怒りの涙!
8日ほど前、大日橋から見た雲隣の森の野生桜・エドヒガンは見事で
した。
今日(5日)は同じところに立って、逆の箕面川を挟む北の斜面を見上げ
ると、山頂近くまで数十本のエドヒガンが美しく咲き誇っているのが見え
ます・・・ きれいだな~
なんでもエドヒガンの現存する最古木は山梨県にあり、その周囲は
12Mで、樹齢はなんと 2000年とか・・・
気が遠くなるような年月ですね。
それが毎年時期が来ると、きれいな桜の花を咲かせ、しかも2000回
も! ただ ただ 畏敬の念をいだきます。
杉の茶屋横から、雲隣展望台への山道を登ります・・・
昨日の大雨の影響で、快晴の青空が広がっているものの、足元は
濡れ落ち葉で滑りやすく、山土に足をとられたりと気を使って登ります。
途中の中腹で一休みをしながら振り向くと・・・
ワー すごい!
思わず声をあげてしまいました・・・
先程見上げていた北の斜面のエドヒガン群が、私の前方の同じ目位置
にあたり、左右の森の随所に咲く桜とあわせて、見事に山肌がピンクに
染まっています・・・
更に東側を見ると、雲隣の森に点在するエドヒガン、ヤマザクラが
満開です。
きれいだな・・・!
森のあちこちに大輪の花火が打ちあがったようで、観光地や街中で見る
ソメイヨシノなどの整然と植樹された桜並木と違う、ランダムな森の桜見
です・・・
手前にはイロハモミジの小さな若葉が出始めていて、その初々しさに
思わず見とれてしまいます・・・
岩場を過ぎ、こもれびの差し込む気持ちのいい森を登っていくと、
まもなく展望台が見えてきます・・・
近づくと何か ゴソ ゴソ ゴソと音がします・・・
すると突然に頭上から ピー ギャー ギャーという動物の甲高い
警戒の鳴声・・・
すると一斉に ギャー ギャー バサ バサ ボキン! 枝を折る音など
がして 一騒ぎが起きました・・・
みると猿の群れです・・・
私は一瞬たじろぎましたが、何食わぬ顔をして空を見上げたり、足元を
見たりして猿と目を合わせずに、ゆっくりと階段を占拠している猿群を
かき分け展望台に上がりました。
すると安心したのか? 小猿が 一匹 二匹と木の枝から地上に降り
てきて、それまでのように遊び始めました・・・
しばらくして数えてみると 約30匹の群れです・・・
私はリュックを下ろして帽子をとり、薄くなった頭皮を暖かい太陽の
光に当ててやりながら (笑) 展望台からの眺めを楽しみました。
春霞(かすみ)と言う言葉どおり、大阪湾も大阪市街地もボンヤリと
しているものの、墨絵のような幻想的な世界です。
目の前の石のベンチの上では母子猿? が毛つくろいを始めました・・・
仲のいいこと・・・
周りをみると6組の猿たちが、おもいおもいに春の暖かい日差しを
浴びながら、ノンビリと毛つくろいをしています・・・
なんと微笑ましい光景でしょうか・・・
見ていると、たまに交代しながら交互に毛つくろいをやっています・・・
しかし母子と思いきや、他の大人猿と交代したり、左右の組と交代して
みたり、大きな大人同士だったりと、どういう組み合わせなのか分から
なくなりました (笑)
群全体が一つの大きな家族のようです。
そんな中を、じっとしていなくてはしゃぎ回っているのは、まだ生まれて
僅かの幼少猿たちです・・・ 人間世界とよく似ています。
何がそんなに楽しいのかと思うぐらいに、何匹かでお互いに絡み合い、
上になったり下になったり、他の子供たちと追いかけっこをしたり、
小枝にしがみついたかと思うと落ちたり、取っ組み合いのケンカでも
しているのかと思いきや遊びだったり、見ていて飽きません・・・
しかし、私はふっとジーンとくるものがありました・・・
それぞれがみんな温かいスキンシップに溢れているのですから・・・
人間の家族が忘れてしまったような、温かい触れ合いを感じます。
いい家族? 群れです。
先程、最初に歯をむき出して私を威嚇していたボス猿はどこへ?
いました いました・・・
ノソ ノソ ノソと階段を上ってくると、私の目の前でゴロリと横になり、
更に仰向けになると、オスの象徴が否応でも目に付きました (笑)
でも群れの中ではひときわ大きく貫禄十分です・・・
先程とは打って変わって穏やかな顔つきです・・・
そこへ あそんで ! 遊んで! と言わんばかりに二匹の小猿が
やってきました・・・
ところがすぐに大人のメス猿なのか? がやって来て、ボス猿の
毛つくろいを始めました・・・
見ていると余程気持ちがいいのか、ダラ~ としたその風袋は
ボスの面目台無しだな! (笑) と思うぐらいに至福感に覆われて
いて、私も一度でいいからあんな具合にいかないかな・・・ と、
指をくわえて羨ましく見ていましたよ (笑)
遊んでもらえなかった小猿たちは、また元気にじゃれあいながら
追いかけっこを始めています・・・
そこへ先程から弱いものいじめばかりしていて気になっていた
若いヤンチャ猿が割っては入り、二匹の小猿を邪魔し始めました・・・
そしてそのうちの一匹の小猿に襲い掛かるようにのしかかります・・・
逃げ惑う小猿を必要以上に追い掛け回し、その小猿の悲鳴が響き
渡っている時です・・・
ノ ソ っと、ボス猿が起き上がると、急にドスのきいた大きな声で
激しく ギャ ギャー と、叫び声を上げました・・・
そしてそのヤンチャ猿を睨みつけたのです・・・
さすが ボス!
ヤンチャ猿は一瞬でおとなしくなりました・・・
ボスはそしてまたゴロリとなると、今度は別のメス猿に毛つくろいを
させています・・・ 偉い!
そんな猿群れ一家の生活を見ていると、古い昔の人間社会の縮図を
見ているようで羨ましく、いろいろ考えてしまいました・・・
その時でした・・・
ボス猿が急に起き上がると、下へ下りていきました・・・
まもなくして・・・
* ここや ここや・・・ ワー! サルがおるやんか!
びっくりやな! おい・・・ はよどかせよ!
昼飯食われへんやないか・・・ そやかて・・・
先頭の数人がそう言っている間もなく、沢山の中高年の男女が
ハイキングスタイルで上ってきました・・・ その数は約20人ぐらい・・・
* ワー ごっついサルや! 恐いで! 危ないぞ!
見るとあのボス猿は、歯を剥き出しにして怒り、戦闘モードです。
でも、その人の多さに群れの多くはどうしようか? と、ボスの指示を
待っているようで、回りを ウロ ウロとしています・・・
私はあわててリュックをかつぎ、席を空けようと下におりて歩き始め
ました。
何人かの人に・・・
・ こんにちわ! と、挨拶をしましたが、誰一人として返事が返って
きません・・・
(以前も森の中で、こんな団体さんを見かけて挨拶したのですが、
その時も返事が全く返ってこなかったことがありました・・・
私の声が小さかったのかな? )
私が風呂ケ谷へ向って歩き出し、しばらくして後を振り返った時、
強烈な衝撃を受けました・・・
何人かの大人が、長い枝やステッキを振り回しながら、猿たちを
乱暴にも、力づくで追い払っているのです・・・
しかも 力いっぱいに棒を振り下ろしながら・・・
ハヨ どけ! どかんかい! ぶっ殺すぞ!
などと罵声を浴びせているのです・・・
なんてひどい事をする人達なのでしょうか・・・
あの猿たちが、何か悪い事でもしたというのでしょうか?
