箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

前鬼谷の橋火災!?

2009-03-28 | *編集・春/3月

前鬼谷の橋火災!?

 

 

瀧道から小さなトンネルを抜けて落合谷に入ると、上のほうから数人

グループがしきりに残念!  残念!  と、言いながら下りて来ま

した。

間もなくして一人の女性ハイカーの方も、首を振りながら下りてきま

した。

どうしたのかな?   

何かあったのかな・・・ ?  

しかしすぐにその理由が分かりました。

 

「この先の箕面自然歩道は、通行止め」 との表示です。

何があったのだろうか?

更に進むと山道を大きな看板がふさいで、その理由が明示されて

います。

「・・・この先の橋で火災があり・・・ 危険な為に通行止め・・・ 云々」 

との事です。  

この箕面自然歩道・前鬼谷(ぜんきだに)渓流にかかる小さな橋々は、

近年にその5~6ケ所が改修されたばかりです・・・  

一部の土台はコンクリートや鉄骨で補強されていて、かつての丸太を

組み合わせただけの橋から変っているはずだが・・・?  

そんな橋が火災だなんて想像がつきません・・・

 

例え橋が崩れていても谷川に下りればいいし、狭い浅い所ばかり

なので通行に支障はないだろう・・・ と、私は行って見る事に

しました・・・ 本音は好奇心なのですが・・・ (笑)

通行止めのロープは、すでに何人かのハイカーが通ったようで垂れ

下がっています・・・  

 

ごめんなさい!  

そういいながら、私はロープをまたいで山道に入りました。

ここからゆるやかな登りが、ようらく台園地から五月山ドライブウエイ

まで続いています。

この前鬼谷の左斜面の上方から、右の谷川べりまでにかけてはいくつ

もの細い獣道がはっきりとついていて、いつもキョロ キョロと見回して

しまいます・・・ 

と言うのも、つい数時間前の夜明けまで、この獣道を森の動物達が

行き来していたかと思うと・・・ 

今頃どの辺で寝ているのかな? と、周りを見渡してしまうのです・・・  

ぬかるみに四足の爪あとなどがくっきりと付いていたりすると、余計に

リアルですからね・・・ (笑)

 

岩と岩との間から馬の尾のような細長い小滝が見え、その上にかかる

橋が第一番目の橋です・・・  

見るとここは何も問題なく安全のようです・・・

次いで二番目・・・ 何もなし。 三番目・・・ 大丈夫!  四番目・・・ 

ここでも問題なし・・・

巾は1M 長さ3M 前後の手摺のない小さな木の橋を次々と渡り

ながら、ゆっくりと登っていきます・・・  

春の森の芽吹きを楽しみながら・・・

 

すると上方から髭をはやしたおじさんが一人下りて来たので、

早速尋ねてみました・・・

・  すいませんが・・・ この先に燃えた橋がありましたか?

   *  いや!  ワシも気にしながら来たんやがな・・・  

      あれしまへんでしたで・・・  この下もないんでっか?

お互い通行禁止をまたいできたので情報交換も念入りに? した

けれど、どうやら火災橋はなかったようです・・・  おかしいな?

 

やがて私は上りきった所にある休憩所で一休みにしました・・・

すると一人の同年輩の男性の方が、逆方向から来られ話し掛けこられ

ました。

   *  下から来はったんでっか?  ワテは六箇山からですワ!

       この下の橋な、燃えてましたやろ?

・  エッ!  やっぱり燃えた橋があったんですか?  

      気が付かなかったんですが・・・

   *  あれが目に入らんことないワ!  

      ワテが10日前に通った時はな、橋の三分の一がこう焼け

      とったワ・・・  なにせ木やさかいな!

      しかし、あれは故意やな・・・  タバコの火が燃え移った

      ようなもんとちゃうワ・・・  

      こん前、オーストラリアやったかな?  

      大火事あったがな・・・ タバコも危ないけどな・・・ けどな、

      あの橋をな燃やすとなると結構な火力いるさかいな・・・  

      どないして燃やしよったんかいな?

      崩れ落ちてはなかったけど、あれでは半分ぐらい手を入れん

      とあかんのんとちゃうかな?    

      しかしそれに気が付かんかったんやったら、もう修理したん

      やな・・・?

・  そうだったんですか・・・  知りませんでした・・・  

   通行止めだったのでどうしようかと思ったんですが、逆にその現

   場を見てみようと思って登ってきたんですが・・・

   *  工事が終わったら終わったで、早ように看板どけたらな

       あかんわな!

