしれない。

 歌詞の2番はご存じのように、1番からがらりと変化する。

   十五で姐(ねえ)やは 嫁に行き お里のたよりも 絶えはてた 夕焼小焼の 赤とんぼ とまっているよ 竿の先

  姐やとは、子守娘のことで、若くして嫁に出て行ってしまった。そして、そのあとの「お里のたより」の「お里」については、いろいろ解釈があるようだが、「お里のたよりも絶えはてた」という言葉だけをとってみても、故郷との断絶すら思わせ、寂しさ、切なさも漂う。

 渥美清版の「赤とんぼ」も

  「赤とんぼ」は、合唱やソロでさまざまな形で歌われ、演奏されてきた。私にはこの歌は、ひとり夕暮れ時に、川辺で口ずさむようなイメージがあるので、ハーモニカのビブラートのきいた音色によるソロで聴いてみたくなる。古くは戦前のハモニカブームのなかで、この歌を何度も吹いた人もいるはずだ。

   歌唱としては、俳優の渥美清がこの「赤とんぼ」を歌っているCDがある。ある意味日本的な叙情を体現している“寅さん”は、ここではまじめにしっかり思いを込めている。また、寅さんとは切っても切れない縁の“さくら”こと倍賞千恵子もまた、透き通るようで温かみのある名曲に仕上げている。ともに夕暮れ時にでもしんみり聴くといいものだ。


リコールすべきだ!

2016年09月07日 | なんだかんだ。

  今日、中古車だけど新しい車jimnyが来た。今まで乗っていた三菱のパジェロミニ、走行中にエンストする事態に危険を感じて修理に出したが、コンピュータの故障ということで、新たなコンピュータを探したがすでに生産が中止になっていた。中古も探したがないとのことで、やむなく車を変えることになってしまった。
  最近、マツダ車の3車種がこの手の故障でリコールされた。以前に、パジェロミニのターボ車がこの手の故障でリコール。
 これも明らかにリコールの対象とすべきであろうが、泣き寝入りするしかないのか。販売所にはリコールにすべきだと言っては来たが・・・


地球温暖化防止待ったなし早急な対策を!

2016年09月07日 | 社会・経済

毎日新聞2016年9月7日社説

温暖化パリ協定 年内発効の手続き急げ

  地球温暖化防止に向けた新しい国際枠組み「パリ協定」の批准を、米国のオバマ大統領と中国の習近平国家主席が共同発表した。

  世界各地で温暖化の影響と見られる異常気象が起きている。対策は待ったなしだ。世界の温室効果ガス排出量の4割を占める2大排出国の批准を契機に、各国も手続きを急ぎ、協定の年内発効を実現してほしい。

  パリ協定は、昨年末の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された。産業革命前からの平均気温上昇を2度未満に抑えるため、各国は対策を策定して国連に提出し、5年ごとに見直す義務を負うことになった。

  米中の首脳が中国での主要20カ国・地域(G20)首脳会議開催直前に批准を発表したのは、各国に批准を促すためだ。習国家主席には、G20議長国として「責任ある大国」を演出する狙いもあったろう。

  一方、任期が残り4カ月余りとなったオバマ大統領は野党・共和党が多数派を占める議会の承認を回避し、大統領権限で批准を決めた。こだわったのは、年内の協定発効を自らの政治的遺産とすることだ。11月の米大統領選で、共和党候補のトランプ氏が、パリ協定への不参加を訴えていることが関係している。

  協定は批准国が55カ国以上、批准国の温室効果ガスの排出量が世界の55%以上に達してから30日後に発効する。ただし、協定の規定で批准国は発効から4年間は脱退できない。年内発効なら、トランプ氏が当選しても、この規定に縛られる。

  パリ協定の採択と前後して、温暖化対策に積極的な姿勢を示す世界的な企業が相次いでいる。中国が温室効果ガスの排出量取引を来年から全土で実施することを表明するなど、各国の政府レベルでも新たな取り組みが次々に始まっている。

  パリ協定に先立つ温暖化対策の国際枠組みだった京都議定書では、採択から発効まで7年余りかかった。パリ協定が早期に発効すれば、世界各地で胎動する温暖化対策の熱気を保持し、対策を加速できる。