自分たちが昼飯を食べるからといって、そんな追い出しかたはないで
しょう・・・
あれほど平和にくつろいでいた猿たちが余りにも可哀想です・・・
そもそもこの森は、この動物達のものです・・・ 私たちはその森を
使わせてもらっているにすぎません・・・
余りにも横暴な人間です。
私はその棒を振り下ろしながら、追いかけ回っている人達を、
遠めで見ながら、腹の底から 怒 り が込み上げてきました・・・
涙がでてきました・・・
ごめんな!
私は同じ人間として、誰に言うともなしに、さっきまであんなに楽しく
遊んでいた猿の群れに、心からの謝りの言葉を口に出していました。
暗い気持ちで再び風呂ケ谷へ下りて行くと、前方の山道沿いに、
今度は別の10匹ぐらいの猿の群れがいました・・・
猿たちは一様に警戒の目を私に向けましたが、私の仕草に安心した
のか、すぐにまた木の実を食べたり、ひだまりで毛つくろいを始めたり
して、横を通ってもごく自然にしています・・・
ありがとう! 通らせてもらうよ!
木漏れ日の差し込む谷間の一角で、私は休憩にしました・・・
それにしても私の心は曇天のごとく沈み、いつも楽しみな
コーヒータイムもうつろでした・・・
目を閉じて心を落ち着かせていると、何種類かの小鳥たちがさえずって
います・・・
そんな鳥たちのハーモニーを無我の境地になって? 聞くともなしに
聴いていると・・・
突然に右の尾根から ホー ホケキョ ケキョ ケキョ と、ひときわ
森に響き渡る美しいウグイスの鳴声です・・・
しばらくすると、今度は左の尾根から ホー ホケキョ と、再び別の
ウグイスの鳴声です・・・
それからしばらくの間、交互に美しい競演を聴かせてくれるのです・・・
私の心はいつしか快晴の気分に変っていきました・・・
この自然から与えられる心の癒し、慰めはすごいものです・・・
私は改めて、猿たちのいる自然豊かな箕面の森に感謝を捧げる
のでした・・・
本当に ありがとう! ですね。
09-4-5 (完)
花咲く箕面の森・・・
今日は教学の森から、西尾根を散策です・・・
尾根の西側はもう池田市との境界なので、時折 樹幹の間から
池田市街伊丹空港、その先に大阪湾や西宮、そして六甲山などが
垣間見えます。
気持ちのいい尾根を進むと、大きな赤い椿の花が、山道に沢山
落花しているのが遠くからでも見えます・・・
近づくと感激するぐらいの見事な花弁です・・・
いつも見るヤブツバキの花と比べると、約3倍ぐらいの大きさです・・・
なんと言う種なのかな?
毎年タイミングがいいと、この見事な花咲きを味わうことができます・・・
私は改めてその椿の木を見上げていると、丁度ヒヨドリが一羽やって
来て枝を揺らしたとたんに、一輪の花が落ちてきました・・・
まるで日本舞踊の美しい舞を見ているようで感激です・・・
しかし椿の樹下で、散り敷く落花を観賞できるのも、日本的で風流な
ものですね・・・
* (帰宅して書斎を探すと一冊だけ椿の本があり、調べて
みました・・・
「椿」 (木村 智 編・京都書院)を開いてみると、日本種だけでも
321種もあるとか・・・
その中からやっと似ている花を見つけました・・・
ヤブツバキ系の一重品種・赤花仙山(あかかせんざん)とあり
ました・・・
でも、あくまでも似ていただけであてにはなりませんので・・・? (笑)
日本人は椿に対して、その散り際の潔さを武士道からの風土、また
文化として持っているようですね・・・
それだけに、昨今の政治家の往生際の悪さに、嫌悪感をもっているの
かもしれません・・・? 入らぬお節介ですが・・・ (笑)
ミツバツツジの蕾が膨らみ、ひだまりにある蕾はもう 2~3の花を
咲かせ始めました・・・
これからしばらくの間、森の中はピンクの花びらで染まる美しい季節に
なります・・・
私はこの3Mもあるような、大きなミツバツツジの木の花のトンネルを
くぐる時いつも、天国ってこんな所かな? と、思ってしまうほど
美しく、感激してしまうのです (笑)
六箇山への分岐地に、20Mもあろうかと思う大きなヤマザクラの木が
あります・・・
エンジ色した葉と共に、花が一緒に咲くのが特徴ですが、その彩りの
兼ね合いが面白く、木の下へ行って見上げました・・・
見事に満開です!
青い空、白い雲、少し春霞の空・・・ 逆光の太陽にヤマザクラの葉
や花がシルエットになり、春風になびいている光景は、美しい影絵の
動きを見ているようで幻想的です・・・
教学の森に上る途中に「下ひろば」があり、そこから見上げる
エドヒガン桜はいま見事に花開いています・・・
まるで夏の夜空に打ち上げられた花火の大花輪のように大木が
広がり、その枝の先々までびっしりと花をつけ、空の青さと対比して
浮き上がり、素晴らしい眺めです・・・
先日は、杉の茶屋から雲隣の森に群生している満開のエドヒガンを
堪能したところですが、カメラマンや大滝へ向う人たちで賑やか
でした。
しかし今日はたった一人で、こんな見事なお花見を独占していいもの
か?と、思わず周りを見渡してしまいました・・・ (笑)
エドヒガンは野生桜で箕面の山には随所に見られ、ソメイヨシノに
似て、葉の出る前に花が枝一面に咲きますが、花は小振りでフサも
小さめでソメイヨシノより繊細ですから、花びらを見ていても趣が
あります。
天上ケ岳の方へ向っていると、黄色い小花が集まって球状になった
花の木が、その10m以上の高い木いっぱいに見事に花を咲かせて
います。
双眼鏡でよく見ると、花が更に集まって5-10cmの房のように枝先に
咲いている ミモザ(ギンヨウアカシア)のようです・・・
手前に咲く野生のヤマザクラとのコラボレーションに、見とれてしまい
ました・・・
自然の花の競演には、思わず感嘆の声をあげてしまいます。
森の山裾のひだまりに、可憐なスミレの花が咲いているのを見つけ
ました・・・ でも、いつも見る淡い紫のタチツボスミレよりも、もっと
濃い色をしています・・・
私はつい最近まで、スミレは数種類かと思っていたら、なんと世界には
400種以上あり、日本にはその50種以上もあると聞き ビックリ!
私にはその名前などとうてい覚えられません (笑)
かつてスイスのツエルマット、クライネ・シャイデックなどで、ハイキング
を楽しんだ事があります・・・
カウベルをつけて仔牛のいる牧草地から、高山植物の宝庫と言われる
お花畑の中を、マッターフオルン、アイガーを横目にした山の散策を、
最高のハイキングだったと思ってきました。
しかし今、私にとってフィールドは違えども、この箕面の森がまた
違った魅力いっぱいの、最高の散策路・ハイキングコースだと
しみじみと実感しているところです。
箕面の森の中にも、沢山の春の花が咲き始めましたよ・・・
09-4-3 (完)
ご縁のある木・・・
ウツギ谷の北の七丁石から西に折れ、谷山谷から才が原池へ
向うには山越えをしなければなりません。
その山に名前があるのかどうかは分かりませんが、山の尾根に
でると何年か前の大型台風で倒れた沢山の樹木が、無残な姿を
さらしています。
それが早や朽ちかけて、もうすぐ森に還る松の大木であったり・・・
完全に倒れているのに、まだ少しだけ残る根から養分を得て、
その幹から直角に新たな芽を太陽にまっすぐに向けて出している、
たくましいソヨゴの木などもあります。
ハイカーの方も余り通らないような・・・
そんな森の中で私は腰を下ろし、一人静かにコーヒータイムにするの
が、この上ない楽しみの一つなのです・・・
目を閉じて森に浸り、そよ風が葉音と共に奏でるハーモニーを聴いて
いる・・・ もうそこはまさに私の別世界です。
季節に遊ぶ鳥たちのさえずりも心地よく、しばし時を忘れてしまい
ます。
もう6年ほど前の初夏のある日、私はそこでそんな穏やかな一時を
過ごしていました・・・
ふっと、目にとまるものがありました・・・
可愛い小さな木の芽が顔を出していて、それが木漏れ日を浴びて
緑葉が輝いているのです・・・
しかし? あれ・・・?