       ええ季節やのにな、みな通られへんやないかな・・・  

       殺生やな!

・  そうですね!  でも早く補修してもらってよかったです・・・  

   しかし悪い事する人もいるものですね・・・

 

   *  ほんまやで・・・  悪い事いうたらな・・・  こん前な、外院

       の山ん中でな、自転車乗った若い奴がカーブ曲がりきれん

       と谷へ落ちよってな・・・  そんで救急隊が8人がかりで

       担架に乗せて運こんどったワ!

       狭もうて崖や岩やからな・・・  大変やったで・・・

       もうワテ三回もそんなん見たわ・・・  自転車乗ってる

       若い奴見たら、ワテいつも怒ってやりまんねん・・・  

       ほんま、山んなかで自転車なんか危ないわ!  

       この前なんかは70台のじいさんが転んで足折りまして

       な・・・  そんでまた救急が出てましたワ・・・  

       山ん中なんてほんま大変でっせ!  

       一人に8人の救急隊もいりまんねんな・・・

 

いつしか橋の火災から話が違う方向へいってしまいましたが、私も

同感するところも多くあり、相槌を打ちながら聞いていたら、次々と

山歩き時のボヤキ漫談になってしまいました・・・ (笑)

しかし、山や森での事故、災害には気をつけなければなりませんね・・・

他人事ではありません。

 

それにしても、こんな森の中の小さな木橋を燃やして、何の憂さ晴らし

なのでしょうか?

近頃は理由のハッキリしない、わけの分からない人が、わけの分から

ない行動をする時代なのでしょうか?

ワタシはわけが分からなくなりながらも、気持ちを切り替えて猟師山へ

と向いましたが、途中の森の尾根道で、黒く焦げて倒れた木を見つけ

ました・・・ 

ゾ ゾ ゾ~ ! 

よく見ると、どうやら何年か前にこの木に雷が直撃した模様です。

カミナリなら防ぎようのない天災ですからいたしかたありま

せんが・・・?

 

こだわり症の私は、これからしばらくの間、森の火災痕に キョロ 

キョロ キョロ と しそうです・・・ (苦笑)

 

 

09-3-28 (完)


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山道の改修路を歩く!

2009-03-21 | *編集・春/3月

山道の改修路を歩く!

 

 

最近は日替わりのようにお天気が変りますね・・・

今日は昨日の大雨の後の、快晴のハイキング日和です。  

しかし、寒暖の差が10度以上もあり、季節の移り変わり目を感じます。

今日は自然2・3号路の改修が終わったようなので、早速出かけてみる

事にしました。

ここへ来る前に聖天の森の南斜面には、早くもミツバツツジの花が

美しく咲いていて、春風になびいていました。

 

まず瀧上から勝尾寺方面へ進み、百年橋を渡って自然2号路を上り

ます。

いいお天気です・・・

ガリ ガリ ガリ~ ザ ザ ザー   何の音かな?

上っていくと、やがて作業服を着た一人のおじさんが、改修工事の

残処理なのか?  スコップで山道を整備していました。

・  おはようございます・・・  ご苦労様です!

   *  ハイ!  おはようごさいます・・・

・  きれいになりましたね・・・  ありがとうございます・・・

   *  ハイ!

おじさんは私の顔を見ながら、もうこれ以上ないと言わんばかりの

笑顔でにっこりされました。

 

丸太をがっちりと組み合わせて土止めの壁を作り、路肩を固めて

います。

山の保水力がなくなってきた・・・ と、言われ始めてからもう沢山の

岩コロ、土砂が山道を覆い、歩くのに危険な個所もあったので、

嬉しい限りです。

それに杉の間伐材を活用したり、加工したりしているのが嬉しい

ですね。

仕事とはいえ、こうして私には作業不可能なことを黙々とされている

方々には有り難く、自然と頭が下がります。

 

しばらく上っていくと岩場に山椿(ヤブツバキ)の赤い花が沢山落ちて

いて花道が出来ています・・・  昨日の雨風で落ちたのかな?

でも見上げるとまだ沢山の花が枝には付いています。

 

108の石段を上ると フー フー もので、息が切れます・・・

少し休んで一呼吸をおいていると、それまで気が付かなかったの

だが、鳥たちが沢山飛び交っているのが見えます。

それに北の谷間から音がする・・・  何だろうか?  