  今後の焦点は、欧州連合(EU)やロシア、インド、日本など他の大口排出国・地域の動向に移る。

  日本は世界の温室効果ガス排出量の3・8%を占める。日本の批准が協定発効の鍵を握るかもしれない。協定の詳細なルールづくりは今後、本格化する。国際交渉で発言権を得るためにも、政府は今秋の臨時国会で批准手続きをとるべきだ。

  経済界には批准に慎重な意見もあるが、パリ協定発効を契機に技術革新を促し、低炭素社会の実現に向けて進んでいくことが、日本の国際競争力の向上にもつながるはずだ。


 

水温上昇の海は「不健全」 世界自然保護会議で警告

  AFPBB News2016.9.6

 【AFP=時事】地球温暖化により海洋がかつてないほど不健全な状態に陥っており、動物や人の間での疾病感染リスクや、世界各地での食糧安全保障リスクが懸念されているとした広範な科学報告書が5日、発表された。

  査読を経た研究に基づく今回の成果は、世界12か国の科学者80人によってまとめられた。米ハワイ(Hawaii)州で開かれた国際自然保護連合(IUCN)主催の世界自然保護会議(World Conservation Congress)で専門家らが発表した。

 世界各国の指導者と環境問題専門家9000人を集めて開催された今回の会議で、インガー・アンダーセン(Inger Andersen)IUCN事務局長は、「海がこの地球を支えていることは、誰でも知っている。海が人類の絶え間ない呼吸を可能にしていることは、誰もが知っている。それにもかかわらず、われわれは、海を不健全な状態にしている」と述べた。

  報告書の主執筆者の一人であるダニエル・ラフォリー(Daniel Laffoley)氏は、今回発表された報告書「Explaining Ocean Warming(海洋温暖化を説明する)」について、「海洋の温暖化が及ぼす結果に関する、これまでに実行された中で最も包括的で系統的な研究結果」だと説明する。

  ラフォリー氏によると、世界の海水は、気候変動によって1970年代以降に増した熱の93%以上を吸収し、地上で感じられる熱を抑制しているが、これにより、海に生息する生物のリズムが急激に変化しているという。

  IUCNの世界保護地域委員会(World Commission on Protected Areas)の副委員長を務めるラフォリー氏は「海は、人を守る盾となってきたが、このことの影響は決定的に重大だ」と指摘している。

 ■微生物からクジラまで

  今回の研究は、深海を含むすべての大規模な海洋生態系を対象としており、微生物からクジラまでのあらゆる生物を網羅している。

  報告書には、クラゲ、海鳥、プランクトンなどが、水温の低い極方向に、緯度にして最大10度移動している証拠が記録されている。

  この海洋環境での移動についてラフォリー氏は「進行速度が、地上で現在みられる移動の1.5~5倍も速い」と説明し、「人類は、海の季節を変えている」と続けた。

  さらに、熱による海水温度の上昇は、微生物が海洋の生息範囲をさらに拡大することを意味している。

  報告書によると、海洋の温暖化が「植物と動物の個体群で、病気の増加を引き起こしている」証拠が、今回の研究では挙げられているという。

  コレラ菌などの病原菌や、シガテラ中毒などの神経障害を引き起こす恐れのある有害藻類ブルームなどは、温暖な海域の方がより容易に拡散し、人間の健康に直接的な影響を及ぼす。

  海水温の上昇はさらに、サンゴ礁をかつてないペースで危機的状況へと追い込み、魚の生息環境を消失させていることで、魚種の減少を招いている。

  これらの事態を受け、IUCNの「世界海洋・極地プログラム(Global Marine and Polar Program)」を統括するカール・グスタフ・ルンディン(Carl Gustaf Lundin)氏は、「温室効果ガスの削減が不可欠だ」と強調した。

 「この事態は人間が引き起こしていると、きっと誰もが考えているはずだ」と述べるルンディン氏。そして、「解決策が何であるかは分かっている。それを早急に実行に移す必要がある」と続けた。

 

 