近づいてよくみると なんと! なにやら人工物の輪の中から首を
覗かしている感じです・・・
よくよく見ると、古い五円玉の穴から出ているではありませんか・・・
よくまあよりによって器用な事で・・・
それにしてもこんな所で・・・
ハイカーの方にも余り出会うことは稀なのに、どうして・・・?
この五円玉の古さから見て、もう数十年も前のことかも・・・?
例えば、どなたかが汗を拭う時、取り出したタオルと共にポケットの
五円玉が飛び出したりして・・・?
などと、勝手に想像を巡らせましたが・・・
再び新芽を見ると、その葉からみてカシの木? のような気が
しました。
(自宅の庭にも同じような木があり、よく似ていますので・・・)
いずれこれが大木になったら、どうなるのだろうか・・・?
私は今のうちに取り除いてやろう・・・ と、手を伸ばしかけたの
だが、やめにしました・・・
これも自然の営みなのだ・・・ 不用意に人の手を加えるのは
よそう・・・と、思ったのです。
それから何度となくここを通ったのに、もうすっかりと忘れて
いました・・・
昨年、同じところで一休みをしていて思い出し、探してみました・・・
しかし、場所が違ったのか? とうとう探し出す事はできません
でした。
それが今日のこと・・・
それも何の前触れもなく・・・ あれ?
目の前に高さ1m位の、ヒョロリとした木が立っているのが目にとまり
ました・・・
そして、何気なく根元を見たとき ビックリです・・・!
あの時の五円玉が、かすかに見えるではありませんか・・・
かすかに! と、言うのは、直径2-3cmの太さに成長した幹に、
すっかりと入り込んでいるからでした・・・
なんとも痛々しいような・・・?
それでいて、奇妙なありえない格好に可笑しくて・・・ すごいな!
と、感動したり・・・ 生きている木の力のすごさ・・・
自然の包容力に感心したり・・・
いろんな思いが数秒の間に交錯し、混乱の極みに陥ってしまい
ました・・・
あの時に外しておいてやればよかったのに・・・
そしたらこんなに苦労をして育たなかったろうに・・・ と、
一瞬 自責の念を感じました・・・
しかし反面、いや いや・・・ これはまさに自然の営みなんだ・・・
生きる環境を受け入れて順応し、この木はそれなりに個性的で、
面白味のある木として立派に生きているんだ・・・ などと心は複雑
です。
異物を飲み込んで成長している樹木は、森の中で時々目にして
きました。
箕面ゴルフ倶楽部脇の山道で、「無断立ち入り禁止」の看板と共に、
長い距離に張られた有刺鉄線・・・
それが無造作に松やケヤキ、モミジなどの生木に直接打ち止めされて
いて・・・
長い年月の間に樹木が生長し、徐々にその鉄針を飲み込んでいき、
今では幹の半分ぐらいまで入り込んでいるものもあります・・・
樹木の中央から右と左に、それぞれに錆びた有刺鉄線が出ている
姿は無気味で、痛々しさを覚えます・・・
また別の所では、木の幹に取り付けられていたブリキの
表示丸板・・・そこには 「火の用心・・・」 「ゴミは持ち帰って・・・」
「木を大切に・・・」(大阪府) (森林事務所・・・) など、かなり昔に
取り付けられたような古い錆びたブリキ板が幹に食い込んでいる
姿をみました・・・
幹は何かの拍子にそれをくわえ、そのまま長い年月を超えて、
徐々に取り込みながら成長していくので、自然と幹の奥深くへ
入ったままの姿なのです・・・
一度そんな異物を取ってやろうとおもって、思い切り引っ張ってみま
したが、もう到底外れませんでした。
ビール缶のキャップが、木の枝のコブとなって半分飲み込まれている
姿も見ました・・・
投げ捨てられた丸いキャップが、上手くストライク! で、枝に
引っかかり、そのまま枝が成長していき、飲み込んでしまった様子
です。
それにしてもです・・・
あの小さな五円玉の穴から芽を出したカシの木の赤ちゃん・・・
成長するに連れてなんとも、一生 ご縁(五円)のあるお付き合い に
なってしまいましたね・・・
’13 4・30
石澄の森 散策!
天候不順と寒暖差のあるおかしな 気候が続いていたのが、
今日は久しぶりに春らしいお天気に恵まれました。
新稲(にいな)の山里を歩くとレンゲ畑があり、野菜畑があり、
お花畑もあり、田植えの準備に田起しの農機を入れている
畑もあり、ファーマーの方々が農作業をされたりしています。
暖かい太陽を浴びながらそんな畦道を歩いていると、
ホトケノザ、ガギドオシ、オオイヌノフグリ、ノゲシやタンポポ
などの野草が花を咲かせ、近くのカンザクラの木からは
ウグイスが美しい鳴声を里に響かせています。
ハナミズキの咲く禅寺・栄松寺の南細道から、ツバメが飛び交う
半町池を抜けて「教学の森」に入りました。
一歩入ると、そこには若々しい新緑に溢れた森が広がって
います。
見上げると白い筒状のウワミズザクラが満開です。
幼児の手を広げたようなイロハモミジが新鮮です。
やがて西尾根道に入り、北へ向って上がっていくと
変化にとんだ気持ちのいい森の散策路が六箇山(395.8m)
まで続いている・・・
大きなヤブツバキの赤い花ガラが落ちていて、彩りを添えて
います。
コバノミツバツツジが美しく咲き、森の中に花火が開いた
ような華やかさです。
急に東のほうから水の流れが聞えてきました。
石澄(いしずみ)の滝の流れ落ちる音のようです。
今日は水量が多いようで、谷にこだまして心よい響きです。
私は予定を変更してその谷へ下りてみる事にしました。
いくつかの下り道をあるものの、ヤブコギをせねばならない
所は避け、いつもの「海の見える丘」前から、新芽の出つつ
あるササヤブを抜けて下りました。
杉木立には野鳥が飛び交い、双眼鏡で見る間にもう別の所に
飛び立ち、中々ゆっくりと捉えることができません。
やがて谷間に近づくと、滝の流れ落ちる音が大きく響いて
きました・・・
それと共にキンコン キンコン ガリガリと、何かを叩く音が
聞えてきます・・・何だろうか?
アオゲラ、アカゲラやキツツキ科の鳥のドラミングとは違うので
緊張が走ります。
双眼鏡で谷間を覗くと、数人のハイカーの方々がいて、何やら
岩をカナヅチで叩き割っている様子です?
実はこの場所で私がハイカーの方に出会うのは、
この10年で3回目・・・
それほど人影を見ることは無く、ましてそんな行為をしている
方を見るのは初めてのことだけに・・・
一体何をしているのだろうか? と、興味を持ちました。
谷間に下りると、挨拶の後で何をされているのか早速
聞いてみました。
・ こんにちわ! それは何をされているのですか?
化石でもあるのでしょうか?
* いえいえ・・・水晶ですわ!
ほれ! これが水晶ですよ。
割ったばかりの岩片を見せてもらうと、太陽にキラキラと輝く
小さな水晶の塊が見えました・・・
ビックリ、感激です。
* この先に昔鉱山があったでしょう?
だから鉱山のあった所には水晶がでるんですわ!