早速首からかけている双眼鏡でのぞいて見ると、水の流れです・・・

その少し上に長い馬の尾のような小さな滝ができていて、その音

だったようです。  

きれいです・・・ 

自然の営みにしばらく見とれてしまいました・・・

昨日の大雨の影響なのか?  この谷で見る初めての光景に、

一期一会を感じました。

 

この自然2号路沿いには、樹齢100年近いような大きな杉の木が

林立していて、夕暮れ時には欝蒼として恐くなるぐらいです。

しかし、南面の為に昼過ぎまでは太陽があたり、木漏れ日が山道を

照らしていて、それは気持ちのいい自然路なのです。

朽ち果てた大きな杉の木株の上にコケが生え、その中から小さな杉の

赤ちゃんが芽を出しています・・・  ガンバレ!

しばらくかがみこんで見ている時でした・・・

 

   *  何してはりますノン?

(見るとおばさん二人連れ・・・ 突然で少しビックリ!)

・  杉の赤ちゃんを見てたんです・・・

   *  あっ!  これな・・・ 可愛いな! ワテみたいやな! 

       ハハハハ・・・

(もう一人のオバサンが・・・)

   *  あんた!  どこが可愛いのん?  

       やきいもみたいな顔して・・・!

(私の方が大笑い・・・)

・  あっ!  すいません・・・ でも楽しい方ですね。

   *  そうでんねん!  こんな事ばっかり言いながら山歩いて

       おりまんねんで・・・ 

       しかし、道なあ、きれいにしてもろてありがたいでんな!

       ほんま助かるわ・・・ この前なんかな! あんた! 

       二人して同時にこの先で転んでな・・・  痛かったな!

(するともう一人のオバサンが・・・)

   *  あんたがワテの腕につかまったからやで・・・ 

       道悪うてな・・・ 

       死ぬ時も、ワテ道ずれにせんといてや!  

       アハハハハ・・・  ホナお先に!

大阪のオバちゃんにはいつも圧倒されてしまいます (笑)

 

少し間を空けて私も進んでいくと、右に獣道を見つけました・・・

見るとぬかるんだ道に獣足と人の靴跡が並んでついているので、

つい クスッ! と、笑ってしまいました・・・  行けそうだな!?

最近はもう初めての山道の開拓はやめていたのですが・・・ 

方向は分かっているので慎重に登り始めました・・・ 

初めての山道には緊張感でいっぱいです・・・ もうあのオバちゃん達

毒気はすっかりと払拭されしまいました (笑)

やがて見慣れた自然3号路の風景が見えてきました・・・

こんな所に出てくるのか!  新しい発見に満足です。

ところが道なき獣道から急に私が出てきたので、丁度前から歩いて

こられた中年の女性を驚かせてしまいました・・・  

すいません・・・! 

 

暖かい尾根道のひだまりを見つけて一休みにします・・・

思い切り深呼吸をして森のイオンを体に吸収します・・・  

気持ちいい!

リュックからコーヒーポットを取り出してコーヒータイムにします・・・

いい香り!  温かいコーヒーが喉を伝っていく時の至福感は何とも

いえません。

 

やがて鳥のさえずりと共に、ザリ ザリ ザリ・・・ ガザ ガザと変な

音がします・・・  何だ?  

双眼鏡で南側の谷間をのぞいていると、作業着姿の方がスコップを

持って先程と同じように改修された山道を整備しています・・・  

一人なので残作業のようですが、丁寧に一段一段スコップでならし

ながら、横の溝の枯葉などを除いています・・・ 

ありがとうございます!  

私は自然と心の中で叫びました。

 

こうして箕面の森の散策を楽しめるのも、作業して山道を整備して

くださる方々のお陰です・・・  感謝です。

それにこの財政難のおり、箕面市、大阪府や林野庁も必要な予算を

下ろしてくれる事にも有り難いことです・・・

日頃、行政に文句ばかり言っているのに・・・ (心の中でですが・・・)

自分たちに関係する対公共事業費には、こうして素直に感謝できるの

も、我ながらジコチュウな人間だな・・・ と、苦笑ものです。

 

しかし、先程の大阪のオバちゃんがくすしくも言ってましたね・・・

「きれいにしてもろて、ありがたいでんな・・・ ほんま助かるわ!」

その通りです・・・  素直ないい表現です!  (笑)

 

 

09-3-21 (完)


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猿にエサを与えないで・・・と!

2009-03-16 | *編集・その他

猿にエサを与えないで・・・ と!