読書の秋、読書の効用

2016年09月06日 | 健康・病気

 すっかり日が落ちるのが早くなりましたが、いまだ夏日が続いています。例年ですと、この辺りはお盆が過ぎると急激に気温が下がり、秋の気配で、落葉きのこが出ていないかと気になります。でも、今年はまだまだそんな気配は感じられません。
  今朝は、かなりの雨が降っています。傘をさしてハウスを閉めてきました。先日の雨の後です。これ以上の被害が出ないことを願うばかりです。


 

読書で「寿命が伸びる」のは本当か

   ITmedia ビジネスオンライン 2016.9.1

  近年、日本では読書をする人の割合が減少し続けているという。

 文化庁が2014年に実施した「国語に関する世論調査」によれば、1カ月に1冊も本を読まないと答えた割合が日本人の47.5%で、2002年と比べて10%増加していることが判明している。

 この調査では、回答者に読書の「良いところ」は何かについても質問している。回答のトップは「新しい知識や情報を得られること」で、その後は「感性が豊かになること」「豊かな言葉や表現を学べること」「想像力や空想力を養うこと」と続く。こうした答え以外でも、「学べる」という感じの答えがほとんどを占める。

  だが最近の調査などによれば、読書の利点はどうも「学び」だけではないようで、海外では新たな説が登場して注目されている。2016年は早くも9月に入り、間もなく「読書の秋」がやってくるが、いま改めて読書のベネフィットについて探ってみたい。

 ●本を読むことは健康に効果があるのか

  いま、2016年9月号の『ソーシャル・サイエンス&メディスン誌』に掲載されたある論文が欧米メディアで注目されている。「読書と長生きの関連性」と題されたこの論文は、米イエール大学の疫学・公衆衛生研究室によって行われた研究の結果をまとめたものだ。同研究所は「本を読むことに健康効果があるのか」という素朴な疑問から調査を開始したという。

  研究結果によれば、1週間に最大で3時間半の読書をする人は、本を読まない人と比べて、その後の12年間で死亡率が17%も低くなることが分かった。それ以上に読書をする人は、23%も死亡率が低かった。また読書をする人たちは、読書をしない人と比べて平均で2年ほど長生きすることが判明したのである。ちなみにこの研究で使われたのは実際の書籍で、新聞や雑誌は含まれていない。

  論文の共同執筆者であるベッカ・R・レビー教授は、「財産や学歴、認識能力やそのほかの変数を考慮して調整しても、延命効果は変わらなかった」と取材に対して述べている。つまり長生きしたければどんどん本を読んだほうがいいのである。

  実は、読書が体にいいという研究はあちこちで目にする。シカゴにある世界的に有名な米ラッシュ大学医療センター病院は、成人が休憩時間などに読書のような知的な行為を行うと、将来的な「認識能力の衰退」が32%も遅くなる、と研究で報告している。読書は脳を若く保てるということらしい。

  また英サセックス大学の研究によれば、読書を30分するとストレスが68%も軽減されることが分かっている。音楽を聴いたり、TVゲームをプレーするよりも断然ストレス解消の効果があったという。本に没頭することで体は筋肉の張りなどを忘れがちになる傾向があり、リラックスできるようだ。

  米ミネソタ州の総合病院、メイヨー・クリニックは、睡眠への導入としても読書は体にいいと報告している。さらには、読書をする人はアルツハイマー病になる比率が低くなるという研究結果もあるし、スコットランドの研究では鬱(うつ)にも効果があり、「読書療法」と呼ばれて実践されている。

 ●読書によって脳は鍛えることができる

  イエール大学ハスキンス研究所のケン・パーク所長によれば、脳は鍛えることができる。パークは「文書には多くの情報が含まれており、脳によって推測を行う必要がある」と述べ、読書は神経生物学的にも、画像や言葉を処理するよりも脳に対する要求が高いという。つまり良質なワークアウトによって体に筋肉がつくように、読書によって脳は鍛えることができるのである。そして脳機能が向上すれば、それに波及してさまざまな健康効果を得られる可能性がある。