私は全く知りませんでした。
ましてこの先に鉱山があったことなども・・・
もっと詳しくお聞きしたかったものの、皆さん帰り支度をされて
いたので失礼しました。
一人になって近くの小さな岩片を拾ってみると、確かに小さ
水晶の結晶があり、また感激です。
記念に小さな破片を一つポケットに入れました。
この石澄の滝は池田市と箕面市の境界を流れる石澄川の上流にあり、
前回は水量が余りに少なく心配したものの、今日はかなりの水量が
ゴーゴーと豪快に流れ落ち谷間を響かせている姿に安堵しました。
滝壷横の石像に手を合わせ、その前の大岩の上で
しばし休憩し、長らく滝の流れを見つめていました。
もうそれだけで「無」の世界に入れるようで、禅僧にでも
なったかのような気分です?
爆音をかき消すかのようにヒヨドリが二羽、頭上を大鳴き
しながら飛び交っています。
右の大きな絶壁岩から岩清水が流れ落ち、その岩場の窪みに
二輪の小さなタチツボスミレが咲いていました。
爆風にあおられながらも、その清楚な薄紫の花弁を揺らせて
いる姿には感動しました。
少し後ろ手に柑橘類の木を見つけました。
なんと場違い感のある木・・・
しかもオレンジ色した実がたわわに実っているではありま
せんか・・・
八朔か? 甘夏か? それとも箕面特産のユズか?
その後には琵琶の木まで・・・
ハイカーの投げた種か?
それとも鳥たちが食べ落とした糞から芽がでた木なのか?
それを考えているだけで日が暮れそうなので腰をあげました。
戻る山道で小動物に出会いました・・・
テンかな? キツネかな?
イノシシのヌタ場もあり、鹿のフンも見かけるので、
谷川の水を求めて、森の動物たちも沢山周辺にはいることで
しょう。
箕面の森はいつも私に好奇心と心の癒しを与えてくれます。
サムエル・ウルマンの詩・・・
「青春とは心の若さである・・・」 の如く、
今が私の青春のようです!
’13 4・25
森での出会い!
今朝は家を出るのが遅くなったので、車で山へ向かいました。
箕面ドライブウエイに入ると、山裾にコバノミツバツツジが
美しく花を咲かせています。
山桜も随所に咲き見られ、芽吹きの季節と共に、山も少しづつ
新緑が広がってきています。
道路沿いに一匹の老猿を見かけました。
群れの中で悠々自適に周りを囲まれ、ノンビリ毛つくろいを
されている老猿も見かけるものの・・・
こうして観光客にエサをねだる老いた一匹猿をみると
身につまされる思いがします。
箕面ビジターセンター駐車場は、季節柄すでに満車止めだった
ので、予定を変更してEXPO’90みのおの森へ向いました。
広い駐車場には4~5台の車だけで、人影は見当りません。
車を降りると、さっそくウグイスが美声を響かせ迎えてくれました。
紅色の八重桜に似たサトザクラが満開です。
青い空、白い雲と桜の紅色が対比して、更に美しく栄えています。
周辺を皆伐された展望塔は、遠くからでもよく見えるようになり
ました。
黄色したサンシュユ、レンギョウが咲いています。
「花の谷」へ入ろうとしたら、門扉が新たに作られていて
閉まっています。
そこへ管理事務所の係員が通りかかったので聞いてみると・・・
伐採した後に植林をしていて、その新芽を鹿に食べられない
ように防止柵、網などで囲っている・・・
門扉は開閉して、人は自由に入ってください・・・との事。
周辺を歩くと今、大島桜が満開です。
花と葉が同時に開き白い花はやや大きめ、葉は香りがよく、
あの桜餅を包むのに利用されているのが分かります。
横では白いコブシが散りかけ、ハクモクレンが蕾、満開、散り染め
と、木により違うものの各々栄華を放っています。
先ほどの係員の方によると、今年は天候不順のせいか?
咲き方がおかしいような事を言われていました。
それに多くの樹木の幹には引っかき傷があり、樹皮を剥がされて
いて、ここにも鹿害の様子が垣間見られます。
森の中の小さな池の横で、一人のカメラマンの方に出会いました。
オオルリがいるとの事・・・
大型の望遠レンズをつけたカメラを、池にやってくる野鳥に向けて
魅入っている様子です。
私も後方から静かに双眼鏡で覗いてみました。
名前は分からないものの、何羽もが次々とやってきては
水を飲んだり、水浴び、水遊びをしたりして、
定めし野鳥の井戸端会議の様相です。
後で聞くとキビタキ、コサメビタキ、クロツグミ、コマドリ、ヤブサメ、
メジロ、ヒヨドリ・・・いろんな野鳥がやってくるそうです。
話はあのハゲ状態になった展望塔周辺のこと・・・
いくらなんでもあそこまで皆伐しなくても・・・
野鳥がかわいそうだ! と。
しかも周辺の防策ネットの野暮ったい事・・・
・ 事情は分かるけど、囲うよりは目の粗いグレージング
(道路側溝上の粗めの蓋)を置くだけで、脚をとられる四足は
入ってくるのを嫌うし、脚の大きな人間はその上を歩けるし、
見栄えもいいし、何度も転用もできるし・・・
・ 更には観光重視と言いながら、滝道の無粋な電信柱をなぜに
地中化してすっきりできないのか?
・ 滝上の大日駐車場から箕面ビジターセンターまでの約1kmを
車椅子でも通れるような専用歩道を、箕面川にせり出して
作れないものか?
・ ケイタイの繋がらない箕面の山の中で、せめて
ビジターセンターに公衆電話を置いて欲しいものだ・・・とか。
自分の意見も含めて、すっかりと意気投合して話してしまい
ました。
お互いに風呂屋でんな! と言われ、何のことかと思って
いたら、言う(湯う)ばっかりでつかりっきりで動かんからや・・・と
解説されて大笑いでした。
確かに行動しなければただのグチに過ぎません。
鉢伏山へ向う途中・・・
偶然にも満開の山桜の老木と出会いました。
大きな花枝を東西南北に大きく広げ、長い樹齢を刻む
苔むす大木に圧倒されてしまいました。
何年もこの道を歩いているのに気がつきませんでした。
しかし昨春、この山道を沢山の花びらが埋めていたことを思い出し
、やっとその桜の木と出会えた気持ちで嬉しくなりました。
一人見上げ、そのすごい迫力に感動し、感嘆の言葉と共に
自然の威容をじっくりと味わいました。
いつも思うことは一期一会・・・
茶道の精神にも似て、その時々の自然との出会いもまた
私には大切な人生の1ページとなっています。
いい季節です。
若者にエールを!
天上ヶ谷へ入る百年橋の前で、イロハモミジの若葉に魅入って
いました。
可愛い幼児の手のひらのように小さく弱々しく、
しかし初々しい新鮮な輝きを放っていて、
朝の木漏れ陽に照らされています。
箕面川渓流のせせらぎを聴きながら山斜面を見上げると、
エドヒガン、ヤマザクラがまだ随所で咲いているのが見られます。
いい季節だな~ と大きく深呼吸をしていると・・・
* あの~ すいません!
箕面ビジターセンターはこの先でいいんでしょうか?
急に声を掛けられたので一瞬 ビックリ、ドッキン!
・ エエ~ そうですよ・・・
あと1kmぐらい行くと、左手にあります。
ところでどこまで行くの?
私はその若者の格好、顔つきから相当の覚悟のようなものを
感じたのつい聞いてみたのですが・・・
* ハイ! ビジターセンターから東海自然歩道に入り、
行けるところまで行ってみようかなと思いまして・・・
それから短時間ながら立ち話をして彼の決意を聞きました。
何でも希望する大学を落ちたのだとか・・・
気分転換と今までのストレス解消に、何かにチャレンジして
自信をつけようと思ったとのこと。
それが愛読するシェルパ斉藤さんの本で
「東海自然歩道全走破・213万歩の旅」 を読み、
自分も挑戦してみようと思った・・・と。
明治の森・箕面国定公園から、同じ明治の森・高尾国定公園
(東京・八王子市)までを自然歩道で結ぶ全長、1343kmの
東海自然歩道・・・
相当の難所や危険個所もあるようだが~ 大丈夫か?