 

 

今日は滝上の雲隣の森から風呂ケ谷、こもれびの森から医王山への

散策予定です。

杉の茶屋に着くと、隣接する箕面市野猿管理事務所の前で、数人の

係員が出動の準備をされていました。

建物の前のマイクからは終日・・・ ”猿にエサを与えないで下さい・・・

と、猿に遭遇した時の注意事項などが流されています・・・  

その旨の立て看板もあちこちに立てられています。

 

かつて専門家が箕面の野猿(ニホンザル)に餌付けをし、霊長類の

社会構造は人間社会でも興味があるところから、その研究材料としたり

して、長年の人間とのかかわりの中で、いつしか問題が山積してきました。

そこで今度は、野生に戻す為にいろんな活動がなされているようです。

今更なにを?  とは言え、放置して置けない状況ですから仕方ありま

せんね。

 

箕面ドライブウエーを車で走ると、どこからか道沿いに野猿が出てきて

エサをねだっています・・・

冬の寒い時期には、何十匹も寄り添い固まってひだまりで過ごしている

姿を目にしますし、夏場は木蔭でうとうとしながらもくつろいでいる姿を

目にすると、つい微笑ましくなり見とれてしまいます。

しかし、猿達は一応に車が通ると停車するのを待って、目だけ動かして

います。

 

車が止まり、窓を開けた子供たちが歓声と共にお菓子などを投げよう

ものなら、それはすごい勢いで沢山の猿達が集まり、一部は車の中まで

入ってきてエサを取ろうとします・・・ 

車内まで入りこみ、家族があわてて車外に飛び出し、車を猿に占領され

ている所を見たことがあります (笑)  

実際は笑い事ではありませんでしたが・・・

 

大人の人が子連れの母ザルにお菓子をやろうとして近づくと、横から

大きな若猿がすごいスピードでそれを引ったくっていきます。

そこで大人は益々意地になって子連れ猿に餌をやろうと、とうとう沢山

のお菓子を一気にばらまくのです・・・  

そんな中で後続の車にはねられた小猿もいました。

その数ヵ月後、その小猿かどうか分かりませんが、私は干からびた

小猿の亡骸を抱きながらエサをねだっていた、一匹の痩せた母猿を

見かけたことがあります。

私はその姿に、涙がとまりませんでした。

 

動物の生存競争はその本能から激烈です・・・  

しかし、人間の食べ物はカロリーが高く、栄養素も多いために肥満ザル

も見かけます。  

一度覚えた人間の味はなかなか忘れられないのかも知れません・・・ 

それだけに野猿管理の係員の方の努力は大変です。  

特に悪さをしてまで奪い取る凶暴な猿もいます・・・

現に私の子供が小さい頃、ビニール袋に入れていたお菓子を後から

引ったくられて、あわてた私をゆうゆうと振り返りながら、川の岩場に

飛び移り、ゆっくりと袋からお菓子を取り出して食べていました・・・ 

ビックリして泣いていた子供はその猿の仕草に指をくわえながら、唖然と

してみていた事を思い出します・・・

ビニール袋の中味を猿は経験から知っていて、特に狙われやすいのです

が・・・

 

行政の対策として今、猿を自然に戻すいろんな活動がなされているよう

です。

と言うのも先年、猿に驚いて怪我をされたという年配の女性が、

管理不十分を理由に箕面市などを訴えて裁判になったことがありました

ね・・・

勿論、裁判所は請求を却下したようですが、野生の猿までも管理する

のは大変な事です・・・ でもそれが現代社会なのでしょうね?

 

実際私が天上ケ谷(現在、通行止め)を歩いていくと、後からバイクに

乗った係員が、バケツに雑穀のようなエサをいっぱい積んで、それを

ばらまきながら通ったことがありました・・・

すると、すぐに何百匹もの猿が谷間に一気に現われて、私はしばし

身動きが出来ないぐらいでした。  

猿達は小さな粒を一つ一つ拾って食べているので、私はその食事中は

緊張して人形のように突っ立ったまま、目だけキョロキョロしていた事を

思い出します・・・ 

この谷間へ誘導して野猿管理をしている事を、初めて知りました。

 

地獄谷の尾根道を歩いている時も、いつの間にか数十匹の猿の群れの

中に入ってしまい、恐さを忘れてしばしその生態をじっくりと観察したこと

がありました。

ババタレ坂をこもれびの森に向って登っている時、同じく数十匹の猿の

移動群れに出会い、高いケヤキの上からおしっこをかけられたり、

前の道に座り込んで数匹の若猿に通せんぼをされたりしたことがあり

ますが・・・

概して何もせず、こちらが何もしなければ静かなものです。

 