  長生きや健康を望むなら、時間があれば読書をしたほうがよさそうだが、実際には文字を読むのなら何でもいいということではないようだ。例えば、電子書籍は場合によっては健康を害することがある。米ハーバード大学の調査では、睡眠前に電子書籍を読むと、睡眠時に生成されるメラトニンという重要な「睡眠ホルモン」の分泌が鈍くなるという(参照リンク。結果的に、睡眠までに時間がかかり、深い睡眠を妨げ、寝起きに疲れが残る。そういう状況は健康によくない。

  また影響は睡眠だけでない。ノルウェーの研究では、電子書籍よりも実際の本からの情報のほうが、頭に内容が残りやすいとの結果が出ている。電子書籍よりも印刷された書籍を読んだ人のほうがストーリーの順序をよく覚えており、その差は「著しい」という。つまりこの調査では、紙の本のほうが脳を活性化させる可能性が示唆されたと言える。読書の効果を最大限に得ようと思うなら、できる限り紙の書籍を手に取ってページをめくりながら読むべきだということだろう。

  そもそも健康うんぬん以前に、読書の利点については、多くの世界的な成功者たちがその価値を認めており、ビジネスパーソンなら耳を傾けるべきかもしれない。

  米国の大物投資家ウォーレン・バフェットは、読書に人生の80%の時間を使っている。億万長者のビル・ゲイツは子どものころ、読書にハマりすぎて「夕食の間は禁止」というルールが決められていた。Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、2015年年始の抱負で2週間に1冊のペースで読書を行うと宣言した。1200人の大富豪にインタビューを行って自分も百万長者になった米国人コンサルタント、スティーブ・シーボルドは、富豪たちは多くの時間を読書に割いているという。

 ●時間を確保しなければいけない

  米ハーバード大学の出版社が発行するハーバード・ビジネス・レビュー誌は、「歴史的にも熱心な読書家や、物書きだった偉大な指導者たちは大勢いた。また幅広く深い読書が、組織を改善するための知識や習慣、才能を養ってくれたと考えているビジネスリーダーたちも数多い」と書いている。またIT文化を生み出すシリコンバレーの中心地である米名門大学のスタンフォード大学には、MBA向けに、読書を通してビジネス世界とリーダーシップを探求する、という趣旨の授業を提供している。

  現代社会では、比較的静かな環境でそれなりの時間を取らなければいけない読書は、かなり「非日常的」な行為だと言える。事実、冒頭の文化庁の調査によれば、日本人が読書をしない最大の理由は「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」からだった。

  しかし読書がビジネスで成功するヒントを与えてくれるだけでなく、健康にも効果があるというのなら、そのための時間を確保する価値はあるのではないか。

  今年の秋は、本を手に取ってみてはいかがだろうか。(山田敏弘)


女子高生をたたく日本人の貧困観

2016年09月05日 | 社会・経済

女子高生へのバッシングに抗議するため東京都内で開かれたデモ=JR新宿駅前で2016年8月27日、戸嶋誠司撮影

くらし下流化ニッポンの処方箋

「1000円ランチ」女子高生をたたく日本人の貧困観

2016年8月31日 藤田孝典 / NPO法人ほっとプラス代表理事

     

貧困バッシング(1)

 貧困について語り、NHKニュースで取り上げられた女子高生に対するバッシングが止まりません。ネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)には「貧困をたたいてるんじゃない、貧困のふりをしてることをたたいているんだ!」「映画やランチを楽しんでいるのに貧困?支援? ふざけるな」「NHKは捏造(ねつぞう)をやめろ」といった声があふれています。

 18日放送のニュースで女子生徒は、母子家庭の経済事情で専門学校進学をあきらめたことを明かしました。

 アパートの部屋に冷房がないこと、パソコンの授業のために母にキーボードだけを買ってもらって練習したことなど、番組は母と2人暮らしの女子生徒の暮らしぶりも伝えました。その映像にイラスト用の高価なペンが映ったことから、女子生徒のものとされるツイッターが特定され、1000円の昼食を食べていたこと、好きな映画を見に行っていたことが攻撃されました。

 女子生徒をたたく人たちは、「彼女は本当の貧困ではない。飢餓寸前になるまで助けるべきではない」と主張しているように見えます。ある国会議員もその論調に乗ったツイートをしました。ここに、貧困問題を考える上で重要なポイントがあります。