しかし、彼の格好は寝袋にテント、食糧を詰め込み、マットをくくり
つけ、傘まで横に取り付けてあり、完全に自給自足での覚悟の
様子・・・
体はひ弱そうだが、その並々ならぬ決意にはやる気がみなぎって
いました。
・ がんばれよ! しかし決して無理するなよ。
撤退も勇気の一つだよ。
親にもちゃんと連絡だけは欠かすなよ。
人に迷惑をかけない、心配をかけさせないことも
チャレンジに対する自信に繋がると思うからね・・・
つい自分の子供に言い聞かせるような口調に苦笑しながらも・・・
若者は素直に ハイ! と応え、元気よく歩いていきました。
まさに青春ですね・・・
遠くでウグイスが美声を張り上げ、エールを送っていました。
飽きない森歩き!
今日は先ず滝道から落合谷に入り、前鬼谷を上がります。
ここから「ようらく台園地(山頂)」まで約100分と、ハイキング
マップには案内されていますが、ドンカメ歩きの私の歩みでは
それ以上は確実です。
いよいよ芽吹きの季節となり、樹木には新芽が出始め、
若葉が顔をのぞかせています。
イロハモミジの幼い葉脈が木漏れ陽に照らされて初々しく、
その緑もまた嬉々としているように感じられます。
時折り桜の花びらが歩く山道に舞い落ちてきます・・・
風が吹くたびに沢山の花びらが森を舞っています・・・
そんな桜吹雪の中を歩いて行くと、まるで役者にでもなったような
気分です。
横を流れる谷川が所々で小さな滝をつくり、その白い水しぶきが
心地よい響きとなって谷間にこだましています。
突然、前方に丸いボールのようなものが・・・ 何?
近づいてみると、頭大の真ん丸い石が落ちています。
しかも手加工したように見事にまんまるなので足でおしてみると
1mも転がりました・・・ 面白い!
自然石のようなので、少し前にこの山の斜面から転げ落ちてきた
ようですが・・・?
それにしても何万年以上前の大昔、この辺は海底だったのかな?
と思わせるような気配にロマンを感じました。
そのロマン君を家に連れて帰りたいと思って持ち上げてみた
ものの、その重さにビックリ!
これを担いでとても山歩きなどできないので諦めました。
上りきったところで一休みにしました。
ポットから珈琲をそそぎ一息入れると、もう至福のひと時です。
いろんな野鳥のさえずりを聴きながら・・・
咲き始めたコバノミツバツツジを眺めていると、春風が頬をなでて
いきました。
再び歩き始め「大ケヤキ」の前に立ち、反り返って見上げて
いました。
双眼鏡で覗いても、まだ一枚の若葉も見当りません。
家の小さなケヤキは、もういっぱいに新芽を噴出しているので
来てみたのだが、まだまだのようです。
それでも大きな幹に耳を当てていると、心なしか水脈の給水音が
聞えそうな気がしました。
この幹を通し大小細の枝から枝へ、そして数万枚に及ぶ葉一つ
一つへの給水機能をそなえている・・・
それを考えただけでも、その自然の力と不思議さには圧倒されて
しまいます。
いつも畏敬の念をもって見上げているこの大ケヤキも、後少しで
芽吹くようなので、また来月にでも立ち寄ってみます。
山頂に着き、五月山ドライブウエイに下ってくると・・・
目の前に江戸彼岸桜の大木が、まさに見事な満開の花を
咲かせていました。
遠望する川西の山々を背景に見事な勇姿を披露しています。
観客は私一人・・・
この贅沢なお花見に感動しながらも、ゆっくりと鑑賞することが
できました。
と言うのも、先週は世界文化遺産の醍醐寺の見事な枝垂桜や、
周辺のソメイヨシノ、宇治・平等院の桜、八幡堤の背割り桜並木
など、五ヶ所ほどを巡ってきたものの、そのすごい人出に
ゆっくり桜を楽しむ事ができませんでした。
それだけにこの箕面の桜は一歩山の中に入れば、
まさに今日も一人 独占鑑賞!
なんともこの至福の贅沢感はたまりません。
猟師谷、天上ヶ谷への下り口を過ぎ、堂屋敷山へ向い、
やがて天上ヶ岳(499.2m)で一休み・・・
遠望できる大阪湾には春霞みがかかっていました。
下方の谷間では猿たちが運動会でもしているかのように
賑やかに騒いでいましたが、野猿管理のエサの時間なのかも
しれません。
修験道を下り、自然3号路から箕面ビジターセンターへ下ります。
野草園にはいまカタクリの花がきれいに咲き、白と赤色の
トキワイカリソウなどが美しく咲いていました。
箕面川沿いには、大型の望遠レンズをつけてカメラマンの方々が
沢山います。
聞けば、見事なコバルトブルー色したオオルリを撮る人、
水浴びするカワガラス、子にエサをやったりしている姿に
渓流の岩場にカメラを向けている人、営巣中のヤマガラを撮って
いる人など・・・
野鳥撮影の方にもいい季節がやってきたようです。
桜が散ると、次はヤマツツジなど森の花が一斉に咲き始め、
木々も芽吹き、若葉が映え、ワクワクするような季節がやって
きます。
箕面の森の散策は、本当に飽きる事がありません。
’13 4・20
森の竹の子を・・・
今日は、教学の森からハート広場を通り、ささゆりコースへ入り
ました。
このコースは大きな起伏もなく、気持ちのいい雑木林の尾根道です。
さわやかな春風がそよぎ、新緑の若葉が太陽に映えてキラキラと輝いて
います・・・
まるで新入生のような新鮮さを感じます。
遅ればせながら・・・と、クヌギやホーノキの大木にも芽吹きが見られる
ようになりました。
新芽をつんでリョーブ飯にするというリョーブの木にも、若々しい小さな
新芽がいっぱい生え始めました。
この周辺にはいろんなハイキングコースがあり、ちなみにこの先には
山の神コース、手前を下ると桜谷コース、途中からは松騒コース、
その先はこもれびコース・・・ 他等などです。
海の見える丘へ向かっていると、上のほうから10数人の団体さんが
下ってきました・・・
見ると、先頭の方は見覚えのある 「箕面観光ボランティアガイド」
(箕面観光協会)の帽子と証しを付けられたベテランの女性ガイドの方
でした。
メンバーの方々が交代で、定期的に市民の方などへ向けて森のガイド
ツアー(無料)を催されているのです。
初めて箕面の森を歩かれる方には願っても無いガイドツアーだと思い
ます。
さて、今日はこの森の中に竹やぶがある所の出来事です。
この少し手前から急に路肩が崩れたりしていて 山道が荒れてきていて、
おかしいな? と思っていました。
すると前方に見えてきた竹林の中で一人のおじさんが木片を手にとり、
山道沿いに置きながら土止め作業をされています。
・ こんにちわ・・・ 今日は道がえらく荒れていますね・・・ と 私。
* そうでんねん・・・ これみとくなはれ・・・
イノシシの奴らですわ・・・
・ こんな所にイノシシですか?
* ワシな~ ここへ竹の子採りにきたんやがもう何一つあらし
まへんわ・・・みんな根こそぎやられてますわ・・・
それにこの荒らしようですわ・・・
ほんまにもー・・・
そういいながら、また木片を集めておられる・・・
おじさんはここの地主なのかな?