しかし、山伏しの修験道の尾根道で、100匹以上の移動中の群れの

中に入ってしまい立ち往生していた時、前方の大きな切り株の上で私を

睨みつけている、ひときわ大きな貫禄のあるボス猿と目が合ったときは

、一瞬ゾクッとしたものです。  

さすがに群れを統率するだけの威圧感がありました。

こんな日は、いつも私たち人間が、猿が住む森を歩かせてもらっている

という、謙虚な気持ちになるのものです。

 

それにしても箕面の豊かな自然の森には、食べ物も結構あるように

思われるのですが・・・ ?  

人間が野猿に一度餌付けし、さらに観光客から与えられる食べ物に

慣れると、人間の味を覚えてしまい、野生化は難しいのかもしれません

ね・・・?

日本に生息するニホンザルの総数は114431頭・・・  

大阪府には3653頭と、推計した学者さんがいますが・・・  

その樹林帯から推測数を割り出したものと思われますが、実際は

箕面の森には約600匹の猿がいるそうですよ・・・

その数の信頼度はともかく、都市近郊の野猿はそのエサ不足からか?  

または人間の味を覚えたからなのか?  沢山の猿が街に下りてきて

大きな社会問題になっていますね。

箕面から山続きの京都や滋賀の里山では、TV報道をみてもかなりの

被害が出ているようですが、何とか野生動物と人間とのいい棲み分けが

、平和裏にいかないものでしょうか・・・

箕面野猿管理事務所から終日流れる 「エサを与えないで下さい・・・」

そして、あちこちにかかる同じ看板を、いつも空しく感じながら見ています。

 

私の好きな写真家に、琵琶湖周辺の里山や自然の風景を撮りつづけて

いる今森光彦氏と、アラスカの雄大な大自然を舞台に、エスキモーから

野生動物、その自然・風景を撮りつづけた星野道夫氏がいます。

共に友人であったと言うお二人は、自然に対する対象は違っていても、

共に生きる大自然への畏敬の念と自然を心から愛する情景、人間性が

その被写体から滲み出ていて、私はいつも感動を覚え、心を揺さぶられ

てきました。

 

星野道夫氏が、カムチャッカのクリル湖でヒグマに襲われて亡くなった事

知った時はビックリし、悲しかったものですが・・・  

その彼の数々の著作の中にこんな一文があります・・・

 

「 ・・・アラスカのデイナリ国立公園では、野生動物の世界だから必ず

動物達が優先です。  キツネが歩いていても、バスは追い越しては

いけないのです・・・

この雄大な公園の唯一の休憩所の周りは、ホッキョクジリスという可愛い

リスの生息地があり、観光客がバスから降りるたびに人なつこく走り

よってくるのです・・・

人間がエサをくれる事をいつのまにか覚えてしまったのです・・・  

勿論、公園の規則で野生動物にエサを与えてはいけないのだが、

余りにも可愛い仕草に、ついナッツなどを投げてやってしまうのです・・・  

人情ですね!

しかし面白いのは、その低い位置にリス自身に見えるように、リス向けの

看板があって、そこにはこう書かれてあるのです・・・

 

( * リスさんへ・・・  もし人間たちからエサをもらい、食べ続けて

いると、君たちはすぐに太って動きが鈍くなり、すぐにイヌワシや熊の

エサになってしまうよ・・・ )   と。

 

観光客がそれをのぞき込んで読み終えると、顔を見合わせ、エサを

やるのをやめるそうです。

” 絶対にエサを与えないで・・・ ” と、きつく書くよりも、余程効果的で

ね・・・ 」  と。

 

私はこの文章を読んでうなってしまいました・・・

箕面の ” 猿にエサを与えないで下さい・・・ ” と、観光客に声をから

して叫び、お願いし、お金と人出をかけて注意を促す前に・・・ 

言葉一つで、人間の行動を自主的に変えられる粋なキャッチコピーを!

コピーライターの方ならずとも、皆さん考えてみませんか・・・

 

人間の食べ物の影響なのか?  クシャミ、鼻水、涙目の花粉症の

お猿さんと遭遇するたびに、気の毒にな! と、我が事のように

相憐れむと共に、私は余計に考え込んでしまいましたよ・・・  (笑)

 

 

09-3-15 (完)


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