 つまり、「貧困とはどのような状態を指すのか」「貧困であるかどうかを決めるのはいったい誰か、そしてその基準は?」という問題です。

 子どもの貧困問題について報じた18日のNHKニュースの一場面=NHKのホームページより

その社会の「普通の暮らし」ができているかどうか

 「貧困」の言葉から何を想像するかは人それぞれですが、多くの人は、貧困とはものを食べられず、服も買えず、住むところにも困っているという状態をイメージするでしよう。

 このように、肉体・生命維持で精いっぱいの極限状況を「絶対的貧困」と呼びます。発展途上国で見られるタイプの貧困で、国連は、低所得、栄養不良、健康不良、教育の欠如など、とうてい人間らしく生きられない状態と定義しています。

 貧困について、特に欧州では、19世紀半ばから議論が始まりました。絶対的貧困は社会が対応しなければいけないという認識が広がり、20世紀に入ると、社会保障で貧困をなくす動きにつながりました。その意味では、先進諸国では絶対的貧困は解決された、とも言われています。

 1960年代になって、英国の社会学者ピーター・タウンゼントが「相対的剥奪」(Relative Deprivation)という概念を提唱しました。「最低限のものを食べられて、着る服があれば貧しくないのか、人間的な生活と言えるのか」と問題提起をしたのです。これが「相対的貧困」という概念です。

 タウンゼントはいくつかの「剥奪指標」を示しました。ちゃんと食事をしているか、外食をしているか、友人関係を維持しているか、習い事や教育にお金をかけているかといった指標です。

 冷蔵庫を持っているか、ホームパーティーを開いているか、という項目もありました。国によって違いますが、通常の人が享受しているこれらの指標がもし剥奪され、その社会の人間が考える「普通の暮らし」ができていなければ、その人は「相対的に貧困である」と考えられます。

 社会生活から剥奪されたものをとらえ、先進国の貧困、普通の暮らしを定義しようとしたわけです。そして、国民の半数から60〜70%ほどが実現している指標が欠けている場合、何らかの支援、所得補償が必要と判断されます。

 この概念は「貧困を再発見した」と言われました。欧州ではこうした議論が半世紀以上続き、貧困を巡る議論はすでに成熟しています。絶対的貧困と相対的貧困の混同は起きません。

女子高生へのバッシングに抗議し、約500人がデモに参加した=東京都新宿区で2016年8月27日、宮間俊樹撮影

 「支援を受けたいなら貧乏人らしくしろ」は傲慢だ

 ところが、今回の貧困バッシングでは、女子生徒の1000円ランチがたたかれました。「貧困であることをアピールし、支援を求める高校生がランチに1000円もかけるとは何事か」という偏狭な批判です。貧困なのだから映画を見てはいけない、アニメグッズをそろえてはいけない、と求める批判者は、支援されるべき貧困を「絶対的貧困」と考えています。そして、「貧しい者は貧しくしていろ」という懲罰的態度を無自覚に相手にぶつけています。

 「貧乏人は貧乏人らしく」という目線は、貧者を「劣った者」と見なし、隔離した16世紀英国の貧者隔離思想に近いものです。

 昔の英国社会では貧困は罪でした。本人が怠惰で、なまけていて、努力する意思もないから貧しくなったのだと見なされました。貧困の「個人原因説」です。貧困者はムチで打ってでも働かせるべきだと考えられ、懲役にも近い形の収容所に送り込まれていたのです。

 日本の憲法第25条は、相対的貧困の考え方を先取りする形で、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたっています。にもかかわらず、日本ではいまだに貧困バッシングが続いています。2012年の生活保護バッシングでも同じことが起きました。

毎日新聞経済プレミアム


植物の力あなどるなかれ!