* ここ何年かで一番ひどいですわ・・・ それに、これ見た
分かるように相当な数のイノシシですわ・・・
あの大きな足跡・・・
相当大きな奴でんな・・・
その大きな鼻先でみんな竹の子掘り返してまんねん・・・
ほんまにな・・・
いかにも悔しそうな顔をされています・・・
みれば、確かに大きな爪あと・・・ しかも掘り返し方が半端じゃありま
せん・・・
・ それでこの路肩の土止め板まで壊してしまったのですね・・・
* そやさかいな・・・ 散らかしたこの板切れでも拾ろおて土崩れ
をせんようにしとかんとと思うてな・・・
・ それはありがとうございます・・・ ここを歩かせてもらう私らには
有り難いことですが・・・ それにしてもご苦労様です。
何か手伝いましょか?
* かまへん・・・ どうせ明日になったらまたやられてるかもしれ
んからな・・・
と 半ば諦め顔・・・
それでも、思い直してまた竹やぶの中に入っていかれました。
それにしても、森の動物達の食糧が年々減ってきているのでしょうか?
昨秋に森を歩いていると ドングリや木の実が豊富に実り、鳥も動物も
来年は大丈夫だな! と 一人で安心していたのですが、違っていた
ようです。
最も、確かイノシシは土の中のミミズが好物で、一晩に10数キロ走り
回って土を掘り返して探していると聞いた事があります。
何でも食べる雑食とはいえ、土の中の竹の子までも食べるとは知りま
せんでした。
そう言えば、旬ですね・・・ 私はまだ今年の新物を食べていないな・・・
人間様より先にイノシシに食べられるなんて・・・
あのおじさんの口惜しさが分かるような気がしました。
ちなみに、私もこれから庭のサクランボの実が成り、イチゴの実がなり、
グミの実が成り始めると、朝から鳥たちと競争です・・・
しかし、いつも明朝はこれを採ろうと私が思って楽しみにしている実に
限り、真っ先に鳥に食べられてしまい、美味しい実を知っている鳥達
には口惜しいといったらありません・・・
最近は私も丸くなって? 競争を諦め、もっぱら鳥の為の餌づくりにと
、開き直っているところです・・・
ト ホ ホ の涙です 。
13 4-19
自然のもてなし・・・ 花の舞い!
今日はうす曇りの茶園谷から谷山の尾根道を通って谷道へ下りて
きました。
うん? 珍しく谷川の水の流れが聞えます・・・ まさか!
やっぱりそうでした・・・ ここ数年になかった渓流の響き・・・
近づいてみると、いつも乾ききっていた谷間にしっかりと水が流れて
細い谷川になっています。
へ~ 生きていたんだ・・・
感激です。
渓流の音を聞くのが好きな私は早速、谷川の流れに手を入れて
みます・・・
もう冷たさはなく、温かさを感じる春の流れでした。
才が原の森へ向かう途中、二十二曲がり谷との合流付近には
樹齢80年以上のスギやヒノキと共にケヤキやモミジ、ヤマザクラ
などがあり、昼なお暗き森となっています。
私は腰をそらして近くの大きな木を見上げました・・・
高さは20m近くあるような高木ですが、深い谷間にある木は
いづれも太陽に少しでも近づくようにと競争して、高く高くとなって
いるようです。
見上げた上空は曇り空に逆光で、幹も枝も墨絵のように黒く見え
ますが、それがまた幻想的で何とも美しい絵模様となって広がって
います。
その自然美には、言いようのないデザインインパクトを
感じました・・・
きれいだな・・・! と しばし見とれていました。
その時、上から何か白い物が舞い降りてきて足元に落ちました・・・
それもあの竹トンボが下りてくる時のようにクルクルと回りながら
落ちてくるではありませんか・・・ なんだろう?
見上げているとまた一つ また 一つ・・・ よく見ると真っ白い花ガラ
です。
小さな花びらでなく花そのものなのです・・・ きれいだな・・・
そのうち春風が一吹きしました・・・ するとなんと!
空から数十もの真っ白い花ガラが一斉に舞い降りてくるではあり
ませんか・・・
この光景はなんと言葉で表現してよいのやら・・・
薄暗い森の中で急に 白い森の妖精たち が舞い降りてきたような
・・もうビックリの感動ものです・・・
見ると私の足元周辺 3M周りが白い花でいっぱいになりました。
私の見上げたここだけに何と言う現象でしょうか?・・・
不思議な感覚にみまわれました。
ここへ来る前に、私はしらみ地蔵から七町石を西へ向かう狭い
山道に差し掛かった所でも、思いもよらない花道を歩いてきた
ところでした。
それは真っ赤なヤブツバキの花ガラが沢山落下していて、山道を
埋めつくしていたのです・・・
さらにその上には散った山桜の花びらが幾重にも積もっていて、
美しい花道が出来ていたのです。
タイの国王が道を歩くたびに、美しい付き人がその道の前に沢山の
花を蒔いている姿をTVで見たことがありますが・・・
私もそんな国王になった気分で 歩いてきたところでした・・・
森の中に開けた才が原池で一休みをしていると、池面が
白い花びらでいっぱいです・・・
野生の山桜 エドヒガンの花びらで埋まっています・・・
いつもと違う何とも絵画的な光景です。
更に、その森の間からはコバノミツバツツジ(ヤマツツジ)が見え、
ピンク色の花の群れが池面に写し出されていて、春風が吹くたびに
水面が揺れ動き、花の舞い姿のように見えました。
次いで、私が才が原林道脇の丘の上に入っていくと、そこには
小さな花を満開に咲かせているヤマツツジの群生している所があり、
それはそれは見事な美しさに出会いました・・・
私はその満開の花のトンネルの下に座り、しばし静かに自然の美に
包まれて至福の一時を過ごしました。
今日はこんなにも森からの美しい自然のもてなしを受けるとは思いも
よりませんでした。
私は山や森を歩いていて、散策中にはこれまでいろんな自然の
厳しさを思い知らされたり、また実際に恐いと思う時も多々あり
ました・・・
しかし、山や森の小さな出来事を通して、いつも私の心を癒し、
慰め、温めてくれて、全てを優しく包んでくれる感激と感動の
場所でもありました。
今までの長い人生でこんな所は他にはありませんでした・・・。
今日は、箕面の森からの 美しいもてなし を頂き、嬉しい感謝の
一日となりました・・・。
夜も、同じようにいい夢を・・・
できればタイの王様にでもなったような夢を一度でも見たいもの
ですが・・・?
13 4-15
老後を共に・・・
今日の出発地は、箕面・外院の帝釈寺からです・・・
皿池公園の前から勝尾寺旧参道に入っていきます・・・
昔の町石柱の頭をなでながら・・・
ここから一気に風景は田舎そのものになり、私の好きな山里の光景が
広がります。
田畑では日曜百姓さん? が、所々で農作業をしています・・・
あぜ道に上り、手前の壊れかけた農舎ごしに山々を望むと、
信州のアルプス連山とは違うものの・・・
もうそこは故郷の安曇野のようで、いつも懐かしさでいっぱいになって
しまいます。
ピンク色に染まったレンゲ草が畑いっぱいに広がり愛らしい花を咲かせてい
ます。
黄色い菜の花・・・ 白いネギの花もきれいです。
土手にはムラサキ、ピンク、キイロ、シロ色・・・と、いろんな野草の花が咲いて
います・・・ いつまでたっても名前が覚えられません。
小さな池のほとりにある柿の木にも、小さな新芽がいっぱい出てきました・・・
ついこの間まで残り柿が数個あって、小鳥達が賑やかについばみながら
井戸端会議に花を咲かせていたのに・・・ 季節の移り変わりを実感します。
前方から杖をついた散歩中のおじいさんがゆっくりと歩いてこられて・・・
・ おはようさん~ と 元気に声を掛けてくださいました。
おはようございます・・・ 今日はいいお天気ですね!
