我が心の自然遺産!
今日は、皿池公園から外院(げいん)の山里に入りました。
キンモクセイの甘い香りが漂っています・・・
思わず深呼吸をしました。
黄金色の稲穂が頭をたれて、刈り入れ時をまっています・・・
コスモスの色とりどりの花が、初秋の爽やかな風に揺れています。
小さな池のほとりにある柿の木には、枝いっぱいにまだ青い柿の
実ですが、たわわに実っています。
その前方の柿の木は種類が違うようで、すでに葉がきれいに
色づき、黄色くなった柿の実をつけています。
上空の鳥たちは、まだかな~? と 熟す時を待っているようです。
途中から粟生間谷(あおまだに)方面への山道へ入りました。
うっそうとした雑木林ですが、私の好きな森の様相です。
途中から細い小道を上ると、右に左にいろんな種類のきのこが
沢山顔を覗かせているではありませんか・・・ 美味そうな?
自信があれば採って、今日はきのこ鍋など賞味できるのですが・・・
何分 毒きのこ との区別がつかず、笑いキノコならまだいいの
ですが?
分からないので、残念ながら諦めです・・・
やがて、いつもの勝尾寺旧参道と合流し、日毎に変化する季節を
楽しみながら、ゆっくりと上ります・・・
いつまで、こうした森の散策を楽しめるのだろうか・・・?
いつまでこの体力、気力が続くのかな・・・?
やがて、丸太を組んだ素朴な「第一ベンチ」につきました・・・
遠方に箕面新都心・彩都へ向かうモノレールが見え、その下の
周辺は黄色くなった刈り入れ前の稲田が太陽に映えて、まるで
フランスのプロバンス地方の光景のように見えました。
ベンチに近づくと、一人のご老人が汗を拭っていました・・・
「こんにちわ!」
「 あっ! こんにちわ・・・」
そう言いながらニコニコされています・・・
「いい季節になりましたね・・・」
「そうでんな・・・ ええ季節ですわ!」
「秋の虫が賑やかに鳴いていますね・・・」
「 ハー? ワシャ ちょっと耳が遠くてな・・・?」
私は少し近づいて・・・
「失礼ですが、おいくつでいらっしゃいますか?」
「わしゃ 今年で88だわ・・・」
「88歳ですか? お元気ですね・・・」
「ワシの健康の秘訣か? そりゃ、この山 歩く事じゃ・・・
ここはええ所じゃ・・・ これはばあさん特製のお茶でな・・・」
(そう言うと、美味しそうに奥さん特製と言うお茶を飲んでおられる)
「もう何十年とここ歩いとるが、飽きんわな・・・ ハハハハハ!
ワシャ、ここを一日おきに歩いとるんじゃよ・・・」
「えっ! 一日おきですか・・・」
「最近は、ばあさんにうるさく言われるから、この上の休憩の
ベンチまでにしとるがな・・・」
それからしばらくは、箕面の山の話をアレコレとお聞きしました・・・
最近は森が荒れてきた事・・・ 昔はもっと自然に満ち溢れていた
こと。
そして突然に・・・
「箕面の山は 「世界遺産」 にせないかんな・・・アハハハ!」
まさか、この森が世界遺産になるはずもありませんが、この老人に
とっては世界遺産の価値がある森だと言う事でしょうね・・・
私もそういう意味では賛同しますよ。
尾根道には、もう時折冷たい風が吹いて、それまでの汗がすっかり
引っ込んでしまいました。
しかし、ご老人の話はますます熱を帯び、それから約1時間・・・
政治、経済、世界情勢、文化から昔の旅行話しまで続きます・・・
(話が途切れないのです・・・!)
ハックション!
ついに私は風邪を引きそうになり、腰をあげました・・・
「では、お先に失礼致します・・・
お元気でお過ごしください・・・」
「ハイおおきに! ワシャ しょっちゅうここ歩いとりますんで、
また声をかけてくださいな・・・ 次ぎ会うても あんさんの
顔は忘れてるかもしれまへんけど、悪しからずに・・・
さいなら!」
私はそこから古参道を上り、群生するシダの覆う小道を抜けながら、
先程のご老人を思い出していました・・・
私には、あのお年までにはまだ20年近くもあるんだ・・・
それに、あのお年になってもまだ、あのように元気な姿で箕面の森
の散策を楽しめる・・・
そう思うと俄然元気になり、なんだか勇気が湧いてきましたよ。
それにしても、あのご老人は豊かな いい老後を過ごしておられ
ますね。
古参道を上りきり、旧参道との合流近くの丸太ベンチで一休みに
しました・・・
冷たいお茶を飲みながら、もうそろそろポットに入れた温かい
お茶かコーヒーが欲しいな・・・ そんな季節になったんだな・・・
と、感じ入りました。
それにしても、あのご老人の 「世界遺産に・・・」 とまでいかなく
とも、箕面の森は我が心の自然遺産であり、いつも心豊かに
過ごせる、まことに贅沢な自然空間と言えます・・・
ハックション!
今日は早く帰って、蜂蜜をたっぷり入れた温かい特製しょうが汁を
飲んで、早めにベットに入る事にします・・・ グッスン!