2016年09月05日 | 野菜・花・植物

米研究 観葉植物に高い空気清浄効果

   ライフハッカー[日本版] - ライフハッカー [日本版] - 2016年9月2日

  オフィス周りのこととなると、植物は怠惰な人間より働いているのかもしれません。

 先日フィラデルフィアで開催されたアメリカ化学会(ACS)の第252回全国大会・展示会において、研究者たちは、いかに特定のタイプの室内植物が室内の空気の汚れを除去する効果が高いかということを詳しく述べました。

 この発見はオフィスの環境作りにかかわる問題において安価な解決策となるでしょう。室内にはアセトン、ベンゼン、ホルムアルデヒドなどといった揮発性有機化合物(VOC)が存在します。VOCは通常、ペンキや家具、ドライクリーニングされた衣類やプリンター、清掃用洗剤などに見られ、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。これらの化合物を大量に吸い込むと、めまいやアレルギー、ぜんそくにつながる恐れがあるのです。深刻なケースでは、VOCは中枢神経システム障害やがんとも関連が見られるのです。汚染された空気の一般的な浄化方法の1つは高価な空気清浄装置ですが、植物を置くことも有効な手法であることがわかりました。

 密室で5つの異なる種類の室内植物を数時間、一般的な8種類のVOCにさらしたところ、5種類のどの植物でもアセトンを吸収し、ドラセナ(幸福の木など)ドラセナにいたっては実に化学物質の94%を吸収するという驚異的な結果を出しました。5種類の中では、アナナスが最も高い空気清浄効果を示し、使用した8種類のVOCのうち6種類の80%を除去するという結果となりました。

 この結果は、ネイルサロンのようなスモールビジネスを運営する人にとっては嬉しいニュースでしょう。ネイルサロンでは除光液からアセトンが日常的に揮発しており、環境によってはサロンで働く人に有害なこともあります。研究者たちは今後、空気中のアセトンレベルを数カ月単位の長期にわたって観察し、植物がもたらす効果を調べる予定です。

 観葉植物を机の上に置けば、オフィスの見た目も良くなるし、机の上に観葉植物を置かない理由はありませんね。でも、水やりだけは忘れずに。


福島の子供のがんは原発事故が原因

2016年09月04日 | 社会・経済

福島の子供のがん多発はやはり原発事故が原因だった! 統計学の専門家が証明、原発推進派の「過剰診断」説は嘘

    リテラ 2016.08.11.

 このお盆、全住民がいまも避難生活を余儀なくされている福島第一原発がある福島県双葉郡大熊町で、一部住民に自宅への宿泊を特別に認める特例宿泊が始まった。

  しかし、こうした住民帰還を推し進める動きの一方で、現在も完全に完全に隠され続けているのが、原発事故の健康被害の実態だ。

  たとえば、今年6月、福島県が設置した第23回「県民健康調査」検討委員会が福島の子どもたちに行った甲状腺検査で、今年1月から3月の間に甲状腺がんと確定した18歳以下の子どもの数が新たに15人増えて計131人となったこと、さらに、新たに診断された15人のうち1人が事故当時5歳だったことが報告された。

  これまで検討委員会は、子どもたちの甲状腺がんについて原発事故の影響はないとしてきたが、その根拠のひとつが「チェルノブイリで多発した5歳以下のがんが発生していない」ことだった。しかし今回、その根拠が崩れたのだ。この結果が意味することは大きいはずだが、検討委員会はそれでもなお「これまでのところ被曝の影響は考えにくい」などと非科学的態度、抗弁を続けている。

  結局、検討委員会は政府や電力会社のことしか考えない“御用委員会”であり、福島の子どもたちの健康など一顧だにしていないことがあらためて浮き彫りになったかたちだ。

  実際、昨年10月には岡山大学大学院の環境疫学の専門家である津田敏秀教授を中心とした研究グループが「福島県内の子供たちの甲状腺がんの発生率は全国平均の20〜50倍で、今後さらに多発する可能性は大きい」として、原発と甲状腺がんの因果関係を指摘する論文を発表したが、検討委員会や政府、電力会社はこれを無視したままだ。

  そんななか、今度は免疫学とは別のアプローチでその因果関係を調査した専門家が登場した。

 「福島の小児甲状腺がんの多発の原因は原発事故でした」

  こう明白に結論付けたのは、京都工業繊維大学教授で生命科学の専門家である宗川吉汪氏と、数学(確率論)を専門とする大倉弘之氏だ。

 2人は、福島県が発表した「第20回県民健康調査」をもとに福島の甲状腺がんの発生率を統計学的に解析、その結果を今年1月に発売された『福島原発事故と小児甲状腺がん』(本の泉社)で公表した。その結果“95%の信頼性をもって”上記の結論が導き出されたのだ。