・ そうでんな・・・! 結構や・・・ ほな! ごめん! と、
去っていかれました。
森に入りV字の山道から空を見上げると、もう一面新緑のトンネルです・・・
思い切り深呼吸をしてみました。
朝陽が差し込んでくると、若い新芽が嬉しそうにひときわ輝いて見えます。
山道を照らす木漏れ陽も 春の温かさを感じます。
古参道への分岐点で一休みをしていました・・・
旧参道は休日はハイカーの方が多く・・・
( と言っても10分にお一人ぐらいの間隔ですが・・・
森の中では多い道です)、
私のようにゆっくりと森の散策を楽しむ者は、狭い道ながら人が少ない
古参道が最適です。
足元には小さなうす紫色をしたタチツボスミレが咲いています・・・
きれいです!
私の好きな・・・ さりげない清楚な美しさです。
空ではさかんに鳥がさえずっています・・・ 何の鳥かな?
その時でした・・・
後ろから急に一人の同年輩の方が声をかけてきました。
* あれはメジロですわ・・・ よう鳴いてますわ・・・
さっきから鳴いてる所を狙ってるんやが見つかりませんね・・・
見ると大きなカメラ三脚を担ぎ、その上には大きな望遠鏡を付けた家庭用の
ビデオカメラが見える。
* 今日はよう鳴いてますわ・・・
私は上空でよく鳴いている鳥を見て、つい田舎の早春時のヒバリを思い・・・
・ あれヒバリですか? と 言うと・・・
* あれがメジロですわ・・・
早々に貧学を笑われてしまいましたが・・・
それから次々と鳥が鳴くたびに・・・
* あれはシジュウガラです・・・ あれはカワラヒラ・・・
あの松の上で鳴いてるのは・・・ と 教えていただいても端から
忘れてしまいました・・・
・ それにしてもよくご存知ですね・・・ 詳しいですね・・・
(私がカメラを指して・・・)
・ 鳥を撮ってられるのですか?
* ええ・・・ これが老後の趣味でして・・・
これはビデオとカメラの一体型の安い物ですがね・・・
しかし、固定して撮らんとブレるんでこの三脚が重いんで・・・
この望遠鏡も結構重いんですわ・・・
* 鳥は今の時期はつがいで巣づくりの最中で外装が出来、内装が
出来たら餌の虫などを腹いっぱいに食べて、それから子作り
ですわ・・・
もう少ししたら卵が生まれ、二羽で育てていきますねん・・・
そりゃ見てて飽きませんわ・・・
私は毎日365日、山の中を歩いて鳥を見てますねん・・・
楽しいですわ。
・ そんなにですか・・・ すごいですね!
* 定年後に見つけた趣味です・・・
撮った後に家でそれを編集しますが、それがまた楽しい・・・
自然を撮ったNHKのハイビジョン映像のようにはいきませんが、
自分ながら童謡を挿入したりして一枚のDVDにしたり・・・
今のブルーデーはよろしいな・・・ これ作っといたら100年以上
劣化せずに見れますしね・・・
しかし、私が死んだ後はすぐに捨てられる運命かもしれません
がね・・・
と 苦笑されている。
・ いいご趣味ですね・・・ 羨ましいです!
(趣味に夢中になっておられる人の姿には年齢に関係なくいつも若さと
情熱を感じます・・・)
・ 私など鳥にひかれても未だに名前と鳴き声と姿が一致せずにもう諦め
です・・・
だからいつも、ただ いいな~ と 聞きほれているだけです・・・
* 私も最初はそうでしたが、望遠レンズで鳥の巣なんか見ていると
もう夢中になりまして・・・
(おじさんはいろんな思いを一気に話されています・・・)
その時、近くでウグイスが鳴いた・・・ ホーホケキョ!
すると・・・
* あのウグイスは私がここにいるといつも鳴いてくれますねん
それによく聞くと・・・ ホーコッチコイ・・・ こっち来い! と
聞えますねん・・・
ハハハハハ・・・ 二人で大笑いです。
・ 私も先日、四反田谷の上り坂で ホーヨッコラショ・・・ よっこらしょ!
と 聞えたのと同じですね・・・ と また大笑い・・・・
その時またメジロが鳴き始めました・・・
おじさんは早速カメラを覗きながら早や探鳥モードに入られました・・・
老後は鳥と友に・・・ (共に・・・) いいですね!
私は静かにそこを離れました・・・
私は再び鳴いた ホーコッチコイ? の ウグイスに引かれて旧参道から
古参道の狭い山道に入っていきました。
私はいつも首から10倍の小さな双眼鏡をぶら下げていますが・・・
しかし、すばやい鳥の動きを観察できるのはノンビリ屋でノロマの私には稀な
ことなのです。
それでいつも動かない風景をみて楽しんでいるのですが・・・。
今日は尾根道から向かいの山の斜面を双眼鏡で見る・・・
すると、まるであの打ち上げ花火がパッと空で大きく開いた時のように・・・
あちこちの山々に咲く 満開の桜 の花がとても美しく、しばし感嘆の声を
一人挙げながら見とれてしまいました。
(箕面にはエドヒガンザクラ・ヤマザクラ、ウワミズザクラ、カスミザクラなどが
咲くとか・・・)
近くで見るのもいいですが、満開の桜を山越に遠くから眺めるのも
おつなもの ですよ・・・。
近くのヤマザクラの木に目をやると、私にしてはなんとめずらしい・・・
花から花へ飛び交う二羽のメジロを見つけました・・・ ラッキーです。
しばし双眼鏡で、その鶯色をしたきれいなメジロ、その仲睦ましいつがいの
仕草や動きをたっぷりと堪能できました・・・
桜とメジロ・・・ まさに絵になる光景です。
さっきのおじさんの趣味の気持ちがよくわかります・・・
箕面の森にも 巣づくりの季節 がやってきましたね・・・
!13 4-12
森の警戒注意報!?
東海自然歩道から自然8号路を下り、清水谷林道へ向かっている時で
した。
なぜか私の目の前の木の梢に一羽の小鳥がとまり、さえずり始めました。
めずらしいな・・・ 何という鳥かな?
黒い頭上と白い頬、のどから腹にのびるネクタイ状の黒色縦線、翼には
白い線が・・・ ツツーピー・・・ ツツーピー・・・ と鳴いています。
シジュウガラ だと思いますが、ここはスギ林の林立する森の中なので、
針葉樹で採餌する鳥、低山の針葉樹林に多くいるという ヒガラかも
しれません?
その小鳥が逃げずに、とにかく私の歩く道の前に前に飛んで来ては
しっかりとさえずるではありませんか・・・
うん? おかしいな・・・ 何かあるのか?
一瞬、気の弱い私の体に緊張感が走りました。
と 言うのも、こんな些細な事に気づくのも意外と自然界では役に立つ
事があることを、今まで何度か体験してきたのだが・・・ 今回は?
私は歩きをゆるめ、回りを警戒しながらゆっくりと歩きます・・・
気になればなるほどに、森の散策気分は吹っ飛び、楽しむどころではなく
なってしまいます・・・
何がでてくるのかな・・・?
考え出すと余計な事までいろいろ考えてしまいストレスがたまります。
そこで気を取り直し、気持ちを切り替えて、今日は何でもないさ・・・!
たまたま人懐こい鳥だったんだ・・・と、歩みを速めました。
その時、また目の前の梢から尾をふりふり ツツピー ツツピー の
あの鳥の鳴き声・・・
よく鳴く 人なつこい鳥だな・・・
そう思ったときでした・・・
横の岩場から ブ~ン という震えるような大きな羽音・・・
驚いて見ると大きな クマバチ? が飛んでいるではありませんか・・・
太った黄色いお尻に、大きな羽を広げて私を威嚇しています。
木の室の中には沢山の群れがいそうです・・・
私の体は一瞬こわばってしまいましたよ。
今の季節に? 何でここに?