  宗川氏らが着目したのは、事故後3年間に行われた「先行検査」だ。これは事故当時0歳から18歳だった福島の子どもたち約37万人を対象にした、いわゆる“一巡目”の検査だが、この検査の位置づけはあくまで「事故前の甲状腺の状態を把握するため」に行われたものだった。

  それは「チェルノブイリ事故では3年間はがんは発生しなかったというデータに基づいています。先行検査は甲状腺がんの発生に対して原発事故の影響がなかったと仮定した上で行われた調査」だったからだ。

  そして、比較したのは事故から3年後に行われた二巡目以降の「本格検査」だった。

 「先行検査と本格検査で甲状腺がんの発生率を比べて、両者が等しければ原発事故の影響はなかったことになります。しかしもし、本格検査の方が先行検査より発生率が高くなれば、がんの発生に原発事故が影響したことになります」

  その方法は、まず先行検査から陽性者の比率を計算し、それを本格検査と比較するものだ。その結果は10万人あたりの発生率が先行検査で90.2人、そして本格検査では162.6人と実に1.8倍の結果が出ている。

  これに加え、がん発症の頻度や陽性者全員が二次検査を受けていないなどの誤差を統計学的に計算した結果、その比率は11.7対35.4、つまり3.03倍になり、子どもたちの甲状腺がんの67%以上は原発事故によるものと推定されるのだ。

   そのため113人の患者が発見された15年6月の段階で、それを大きく上回る326〜464人の患者が推定される。

  それだけでない。本書ではさらに興味深い調査結果も示される。それが、がん発生の男女比だ。

  「甲状腺がんはもともと女性に多い病気です。国立がん研究センターの2010年のデータによると、全国罹患率推計値(人口10万対)は、15歳から19歳で男子0.4:女子1.9(1:4.75)、40歳〜44歳で男性4.9:17.9(1:3.65)、60歳〜64歳で男性12.4:女性26.3(1:2.12)でした。このように自然発生の甲状腺がんは、年齢とともに男女比が変化しますが、特に若年では女子に大変多い病気です」

 ところが、福島での男女比は先行検査で男子26:女子45(1:1.73)であり、さらに本格検査では男子11:女子14(1:1.27)と、男子の比率が上がっているのだ。

   これまであり得なかった統計上の男女比。しかも、チェルノブイリでも同様の現象が起こっていた。それは放射線被曝によって発症の男女比が変化したと考えられ、さらにチェルノブイリ同様に放出された放射性ヨウ素による内部被曝が原因と考えるのがもっとも自然だという。

   IAEA(国際原子力機構)や検討委員会が「福島事故の甲状腺被曝量は概して低く、甲状腺がんの増加は考えにくい」と主張しているが、統計学が示す明確な事実がある以上、むしろその主張のほうがおかしいと疑念を提示する。

   「(もし福島事故での被ばく線量が低いなら)かなり低い線量でも甲状腺がんを引き起こす、ということになります。あるいは、実際はもっと多量の放射性ヨウ素が放出されていたかもしれません」

  この統計調査の結果で重要なのは、これがあくまで県が公に公表した“原発事故の影響がない”と仮定して行われた先行検査と、その後の本格検査の数字をもとにしたものだということだ。そうした数字から導かれた「原発事故が原因」という結果は重い。  

   先に紹介した免役学的な「全国平均の20〜50倍の発生率」というデータに加え、今回の統計学アプローチでの原発が原因とする科学的検証による重大な結論。しかし、国や電力会社、検討委員会、またマスコミもこうした調査をまるで闇に葬るがごとく無視したままだ。

  一方で、安倍政権は強引に押し進めるのが帰還困難区域の解除であり、それに伴う“被曝地への住民帰還作戦”だ。まるで原発事故や、放射線の影響などなかったかのような、被災者軽視の政策が現在も進行している。被災者、そして国民軽視をこのまま放置していいのか。国民ひとりひとりが、もう一度原発事故の悲惨さを思い起こし、放射線への人体の影響、さらに原発再稼働の危険性について考えてほしい。  (伊勢崎馨)