毎年 秋口にはハイカーの方が森の中で騒いだり、団体で賑やかに通る
時などに、たまたま近くにあった巣を守る スズメバチ の毒針に襲われ
て、救急車のお世話になる出来事がありますが・・・
思えば私の子供の頃、よく田舎のガキ大将の後ろについていって
ミツバチの巣を見つけては棒で叩き落し、その中の甘い甘いハチの子を
よく食べさせてもらいました。
しかし、時には怒った親バチに襲われて、逃げても逃げても追いかけ
られてとうとうみんな嫌と言うほど刺されて、泣きながら家に帰った事も
ありました・・・
それだけにその痛みは今でも忘れられずに、ハチを見ると一瞬体が
固まるのです。
でもその体験から、ハチが人を襲うのはハチの子を取ったりして悪さを
したり、急に驚かしたり、子育て中で巣を守っている時などなんだ・・・
と子供ながら肌で実感したものです。
しかし、急に頭上で大きな ハチ が羽音を立ててくるとビックリして、
思わずステッキや帽子やあるもので振り払いたくなります・・・
でも、そうすればするほどハチは偵察、警戒飛行から襲われたと判断し
て、急に攻撃モードに早代わりして襲ってきたりしますからね・・・
恐いです!
そっと・・・
私は ゆっくり・・・ 静かに・・・ そこを後にしました・・・
しばらく歩いて・・・ ほっ!
それにしても、あの時の小鳥に感謝せねばと・・・回りを見渡しても全く
姿が見えず、それ以降は鳴き声も聞えてきませんでした。
あの ハチの巣に注意・・・ を発っする為に、私に鳴いてくれた注意報に
違いないと確信しました・・・
もういいかな! と 何処かへ飛んでいったようです。
春の芽吹きの始まった清水谷を下りながら、私の心も春になりました・・・
( * こんな話を人に言うと メルヘンの世界・・・ と 笑われますが・・・
森の中の 自然の営み事 には、科学では解明できない不思議な世界
があり、私がいつも生きている森に 畏敬の念 を持つところなのです。)
(PS)
翌日、たまたま通った箕面ビジターセンターの森の博物館でハチの標本
を何気なく見てビックリです。
あのハチはクマバチではなく、恐い毒針を持ったスズメバチそのもの
でした・・・
ぞ~ !
くわばら くわばら~ です。
13 4-3
水晶の森!?
天候不順と寒暖差のあるおかしな 気候が続いていたのが、
今日は久しぶりに春らしいお天気に恵まれました。
新稲(にいな)の山里を歩くとレンゲ畑があり、野菜畑があり、
お花畑もあり、田植えの準備に田起しの農機を入れている
畑もあり、ファーマーの方々が農作業をされたりしています。
暖かい太陽を浴びながらそんな畦道を歩いていると、
ホトケノザ、ガギドオシ、オオイヌノフグリ、ノゲシやタンポポ
などの野草が花を咲かせ、近くのカンザクラの木からは
ウグイスが美しい鳴声を里に響かせています。
ハナミズキの咲く禅寺・栄松寺の南細道から、ツバメが飛び交う
半町池を抜けて「教学の森」に入りました。
一歩入ると、そこには若々しい新緑に溢れた森が広がって
います。
見上げると白い筒状のウワミズザクラが満開です。
幼児の手を広げたようなイロハモミジが新鮮です。
やがて西尾根道に入り、北へ向って上がっていくと
変化にとんだ気持ちのいい森の散策路が六箇山(395.8m)
まで続いている・・・
大きなヤブツバキの赤い花ガラが落ちていて、彩りを添えて
います。
コバノミツバツツジが美しく咲き、森の中に花火が開いた
ような華やかさです。
急に東のほうから水の流れが聞えてきました。
石澄(いしずみ)の滝の流れ落ちる音のようです。
今日は水量が多いようで、谷にこだまして心よい響きです。
私は予定を変更してその谷へ下りてみる事にしました。
いくつかの下り道をあるものの、ヤブコギをせねばならない
所は避け、いつもの「海の見える丘」前から、新芽の出つつ
あるササヤブを抜けて下りました。
杉木立には野鳥が飛び交い、双眼鏡で見る間にもう別の所に
飛び立ち、中々ゆっくりと捉えることができません。
やがて谷間に近づくと、滝の流れ落ちる音が大きく響いて
きました・・・
それと共にキンコン キンコン ガリガリと、何かを叩く音が
聞えてきます・・・何だろうか?
アオゲラ、アカゲラやキツツキ科の鳥のドラミングとは違うので
緊張が走ります。
双眼鏡で谷間を覗くと、数人のハイカーの方々がいて、何やら
岩をカナヅチで叩き割っている様子です?
実はこの場所で私がハイカーの方に出会うのは、
この10年で3回目・・・
それほど人影を見ることは無く、ましてそんな行為をしている
方を見るのは初めてのことだけに・・・
一体何をしているのだろうか? と、興味を持ちました。
谷間に下りると、挨拶の後で何をされているのか早速
聞いてみました。
・ こんにちわ! それは何をされているのですか?
化石でもあるのでしょうか?
* いえいえ・・・水晶ですわ!
ほれ! これが水晶ですよ。
割ったばかりの岩片を見せてもらうと、太陽にキラキラと輝く
小さな水晶の塊が見えました・・・
ビックリ、感激です。
* この先に昔鉱山があったでしょう?
だから鉱山のあった所には水晶がでるんですわ!
私は全く知りませんでした。
ましてこの先に鉱山があったことなども・・・
もっと詳しくお聞きしたかったものの、皆さん帰り支度をされて
いたので失礼しました。
一人になって近くの小さな岩片を拾ってみると、確かに小さ
水晶の結晶があり、また感激です。
記念に小さな破片を一つポケットに入れました。(笑)
少し前にものこのブログで紹介した通り、この石澄の滝は
池田市と箕面市の境界を流れる石澄川の上流にあり、
前回は水量が余りに少なく、いろいろ問題提起をし、心配した
ものの、今日はかなりの水量がゴーゴーと豪快に流れ落ち
谷間を響かせている姿に安堵しました。
滝壷横の石像に手を合わせ、その前の大岩の上で
しばし休憩し、長らく滝の流れを見つめていました。
もうそれだけで「無」の世界に入れるようで、禅僧にでも
なったかのような気分です?(笑)
爆音をかき消すかのようにヒヨドリが二羽、頭上を大鳴き
しながら飛び交っています。
右の大きな絶壁岩から岩清水が流れ落ち、その岩場の窪みに
二輪の小さなタチツボスミレが咲いていました。
爆風にあおられながらも、その清楚な薄紫の花弁を揺らせて
いる姿には感動しました。
少し後ろ手に柑橘類の木を見つけました。
なんと場違い感のある木・・・
しかもオレンジ色した実がたわわに実っているではありま
せんか・・・
八朔か? 甘夏か? それとも箕面特産のユズか?
その後には琵琶の木まで・・・
ハイカーの投げた種か?
それとも鳥たちが食べ落とした糞から芽がでた木なのか?
それを考えているだけで日が暮れそうなので腰をあげました。
戻る山道で小動物に出会いました・・・
テンかな? キツネかな?
イノシシのヌタ場もあり、鹿のフンも見かけるので、
谷川の水を求めて、森の動物たちも沢山周辺にはいることで
しょう。
箕面の森はいつも私に好奇心と心の癒しを与えてくれます。
サムエル・ウルマンの詩・・・
「青春とは心の若さである・・・」 の如く、
今が私の青春のようです! (笑)
’10-4-25